近江学フォーラムニュース

近江学フォーラム会員限定講座「『惣』から、『座』、『講』へ―近江学研究所のこれから」報告

令和6年度 第5回 近江学フォーラム会員限定講座
「『惣』から、『座』、『講』へ―近江学研究所のこれから」

【会員限定講座】
日時:3月8日(土)11:00~12:30
場所:成安造形大学 聚英ホール
講師:
加藤 賢治 |本学教授・近江学研究所副所長
石川  亮    |本学准教授・近江学研究所研究員
田口 真太郎|本学講師・近江学研究所研究員

令和7(2025)年度最終となる第5回目の近江学フォーラム会員限定講座を開催しました。
今回の会員限定講座では、本研究所の研究員3名が近江学におけるコミュニティ研究の概観と、
現代社会におけるコミュニティについて語らいました。

講座では文化誌のテーマの推移についてなど、近江学研究所の足跡をたどりつつ
コミュニティをテーマに研究活動を行っている研究員のそれぞれの研究活動の紹介や
これからの展望についてなど充実した内容となりました。

受講者のみなさんからは、
・2024年度に研究された「座」について、4月から拝聴できる楽しみが湧く講座であった。非常に楽しみにしております。
・3人の講師の方々、それぞれの研究テーマが大変興味深く繋がっていて、近江という自然、歴史が豊かな土地への関心が増しました。
・今森氏の「里山の災いが人を強くする」という意味の発言の紹介が心に残りました。
・近江学の足跡を振り返り未来への企画までとても頭がすっきりするお話でした。

などといったご感想をいただきました。

今年度もたくさんの方にご受講いただきまして、ありがとうございました。

[講師プロフィール]
加藤賢治 (本学教授・近江学研究所副所長)
1967年、京都市生まれ。1991年立命館大学産業社会学部卒業後、高等学校地歴科・中学校社会科非常勤講師を経て、2004年佛教大学大学院文学研究科仏教文化専攻修了、2011年滋賀県立大学大学院人間文化学研究科博士後期課程単位取得退学。現在、成安造形大学教授・附属近江学研究所副所長として滋賀県をフィールドに宗教民俗の研究を続けている。主な著書に『水と祈りの近江を歩く』(サンライズ出版)などがある。

石川  亮(本学准教授・近江学研究所研究員)
1971年、大阪府生まれ。美術家、アートディレクター。成安造形大学准教授。同大学附属近江学研究所研究員。京都精華大学美術学部(現・芸術学部)卒業。国内の神仏にゆかりのある地の持つ性質やルーツを探り作品制作の糸口としている。近作に地域伝承や地名をもとに名付けられた湧水を収集した作品「全体─水」がある。宗教観と自然観を生活の中に取り込み、自然と対峙しながらも共存してきた日本人の感覚に注目している。

田口 真太郎(本学講師・近江学研究所研究員)
1987年、茨城県生まれ。滋賀県立大学大学院 環境科学研究科を修了後、2013年に近江八幡市地域おこし協力隊として活動。その後、まちづくり会社㈱まっせのマネージャーとして、伝統文化のリサーチやワークショップの企画・運営に従事。産官学民連携の視点から地域課題解決を推進する「コ・クリエーション」に注力。現在、成安造形大学講師、未来社会デザイン共創機構研究員、附属近江学研究所研究員。

2025-04-23T13:45:49+09:002025年3月11日|近江学フォーラム|

近江学フォーラム会員限定講座「水・山と暮らす-近江における近世の村落」報告

令和6年度 第4回 近江学フォーラム会員限定講座
「水・山と暮らす-近江における近世の村落」

【会員限定講座】
日時:12月7日(土)11:00~12:30
場所:成安造形大学 聚英ホール
講師:東 幸代 氏|滋賀県立大学教授

令和7(2025)年度第4回目の近江学フォーラム会員限定講座を開催しました。
今回の会員限定講座では、滋賀県立大学教授の東 幸代氏に近世の自治的な集落を紹介していただきました。

当時は、水を必要とする農業も、山と深く結びついており、水と山の資源を巡っての争論が発生していました。
東先生には写真を交えながら当時繰り返された争論についても具体的にお話しいただきました。

受講者のみなさんからは、
・山や水の境目の曖昧さにより、争いがよく起きたことがよく分かりました。
・現在の公図は明治後期に作成されたものが多いですが、本日公図の元となった境界の話が聞けて面白かった。。
・古文書を読み解くことにより現代に続く歴史を確認できることに面白さ、重要さを感じられました。。
・琵琶湖、十和田湖の境界議論が大変面白かった。

