おうみブログ
近江学研究所研究員が、近江にまつわるさまざまな情報を発信するブログです。
フィールドワーク
近江学研究所研究員が、近江にまつわるさまざまな情報を発信するブログです。
フィールドワーク
本研究所で2010年から3ケ年計画で取り組んでいる近江学研究。
本年度は、第3期目として、大津市上仰木地域にて、
棚田保全活動や地域活性化活動に取り組んでいる「八王寺組」の「拠点づくり」を
行なっています。
建築素材である「木、藁、竹、土」などを地元から採集し、
家づくりの実践を体験しながら技術を学んでいます。
去る12月9日(日)、15日(土)の2日間、
上仰木の大工倉庫にて、建材の木材刻みを行いました。
【木材刻み】とは、
「八王寺山の家」の建材の木組みに合わせて「ほぞ穴」を彫る作業です。
専門的な大工の技術を要するため、
私たちは、仰木の大工さんが電動の角鑿機(かくのみき)で開けた穴をノミで整える、
「さらう」作業を行いました。
作業は、墨出しされた線を2分の1だけ残し削っていきます。
ミリ単位の作業に力が入ります。
初めてノミを扱う学生ばかりで、棟梁や地八王寺組の方々に指導いただきました。
みんな、黙々と作業を進めます。集中する時間が続きます。
棟梁、姿勢が違います。
つたない私たちの作業を優しく見守ってくださっています。
出来上がった後には、棟梁のチェック。
コツコツと頑張った作業結果をみて、「ちょっとあかんな」と手直し。
コンコンっとノミをあてるだけで、面が整っていく、その手さばきに皆で見入ります。
学生たちの作業は、みんな「問題ない」「上出来!」と合格をもらいました!!
記念に、自分がさらったほぞ穴に記名をしました。
また、15日(土)には、
木材刻みと同時に、現場では八王寺組の皆さんが、基礎打ちを行っていました。
コンクリートを一輪車で運び入れ、左官屋さんが水平に整えていきます。
今年度の授業は、これで終わりです。
来月(1月20日)は、いよいよ木を組み家を立ち上げる「建前」と「棟上げ」を行います。
そして、来年度は、これまで採集した建材(藁、ススキ、土)を使って、小屋を作っていきます。
ご協力いただいた皆様、ありがとうございました!
12月2日(日)「近江 里山フィールドワーク」の最後の授業が行われました。
この日は大変気温が低くなりましたが、時折晴れ間がのぞく天候に恵まれ、
今森光彦本学客員教授が管理する雑木林「萌木の国」で授業が行われました。
午前11時JRマキノ駅に集合、雑木林に入ると早速今森教授から、
「もともとこの辺りの雑木林はクヌギやコナラなどが中心で、燃料を生産する薪炭林として活用されており、
人間の手が丁寧に入り、多くの生物とともに共存してきた。そして現在は炭の需要が無くなり、
シイタケのホダ木をつくるための雑木林を残して、極端に少なくなってしまったが、
生物多様性を考えるとき、この雑木林が持つ力をじっくり見つめ直す必要がある」など、
雑木林の歴史や機能についての解説がありました。
10月27日(土)に「淡海の夢 坂本・石垣と里坊の町写生会」を開催しました。
あいにく、2日目(28日(日))は、雨天のため中止になりましたが、
27日は秋晴れの絶好の写生日和になり、28名の方が受講されました。
講師は、永江研究員(イラストレーション領域准教授)と、画家の井上よう子非常勤講師。
開会に合わせて、永江研究員より坂本の写生ポイント解説があった後、
滋賀院門跡前や、慈眼堂付近、日吉大社前など、思い思いの場所での写生を行いました。
講評会は、最澄が生まれたお寺である生源寺境内にある別当大師堂にて行ないました。
一人一人の作品について、講師より的確なアドバイスがあり、みなさん熱心に耳を傾けられていました。
「近江 里山フィールドワーク」と名付けられたこのプロジェクト授業は、
