近江学研究所の活動の進捗 | 過去の研究活動(近江学研究所)

日吉大社所蔵 長沢芦雪筆「猿図」絵馬 復元模写完成 記者発表(ご案内)

復元模写された「猿図絵馬」 撮影:岡田健

復元模写された「猿図絵馬」
撮影:岡田健

<日吉大社所蔵 長沢芦雪筆「猿図」絵馬  復元模写完成奉告祭・記者発表のご案内>
2014年7月から9カ月間取組んできました日吉大社所蔵の長沢芦雪筆の「猿図」絵馬の復元模写が完成いたしました。
成安造形大学美術領域日本画コースと附属研究機関の近江学研究所が協働し、先人の画業に触れながら絵馬を復元するというプロジェクトの成果です。
下記の通り、日吉大社にて、完成奉告祭・記者発表、絵馬の一般特別拝観、拝殿への掲示を行います。
一般の方にも特別拝観いたしますので、ぜひ、足をお運びください。

日 時:平成27年5月19日 (火) 16:00〜17:00
場 所:日吉大社 西本宮(拝殿) WEBサイト
出席者:
木村  至宏(成安造形大学名誉教授、附属近江学研究所所長)
吉村  俊昭(成安造形大学芸術学部教授、近江学研究所研究員)
西久松 吉雄(成安造形大学芸術学部教授、美術領域主任、近江学研究所研究員)
馬渕  直樹(山王総本宮日吉大社 宮司)
井口   健(山王総本宮日吉大社 禰宜)
須原  紀彦(山王総本宮日吉大社 権禰宜)
今岡  一穂(美術領域アシスタント、美術領域日本画コース卒業生)
橋爪  千夏(美術領域日本画コース3年生)
大野 久留実(美術領域日本画コース3年生)
次 第:
○修祓
○祝詞奏上
○鈴祓
○玉串奉奠(宮司・成安造形大学)

○宮司挨拶
○取材・質疑応答
○一般特別拝観
○絵馬の拝殿掲示
================
<復元された「猿図」絵馬について>

復元模写された「猿図絵馬」 撮影:岡田健

復元模写された「猿図絵馬」
撮影:岡田健

現在の原画

現在の原画

僅かな描画痕跡しか残っていない絵馬の復元は、作者や奉納にかかわる資料収集が重要となるため、多くの時間を収集と読み解きに費やした。作品調査は多くは写真資料によるものだが、和歌山草堂寺のご好意で群猿図を拝見し蘆雪の筆使いを確認することができた。
猿の絵は原画でかすかに見て取れる「耳」と手足指から親子猿の向きを決定して、猿の全体像を想定したが、母猿の視線は習作を重ねて奉納目的から決定した。また、足元の草花は蘆雪作品の優しさを表現できるように努めた。背景は金箔か金砂子か判断に苦しんだが、違和感の少ない金砂子を採用した。奉納文字はほとんど読み取れない部分もあったが筆致を詳細に確認してようやく復元に至った。
作品に取り掛かる前の習作や資料作りは学生たちにとって苦難の作業であったが、根気よく取り組んで復元の成果をあげたことは特筆すべきことである。
(吉村俊昭)
絵馬のデータ
外 形 縦78.7cm×横90.4cm
画 面 縦68.3cm×横80.0cm
墨書銘 「奉納 寛政四壬子五月吉祥日 藤井正脩」
落 款 「蘆雪写」
印 章 朱文氷形「魚」印(欠損のない完全印)
制作期間 2014年7月~2015年4月
作図指導 吉村 俊昭(よしむら としあき/成安造形大学 芸術学部教授、近江学研究所研究員)
制作者
吉村 俊昭(よしむら としあき/成安造形大学 芸術学部教授、近江学研究所研究員)
今岡 一穂(いまおか かずほ/美術領域アシスタント、美術領域日本画コース卒業生)
橋爪 千夏(はしづめ ちなつ/美術領域日本画コース3年生)
大野久留実(おおの くるみ/美術領域日本画コース3年生)
奉納先
山王総本宮日吉大社 西本宮(拝殿)




===========
日吉大社蔵 長沢芦雪筆「猿図」絵馬復元プロジェクトについて
詳しくは>>>こちらから
===========

連続公開講座 山本昌仁氏「近江~受け継ぐかたちーたねやが世界に蒔くものー」報告

日時:2015年5月9日(土)10:40~12:10
場所:成安造形大学 聚英館3階 聚英ホール
講師:山本昌仁氏(たねやグループCEO)
タイトル:「近江~受け継ぐかたちーたねやが世界に蒔くものー」