などといったご感想をいただきました。

[講師プロフィール]
東 幸代氏 (滋賀県立大学教授)
1971年、石川県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。滋賀県立大学人間文化学部地域文化学科教授。専攻は日本近世史。琵琶湖の水運や湖岸のヨシ(葭)の歴史に注目している。共著に『鷹狩の日本史』(勉誠出版)、『自然・生
業・自然観─琵琶湖の地域環境史─』(小さ子社)、『日本各地につたわる伝統知・地域知』(総合地球環境学研究所)などがある。

2025-04-23T11:21:45+09:002024年12月9日|近江学フォーラム|

第15回近江学フォーラム 現地研修「伝説の宝庫 堅田を歩く」報告

2024年10月26日(土)に、第15回近江学フォーラム 現地研修「伝説の宝庫 堅田を歩く」を開催しました。
当日は、現地集合・現地解散、午前と午後の二部に分けて人数を分散して実施しました。

今回の現地研修には、近江学フォーラム会員のみなさま45名(午前の部23名/午後の部22名)、
スタッフ11名が参加。
当日は、天候も良く、過ごしやすいお天気で現地研修日和となりました。
ご参加いただいたみなさま、ご協力いただいたみなさまありがとうございました。

■現地研修のようす

今回の研修では、趣のある堅田の町を歩きながら、
各所でご住職や加藤副所長にご解説いただきました。
受付では、本学の学生がキャラクターデザインを手がけた、
「一休せんべい」と「らくがんさんの落雁」を参加者特典としてお配りしました。

まずは本福寺からスタート。
貴重な宝物を特別に拝観させていただきながら、
三上住職から、思わず聞き入ってしまうような熱のこもったご解説をいただきました。

 

本福寺を後にし、つづいては浮御堂を拝観しました。
浮御堂は既に訪れたことのある方も多かったですが、加藤副所長の解説もあり、
新たな発見や学びがありました。

 

続いて伊豆神社にて、研究員との記念写真を撮影後、境内を見学しました。

 

伊豆神社を出た後は、光徳寺を訪れました。
本堂の前には、蓮如上人の法難に対し、実父を説得し、
自らの首を打たせて差し出させた姿を表す「堅田源兵衛父子殉教之像」があり、
加藤副所長から源兵衛親子の殉教の物語について解説がありました。
その後、本堂に移り、伊藤住職から源兵衛の父が息子の首を打った以後のお話があり、
本堂に安置されている御首級(みしるし)を特別に拝観させていただきました。

 

次にとんち話で知られる一休宗純が青年時代に修行をしたことで有名な祥瑞寺へ。
残念ながら本堂へは入れませんでしたが、
趣ある庭園や建物を眺めながら加藤副所長からの解説を聞きました。
 

祥瑞寺のあとは、都久夫須麻神社、十六夜公園、辻家前を見学しながら堅田の町並みを歩き、
最後は天然図画亭を訪れました。
座敷からは、すばらしい庭園の向こうに、琵琶湖と対岸の山並みを見ることができました。
そんな景色を眺めながら、老舗和菓子店「金時堂」の主人、山本伸一さんにお菓子についてや
歴史ある堅田の町並みについてお話しいただきました。
 

参加者同士のお話にも花が咲いていたのが印象的で、話は尽きない様子でしたが、
盛況のうちに無事研修を終了することができました。

(写真:真下武久研究員)

■参加者アンケートより(一部抜粋)

「とても楽しく勉強になりました。初めての方とも交流できて良かったです。」
「交通の要、堅田の重要な歴史や文化を浮き彫りにしていただいた講座でした。楽しい一日をありがとうございます。」
「なかなか中にまで入れなかったところも入れ、丁寧に説明していただき、今日来れてよかった!」
「深く学べました。先生や住職の話しなど、楽しく散策しました。金時堂のご主人の話もイメージに残るステキなお話しでした。」