地元仰木の森林保全事業と本学客員教授の今森光彦教授が活動する雑木林再生事業を組み合わせ、
フィールドワークを通じてさまざまな体験を行うものです。
10月28日(日)、この日は前々回に行われた上仰木・辻ヶ下生産森林組合の森林保全活動(間伐作業)で
伐採された間伐材を使って、木工品をつくるというワークショップが行われました。
朝9時にJRおごと温泉駅近くの作業所に集合し、一般参加者とともにワークショップの開会式が行われました。
間伐材は加工しやすいようにきれいに板状に製材されており、持参した設計図をもとに制作が始まりました。
大岩剛一研究員が中心に取り組んでいる「八王寺山の家・自力建設プロジェクト」。
10月21日(日)は、後期第1回目のプロジェクト特別実習A4の授業として、
八王寺山の田んぼで稲わらの脱穀作業・ワラ集めを行いました。
前期から引き続き受講した学生4名が参加しました。
今回は、八王寺組が主催する「棚田オーナー制度」に参加している
オーナー田の脱穀作業に、一緒に参加させていただきました。
八王寺組については、こちら「八王寺組ブログ」
朝、今月頭に稲刈り・はさがけしていた稲藁を、作業場である田んぼまで運んでいきます。
コンバインを使って、稲藁から籾をとる脱穀作業。八王寺組やオーナーさんが行います。
オーナーになって3年目の方は、棚田は一年ごとに違う、とおっしゃっていました。
今年は、昨年度よりも収穫がとても少なかったとのこと。
それは、イノシシがたくさん山からおりてきて、田んぼを荒らしたためだそうです。
気候の変化や獣害の問題も実体験として学んでおられ、
農家の方と一緒に、一喜一憂することで、お米づくりの面白さとむずかしさを知っていくのだと、感じました。
また、午前中は「ワラ縄編み」講座が開かれました。
「木槌(きづち)」で稲藁をしっかりと叩きこみ、繊維を柔らかくしていきます。
時間がかかる作業ですが、この作業をきっちりとやらないと、いい縄ができません。
木槌も、さまざまな木の素材があり、一番いいのは固くて重い「樫」の木だそうです。
縄編みは、てのひらに水分をつけて、藁をよりを作りながら、二束をねじって編んでいきます。
仰木のお母さんがやっていると、するすると出来上がっていくようにみえるのですが、
何度やってもなかなか習得できず、皆、苦戦していました。
お昼は、仰木の新米カレー!
お昼の準備を、お手伝いをしました。
午後は、脱穀作業の続きを行いました。
できた稲わらを「束(そく)」にしていきます。
一般的には束(そく)は、握りこぶしくらいの輪を、24輪(わ)合わせた量の単位だそうです。
今回は、12輪を1束にして、まとめていきました。
この藁は、来年の春、「ストローベイル」にする材料になります。
西日が傾くころ、すべての脱穀が終わり、
稲木の片づけを行い、今日の授業は終了しました。
授業後、学生一団と成安造形大学へ。
【キャンパスが美術館】秋の芸術月間「CHI-KEI]のオープニングパーティとして、
仰木の伝統的な郷土料理「納豆餅」をつくろうワークショップが行われていたのです。
学生たちは、子供たちと一緒に藁つとでお餅を切って、一緒に食べました。
出来立ての納豆餅はやはり美味しいです。
とても充実した仰木づくしの一日になりました。
ご協力ありがとうございました。
次回の授業は、11月11日(日)建材となるススキの刈取りを行います。
2、11/11(日) 素材づくり:ススキの刈り取り
3、11月 未定 材木の刻み体験
4、12/ 2(日) 建築資材搬入作業
5、12/ 9(日) 棟上げの見学、上棟式への参加
近江学Bのフィールドワークを10月20日(土)に行いました。
恒例となっていますフィールドワークは近江学研究所が主催する「近江学」という授業の一環で年に一度行われているもので、今年は門前町坂本の町を訪ねました。
