おうみブログ

近江学研究所研究員が、近江にまつわるさまざまな情報を発信するブログです。

イベント

公開講座「魂のかたち~木地師の里のものづくり」を開講しました。


滋賀県東近江市の永源寺から山深く進むと、日本の木地師の発祥の地であるといわれる
小椋谷(蛭谷・君ヶ畑)がある。
ここは平安時代に天皇になれなかった悲運の親王、惟喬親王が隠棲した場所とされ、
親王が山の民に手挽ロクロの技術を教えたという伝承が残っています。
この日は、はじめに加藤研究員が、惟喬親王伝説や、
全国に散らばった木地師を座的な組織に取り入れネットワークを構築していたという
近世の「氏子狩制度」について解説。
また、小椋谷をフィールドワークした記録を写真で紹介しました。
つづいて、小椋谷で一旦途絶えていた木地業を復活させ、
唯一木地師としてこの技を独学で続け、木地を制作されている小椋昭二さんを招き、
工芸分野を専門とする辻喜代治研究員が木地の魅力についてインタビューしました。

講師 小椋昭二氏

講師 小椋昭二氏


辻喜代治 本学教授

辻喜代治 本学教授


話は、木地業を復活させようとした動機から始まり、木の種類や、
その制作の過程、販売方法まで多岐にわたりました。

インタビューの中で小椋さんは「すべてが苦労です」と試行錯誤の中での仕事を振返りながら、
「木はという素材には一つ一つ違った表情があり、出来上がった作品にもそれぞれ個性がある」
「貴重な古材や表情が面白い素材に出会うと興奮し、ロクロをまわすのが楽しみになる」など、
木工品の魅力や木地師としての喜びが語られました。
 最後に辻研究員は「均一で同じ形のプラスチック商品が蔓延する中、
唯一これのみという手作りの木製品を是非とも購入して、その美しさを味わってほしい。
またそういう価値を持つ消費者を増やしていく必要がある」と、
手仕事やそれによってつくられる物の大切さを会場に投げかけました。


日時:2012年9月15日(土)10:40~12:10
場所:成安造形大学 聚英館3階 聚英ホール
講師:小椋 昭二氏 (木地師)
対談:辻 喜代治氏(本学教授、本研究所研究員)
コーディネーター:加藤 賢治(本研究所研究員)
タイトル:「魂のかたち~木地師の里のものづくり」

「八王寺山の家・自力建設プロジェクト」素材づくりワークショップ【藁編】


プロジェクト特別実習A3として大岩剛一研究員が中心に取り組む「八王寺山の家・自力建設プロジェクト」。
8月25日(日)では稲の生息がまだ遅く、延期となり、
昨晩の雨が嘘のように、残暑厳しい晴天の中、
9月1日(土)に、後期最後の授業として、
八王寺組のKさんの棚田がある、平尾地区小字千坊の田んぼにて稲刈りを行いました。
八王寺山の家の建材として使用する長い稲藁が必要なため、
ご協力を得て、K家では約15年ぶりに、
今では珍しくなった「はさがけ」を行なうことができました。
夏休み最後の週末でしたが学生2名が参加しました。
田んぼの持ち主のKさんご夫婦、その娘家族、息子、八王寺組スタッフが集まり、
仰木で昔から行われている「結」の稲刈りを体験することが出来ました。

つなぎに着替え、カマの使い方を習い、いざスタート!

昨晩の雨で稲穂が倒れてしまい、手で刈るのも大変。

昨晩の雨で稲穂が倒れてしまい、手で刈るのも大変。

助っ人登場。一条用バインダー。仰木には約40年前に導入された。稲刈りをし、束ねる機械。

助っ人登場。一条用バインダー。仰木には約40年前に導入された。稲刈りをし、束ねる機械。

田んぼの広さは、1反(たん)2畝(せ)あります。棚田にしては大きな面積です。
お米の収穫量は、天候によるが、一反あたりおよそ6~8俵(ぴょう)収穫できるそうです。
田圃の広さや米の量はメートル法ではなく尺貫法を用います。
1反は、約31.5メートル×約31.5メートル=10アール(約300坪)
1畝は、約10メートル×約10メートル=1アール(約30坪)
1俵は、約60キロ
午前中には、半分刈ることができ、
いよいよ「はさがけ」です。

