近江学フォーラムニュース
2011年度近江学フォーラム会員募集開始しました!
近江学研究所では、2011年度「近江学フォーラム」の会員募集を開始しました。
滋賀県(近江)の持つ豊かな自然と歴史、文化に対し、興味・関心のある方、ご自身の持っている知識や見聞を深めたい、広げたいとお考えの方は、是非会員にお申込ください。お待ちしています。
近江学フォーラムニュース
近江学研究所では、2011年度「近江学フォーラム」の会員募集を開始しました。
滋賀県(近江)の持つ豊かな自然と歴史、文化に対し、興味・関心のある方、ご自身の持っている知識や見聞を深めたい、広げたいとお考えの方は、是非会員にお申込ください。お待ちしています。
―2010年12月27日より各書店にて発売―
※2011年度近江学フォーラムにご加入の方には無料で差し上げます。
近江学 第3号
成安造形大学附属近江学研究所 編,
主な執筆者 今森光彦, 宇佐美英機, 大岩剛一, 太田浩司
AB 92ページ 並製
ISBN978-4-88325-434-7 C1402
奥付の初版発行年月:2011年1月
書店発売予定日:2010年12月27日
1800円+税
目次
■自然レポート
“やまおやじ”のいる風景/写真・文 今森光彦
琵琶湖の呼称の由来について/木村至宏
■近江の思想
近江商人の精神を考える/宇佐美英機
■近江の生活
琵琶湖の食/堀越昌子
■近江の歴史
近江の城物語-最新の調査成果より-/中井 均
■近江の意匠
近江商人の前垂れ考/藤澤武夫
■近江の人物
小堀遠州と摂河泉/太田浩司
■インタビュー
水辺を描く/岡田修二
■対談
ヨシ原-命を育む水辺/竹田勝博×大岩剛一
講座[近江学]
[近江学研究所]概要
講座名:フェノロサと近江
日 時:平成22年12月4日(土) 10:40~12:00
場 所:成安造形大学 聚英館三階 聚英ホール
講 師:福家 俊彦(園城寺執事長)
明治期の日本に西洋美術が流入し、日本美術の価値が低迷した状況下で、日本の「美」を再発見し、その興隆につとめたアーネスト・フランシスコ・フェノロサ(一八五三〜一九〇八)。彼は生前三井寺法明院住職桜井敬徳と出会い強い影響を受け、今もこの三井寺法明院に静かに眠る。この日は三井寺執事長の福家俊彦先生にフェノロサの活躍について語っていただきました。
福家先生はフェノロサが明治十五年五月に東京上野で行った『美術真説』という講演を取りあげ、彼の思想を紹介されました。フェノロサはその講演で西洋絵画と日本画を比較して日本画を再評価したこと、「美術」への愛好心と鑑賞眼の育成や優れた画家を育てることを目的として美術学校設立の必要性を訴えことが評価され、その後、日本美術振興のパイオニアとして活躍したと話されました。
三井寺には国宝の非公開建築物「光浄院客殿」「勧学院客殿」があり、貴重な文化財を保護しながらできうる範囲で一般に公開するという日本美術の「粋」を啓発する活動を続けられていますが、湖都大津と日本の「美」をこよなく愛したフェノロサの意志がこのような取り組みに受け継がれているように感じました。
講座名:古地図に探る近江 地図に探る滋賀
日 時:平成22年11月13日(土) 10:40~12:00
場 所:成安造形大学 聚英館三階 聚英ホール
講 師:松井善和(県立長浜高校校長・国際地図学会会員)
現在、県立長浜高校校長でおられる松井善和氏は、若いころから古地図を収集されてきました。そのきっかけは小学校のころお父さんから古い地図をもらい、常にそれに慣れ親しんできたことから始まります。大学では美術教育を専門とされていましたが、地理研究室にも出入りし、美術だけでなく地理の教員資格も習得されておられます。本格的に古地図のコレクションを始められたのは、教職につき収入を得だしたころからで40年近くになり、コレクションのために東京はもちろん、遠く北海道まで足を運ばれることもあるそうです。