満員の会場

満員の会場


山本昌仁氏

山本昌仁氏


5月9日(土)、連続公開講座「近江のかたちを明日につなぐ」シリーズの1回目の講演会を、近江八幡から世界に発信する菓子製造販売会社「たねや」の山本昌仁社長をお迎えして開催しました。
今回は、シリーズの基調講演としながら、「たねや」さんはもとより、近江八幡との連携を重ねてきた石川亮研究員が山本社長に質問するかたちで進め、難しい会社経営のお話から、「たねや」のデザインの方向性など、ものづくりにこだわった質問を投げかけました。
左 進行 加藤賢治研究員 インタビュアー 石川亮研究員


進行 加藤賢治研究員
インタビュアー 石川亮研究員


山本社長は、滋賀県の風土など、その土地にあるものを大切に、それらを引き出すことを大事にし、また、「自然に学ぶ」をテーマにしながら様々な取り組みを紹介していただきました。
また、事前にラコリーナを見学した本学総合領域の学生からも質問があり、世界で活躍する建築家藤森照信氏に新店舗「ラコリーナ」の設計をお願いされた経緯も解説していただきました。
現在たねやでデザインを担当する本学卒業生3名も紹介されました

現在たねやでデザインを担当する本学卒業生3名も紹介されました


学生の質問に答える山本氏

学生の質問に答える山本氏


近江八幡には、左義長まつりや松明まつりなど大きな春祭りが行われますが、それらの伝統行事をしっかりと次世代に残して行こうとする活発な活動があり、「たねや」さんもそれらをバックアップしておられます。
それらの伝統行事のように、「たねや」さんも、「自然に学ぶ」というコンセプトのもと、このラコリーナの建設や、たねや農芸の運営など、お菓子の製造販売を基にしながら、次世代に、つなげなければならない大切な思想を、世界に向けて発信し、伝えておられるのだと、理解できました。
200席が満席となった会場からは、山本社長に大きな拍手が贈られました。
報告:加藤賢治(近江学研究所研究員)
=========
【講演内容】
1872年、旧八幡町池田町(近江八幡市)に「種屋末廣」の屋号で菓子業を創業。
1945年、敗戦後の物不足の時代に「栗まん」が好評となり、たねやの基本作りとなって以来、近江(滋賀県)を象徴する老舗菓子業としてその名を轟かせています。
その精神は近江の歴史、文化を背景に京都では見いだせない「鄙(ひな)びた美」にいち早く気付き、生活様式の変化や時代の移り変わりを敏感に感じながらも受継ぐものを大事にし、同時に新しい提案も進めてこられました。
近年では、イタリアの食材を和菓子に取り入れる斬新なアイデアを創出するなど、期待と夢を与える提案をされています。
2015年1月には近江八幡市北之庄に、背景の八幡山と自然環境の一体化を目指すたねやグループのフラッグシップ店ラ コリーナ近江八幡メインショップを開店。
来たるべき時代へ向かってこれからの「たねや哲学」に迫ります。
【講師プロフィール】
1969年滋賀県近江八幡市生まれ。16歳より10年間和菓子の修行を重ねる。1994年に全国菓子大博覧会にて最高賞の「名誉総裁工芸文化賞」を24歳最年少受賞。2011年四代目たねや社長に就任。‘13年たねやグループCEO就任。
【関連企画展】
近江のかたちを明日につなぐ展vol.01 
たねやが蒔くもの 歴史に学ぶ・自然に学ぶ
会期:2015/3/30(月)~5/17(日)
休館:日曜日(5/17(日)を除く)、5月4、5、6日、
時間:12:00~18:00
会場:成安造形大学【キャンパスが美術館】スパイラルギャラリー・聚英館1Fロビー
入場:無料
協力:たねや、クラブハリエ、成安造形大学附属近江学研究所
主催:成安造形大学【キャンパスが美術館】
詳しくは成安造形大学【キャンパスが美術館】WEBサイトをご覧ください。