はさがけは、仰木では「稲木(いなき)」と呼ばれています。
まずは、稲木の台になる木や竹を組んでいきます。
しばるのは稲藁。
「はさがけしたお米は旨い」と皆さん口を揃えて言います。

刈り取った稲を天日でじっくり14~20日ほど乾かし、
遺伝子を残そうと稲の栄養素が籾に集まることが、旨味になっている、とのこと。
また、最近行われている60~80度の熱で一気に乾かす乾燥機とは違って、
籾が生きたまま乾燥され、発芽玄米ができることからも、その違いが分かります。
K家のお父さんは、米の味にうるさく、
なるべく乾燥機には入れず、はさがけをしていたそうです。
近年、乾燥機は微妙な温度調整もできるように進化し、
ほとんどの農家で「はさがけ」をしなくなりました。

ミレーの作品そのままの「落穂ひろい」。

ミレーの作品そのままの「落穂ひろい」。

西日が傾くころ、ようやくはさがけが完成。
周りに散らばった稲穂を拾い、「落穂ひろい」をして、終了です。

黄金に光る稲が美しくて、圧巻のたたずまい。
今年も実りある食卓が想像できて、
幸せな気持ちになってきます。
ご協力いただき、ありがとうございました。
後期の授業は、
10月からスタートします。
1、10/21(日) 素材づくり:オーナー田 ワラ集め
2、10月  素材づくり:ススキの刈り取り
3、11月  材木の刻み体験
4、12/ 2(日) 建築資材搬入作業
5、12/ 9(日)  棟上げの見学、上棟式への参加

津田直 個展のお知らせ「Storm Last Night / Earth Rain House」



研究員展覧会のお知らせ 津田直「Storm Last Night / Earth Rain House」
写真家であり、本年度より本研究所の客員研究員になりました
津田直氏による個展が開催されますので、ご紹介します。
以下、津田直氏WEBサイトより、転用―
津田直氏WEBサイトは→ こちら 
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(CANONプレスリリースより)
本展では写真家・津田 直が近年訪れているヨーロッパ最西端の地域で撮影された二つのシリーズより作品を発表致します。
2009年より風景が信仰の対象だった古代の土地を求め、大西洋に浮かぶ島嶼への旅は始まりました。
「Storm Last Night」シリーズでは、6×17インチというパノラマフォーマットで撮影され、アイルランドを舞台にディングル半島からアラン諸島、実在した女海賊が暮らしていたというクレア島、ドネゴール地方を中心にフィールドワークが続きました。
日々、「古代人は何を思想したか」という問いを胸に抱きながら、古代遺跡の中を歩き回り、キリスト教以前の世界の原点を渡り歩きました。
続けて2012 年から制作された新作「Earth Rain House」シリーズでは、スコットランド北方に浮かぶオークニー諸島、シェトランド諸島、アウター・ヘブリディーズ諸島と呼ばれるアウターアイランズを巡りました。そして先住民族の残した聖跡を経て、無文字文化に生きた人々が築いた住居跡や嵐の過ぎ去った後に偶然発見されたという家々、人間がかつて暮らした島々へと辿り着きました。
そこでの光景を津田は、「まるで人類の記憶の深奥を垣間見ているようだった。
そして僕らは今でも遙か5000年という時空を超え、旅立つことができるのだ」と語っています。
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津田直「Storm Last Night / Earth Rain House」
会期:2012年8月20日(月)~9月25日(火)※日曜、祝日休館
開館時間:10時~17時30分
会場:キヤノンギャラリー S (品川)
住所:東京都港区港南2-16-6 キヤノン S タワー 1F
電話番号:03-6719-9021
キヤノンギャラリー S WEBサイトは→こちら
*アーティストトーク
フィールドワークを続ける写真家・津田 直氏が詩人の管 啓次郎氏をゲストに迎え、
制作時のエピソードなどを対談致します。
日時:2012年9月8日(土)13時30分~15時
会場:キヤノン S タワー3階 キヤノンホール S(品川)
定員:先着150名
入場料:無料
お申し込み:上記CANON HP内、お申し込みフォームよりお申し込み下さい。
※締め切り:9月6日(木)
ゲストプロフィール:管啓次郎(すが・けいじろう)
1958年生まれ。詩人、比較文学者、明治大学ディジタルコンテンツ系教授。主な著書に『コロンブスの犬』『狼が連れだって走る月』(いずれも河出文庫)、『斜線の旅』(インスクリプト、読売文学賞受賞)、詩集『Agend’Ars』1~3(左右社)など。画家の佐々木愛との共同プロジェクトとして、歩くことを主題とした連作をモエレ沼公園ギャラリー(札幌)、タカイシイ・ギャラリー京都などで展示してきた。
皆様のご来場、お待ちしております!