2024-11-29T15:25:59+09:002024年10月28日|近江学フォーラム|

近江学フォーラム会員限定講座「旧瑞峯院方丈襖絵「 堅田図」にみる中世堅田の暮らし」報告

令和6年度 第3回 近江学フォーラム会員限定講座
「旧瑞峯院方丈襖絵「 堅田図」にみる中世堅田の暮らし」

【会員限定講座】
日時:9月28日(土)11:00~12:30
場所:成安造形大学 聚英ホール
講師:和田光生 氏|元大津市歴史博物館副館長・大谷大学非常勤講師

令和6(2024)年度第3回目の近江学フォーラム会員限定講座を開催しました。
今回の会員限定講座では、16世紀半ばに描かれた旧瑞峯院方丈襖絵「 堅田図」について、元大津市歴史博物館副館長で本研究所の客員研究員でもある和田光生氏に絵解きしていただき、当時の生業や人々の生活についてご講演いただきました。

講座のはじめには、本講演のテーマである「 堅田図」について、文化誌「近江学」第15号で日本美術史の観点から考察を行った小嵜善通教授(本学学長・本研究所所長)からもお話をいただきました。

「堅田図」には、地形をはじめ、家屋や船の形、漁具や漁法、農具や農業など、当時の人々の暮らしぶりが細部まで描かれています。今回の会員限定講座では、その一つひとつについて丁寧に読み解き、そこから当時の人々がどのように暮らしていたのか、またどういった生業を営んでいたのか、現在の町の様子とも比較しながら、和田先生の考察をお話いただきました。

受講者のみなさんからは、
・古地図を現地図と重ねて見る事が好きなので大変よかった。絵から現在の地形を読み解くのが面白かったです。
・堅田という町、湖族のこと、成立ち、地形、水路等いろいろ詳しく聞かせていただき住民として誇りに思いました。
・中世の生活の様子、町の形成など、具体的に説明されて当時の様子が理解できた。堅田の町の特徴がよく描かれていて感心した。
・その当時の人達の生活の様子が知れてとても興味深く面白かったです。ぜひ実物が見たくなりました。

などといったご感想をいただきました。

[講師プロフィール]
和田光生氏 (元大津市歴史博物館副館長・大谷大学非常勤講師)
1960年、滋賀県生まれ。佛教大学大学院文学研究科日本史学専攻修士課程修了。
大津市歴史博物館副館長を経て、現在、大谷大学非常勤講師。
主に近江の社寺に関する歴史民俗学的研究を行う。
研究発表では『近江地方史研究』28号、共著に『高月町史 景観・文化財編』などがある。

2024-10-21T13:36:46+09:002024年10月1日|近江学フォーラム|

近江学フォーラム会員限定講座「惣-私たちの公」報告

令和6年度 第2回 近江学フォーラム会員限定講座
「惣-私たちの公」

【会員限定講座】
日時:7月27日(土)11:00~12:30
場所:成安造形大学 聚英ホール
講師:水本邦彦 氏|歴史学者・京都府立大学名誉教授

令和6(2024)年度第2回目の近江学フォーラム会員限定講座を開催しました。

今回の会員限定講座では、日本において、14世紀ごろから19世紀後半に作られた「惣」というコミュニティに存在した
独自の「掟」、いわゆる「公(おおやけ)」について歴史学者であり、京都府立大学名誉教授の水本邦彦氏にご講演いただきました。

「私たちによる、私たちのための、そして私たちを縛る」いわゆる「公」というものは、村人が自ら作ったゆるぎない掟として
絶対的な力を持っていたと解釈されています。
水本先生には、実際に今に伝わる古文書をもとに、掟でつながる江戸の村社会の姿を紐解いていただきました。

受講者のみなさんからは、
・身近な地域の掟などの歴史を知ることができて面白かった。

・草肥農業から金肥農業への変化の話が面白かった。

・江戸時代の「惣」の維持管理の状況がよく分かりました。
かなり厳しい掟を決め、惣を維持しており、惣の自治を守っていたことがうかがえました。

・日本の村の生い立ち、村の縛りの原点がよく分かる講義であった。

などといったご感想をいただきました。

[講師プロフィール]
水本邦彦氏(歴史学者・京都府立大学名誉教授)
1946年、群馬県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。文学博士。京都府立大学名誉教授・長浜バイオ大学名誉教授。
専攻は日本近世史。古文書に加えて、絵図や屏風絵などを活用しながら、日本近世という時空間の構造的・写実的な描写をめざしている。
主な著書に『近世の村社会と国家』(東京大学出版会)、『徳川の国家デザイン』(小学館)、『草山の語る近世』(山川出版社)、『村 百姓たちの近世』(岩波新書)などがある。

