近江学研究所の活動の進捗
文化誌『近江学』第4号完成しました!
成安造形大学 附属近江学研究所 文化誌『近江学』第4号が完成しました。 昨年度までの紀要「近江学」をリニューアルし、いままで以上に読みやすくビジュアルを豊富に取り入れた、近江を学ぶ刊行物になりました。
近江学研究所の活動の進捗
成安造形大学 附属近江学研究所 文化誌『近江学』第4号が完成しました。 昨年度までの紀要「近江学」をリニューアルし、いままで以上に読みやすくビジュアルを豊富に取り入れた、近江を学ぶ刊行物になりました。
2011年12月3日(土)~1月29日(日)
テーマ展「くらしと民具」
銅鐸博物館(野洲市)
2011年11月25日(金)~1月15日(日)
第94回ミニ企画展 趣味家謹製!! 辰年の年賀状
大津市歴史博物館
1月17日(火)~3月11日(日)
第95回ミニ企画展 大津の仏教文化12 西教寺の仏画
大津市歴史博物館
1月21日(土)~3月11日(日)
近代の洋画・響き合う美―兵庫県立美術館名品展―
滋賀県立近代美術館
1月21日(土)~4月1日(日)
滋賀の洋画
滋賀県立近代美術館
1月21日(土)~4月1日(日)
日本の前衛
滋賀県立近代美術館
1月3日(火)~1月22日(日)
第3こども絵画コンクール優秀作品展
佐川美術館
1月7日(土)~3月11日(日)
ギャラリー展示 民具を科学する
琵琶湖博物館
1月7日(土)~1月9日(月/祝)
近江神宮かるた祭
近江神宮(大津市)
1月9日(月/祝)
弓取の神事
熊野神社(蒲生郡日野町)
1月14日(土)
住吉の火まつり
住吉神社(守山市)
1月14日(土)
勝部の火まつり
勝部神社(守山市)
1月18日(水)~1月20日(金)
豊国神社厄除大祭
豊国神社(東近江市)
1月25日(水)~3月4日(日)
第6回 坂本盆梅展
旧竹林院(大津市)
講座名:「大津絵と三井寺」 ―大津絵誕生の母胎―
日 時:平成23年11月26日(土) 10:40~12:00
場 所:成安造形大学 聚英ホール
講 師:福家俊彦 氏(総本山三井寺 執事長)
近江学フォーラム会員限定講座の今年度最終回の講座が11月26日(土)、三井寺執事長の福家俊彦先生をお迎えして開催されました。
講演のタイトルは「大津絵と三井寺」。大津絵の始まりが京都から移住してきた絵師がはじめたというものや、キリスト教禁教によるものという定説に疑問を投げかけながら、三井寺の「別所」がいわゆる宗教的なアジールをつくり出し、自由な芸能活動や庚申講などの民間信仰が展開されるなかで大津絵が発生してきたという新説を提唱されました。
「三井寺別所で醸成された具体的な信仰や芸能は、庚申講、天神信仰、踊り念仏、三井寺説教節、連歌などがあげられ、それらが中世から近世に広がっていった。一方、大津絵の歴史は、今に残されている作品以外にほとんど資料がなく、実態がつかめないが、その残されている作品の画題を見ると三井寺別所で行われていた信仰や芸能に共通してくる。」と福家先生は丁寧に大津絵の発祥についての新説の根拠を解説されました。
参加者からは「天台寺門宗総本山三井寺のイメージは理解しているが、別所という独特の宗教文化を持った場所があったことは驚きである。」「大津絵の発祥のことに興味があったのでよく理解できた。」「今の芸術につながる芸能などの発祥は混沌する自由な雰囲気の場所から自然発生的に生まれるのだということがわかった。」など様々な感想を聞くことができました。
報告:近江学研究所研究員 加藤賢治
6月30日(木)~12月11日(日)
特別企画「グ・ル・メなやきものたち-陶芸を楽しむ」展