加藤研究員:研究活動「近江屋研究報告会」「京都新聞 連載執筆」

近江学研究所の加藤賢治研究員が、
平成26年12月21日(日)に開催された「近江屋研究プロジェクト研究報告会 現代近江屋考~近江屋という屋号から見えるもの(3)~」にて、研究報告を行ないました。
本研究は、平成23年度よりはじまった文化・経済フォーラム滋賀主催の「近江屋」研究プロジェクトです。
今回は、「近江商人の中でも独特な商法によって近世・近代を生き抜いてきた日野商人にスポットを当て、北関東に小さな店をいくつも持ち、持続可能な経営を展開した日野商人にこれからの社会のあり方を学ぶ」という内容で開催しました。
また、その報告の模様が新聞記事(京都新聞 12月22日付滋賀版)で紹介されました。

京都新聞2014年12月22日付滋賀版掲載

京都新聞2014年12月22日付滋賀版掲載


近江屋研究プロジェクト研究報告会については>>>こちらから
京都新聞2014年12月21日付滋賀版掲載

京都新聞2014年12月21日付滋賀版掲載


そして、加藤賢治研究員が3ケ月に一度執筆している、京都新聞滋賀版(日曜日)連載「よし笛」。
今月12月21日(日)に掲載されました。
今回のテーマは、「近江屋という滋賀ブランド」。群馬県桐生市にある、創業享保年間、初代近江屋矢野久左衛門の流れをくむ「矢野園(近江屋)」を訪ねたレポートがまとめられています。
連載「よし笛」は、現在の身の回りにある地域の行事などに視点をおき、そこから「祭礼」「結」「歳時」などのコミュニティのあり方を加藤研究員の専門である民俗学から読み解いていく連載になっています。
今後もぜひ、ご注目ください。

淡海の夢2014風景展関連企画 ギャラリートークを行ないました


日時:2014年12月13日(土)15:00~16:30
場所:成安造形大学 I棟プレゼンルーム
講師:岸田保(イラストレーション領域准教授)、永江弘之(イラストレーション領域准教授・本学附属近江学研究所研究員)
タイトル:淡海の夢2014風景展 ギャラリートーク

12月4日(木)からギャラリーアートサイトにて開催している「淡海の夢2014風景展」の関連企画として、12月13日(土)ギャラリートークを行ないました。
講師は、デジタルペイントで作品を手掛ける岸田保(イラストレーション領域准教授)と、本展覧会や写生会の企画者で、主にアクリル絵具で風景画を描く永江弘之(イラストレーション領域准教授・本学附属近江学研究所研究員)が担当しました。
お二人それぞれの画風の違いや、風景画を描く魅力について語っていただき、約30人の出品者や学生、教員の皆さんが参加され、熱心にメモをとりながら聞き入っていました。
プレゼンルームでのレクチャーが終わった後は、展覧会場にて出品者の皆さんの作品について解説を行うなど、18時近くまで会場はにぎわいました。
寒い中お越しいただいた皆さま、ありがとうございました。
展覧会は12月18日(木)まで開催中です。



文化誌『近江学』第7号(特集 金への畏敬)発刊しました


成安造形大学附属近江学研究所は、「芸術による社会への貢献」を教育の理念とする
成安造形大学の附属研究機関として2008年4月に発足し、
開所7年目を迎えることになりました。
このたび、近江学研究所では、初年度から発刊してまいりました
文化誌『近江学』第7号(特集 金への畏敬)を下記の通り出版いたしました。
今号から編集長が小嵜善通研究員が務めることになりました。
12月20日には店頭に並びますので、ぜひお手に取ってみてください。