古地図のコレクションの話から始められた講演では、いたるところで古地図に対する思い入れが聞く者に伝わってきました。会場には最も大事にされている大判の近江の古地図二点が展示され、「地図を読む」ことの実践に始まり、近江から滋賀へ時代と共に変遷する有様を丁寧に、具体的にお話しいただきました。特に廃藩置県の混乱期の話や、滋賀県の市町村合併の歴史の中での変化や失われた地名の話では、その地域の聴講者も多く非常に興味深く聞きいっておられました。地名は単にそれだけでなく、受け継がれてきた歴史や文化そして人々の生活までも関わっており、残し継がれていくことの大切さを改めて認識させられました。
近江学研究所研究員 辻喜代治
10月16日(土)、近江学研究所主催「近江学フォーラム」会員限定の現地研修が行われました。
参加者71名、午前9時30分大津港出港、天気は快晴、琵琶湖汽船エコクルーズ船「megumi」で琵琶湖に浮かぶ四島(沖島・白石島・多景島・竹生島)をめぐりました。案内役は近江学研究所木村至宏所長。いつもの木村節も快調で四島をめぐりながら各島の解説や琵琶湖の民俗について詳しく語っていただきました。あまり上陸する機会がない多景島では、日蓮宗の「南無妙法蓮華経」という題目が彫られた題目岩を見学しました。
秋の一日、琵琶湖を満喫しました。
「近江通信紙」はフォーラム会員と研究所を結ぶ機関紙にあたるものです。
トップページに今年、20周年を迎えた大津市歴史博物館館長の松浦俊和氏のインタビューを掲載するなど中身もより充実しました。フォーラム会員の皆様からの身近な情報やエッセイなども掲載していきたいと思います。ご寄稿お待ちしております。
「近江通信紙」VOL.5は来年4月発行の予定です。
会員限定講座『古地図に探る近江 地図に探る滋賀』は、講師の都合により11月6日(土)から11月13日(土)に日程変更いたします。
すでに講座へお申込みいただき、受講を予定されていた皆様には、ご迷惑をおかけします事を深くお詫び申し上げます。
なお、本講座のお申込みがお済みの方で、日程変更後(11月13日(土))の講座へご参加いただける場合は、送付させていただいております“11月6日付けの受講票”を当日ご持参下さい。
また、お申込みがお済みでない方で、受講をご希望されます場合は、近江学フォーラム事務担当(077-574-2118)までご連絡ください。
【会員限定講座 概要】
日時(変更後):11月13日(土) 10時40分~12時
タイトル:「古地図に探る近江 地図に探る滋賀」
講 師:松井善和氏(県立長浜高校校長・国際地図学会会員)
場 所:成安造形大学 聚英館3階 聚英ホール
内 容:江戸期の近江国図や明治の二万分の一地形図、大正・昭和の都市図を通して近世から現代に
至る郷土の歴史と人々の生活や社会の姿への理解を深め、地図を読む『読図』を身に付け、短時間で楽しく興味深く学びます。
講座名:近江の東海道と中山道
日 時:平成22年7月3日(土) 10:40~12:00
場 所:成安造形大学 聚英館三階 聚英ホール
講 師:八杉淳(草津市立草津宿街道交流館館長)
東海道と中山道が交わる交通の要衝「近江」。近江はその道を通じて多くの「ひと」や「もの」とともに「文化」や「情報」が行き交い発展しました。この日は草津市立草津宿街道交流館館長の八杉淳先生にご登壇いただき、東海道、中山道を中心とした街道と近世宿場町の機能について詳しく語っていただきました。
