近江学研究所の活動の進捗 | 過去の研究活動(近江学研究所)

『仰木ふるさとカルタ』完成しました! 4/23記者発表します!


『仰木ふるさとカルタ』が完成しました!
4月23日(火)には、マスコミ各社へ記者発表を行います。
『仰木ふるさとカルタ』は、
成安造形大学附属近江学研究所の「生活文化の聞き取り調査、及び、仰木ふるさとカルタ制作」プロジェクトとして、
2011年から2年間、永江弘之(ながえひろゆき)研究員(本学イラストレーション領域 准教授/風景画家)を中心に、学生スタッフ12名で取り組みました。 
滋賀県大津市仰木地区の「仰木学区老人クラブ連合会」の協力を得て、
60歳~90歳代を対象に「仰木ふるさと五感体験アンケート」や、
藁細工や納豆餅づくりなど体験を含めた聞き取り調査を行い、
それをもとに仰木の方と48の言葉を選び出しました。
その読み札に合わせて、学生が絵札を描き、かるたを制作しました。
2年間、じっくりと聞き取りを行ったことで、
昭和20~30年代の農村集落でのくらしの情景が眼に浮かぶような、
懐かしい記憶のつまったカルタになりました。
カルタは300部制作しました。
調査に協力いただいた方々や、仰木小学校などに配布します。
また、貸出用カルタを10セット用意しました。
知恵にあふれた仰木のくらしを子供たちに引き継ぐきっかけになればと思います。
また、4月27日(土)より、2,800円(税別)で頒布します。
4月27日(土)は本研究所の公開講座終了後12:15~17:00(場所:本学聚英館1階事務所)にて、
また28日(日)は本学のオープンキャンパス10:00~16:00(場所:I棟1階プレゼンルーム)にて、
その後は、5月7日(火)より平日9:00~17:15(場所:本学聚英館1階事務所)にて、
仰木ふるさとカルタを頒布しております。ぜひ、お越しください。
興味のある方、購入を希望される方は、近江学研究所までお問い合わせください。

仰木ふるさとカルタ 頒布価格2,800円+税

仰木ふるさとカルタ 頒布価格2,800円+税


札は、たて120㎜、よこ85㎜とイラストが良く見える大きいサイズ

札は、たて120㎜、よこ85㎜とイラストが良く見える大きいサイズ


左から読み札、絵札、裏面。3枚の紙を合紙してしっかりした札になりました。

左から読み札、絵札、裏面。3枚の紙を合紙してしっかりした札になりました。


仰木のくらし解説書付き。聞き取り調査で得た情報を、読み札ごとにまとめました。

仰木のくらし解説書付き。聞き取り調査で得た情報を、読み札ごとにまとめました。


学生たちが描いた、とても味わい深いイラストばかりです。

学生たちが描いた、とても味わい深いイラストばかりです。


完成を喜び合う学生スタッフと永江研究員

完成を喜び合う学生スタッフと永江研究員


【仰木ふるさとカルタ】
発行日 2013年(平成25年)3月
発 行 成安造形大学附属近江学研究所
     〒520-0248滋賀県大津市仰木の里東4-3-1 TEL 077-574-2118
印 刷 アインズ株式会社
頒布価格:2800円+税
セット内容:読札・取札48枚 合計96枚、しおり(解説書)
材質:外箱=紙、札=紙
パッケージサイズ:176×125×60mm
カードサイズ:120×85mm
■購入方法 >>>近江学研究所へお問い合わせください。 TEL:077-574-2118 
【調査・制作協力】
仰木学区老人クラブ連合会/俳句の会「畦草会」/仰木学区自治連合会/
大津市立仰木小学校/大津市立仰木市民センター/仰木ふれあい夏祭り実行委員会
【仰木ふるさとカルタ制作プロジェクトメンバー】
永江 弘之 (研究主担当/監修)(附属近江学研究所 研究員/イラストレーション領域准教授)
大原 歩  (編集・デザイン)(附属近江学研究所 研究員/空間デザイン領域 非常勤講師)
加藤 賢治 (附属近江学研究所 研究員)
学生スタッフ
●イラストレーション領域 学生 
梅下 菜々美/益 友花子/小池 由華/小林 佳紫/鈴木 沙季/関戸 望/長野 明代/宮本 暖子
●空間デザイン領域 学生
兼森 絢子/日下部 まこ/後藤 美子/永禮 尊大
=============================
【仰木ふるさとカルタが出来るまで】
《1.仰木ふるさと五感体験アンケート》
滋賀県大津市仰木地区の老人クラブ連合会の協力を得て、
60歳から90歳代を対象に「仰木ふるさと五感体験アンケート」を行いました。
182枚のアンケートが集まりました。
五感体験アンケート