近江の〝金”にまつわる文化の総論 著:木村至宏

近江の〝金”にまつわる文化の総論
著:木村至宏

宗教学者 山折哲雄が語る「黄金のかけ橋」 著:山折哲雄

宗教学者 山折哲雄が語る「黄金のかけ橋」
著:山折哲雄

附属近江学研究所 文化誌『近江学』第7号出版
<内容紹介>
特集テーマは「金への畏敬」。野鍛冶、銅鐸、曳山の飾り金具、江若鉄道など、
近江の金、銅、鉄など近江を支えた金属全般にまつわる世界を、論考やインタ
ビュー、対談、そしてグラビアページなど様々な切り口で語ります。
●「金の文化」
木村 至宏 (近江学研究所 所長)
●「黄金のかけ橋」
山折哲雄 (宗教学者)
●《対談》「野鍛冶ー大地に命を吹き込む鉄」
西川 征一 (野鍛冶職人三代目)×大岩 剛一 (近江学研究所客員研究員)
●「近江の風景 沖島」
今森 光彦 (写真家)
●「湖北の鍛冶ー草野鍛冶」
森岡 榮一 (長浜市長浜城歴史博物館副参事)
●「銅鐸埋納とその後」
徳網 克己 (野洲市歴史民俗博物館館長)
● 「曳山に輝く金具」
和田 光生 (大津市文化財保護課参事)
● 「琵琶湖見聞録」
寿福 滋 (写真家)
●「鉄路の記憶ー思い出の江若鉄道」
木津 勝 (大津市歴史博物館学芸員)
●成安のファインアート 「鉄からはじまる好奇心」
宇野 君平 (本学准教授)
●《近江の意匠ⅤI》 「土人形の魅力ー東近江の小幡人形を訪ねて」
加藤 賢治 (近江学研究所研究員)
●「イラストマップの魅力」
MON (本学准教授)
=======================
文化誌「近江学」第7号
成安造形大学附属近江学研究所 編

1,800円+税
ISBN978-4-88325-552-8 C1402
AB 96ページ 並製
初版発行年月日:2015年1月10日
書店発売日:2014年12月20日
発行    成安造形大学附属近江学研究所
〒520-0248滋賀県大津市仰木の里東4丁目3-1
発行者   木村 至宏(近江学研究所所長)
編集    小嵜 善通(近江学研究所研究員)
写真    寿福 滋
デザイン  大向デザイン事務所
印刷    宮川印刷株式会社
発売元   サンライズ出版株式会社
〒522-0004滋賀県彦根市鳥居本町655-1
発行部数  1,600部
定価    1,800円+税
=======================
<購入方法>
◎12月中旬には、滋賀県下の主な書店にて販売いたします。

◎「サンライズ出版WEBサイト」から>>>こちらから
=======================

近江で鉄を打つ、野鍛冶職人西川征一氏との対談 著:大岩剛一

近江で鉄を打つ、野鍛冶職人西川征一氏との対談
著:大岩剛一

大津祭の曳山の美しさを印象づける「飾り金具」の論考 著:和田光生

大津祭の曳山の美しさを印象づける「飾り金具」の論考
著:和田光生

写真家寿福滋による「金への畏敬グラビアページ」

写真家寿福滋による「金への畏敬グラビアページ」

「鉄路の記憶~思い出の江若鉄道」 著:木津勝

「鉄路の記憶~思い出の江若鉄道」
著:木津勝

東近江の土人形〝小幡人形″を訪ねて 著:加藤賢治

東近江の土人形〝小幡人形″を訪ねて
著:加藤賢治

連続講座 近江~受け継ぐかたち「桶からシャンパンクーラー」中川周士氏が講演しました

日時:2014年11月29日(土)10:40〜12:10
場所:成安造形大学 聚英館3階 聚英ホール
講師:中川周士氏(中川木工芸 比良工房 主宰)
対談:石川亮(本研究所研究員)
タイトル:近江~受け継ぐかたち–桶からシャンパンクーラー–

講師の中川周士氏

講師の中川周士氏


対談 石川亮研究員

対談 石川亮研究員


11月29日(土)、連続講座「近江のかたちを明日につなぐ」は、京都白川で祖父の代から続く桶職人を受け継ぎ、11年前に大津市比良に中川木工芸比良工房を構える中川周士氏を演壇に招きました。たくさんの道具を使い、実演を交えながらの講演が行われました。対談は、石川亮研究員が行ないました。
詳細の報告は後日詳しく行います。




ドン・ペリミオン公式のシャンパンクーラー

ドン・ペリミオン公式のシャンパンクーラー




【講演内容】
京都白川で祖父の代から続く桶職人を受け継ぎ、11年前に大津市比良に中川木工芸比良工房を構える中川周士氏を演壇に招きます。
大学時代は彫刻を専攻、ものづくりにおいては美術家と職人のスタンスを常に意識し、「用」と「美」と「技」の集約を追求してこられました。
今回の講座では桶が生活にかかすことのできない日用品であった時代の背景をたどりながら、生活様式や時代の変化に対峙し、受け継がれた技術や精神に迫ります。
近年、デザイナーや現代美術作家とのコラボレーションを発表され、その紹介や自身が受ける日本人のものづくりに対する「今日の眼差し」などお話いただきます。
中川周士氏プロフィール
1968年 京都府生まれ。1992年京都精華大学美術学部立体造形卒業。卒業と同時に父清司(重要無形文化財保持者)に師事、木工職人として桶、指物、刳物、ろくろなどの技術を学ぶ。2003年 滋賀県志賀町(現在は合併により大津市)に独立工房。 “中川木工芸 比良(ひら)工房”をひらく。 中川木工芸は京都の老舗桶屋「たる源」で
修行を積んだ祖父中川亀一が、
京都・白川に工房を構えたのが始まり。