滋賀県立陶芸の森
9月3日(土)~12月11日(日)
秋季特別展 神仏います近江 天台仏教への道
MIHO MUSEUM
11月25日(金)~2012年 1月15日(日)
第94回ミニ企画展 趣味家謹製!! 辰年の年賀状
大津市歴史博物館
9月6日(火)~12月18日(日)
戦後アメリカ美術の軌跡
滋賀県立近代美術館
12月6日(火) ~12月18日(日)
第65回 滋賀県美術展覧会
滋賀県立近代美術館
11月1日(火)~12月18日(日)
湖国滋賀と京都画壇
滋賀県立近代美術館
11月18日(金)~12月18日(日)
国宝梵鐘・所蔵作品展
佐川美術館
12月4日(日)
太郎坊宮お火焚大祭
太郎坊宮 阿賀神社(東近江市)
11月19日(土)、あいにくの雨模様の中、近江学Aの授業の一環で恒例となっていますフィールドワークに出かけました。
訪れたのは、湖族の郷「堅田」。午前10時にJR堅田駅に集合し、予定では徒歩ではじめの目的地「浮御堂」まで行く予定でしたが、荒天でしたので堅田町内循環バスに乗車して目的地を目指しました。
浮御堂では恵心僧都源信が平安時代に比叡山横川で修行中に炎立つ魂を鎮めるためこの地に向かい、千躰の阿弥陀仏を奉納したという伝承を解説し、また、近世の俳人松尾芭蕉がこの地に浮かぶ中秋の月を愛で俳句を詠んだ話をしました。
次に浄土真宗本福寺に向かい、その前で親鸞聖人に始まる浄土真宗が中興祖といわれる八代目の蓮如上人の活躍によって日本で最も大きな教団となる礎を築いたという解説し、
その後、浄土真宗光徳寺を訪ねて「堅田源兵衛の首」という浄土真宗に伝わる伝承について当寺のご住職にお話を伺い、伝承の大切さを学びました。
最後に堅田衆と呼ばれた自治組織の中でも指導的な立場にあったという殿原衆居初(いそめ)家の二九代目のご当主を訪ね、堅田衆の歴史と当家が管理される名勝「天然図画亭(てんねんずえてい)庭園」と茶室「天然図画亭」についての解説をじっくりと聞かせて頂きました。
堅田の街はこの他にも一休宗純ゆかりの祥瑞寺や出島(でけじま)灯台、新田義貞の妻勾当内侍の墓など、歴史的な見所が沢山あります。これは、堅田が湖上交通の要衝であった琵琶湖の最もくびれた部分に位置し、京の都に出入りする人々の往来が頻繁にあり、文化が行き来した所以であることをまとめとして解説しました。
当日は雨模様でしたが湖族の郷アートプロジェクト(本学プロジェクト実習による学生の活動)が行われており、にぎやかな湖族の街を散策しました。
湖族の郷アートプロジェクト公式サイトはこちら
講座名 『近江~魂のかたち―絵馬―』
日 時 平成23年11月12日(土) 10:40~12:00
場 所 成安造形大学 聚英ホール
講 師 吉村俊昭(本学教授・近江学研究所研究員)
対 談 小嵜善通(本学教授・近江学研究所研究員)
今年から始まりました連続公開講座「近江のかたちを明日につなぐ」シリーズも今年最後の講座となりました。最後を締めくくるこの日は本学教授で附属近江学研究所の二人の研究員に担当いただきました。
タイトルは「近江〜魂のかたち〜 絵馬」。はじめに本学で日本美術史の教鞭をとる小嵜善通研究員が絵馬の起源や近江に現存する絵馬やその種類について解説され、続いて絵馬などの板絵の表現技法の研究と修復を手がける吉村俊昭研究員が、近江の絵馬の特徴や修復の技法について丁寧に語っていただきました。