五感体験アンケート


《2.五感体験マンダラづくり》
アンケートの言葉は1600項目ありました。
学生たちと言葉を、13項目に分類。関係性がわかるように図解にまとめました。
五感体験マンダラ

五感体験マンダラ

 
《3.聞き取り調査》
五感体験マンダラを読み込んで、わからないことや興味深いことについて、
老人クラブのみなさんに集まっていただき、聞き取りを進めました。
聞き取り調査(仰木辻ヶ下)

聞き取り調査(仰木辻ヶ下)


聞き取り調査(仰木下仰木)

聞き取り調査(仰木下仰木)


ブログ「近江学研究活動【仰木ふるさとカルタ】2012年度 始動!」>>>こちらから
《4.実体験をともなった聞き取り調査》
聞き取り調査の中で、とくに関心を持った「わら細工」「納豆餅づくり」「味噌づくり」について、
実際に作り、体験を通して理解を深めました。
藁草履づくり(仰木下仰木)

藁草履づくり(仰木下仰木)


手作り味噌づくり (大津市堅田農協)

手作り味噌づくり (大津市堅田農協)


納豆餅づくり(成安造形大学)

納豆餅づくり(成安造形大学)


《5.読み札づくり》
聞き取り調査の際に、仰木のみなさんと読み札となる「48つのことば」を決めていきました。
読み札は、仰木で明治から続く俳句の会「畦草会」の皆さんにご協力いただき、
たたき台になる言葉を校正し、耳によい、内容が表れていることばをつくっていきました。
俳句の会「畦草会」

俳句の会「畦草会」


ブログ「【近江学研究】カルタ読み札 ほぼ完成してきました!」>>>こちらから
《絵札づくり》
読み札に合わせて、絵札の下書きを学生が制作。
昭和20~30年代の風景を絵にするため、古い写真を見ながら、
詳細を聞き取りして、絵を仕上げていきました。
絵札の聞き取り

絵札の聞き取り



ブログ 「仰木ふるさとカルタ「絵札づくり聞き取りワークショップ」3日間開催!」>>>こちらから
《6.印刷》
アインズ株式会社にて、色校正を行いました。
原画に近い色がでているか確認し、機械を扱う専門のオペレーターの方が、
色調整を行いました。
アインズ株式会社の竜王工場にて、色校正作業を行いました。

アインズ株式会社の竜王工場にて、色校正作業を行いました。


【プロジェクトを通して、つながりが生まれ、成果を発表しました】
《1.展覧会を開催し中間報告を行いました》
2011年10月23日(土)―11月27日(日) 
附属近江学研究所と地蔵プロジェクトのそれぞれが、水・記憶・音をテーマに、
滋賀県大津市仰木で取り組んできたフィールドワークと聞き取り調査に基づく3つの研究成果の一端を
発表しました。
ブログ 「近江学企画展覧会「仰木 水と記憶のコスモロジー」展 はじまりました!」>>>こちらから
ブログ「近江学企画展覧会 「仰木 水と記憶のコスモロジー」」>>>こちらから
《2.京都新聞@キャンパス の記事を制作しました》
2012年5月2日、京都新聞夕刊「@キャンパス」コーナーにて、
仰木ふれあいカルタ制作プロジェクトの学生メンバーが、取材・制作した記事が掲載されました。
ブログ 「京都新聞@キャンパス記事に学生が制作した記事が掲載されました!」>>>こちらから
ブログ「京都新聞@キャンパス編集会議」>>>こちらから
ブログ「近江学研究活動で京都新聞の記事作りに取り組みます!」>>>こちらから