八王寺山の家・自力建設プロジェクト ワークショップ開催!2日目

2013年8月17日(土)、18日(日)の2日間、昨年度から建材素材集めや上棟式などに取り組んできた大津市仰木地区の「仰木自然文化庭園構想 八王寺組」が主催する、拠点となる小屋の建設ワークショップに参画しました。
この活動は、近江学研究所が、研究活動「八王寺山の家”地域拠点”自力建設プロジェクト」の一環として、地元仰木との活動を授業化し、研究員と学生が参画するものです。
1日目の作業は>>>こちらから
<2日目の作業の様子>
八王寺山の家・自力建設プロジェクト 藁積み・荒壁づくりワークショップの2日目。
1日目にも増して快晴。

まず、始めに八王寺組の上坂会長からごあいさつがありました。

そして、カイルさんより、ストローベイルハウスの特性についてレクチャーがあり、
今日の作業行程、作業の分担について説明がありました。
学生たちもそれぞれ作業を分担しています。

土壁に隠れるベイルを覗く「真実の窓」の窓部分を汚れないように養生をする作業。

ベイルを留める竹杭の先端をとがらせる作業

「真実の窓」ができる下面の壁にレリーフをつくることになり、イラストレーション領域の学生たちは急遽デザイン案を考えることに。
テーマは「棚田」です。
そして、2層目の荒壁塗り作業。

1層目の土よりも、藁を沢山入れて、強度をつよめます。この土をベイルとベイルのくぼみや、壁の形の成形に使います。
土づくりが重労働。男の人たちが交代しながら行ないます。

壁の上面のラインをきれいにみせるように、指示を仰ぎながら、土をのせて、形を整える作業を繰り返します。
午前の作業は終了。

お昼ごはんは、鹿肉カレー!

そして、二種類の夏野菜たっぷりサラダ。
身体が元気になります。
レリーフ案が決まりました。イラストレーション領域3年のツリアンディカ・アンジャニさんのデザインです。


レリーフをつくっていきます。
壁面の形成が整い、レリーフができました。
14時、いよいよ仕上げとなる3層目を塗っていきます。

仕上げの土は、粉砕した藁スサをたくさん混ぜて、水分を含んだ柔らかい土です。
これをゴム手袋の手で、すーっと上塗りしていきます。手のひらで壁を撫でていきます。

撫でていくと、すこしづつ光沢が生まれていきます。

そして、2日間の作業が終わり、小屋の中には存在感のある、美しい壁が立ち上がりました。

2日間、暑い中で長時間の作業でしたが、
学生たちが地域の方や、一般の方々になじみながら、
作業を率先して、みんなを引っ張るように動いている姿はとても頼もしくみえました。
そして、この小屋が、地域の方々にとっても、関わった多くの方にとっても大切な場所になることがわかりました。
ご協力いただいた皆様、本当にありがとうござました。

連続講座第2回「受け継ぐかたち①-彦根仏壇・株式会社井上-」開催

日時:2013年7月20日(土)10:40~12:10
場所:成安造形大学 聚英館3階 聚英ホール
講師:井上 昌一氏 (井上仏壇店 株式会社井上代表取締役)
対談:石川 亮(本研究所研究員)
タイトル:「近江~受け継ぐかたち①-彦根仏壇・株式会社井上-」
7月20日(土)、連続公開講座「近江のかたちを明日につなぐ」シリーズの2回目を開催しました。
 今回は「受け継ぐかたち」というテーマで、伝統の技術を用いて新しいものづくりに挑戦している彦根仏壇・株式会社井上の代表取締役、井上昌一さんをお招きし、その取り組みについて詳しく語っていただきました。