「絵馬の起源は奈良時代にさかのぼり、呪術的な要素として天変地異や疫病を鎮めるために生きた馬を神に捧げることが行われ、やがて絵に描かれ奉納されるようになった。」「日野の馬見岡綿向神社や愛荘町の豊満神社には非常に貴重な大絵馬が存在し、綿向神社には厩と猿・日野祭礼・歌舞伎・馬、豊満神社には平敦盛・牛若丸弁慶・黒馬・坂上是則など様々な画題が描かれている。」など、興味深い「絵馬」のすべてが二人の解説の中で紹介されました。
最後に文化財の模写について、模写の種類や、模写の筆法、絵の具の調合の話しなど、貴重な話を聞くことができ、普段覗くことのできない模写の現場について知る機会となりました。
報告:近江学研究所研究員 加藤賢治
講座名:「近江のオコナイ」
日 時:平成23年10月29日(土) 10:40~12:00
場 所:成安造形大学 聚英ホール
講 師:中島誠一 氏(長浜市曳山博物館 副館長)
今年度第4回目となります近江学フォーラム会員限定講座が10月29日(土)開催されました。今回は「近江のオコナイ」と題して、この研究の第一人者である長浜市曳山博物館副館長の中島誠一先生にご登壇頂きました。
「オコナイ」とは近江の中では湖北地域と甲賀地域に今も伝わる祭礼で、巨大な餅を飾り、造花による飾り付け、乱声(らんじょう)や牛玉宝印(ごおうほういん)の授与など五穀豊穣や大漁、家内安全などを祈願する特徴的な儀礼を行う。また、天台宗との関わりも指摘され、近江に限らず西日本を中心としながら全国に広がっている。など、はじめに「オコナイ」の特徴を詳しく解説されました。
後半はスライドで近江各地の特徴的な「オコナイ」の様子を投影され、飾りの荘厳さや、餅の大きさ、また籤(くじ)や順番で決まった「トウヤ」を中心に厳格に行われる儀礼について臨場感を持って解説頂きました。
近江は宮座の宝庫と呼ばれ、鎮守の森の神社を中心とした祭礼が多く残っていますが、「オコナイ」という仏教色が濃い新春の行事が形を異にしながらこのように残っていることを知り、近江の伝統文化の深さを改めて感じました。
報告:近江学研究所研究員 加藤賢治
6月30日(木)~12月11日(日)
特別企画「グ・ル・メなやきものたち-陶芸を楽しむ」展
滋賀県立陶芸の森
11月1日(火)~12月18日(日)
岡本太郎と設楽展
滋賀県立陶芸の森
7月16日(土)~11月23日(水・祝)
第19回企画展示 『こまった!カワウ-生きものとのつきあい方-』
滋賀県立琵琶湖博物館
9月17日(土)~11月6日(日)
湖国の鳴く虫たち- 庭の小さな音楽家-
滋賀県立琵琶湖博物館
9月3日(土)~12月11日(日)
秋季特別展 神仏います近江 天台仏教への道
MIHO MUSEUM
10月8日(土)~11月23日(水)
秋季特別展 神仏います近江 日吉の神と祭
大津市歴史博物館
9月17日(土)~11月20日(日)
秋季特別展 神仏います近江 祈りの国、近江の仏像 古代から中世へ
滋賀県立近代美術館
10月22日(土)~11月6日(日)
大津百町大写真展2011-マチを記録すること-
大津百町一帯(旧大津公会堂・大津百町館ほか)
11月1日(火)~11月30日(水)
日吉大社もみじ祭
日吉大社(大津市坂本)
3回目となる近江学フォーラム会員限定現地研修を10月15日(土)に実施しました。H21年の現地研修1回目は湖北に十一面観音を訪ね、H22年の2回目は琵琶湖に浮かぶ4島を船で巡りました。そして3回目となる今年は「湖西路をゆく」と題して高島市を訪ねて研修を行いました。
前日の大雨は峠を越え、曇空ではありましたがなんとか雨は上がり、研修日和となりました。