JR比叡山坂本駅に午前10時半に集合。坂本は、世界遺産である比叡山延暦寺と日吉大社の門前町として古くから賑わい、比叡山の高僧が余生を過ごした美しい庭園を持つ里坊や、穴太衆積みという「石積みの美」が見られる名所として知られます。先ずは駅前でそのような坂本の概略を説明し、麓の滋賀院門跡を目指して出発しました。
途中、京阪坂本駅前の最澄が中国から苗を持ち帰り開いた日本最初の茶園として著名な日吉茶園、その最澄が誕生し、産湯を使った坂本生源寺を紹介、穴太積み石垣を眺めながら11時過ぎに目的地、滋賀院門跡に到着しました。
滋賀院門跡は徳川家康・秀忠・家光の三代の将軍に仕えた慈眼大師南光坊天海が開いた総里坊で、皇室との関わりがある門跡寺院としての格式も高い寺院です。そのため、庭園や絵画、仏具、襖絵、工芸品など貴重な名品を見ることができます。その滋賀院門跡を約1時間かけて見学しました。
「盲己利他(もうこりた)」という最澄の言葉や、延暦寺に伝えられる「不滅の法灯」、天台座主が今も使われているという輿(こし)、比叡山の厳しい修行である千日回峰行の話など、当寺院から詳しい解説をいただきました。
「天高く馬肥ゆる秋」を感じる秋晴れに恵まれ、滋賀院では対岸に美しい近江富士(三上山)を眺めることができました。学生達は日頃あまり触れることのない本物の文化財や仏教思想に触れ、貴重な体験をしました。
報告:附属近江学研究所研究員 加藤賢治
今森光彦客員教授が監修し、佐藤悦子特別講師の
プロジェクト演習「近江・里山フィールドワーク」第4回を10月21日(日)に行いました。
今回は、今森光彦客員教授が毎年企画する「里山みらいじゅく」へのスタッフとして参加しました。
今森さんは、写真家として、30年前頃から大津市仰木にて、
自然と人と生き物がせめぎ合い、一緒に生きている「里山」を撮影しつづけてきました。
「里山みらいじゅく」は、その仰木の中に身を置くことで、里山自然を後世に伝えたい。
そして、多くの方に仰木を知ってもらうことで、
仰木を元気づけたいという想いで、この会を始められました。
朝、この会の趣旨を今森さんが学生たちに向けて、お話してくださいました。
「仰木を元気にするための企画です。お客さんをおもてなしし、自分自身も大いに学んでください。」
その言葉に、学生たちの顔がひきしまります。
10月13日(土)恒例となりました近江学フォーラムの第4回目の現地研修を開催しました。好天に恵まれたこの日の研修は参加者53名を迎え、永源寺を中心に東近江市の古寺を訪ねました。
午前9時20分、JR近江八幡駅南口に集合。江若交通の観光バス2台に分乗し、出発、湖東の臨済宗の名刹永源寺を目指しました。
10時過ぎ、永源寺駐車場に到着し、愛知川を渡って石段を登り、左手に五百羅漢の石造を眺めながら山門を目指しました。紅葉にはまだ早い時期ではありましたが、その紅葉で有名な山門の前で、開会式を行い、引率の研究員の紹介と木村至宏所長の開会の挨拶がありました。
その後、一行は本堂(方丈)に入り、臨済宗瑞石山永源寺山田文諒宗務総長からご法話をいただきました。山田総長は短時間でしたが、今の私たちがどのくらいの先祖のもとにつながっているのかという話から、命の大切さや、矛盾に満ちた現代社会における人間の生き方についてのお話をいただきました。
その後、木村所長から当寺の伽藍の説明があり、自由散策となりました。特に県指定の文化財であるヨシ葺きの大屋根を持つ本堂は見応え十分でした。
永源寺を出て、すぐそばの昼食会場「ひのや」さんに伺い、少し早い昼食をいただきました。
今森光彦客員教授が監修するプロジェクト演習「近江・里山フィールドワーク」を
過日、9月23日(日)に行いました。
この授業では、