古代から近江は北国と東国、西国を結ぶ三叉路にあたり、東海道・中山道・北国街道・北国脇往還・若狭街道・御代参街道など街道が琵琶湖を囲むように集中していた。現在でもJR琵琶湖線・国道一号線・瀬田唐橋・東海道新幹線・名神高速道路・京滋バイパス・近江大橋が瀬田川に架かっており、まさに交通の要衝であることがわかる。また、宿場町の機能として大名の宿泊施設であった本陣、脇本陣や一般の旅人が利用した旅籠の様子、そして草津宿から石部宿、石部宿から水口宿までの物資運搬の流れなど、当時の人と物の行き来について詳しく紹介していただきました。東海道と中山道が交差する草津宿を中心として、たくさんのスライドを介してわかりやすく講義いただきました。
近江学研究所研究員 加藤賢治
講座名:湖北の仏像-平安時代から鎌倉時代にかけて-
日 時:平成22年6月5日(土) 10:40~12:00
場 所:成安造形大学 聚英館三階 聚英ホール
講 師:高梨純次(滋賀県立近代美術館 学芸課長)
6月5日(土)近江学フォーラム会員限定講座「湖北の仏像-平安時代から鎌倉時代にかけて-」を開講しました。講師は近江学研究所の学外研究員で滋賀県立近代美術館学芸課長の高梨純次先生です。京都のご出身ですが、大学卒業後、滋賀県立琵琶湖文化館の学芸員として滋賀県に来られ、滋賀県立近代美術館では設立準備から現在までご活躍されてきました。ご専門は日本美術史。中でも仏像彫刻史を中心として研究され、滋賀県の仏像研究の第一人者です。
この講座では湖北の仏像彫刻を中心に語っていただきました。「湖北には有名な十一面観音を中心に非常に優れた彫刻が多く残されているが、その優れた完成度をみると小さな工房で仏師がコツコツ制作していたとは考えにくい。おそらく奈良時代、湖北地域に国家的な規模の巨大な官営工房があったと考えられる。そして、平安、鎌倉時代にもそれを受け継ぎ、秀作を量産していた。」と多くの文化財のスライドを紹介しながらわかりやすく紹介いただきました。
また、時代や宗派などによる仏像の形式の違いなども解説いただき、新たな仏像鑑賞の方法を教えていただきました。
最近は歴史文化にスポットがあてられ古寺仏像鑑賞も若者の間で密かなブームとなっています。会員限定講座ということで内容的には難しいところもありましたが、参加者は十分に興味を持って聴講されていました。
報告:近江学研究所研究員 加藤賢治
講座名 まつりから見た近江の民俗史
日 時 平成22年4月24日(土) 10:40~12:00
場 所 成安造形大学 聚英館三階 聚英ホール
講 師 米田実(日本民俗学会 会員)
4月24日(土)、近江学フォーラム会員限定講座の1回目の講座が「祭りから見た近江の民俗史」というタイトルで開講されました。
講師は日本民俗学会会員の米田実先生です。講義はまず、歴史学や考古学では語りきれない民俗伝承とは何かという話から始まり、近江の祭り、祭礼の特徴が多くの事例を通して解説されました。「祭礼には風流(ふりゅう)というものがあり、京都においては常に新しい趣向を凝らした奇抜な見世物が行なわれた。近江はその京都での風流をすぐに取り入れるが、そこからは変わらずその伝統を継承していくという特徴がある。したがって近江各地の祭礼を見ると、曳山や太鼓踊り、大松明など京都でそれぞれの時代に流行した祭礼の断片を知ることができる。」など、事例の一つが紹介されました。
また、講義の最後には、「近江は祭りや宮座の宝庫であるとしながら、速い速度でそれらが消えかかっている。今の時代に合わない祭礼を継承することの難しさは、これらを調査する中で常に感じ、問題意識を持っている。」と民俗伝承の保存という難題を訴えられました。
今に残されたものを検証し、新たな未来の価値観を生み出そうとしている近江学研究所にとって、今回の講義は大きな課題提起とそれを乗越えるたくさんのヒントを与えていただいたように思いました。
報告:近江学研究所研究員 加藤賢治