株式会社井上の井上昌一さん

株式会社井上の井上昌一さん


美術作家としても活躍する石川亮研究員

美術作家としても活躍する石川亮研究員


 このシリーズは、近江学研究所研究員がコーディネイトするかたちで行なわれており、今回は美術作家として活躍している石川亮研究員がものづくりの視点で話を引き出しながら進めました。
 はじめは、井上さんが、彦根藩の武具をつくる職人から出発したという彦根仏壇の歴史から、彦根仏壇の特徴である金仏壇の制作行程、七職といわれる、木地師や塗師、錺金具(かざりかなぐ)師などの職人の役割などスライドや映像を交えて解説されました。
対談形式で講演は進められました。

対談形式で講演は進められました。


漆の塗りについて説明する井上さんと石川研究員

漆の塗りについて説明する井上さんと石川研究員


 その後、後継者不足や景気の後退、仏壇離れ等の現状を解決するため、新しい祈りのかたちを本学の学生や若手デザイナー等と新製品を開発する取り組みが紹介されました。新時代の仏壇や、仏様の手のかたちをあしらった持ち運び可能な祈りの対象となるグッズの提案など、斬新なアイディアが、実際に商品化された現物を前に話されました。続いて、仏壇を制作する木地師と塗師の技術を使い、カラーの漆がほどこされたおしゃれなデザインの食器や菓子箱、トレイなどの製品も紹介されました。
柒+(ナナプラス) 成安造形大学も参加した、コラボレーションから生まれた新しい仏壇

柒+(ナナプラス) 成安造形大学も参加した、コラボレーションから生まれた新しい仏壇


柒+(ナナプラス) 持ち運びができる、御仏の手をイメージした祈るかたちの提案

柒+(ナナプラス) 持ち運びができる、御仏の手をイメージした祈るかたちの提案


 現在、井上さんは、漆塗りの良さや新しいライフスタイルにつながる製品を海外に紹介し、観光客を誘致する取り組みに繋げるなど様々な活動を続けておられます。しかし、このような活動によってつくられる製品は非常に高価であり、安定した販売につながっていないという現状も話されました。
石川研究員はまとめとして、多少高価な食器であっても、大量生産大量消費から脱却し、その漆塗りや手作りの価値をしっかり認識する消費者を増やさなければならないし、そのために大学としてもそのような新しい価値観を学生に教えて行かなければならないと改めて感じたと感想を述べられました。
報告:近江学研究所研究員 加藤賢治
彦根仏壇の新たなブランドとして取り組む「chanto」について説明する講師たち

彦根仏壇の新たなブランドとして取り組む「chanto」について説明する講師たち


伝統を新しい感性で継承しようとする話に皆さん熱心に耳を傾けておられました。

伝統を新しい感性で継承しようとする話に皆さん熱心に耳を傾けておられました。


井上仏壇について>>こちらから
「柒+(ナナプラス)」についてフェイスブック>>こちらから
「柒+(ナナプラス)」滋賀県立大学・成安造形大学の学生デザインの仏具公開、IFFTに展示へ の新聞記事(しが彦根新聞)>>こちらから
新ブランド「chanto」 について>>こちらから

近江里山フィールドワーク第1回目のFWを行ないました!

集合場所で挨拶する学生たち。これから踏査スタート!

集合場所で挨拶する学生たち。これから踏査スタート!


プロジェクト演習A1「近江・里山フィールドワーク」、
監修今森光彦先生(写真家・本学客員教授)、
特別講師佐藤悦子先生の授業が7月7日(日)に行なわれました。
一昨年まで取り組んでいた今森光彦氏の授業「雑木林再生プロジェクト」と、

「仰木森林学入門/仰木森林保全ボランティア」の2つの授業が合わさった形で、

1年を通した授業としています。過日、5月17日(金)にガイダンス&レクチャーが行われ、
この日は実際に山に入ってのフィールドワークが行なわれました。
途中休憩。佐藤講師が雑木林と人工林の違いを説明

途中休憩。佐藤講師が雑木林と人工林の違いを説明


頂上付近の絶景ポイントで森林組合の方々と記念撮影。

頂上付近の絶景ポイントで森林組合の方々と記念撮影。


この日の目的は、上仰木・辻ヶ下森林組合が管理する杉・檜の人工林に入り、
上仰木と辻ヶ下、2ヶ村が保有する森林を踏査することです。
踏査とは森林の境界線を確認することと、異常がないかを調べることです。
学生たちは実際に森林に入り、組合員や佐藤特別講師から人工林の特徴を学びました。
急な山道を行く