「巨大地震の新史料発見」記者発表を行いました

江州之圖(縦149㎝、横239㎝)

江州之圖(縦149㎝、横239㎝)


過日3月5日(火)に記者発表を行いましたので、ご報告します。
成安造形大学附属近江学研究所が調査した近江の古地図に、寛文2年(1662)5月1日に発生した巨大歴史地震として知られる「寛文近江・若狭地震」の凄まじい被害の様子が記されていることがわかりました。
記者発表の様子

記者発表の様子


この地図は近江古地図の収集・研究家として知られる松井善和(本学職員)の最新の所蔵品で、地図上に細かく説明文が貼付けられ、また付け足し部分や修正個所が複数あるなど、珍しい特徴を持っています。研究所では、昨年6月から日本近世史が専門で本研究所客員研究員水本邦彦氏(長浜バイオ大学教授)に指導・協力を依頼し、この地図の調査を開始しました。
誰が、何のために、いつ頃この地図を製作したのかを調べるため、地図上に書かれた文字を読むところから始めました。そして現高島市の朽木村を紹介する箇所に地震の記事が書かれていることを発見しました。 この記事は、推定マグニチュード7.6という日本歴史上内陸地震として最大級といえる巨大地震である「寛文近江・若狭地震」の新史料であることに間違いありません。
研究所は、東日本大震災が発生した2年目の3月11日を前に、今回の史料の発見が、過去に起った大災害の記録を呼び起こし、近江・若狭・京都の防災意識につながれば、この新史料に大きな意味があると思い発表公開しました。
この地図の詳細な調査報告につきましては、3月末に附属近江学研究所が発行する紀要第2号(紀要発刊後、近江学研究所Webサイトにて閲覧可能です)に加藤賢治(近江学研究所研究員)が投稿することになっています。
地図上に「寛文近江・若狭地震」の記録が書かれていた部分

地図上に「寛文近江・若狭地震」の記録が書かれていた部分


地図に書かれていた内容
現代語訳
一、この谷ノ内の市場というところに家が一五〇軒ほどあった。兵部殿(元朽木の領主朽木宣綱)が城にいたが、五月一日の地震で家は一つ残らず潰れ、兵部殿の他、約七十名が死亡した。
一、この辺りの榎村というところに家が約五十軒あり、うしろの山が崩れ人馬ともに一人も助からなかった。朝早く、山へ行った二人だけが生き残っていた。その他、浜の商人が木材を買いに二人で来ていた。その者が泊まっていた宿の前に、長さ十四五間の杭太が転がっており、その一部が三尺程見えていたので、そこを掘り返した。七日目に掘り出し、二人は助かった。その場所は今、淵になっている。
琵琶湖は「紺紙」で表現されている

琵琶湖は「紺紙」で表現されている


北湖より南湖が詳細に描かれている

北湖より南湖が詳細に描かれている


■この件に関するお問い合わせ
成安造形大学附属近江学研究所 担当研究員 加藤賢治
℡:077—574—2118
mail:omigaku@seian.ac.jp
京都新聞記事はコチラ
毎日新聞ニュースはコチラ
※「寛文近江・若狭地震」に関する参考資料 災害教訓の継承に関する専門調査会報告書 1662 寛文近江・若狭地震(平成17年3月)はコチラ

「八王寺山の家・自力建設プロジェクト」生き物観察会・現場整地!

プロジェクト特別実習A3として大岩剛一研究員が中心に取り組む「八王寺山の家・自力建設プロジェクト」。
8月5日(日)に、雄琴川の生き物観察会と現場掃除に参加しました。

雄琴川

雄琴川

夏休みに入りましたが学生4名が参加しました。
午前中は、生き物観察会。
仰木地域の棚田をはじめ里山環境などの価値をみつけていく地元主催の「仰木を守る会」が、
八王寺組と共催して行いました。参加者は、地元の子供会の皆さんと八王寺山の棚田オーナーさんと
一緒に行いました。