前半の3回は大津市仰木の森林保全活動に協力し、
後半の3回は今森先生の雑木林再生プロジェクトに参加します。
この日は雨降る中、イラストレーション領域、美術領域、空間デザイン領域の学生5名と、
このプロジェクト授業に特別講師として担当する佐藤悦子講師が参加しました。
仰木の上仰木地区と辻ヶ下地区が保有する山林の保全活動として、
全戸から一名は参加が義務づけられている「山行き」。
300人以上の地域の方が間伐作業と枝打ち作業、水路点検、草刈作業など分担。
私たちは、「枝打ち」作業に参加しました。
地元の森林組合のSさんにパイプソーの扱い方やハシゴの扱い方を習い、
平成10年に植林された杉の木を枝打ちしていきます。
ハシゴに上り、手に届く範囲の枝を一本づつ払っていきます。
足元が悪い中、慎重に作業をしていきます。
夕方から、山行の打ち上げに参加しました。
辻ケ下集落では、昨年から町合同で打ち上げを行っています。
仰木のおばあちゃんが、昔仰木で食べられていた「もし」というお菓子を作って食べさせていただきました。
プロジェクト特別実習A3として大岩剛一研究員が中心に取り組む「八王寺山の家・自力建設プロジェクト」。
8月25日(日)では稲の生息がまだ遅く、延期となり、
昨晩の雨が嘘のように、残暑厳しい晴天の中、
9月1日(土)に、後期最後の授業として、
八王寺組のKさんの棚田がある、平尾地区小字千坊の田んぼにて稲刈りを行いました。
八王寺山の家の建材として使用する長い稲藁が必要なため、
ご協力を得て、K家では約15年ぶりに、
今では珍しくなった「はさがけ」を行なうことができました。
夏休み最後の週末でしたが学生2名が参加しました。
田んぼの持ち主のKさんご夫婦、その娘家族、息子、八王寺組スタッフが集まり、
仰木で昔から行われている「結」の稲刈りを体験することが出来ました。
つなぎに着替え、カマの使い方を習い、いざスタート!
田んぼの広さは、1反(たん)2畝(せ)あります。棚田にしては大きな面積です。
お米の収穫量は、天候によるが、一反あたりおよそ6~8俵(ぴょう)収穫できるそうです。
田圃の広さや米の量はメートル法ではなく尺貫法を用います。
1反は、約31.5メートル×約31.5メートル=10アール(約300坪)
1畝は、約10メートル×約10メートル=1アール(約30坪)
1俵は、約60キロ
午前中には、半分刈ることができ、
いよいよ「はさがけ」です。
はさがけは、仰木では「稲木(いなき)」と呼ばれています。
まずは、稲木の台になる木や竹を組んでいきます。
しばるのは稲藁。
「はさがけしたお米は旨い」と皆さん口を揃えて言います。
刈り取った稲を天日でじっくり14~20日ほど乾かし、
遺伝子を残そうと稲の栄養素が籾に集まることが、旨味になっている、とのこと。
また、最近行われている60~80度の熱で一気に乾かす乾燥機とは違って、
籾が生きたまま乾燥され、発芽玄米ができることからも、その違いが分かります。
K家のお父さんは、米の味にうるさく、
なるべく乾燥機には入れず、はさがけをしていたそうです。
近年、乾燥機は微妙な温度調整もできるように進化し、
ほとんどの農家で「はさがけ」をしなくなりました。
西日が傾くころ、ようやくはさがけが完成。
周りに散らばった稲穂を拾い、「落穂ひろい」をして、終了です。
黄金に光る稲が美しくて、圧巻のたたずまい。
今年も実りある食卓が想像できて、
幸せな気持ちになってきます。
ご協力いただき、ありがとうございました。
後期の授業は、
10月からスタートします。
1、10/21(日) 素材づくり:オーナー田 ワラ集め
2、10月 素材づくり:ススキの刈り取り
3、11月 材木の刻み体験
4、12/ 2(日) 建築資材搬入作業
5、12/ 9(日) 棟上げの見学、上棟式への参加