近江学フォーラムニュース
近江学フォーラム会員限定講座「大津絵と疱瘡絵―近江発、禍への絵画的対抗手段―」講座映像視聴会 報告
令和5年度 第2回 近江学フォーラム会員限定講座
「大津絵と疱瘡絵―近江発、禍への絵画的対抗手段―」
【講座映像視聴会】
日時:7月19日(水)14:30~16:00
場所:成安造形大学 聚英ホール
講師:※映像出演
横谷賢一郎 氏|大津市歴史博物館学芸員
令和5(2023)年度第2回目の近江学フォーラム会員限定講座を
オンデマンド配信と講座映像視聴会で開催しました。
オンデマンド配信は7月4日から7月18日まで。
配信終了の翌日に講座映像視聴会を大学内で実施しました。
今年度の近江学フォーラムのテーマは「禍 転じて」。
2回目の会員限定講座では、大津絵と疱瘡絵について
大津市歴史博物館の学芸員である横谷賢一郎氏にご講演いただきました。
新型コロナウイルスの脅威にさらされて3年。
過去に猛威をふるった疫病のひとつに「天然痘」があります。
強い感染力と高い致死率、そして深刻な後遺症は、
当時の人々にとって脅威でしかありませんでした。
疫病に対抗するために、人々は、神の仕業として、
その神を歓待してもてなし、なだめ、そして送り出しました。
講座では、大津絵や疱瘡絵という絵画が生まれた背景や、
絵に込められた意味や願いについてもお話いただきました。
受講者のみなさんからは、
・大津絵は身近にありながら、歴史的背景など、全く知らなかったので、大変興味深かったです。
・昔から定期的に疫病が流行り、今も昔も、かからないように、かかっても軽症で済むようにと願うのは変わらないのだなと思いました。
・もともと、民画であり土産物である大津絵に関心があったので、とても興味深くお聞きしました。絵画に厄除けの役割があるというのが面白いです。
・かつて疫病として、庶民ならず高貴な人にも恐れられた天然痘を沈静化するため、巨大な腕力を持った源為朝や坂田金時などが大津絵に描かれたことを知り興味深いものがあった。
などといったご感想をいただきました。
[講師プロフィール]
横谷賢一郎 氏(大津市歴史博物館学芸員)
1968年、東京都生まれ。1993年、同志社大学文学部文化学科美学及び芸術学専攻卒業。同年より大津市歴史博物館学芸員。専門は、日本近世絵画史。特に18世紀の京派の絵師たちを専門とするほか、大津市歴史博物館では、大津絵をはじめ、近江八景の肉筆・浮世絵作品、ご当地絵師のほか、書跡・陶磁器・漆工芸など江戸時代の美術工芸全般を担当している。2019年には、パリ日本文化会館で「OTSU-E Paintures Populaire du Japon(日本の庶民絵画大津絵)」を担当した。