急な山道を行く


山頂付近の目的地でお昼ご飯。美しい琵琶湖を眺めながらお弁当をいただきました

昼食後、30分程度レクチャー。人工林のの歴史と山を守る地元森林組合の方々の活動を学びました

昼食後、30分程度レクチャー。人工林のの歴史と山を守る地元森林組合の方々の活動を学びました

山頂付近の目的地でお昼ご飯。美しい琵琶湖を眺めながらお弁当をいただきました


学生たちは、途中急斜面の登りや、急な降りに閉口しながらも琵琶湖が一望できる
絶景ポイントではその美しさに疲れを忘れていたようです。
昼食後のミーティングでは、自己紹介や人工林の歴史や保全活動の重要性を学びました。
急な斜面を下山。仰木の奥宮である滝壺神社にお参り。白鳳時代に遡る仰木の出発点を確認しました

急な斜面を下山。仰木の奥宮である滝壺神社にお参り。白鳳時代に遡る仰木の出発点を確認しました


仰木の水源で涼をとる学生たち

仰木の水源で涼をとる学生たち


最後に反省会。学生たちは「来てよかった。勉強になりました」など、それぞれ感想を述べました

最後に反省会。学生たちは「来てよかった。勉強になりました」など、それぞれ感想を述べました


最後に学生たちは、森林組合の役員の方々を前に、
「普段は山を遠くから見ているだけですが、初めて山に入ってみて色々な発見がありました」
「森林を保全することは大変難しく、多くの人々の努力が必要なのだと理解できました」
「初めてこのような森林に入り、心が癒されました」
などそれぞれ感想を述べました。
次回9月は、間伐作業の体験、10月の木工作業と続きます。
その後は、今森先生が管理されている雑木林に入って生物多様性について学びます。
今後も楽しみです。
報告:近江学研究所研究員 加藤賢治

ホームカミングデーにてホームタウンバザール開催しました!

5月18日(土)、成安造形大学創立20周年を記念して、ホームカミングデーが開催されました。

たくさんの方が集まったレセプション

たくさんの方が集まったレセプション


開会のご挨拶をする牛尾学長

開会のご挨拶をする牛尾学長


20年間の卒業生、成安短大の卒業生、教職員OBOG、近隣の皆さんが集まり、
芝生広場・カフェテリア結を舞台に一日を過ごしました。

附属近江学研究所では、これまでの地元地域とのかかわりを知っていただこうと
ホームタウンバザールと称して、お店やワークショップを開催しました。
まずは、仰木地区の「仰木ふれあい青空市」を特別開店。
普段、毎週日曜日9時~12時に開店している「仰木ふれあい青空市」が成安に出張してくださいました。
美味しく熟したトマト、小松菜、セリ、子供大根、ほうれん草、スナップエンドウ、玉ねぎ、卵、ツクシの佃煮、
しその実の佃煮、干し柿、無農薬イチゴなど仰木の朝採れ野菜がたくさんあつまり、大盛況。
大盛況の青空市

大盛況の青空市


また、仰木の伝統食として伝わる「納豆餅」を100食ふるまいました。
仰木産の羽二重もちのもち米を、昨日から水につけ、その場で蒸して、餅つきをしました。
餅つきをする牛尾学長

餅つきをする牛尾学長


学長はじめ、たくさんのみなさんが餅つきをして、
できたての納豆餅をつくり、みんなで食しました。
学生たちも一緒に納豆餅をつくりました

学生たちも一緒に納豆餅をつくりました


納豆餅

納豆餅


納豆餅は、塩味にした納豆をお餅にはさみ、周りにきなこをまぶして食します。
大人気であっという間に売り切れました!
また、「仰木ふるさとカルタ遊び」を開催。
2年間かけて仰木地域の老人クラブの皆さんと学生たちが一緒に作り上げた「仰木ふるさとカルタ」。
子供たちや学生、先生と、一緒に仰木のくらしを思いながら、カルタ遊びをしました。

合わせて、本学学生が在学中に制作し、これまで6年にわたってグッズ展開をしてきたNPO法人大津祭曳山連盟公式キャラクター「ちま吉」グッズの販売しました。

400名ものお客さんがあつまったホームカミングデー、
学生スタッフのがんばりのお蔭で、大きなイベントを無事に終えることができました。
みんなで協力し、楽しむことができ、大成功でした。
ご協力ありがとうございました。

Go to Top