2024-08-26T16:47:22+09:002024年7月29日|近江学フォーラム|

【公開講座】近江-はじまりのかたち「近江の惣村 自治コミュニティのはじまり」報告

近江-はじまりのかたち
「近江の惣村 自治コミュニティのはじまり」

日時:6月15日(土)11:00~12:30
場所:成安造形大学 聚英ホール
講師:水野 章二 氏|滋賀県立大学名誉教授

令和6(2024)年度2回目の公開講座を行いました。

今回の公開講座では、近江の「惣」について
滋賀県立大学名誉教授の水野 章二 氏にご講演いただきました。

近江は惣村の宝庫と言われ、その名残を各地で見ることができます。
惣村とは、一般に中世後期の自治性の高い村落のことを指し、祭礼や年中行事を行い、強いつながりを維持してきました。
本講座では水野先生に湖東蒲生野の「今堀」、琵琶湖の最北端葛籠尾崎の先端近くの「菅浦」など近江を代表する中世自治村落をご紹介いただきながら、強い規制力を作り出し、紛争や飢餓、自然災害を乗り越えてきた村落の姿を眺め、人々の知恵を探ることができました。

受講者のみなさんからは、
・昔の人達の暮らしぶりや結束の様子など興味が持ててよかった

・先生の語り口が大変面白かった。一度、菅浦、大浦方面を訪ねてみたいと思う。

・かつての村の生存の厳しさと立ち向かう村民の決意団結の一端を知ることができた。

・幅広くまた深くお話が展開して、とても楽しく聞かせていただきました。

などといったご感想をいただきました。

[講師プロフィール]

水野 章二 氏(滋賀県立大学名誉教授)

1954 年、名古屋市生まれ。京都大学文学部・同大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。滋賀県立大学名誉教授・滋賀大学経済学部附属史料館客員研究員。専攻は日本中世史。中世の村落・荘園の実態分析や環境史・災害史研究に取り組んでいる。主な著書は『日本中世の村落と荘園制』(校倉書房)・『中世の人と自然の関係史』(吉川弘文館)・『里山の成立』(吉川弘文館)・『災害と生きる中世』(吉川弘文館)などがある。

2024-06-21T15:26:06+09:002024年6月17日|近江学フォーラム|

近江学フォーラム会員限定講座「近江の「惣」-堅田惣荘と金森寺内町」報告

令和6年度 第1回 近江学フォーラム会員限定講座
「近江の「惣」-堅田惣荘と金森寺内町」

【会員限定講座】
日時:6月1日(土)11:00~12:30
場所:成安造形大学 聚英ホール
講師:草野 顕之 氏|大谷大学名誉教授

 

令和6(2024)年度最初となる第1回目の近江学フォーラム会員限定講座を
開催しました。

今回の会員限定講座では、近江の「惣」について
大谷大学名誉教授の草野顕之氏にご講演いただきました。

近江は真宗王国と呼ばれるほどに、県内各地で浄土真宗の大きな寺院を見ることができます。
その元をつくりあげた蓮如上人が京都の本願寺を離れ、近江に入ってはじめに拠点としたのが、
堅田と金森です。また、浄土真宗は「寺内町」という信仰でつながる深いコミュニティがありました。
草野先生にはご専門の視点で中世の強いコミュニティについて語っていただきました。

受講者のみなさんからは、
・堅田については、大津市史で読んである程度知っていたつもりだが、今回の講義でさらに知識が深まった。

・古文書を丁寧に説明していただいてとても興味深く、楽しかった。

・「惣」のあり方がよく分かる事例でした。密度の濃い講座だった。

・コミュニティの成り立ちを知ることでさらに土地への興味や愛着が深まると実感している。

などといったご感想をいただきました。

[講師プロフィール]

草野 顕之 氏(大谷大学名誉教授)
1952年、福岡県生まれ。大谷大学名誉教授。同大学院(文学研究科仏教文化専攻博士後期課程)満期退学。博士(文学)。大谷大学文学部専任講師、同助教授、同教授を経て、2018年より現職。大谷大学学長(2010-2016)。著書に『戦国期本願寺教団史の研究』(法蔵館)、『真宗教団の地域と歴史』(清文堂書店)、『親鸞の伝記―『御伝鈔』の世界』(筑摩書房)、『親鸞伝の史実と伝承』(法蔵館)などがある。