参加者は50名ということでバス2台に分乗し、10時10分予定通りJR北小松駅を出発。はじめの目的地鵜川四十八体石仏群を目指しました。「四十八体の石仏群は天文22年(1553)に対岸の観音寺城主六角義賢が亡き母の追慕のために建立し、現在そのうちの十三体が坂本慈眼堂に移されています。」と、ここでは木村至宏所長の解説がありました。
バスに戻り、次に「乙女が池」と「大溝城跡」を訪ねました。公園として美しく整備された乙女が池ですが、北陸や若狭に抜ける交通の要衝にあたるこの地には多くの凄惨な歴史が残っています。また、大溝城には話題の浅井三姉妹の次女「お初」が京極高次とこの地に暮らした話などがあり、木村所長や同行いただいた高島市教育委員会の山本晃子さんから説明いただきました。
予定通り11時30分に再びバスに乗車、ここからは見学先の人数制限の関係でA・B2コースに分かれてそれぞれ見学地を目指しました。
午後からの見学は、安曇川泰山寺「ソラノネ」紀伊国屋、中江藤樹書院跡、新旭町針江集落、上原酒造の4カ所です。盛りだくさんで足早になりましたが、予定通り見学できました。
ソラノネでは、針江地区の湧き水でつくられたお米を竃(かまど)で炊いたご飯をおいしくいただきました。中江藤樹書院跡では日本陽明学の祖である藤樹の思想を学びました。針江集落では3班にわかれ、地下約20メートルから湧き出る湧水を利用する施設である川端(かばた)を中心に、それぞれボランティアスタッフに案内していただきました。上原酒造では昔ながらの酒造り「天然酵母山廃仕込み」「木槽天秤搾り」の解説をいただき、伝統の技に触れることができました。
近江学研究紀要「Omi近江学」の第2号で上原酒造や川端(かばた)を取りあげており、午後からの見学はその記事を追うようなかたちで企画しました。
少し昔の暮らしの中には自然の循環があり、かばたに住む魚など人間以外の生き物と共生し、使用するエネルギーを最小限にとどめ、可能な限り再利用するなど、現代の生活に活かさなければならない知恵があらゆるところに見られました。
参加者の近江学フォーラム会員の皆さんから、本当に貴重で大切な話をたくさん聞くことができ、今の生活を見直さなければというような感想が聞けました。
報告:近江学研究所研究員加藤賢治
講座名 『近江~魂のかたち―木彫―』
日 時 平成23年10月1日(土) 10:40~12:00
場 所 成安造形大学 聚英ホール
講 師 江里康慧氏(仏師)
対 談 加藤賢治(近江学研究所研究員)
「近江のかたちを明日に繋ぐ」連続公開講座の最終章「魂のかたち」ということで、今回は京都岡崎の工房で「仏師」として活躍される江里康慧先生にご登場いただきました。初めの50分間は基調講演として江里先生が仏像彫刻の歴史と近江の関わりについて話されました。奈良時代から平安時代までの彫刻史をその時代背景とともに丁寧に解説され、その中で、混迷の奈良時代から平安時代に入って最澄が登場した。その影響の強い天台様式の仏像は、「一切衆生悉有仏性(すべてのものに仏性が宿り皆が仏になれる)」という天台の教えに基づき、仏性が宿る白木の木造仏が多くなる。ここ近江にはそのような仏様が多く伝わっているとその要旨を語られました。
その後、近江学研究所研究員の私加藤が、対談者として登壇させていただき、仏師としての江里先生にスポットを当て、仏像制作の様子をたずねました。
霊性をおびた木を選ぶことや、鑿(のみ)を入れる前に願主を迎えて鑿入式という儀式を行うこと、截金(きりがね)という技法を使い装飾することなどたくさんの貴重なお話を聞くことができました。
中々普段うかがうことのできない精神性の深い仏像制作の一場面を知ることができ、140名を超える受講者の方々も満足そうに見えました。
報告者:近江学研究所研究員 加藤賢治