沢山採れたヌマムツ

沢山採れたヌマムツ

指導は、上田上小学校の校長先生。昭和57年に仰木小の校長も勤められ、
生き物や地質学に大変詳しく、いろんなお話を聞かせていただきました。

今日採れたのは、
サワガニ14匹、アメリカザリガニ20匹、ヒラタカゲロウの巣。
ヘビトンボ、ウスバカゲロウ。
カワムツB34匹。最近、カワムツBがヌマムツだとわかったそうです。
ヌマムツの子ども60〜80匹。
赤トンボ1匹。
とても豊かな生態系が保たれていると、校長先生。
午後は、八王寺山に上がり、現場に置いている木材を始末する作業を行いました。
薪になるまっすくで太い部分をノコギリで整え、まがった細い枝はよけ、燃やしていく作業です。

景色のいい八王寺山で木材の製材

景色のいい八王寺山で木材の製材



2時間の作業で、だいぶん整えることができ、
建設現場の空間をみることができました。

家づくりには直接関わることではありませんが、
八王寺組がどのように地域を活性化する活動をされているのかを知ることができ、
また、仰木の里山自然の環境の豊かさを、体感できる絶好の機会となりました。

次回は、8月25日(日)に、素材づくりワークショップ【藁編】として、
棚田で稲刈り・はさがけを行います。
ただし、稲の収穫は天候に左右されるため、予備日として、9月1日(土)、2日(日)も予定しています。

仰木ふるさとカルタ「絵札づくり聞き取りワークショップ」3日間開催!

永江研究員と学生研究スタッフ12名で取り組んでいる「仰木ふるさとカルタ」。
先月、地元の俳句会にご協力いただき、読み札が完成し、
只今、読み札に合わせて、絵札の制作を進めています。
先日、7月30日(月)、31日(火)、8月4日(日)の3日間、
「絵札づくり聞き取りワークショップ」と銘打ち、
学生が描いた絵札について、聞き取りし、絵を仕上げていくために、
仰木を訪ねました。
7月30日(月)は、上仰木自治会館にて、
31日(火)は、平尾自治会館にて
老人クラブのご協力で、集まっていただきました。

7月30日上仰木自治会館にて

7月30日上仰木自治会館にて


7月31日平尾自治会館にて

7月31日平尾自治会館にて


相談会の様相で、面と向かいあいながら、
学生が描いた絵札について、聞き取りし、絵を仕上げていきます。

お借りした、古い家族アルバム。
戦前からの様子がわかる、とても興味深く参考になる写真がたくさんありました。

8月4日(土)は、仰木地域の夏祭り「仰木ふれあい夏祭り」の催しのひとつとして
ワークショップを開催しました。
仰木太鼓会館前広場

仰木太鼓会館前広場


昨年開催した仰木コスモロジー展のミニ版として、
地蔵プロジェクトと合同開催しました。
▼2011年度に行った「仰木 水と記憶のコスモロジー」についてはこちらから
仰木太鼓会館にて、会場をつくり聞き取りを進めます。

つぎに、看板作り。
みんな、手が早く、とてもかわいい看板ができました。

また、地元の運営する屋台で腹ごしらえ。
カボチャコロッケ、かしわ飯、梅ジュース、たこ焼き、焼きそば。。。

開会すると、次々と顔なじみになった仰木のおじいちゃんおばあちゃんが来ていただき、
聞き取りが盛り上がっていきました。

絵札の細部についても、身振り手振りを加えて、教えていただきました。
学生たちの顔も充実しています。


夏祭りに参加することで、たくさんの方に仰木カルタを知っていただくことができました。
これから、8月、9月で絵札を仕上げていき、カルタ印刷への編集をすすめていくことになります。
ご協力いただいた、仰木学区老人クラブ連合会の皆様、仰木ふれあい夏祭り実行委員のみなさま、
ありがとうござました!