2024-06-06T13:35:47+09:002024年6月6日|近江学フォーラム|

近江学フォーラム会員限定講座「長浜の天正大地震」講座映像視聴会 報告

令和5年度 第5回 近江学フォーラム会員限定講座
「長浜の天正大地震」

【講座映像視聴会】
日時:1月24日(水)14:30~16:00
場所:成安造形大学 本館棟2階025教室
講師:※映像出演
畑中英二 氏|京都市立芸術大学教授

令和5(2023)年度最後となる第5回目の近江学フォーラム会員限定講座を
オンデマンド配信と講座映像視聴会で開催しました。
オンデマンド配信は1月9日から1月23日まで。
配信終了の翌日に講座映像視聴会を大学内で実施しました。

今年度の近江学フォーラムのテーマは「禍 転じて」。
5回目の会員限定講座では、長浜で起こった大地震が歴史に与えた影響について
京都市立芸術大学教授の畑中英二 氏にご講演いただきました。

「禍福は糾(あざな)える縄の如し」。
天正時代に起こった大地震という禍は、天下の安寧を願う、
豊臣秀吉と徳川家康に大変大きな被害を与え、その行く末を左右しました。
2人の天下人にとって、この禍は、一方で福をもたらすものであったとも考えられます。
禍の後には、必ずその経験をもとに、福に転じる時がくる。
講座では、天正の大地震という長浜で起きた大きな禍が
日本の歴史に及ぼした影響についてお話しいただきました。

受講者のみなさんからは、
・自然災害が歴史の大きな転換点になったことがとても興味深く、人の手の及ばないどうしようも無さを改めて感じました。
・当時の歴史を詳しく説明いただき長浜地震のことを初めて知りました。地震が歴史に与えた影響等興味深かったです。
・1月1日の能登半島地震の直後に「長浜の天正大地震」の講義とはなんという巡り合わせなのかただ驚くばかりです。日本はやはり地震大国であり、何時何処で地震が起こっても仕方のないことであることを改めて知らされました。また、地震は世の中の仕組みや体制そのものを変えることがよく分かりました。
・わざわい転じてというのは、こういうことを言うのだろうなと思いました。歴史の出来事や、思惑で歴史が変わったかも、と言う目線でみるのも興味深かったです。また、こう言う視点で話を聞いてみたいと思います。
などといったご感想をいただきました。

[講師プロフィール]

畑中英二 氏(京都市立芸術大学教授)
1967年、京都府生まれ。龍谷大学文学部卒業。滋賀県立大学大学院人間文化学にて論文により博士の学位を取得。京都市立芸術大学美術学部教授。専攻は考古学、工芸史、城郭史。考古学と社会やアートとのより良い関係を模索している。著書に『続信楽焼の考古学的研究』『ここまでわかった甲賀忍者』『岡本太郎 信楽へ』(いずれもサンライズ出版)、『なんで信長はお城を建てたの?』(新泉社)、共著に『戦国大名の権力と城郭 織田信長の城郭』(戎光祥出版)、『中近世陶磁器の考古学』第11巻(雄山閣出版)などがある。

2024-02-08T18:17:33+09:002024年1月30日|近江学フォーラム|

近江学フォーラム会員限定講座「疫病と向き合う ―祈りから医術へ―」講座映像視聴会 報告

令和5年度 第4回 近江学フォーラム会員限定講座
「疫病と向き合う ―祈りから医術へ―」

【講座映像視聴会】
日時:12月6日(水)14:30~16:00
場所:成安造形大学 本館棟2階025教室
講師:※映像出演
岡井健司 氏|近江日野商人ふるさと館館長

令和5(2023)年度第4回目の近江学フォーラム会員限定講座を
オンデマンド配信と講座映像視聴会で開催しました。
オンデマンド配信は11月21日から12月5日まで。
配信終了の翌日に講座映像視聴会を大学内で実施しました。

今年度の近江学フォーラムのテーマは「禍 転じて」。
4回目の会員限定講座では、疫病に対抗する手段の変遷について
近江日野商人ふるさと館館長の岡井健司 氏にご講演いただきました。

疱瘡、麻疹、コレラ。古来、日本では様々な感染症が流行し、
多くの人々の命を奪ってきました。
講座では、岡井氏のフィールドである日野町を中心に、
感染症を乗り越えるために戦ってきた庶民の姿、
祈ることだけが疫病に対抗する手段であった頃から、
医術へと向かう転換期の様子をお話しいただき、
コロナ禍においていまだ祈りの護符が流行していることから見えてくる、
疫病に向き合う人々の姿を語っていただきました。

受講者のみなさんからは、
・昔は疫神をもてなし他所へ送り出していたのが、西洋医学の導入と共に退治する様な考え方に変化していった点が特に興味深かったです。
・疫病は古来より近江でも発生し、これに対して祭礼やまじないによる非科学的な対策を講じたことがよくわかった。また江戸後期に疱瘡が流行し、これに対しては種痘という医科学を基にした方法で向き合ったことがよく分かりました。
・疫病に向き合う人々の姿をさまざまな祭礼等の紹介を通じて学ことができ、その後、医術が苦労を重ねながら人々に信頼されていった過程も勉強になりました。
・コロナを体験したところだったので、自分事として受講できました。非常にわかりやすく、興味をもてました。また数年前に日野町を遠足で訪れていたので、お祭りの様子が目に浮かぶようでした。
などといったご感想をいただきました。

[講師プロフィール]

岡井健司 氏(近江日野商人ふるさと館館長)
1970年、滋賀県生まれ。関西大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。専攻は日本近世史。日野町教育委員会町史編さん室を経て、現在、日野町教育委員会生涯学習課主席参事・近江日野商人ふるさと館長。共著に『近世の畿内と西国』(清文堂出版)、『近江日野の歴史』第3巻近世編、『近江日野の歴史』第8巻史料編などがある。

2024-02-08T17:29:12+09:002023年12月12日|近江学フォーラム|

近江学フォーラム会員限定講座「かわそ信仰と女性」講座映像視聴会 報告

令和5年度 第3回 近江学フォーラム会員限定講座
「かわそ信仰と女性」

【講座映像視聴会】
日時:11月8日(水)14:30~16:00
場所:成安造形大学 本館棟2階025教室
講師:※映像出演
對馬佳菜子 氏|仏像・地域文化プロデューサー

令和5(2023)年度第3回目の近江学フォーラム会員限定講座を
オンデマンド配信と講座映像視聴会で開催しました。
オンデマンド配信は10月24日から11月7日まで。
配信終了の翌日に講座映像視聴会を大学内で実施しました。

今年度の近江学フォーラムのテーマは「禍 転じて」。
3回目の会員限定講座では、かわそ信仰について
本研究所の客員研究員で観音ガールこと對馬佳菜子氏にご講演いただきました。

6月から7月の下旬、近江北部の集落で「かわそ祭」が行われます。
「かわそ」とは川で濯(そそ)ぐ、川の裾(すそ)などを意味し、多くが腰下の病、
現代でいうところの婦人病などに効験があるとされ、主に女性の信仰を集めてきました。
講座では、悩みを抱える女性たちの心のよりどころとなる「かわそ信仰」が、
過去からコロナ禍の現在に至るまで、どのように形を変えて受け継がれてきたのか。
對馬氏による取材で見えてきた信仰の意義についてお話いただきました。

受講者のみなさんからは、
・かわそ信仰というものをはじめて知りました。とても興味深いお話でした。
・民俗信仰と心のよりどころ、地域のつながりについて考えさせられました。
・今日のお話で女性・弱い者が人に言えない悩み苦しみをいだいている時、心の救いよりどころになったかわそさんの存在があったこと。それを地域住民みんなで守ってきたことに感動しました。もっといろいろな人々に知ってほしいです。
・かわそ信仰について、今回の講座を拝聴するまで知らなかったので、改めて湖北の歴史と魅力を知る機会をいただきました。
・女性たちの心の拠り所として、地蔵盆のように集落に応じた多様性があり、各地で語り継がれる物語の一端に触れることができ、とても貴重な話を聞かせていただきありがとうございました。
などといったご感想をいただきました。

[講師プロフィール]

對馬佳菜子 氏(仏像・地域文化プロデューサー)
1993年、東京都生まれ。日本女子大学文学部史学科卒業。仏像・地域文化プロデューサー。仏像を中心とした文化財、地域文化などの文化振興事業を行う合同会社nagoriの代表社員。「観音ガール」の愛称で滋賀県湖北地域を中心に寺社、地域文化に関する情報発信や資金調達のサポート、そのほか講演会、執筆活動などを行なっている。著書に『観音ガールと巡る 近江の十一面観音」~「星と祭」復刊プロジェクト公式ガイドブック編~』(能美舎)がある。

2024-02-08T17:30:37+09:002023年11月14日|近江学フォーラム|
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