第三回近江学フォーラム現地研修「湖西路をゆく-高島市針江を訪ねて-」を実施しました。

3回目となる近江学フォーラム会員限定現地研修を10月15日(土)に実施しました。H21年の現地研修1回目は湖北に十一面観音を訪ね、H22年の2回目は琵琶湖に浮かぶ4島を船で巡りました。そして3回目となる今年は「湖西路をゆく」と題して高島市を訪ねて研修を行いました。
前日の大雨は峠を越え、曇空ではありましたがなんとか雨は上がり、研修日和となりました。

参加者は50名ということでバス2台に分乗し、10時10分予定通りJR北小松駅を出発。はじめの目的地鵜川四十八体石仏群を目指しました。「四十八体の石仏群は天文22年(1553)に対岸の観音寺城主六角義賢が亡き母の追慕のために建立し、現在そのうちの十三体が坂本慈眼堂に移されています。」と、ここでは木村至宏所長の解説がありました。

バスに戻り、次に「乙女が池」と「大溝城跡」を訪ねました。公園として美しく整備された乙女が池ですが、北陸や若狭に抜ける交通の要衝にあたるこの地には多くの凄惨な歴史が残っています。また、大溝城には話題の浅井三姉妹の次女「お初」が京極高次とこの地に暮らした話などがあり、木村所長や同行いただいた高島市教育委員会の山本晃子さんから説明いただきました。

予定通り11時30分に再びバスに乗車、ここからは見学先の人数制限の関係でA・B2コースに分かれてそれぞれ見学地を目指しました。
午後からの見学は、安曇川泰山寺「ソラノネ」紀伊国屋、中江藤樹書院跡、新旭町針江集落、上原酒造の4カ所です。盛りだくさんで足早になりましたが、予定通り見学できました。

ソラノネでは、針江地区の湧き水でつくられたお米を竃(かまど)で炊いたご飯をおいしくいただきました。中江藤樹書院跡では日本陽明学の祖である藤樹の思想を学びました。針江集落では3班にわかれ、地下約20メートルから湧き出る湧水を利用する施設である川端(かばた)を中心に、それぞれボランティアスタッフに案内していただきました。上原酒造では昔ながらの酒造り「天然酵母山廃仕込み」「木槽天秤搾り」の解説をいただき、伝統の技に触れることができました。

近江学研究紀要「Omi近江学」の第2号で上原酒造や川端(かばた)を取りあげており、午後からの見学はその記事を追うようなかたちで企画しました。
少し昔の暮らしの中には自然の循環があり、かばたに住む魚など人間以外の生き物と共生し、使用するエネルギーを最小限にとどめ、可能な限り再利用するなど、現代の生活に活かさなければならない知恵があらゆるところに見られました。
参加者の近江学フォーラム会員の皆さんから、本当に貴重で大切な話をたくさん聞くことができ、今の生活を見直さなければというような感想が聞けました。

報告:近江学研究所研究員加藤賢治

第一回近江学フォーラム現地研修「湖北 観音の里めぐり」報告

10月17日(土)近江学フォーラム現地研修-湖北 観音の里めぐり-を実施しました。バスでの現地研修。午前8時45分JRおごと温泉集合。木村至宏近江学研究所所長の車内での講演が始まり、一路湖北へと出発しました。木村所長のガイドは快調!いつものわかりやすく楽しい解説で、白洲正子がたどった湖西路を進み観音の里へ。
湖北の観音様は重要文化財のものを含め美しい仏像がたくさんあることで全国的に著名ですが、今回の研修は、村人が輪番で村のお堂をお守りするという、そういう形式を今に伝える集落にしぼって4つのお堂を訪ねました。
石道(いしみち)という集落にある石道寺(しゃくどうじ)では、湖北の観音の里を舞台とした井上靖の名著『星と祭』の一節を木村所長が朗読され、作家が見る十一面観音の「美」を語られました。あいにくの曇天で一時的に激しい雨がこのタイミングで降りましたが、堂内に響く雨音は水の神様である十一面観音のBGMとなり、すがすがしく心地の良いものとなりました。
現地研修ということで湖北に観音が多い理由や時代とともに変化する仏像の形式のことなど、日本美術史を専門とする小嵜研究員による詳しい解説もあり、40名のフォーラム会員参加者の目は真剣そのものでした。
木村所長は「お堂の観音様の姿は今後も変わることはありませんが、それを拝観する皆さんの心は変化しています。機会があれば何度でもこの湖北の観音様を訪ねてください」と現地研修を締めくくられました。
午後3時半、雨もあがり少し晴れ間が見える湖北の琵琶湖。竹生島を車窓に見ながら帰途に着きました。
次年度の研修の企画を考えながら・・・。

報告:近江学研究所 研究員 加藤賢治



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