2012-08-27T13:54:29+09:002012年8月27日|おうみブログ, お知らせ, イベント|

「八王寺山の家・自力建設プロジェクト」生き物観察会・現場整地!

プロジェクト特別実習A3として大岩剛一研究員が中心に取り組む「八王寺山の家・自力建設プロジェクト」。
8月5日(日)に、雄琴川の生き物観察会と現場掃除に参加しました。

雄琴川

雄琴川

夏休みに入りましたが学生4名が参加しました。
午前中は、生き物観察会。
仰木地域の棚田をはじめ里山環境などの価値をみつけていく地元主催の「仰木を守る会」が、
八王寺組と共催して行いました。参加者は、地元の子供会の皆さんと八王寺山の棚田オーナーさんと
一緒に行いました。

沢山採れたヌマムツ

沢山採れたヌマムツ

指導は、上田上小学校の校長先生。昭和57年に仰木小の校長も勤められ、
生き物や地質学に大変詳しく、いろんなお話を聞かせていただきました。

今日採れたのは、
サワガニ14匹、アメリカザリガニ20匹、ヒラタカゲロウの巣。
ヘビトンボ、ウスバカゲロウ。
カワムツB34匹。最近、カワムツBがヌマムツだとわかったそうです。
ヌマムツの子ども60〜80匹。
赤トンボ1匹。
とても豊かな生態系が保たれていると、校長先生。
午後は、八王寺山に上がり、現場に置いている木材を始末する作業を行いました。
薪になるまっすくで太い部分をノコギリで整え、まがった細い枝はよけ、燃やしていく作業です。

景色のいい八王寺山で木材の製材

景色のいい八王寺山で木材の製材



2時間の作業で、だいぶん整えることができ、
建設現場の空間をみることができました。

家づくりには直接関わることではありませんが、
八王寺組がどのように地域を活性化する活動をされているのかを知ることができ、
また、仰木の里山自然の環境の豊かさを、体感できる絶好の機会となりました。

次回は、8月25日(日)に、素材づくりワークショップ【藁編】として、
棚田で稲刈り・はさがけを行います。
ただし、稲の収穫は天候に左右されるため、予備日として、9月1日(土)、2日(日)も予定しています。

仰木ふるさとカルタ「絵札づくり聞き取りワークショップ」3日間開催!

永江研究員と学生研究スタッフ12名で取り組んでいる「仰木ふるさとカルタ」。
先月、地元の俳句会にご協力いただき、読み札が完成し、
只今、読み札に合わせて、絵札の制作を進めています。
先日、7月30日(月)、31日(火)、8月4日(日)の3日間、
「絵札づくり聞き取りワークショップ」と銘打ち、
学生が描いた絵札について、聞き取りし、絵を仕上げていくために、
仰木を訪ねました。
7月30日(月)は、上仰木自治会館にて、
31日(火)は、平尾自治会館にて
老人クラブのご協力で、集まっていただきました。

7月30日上仰木自治会館にて

7月30日上仰木自治会館にて


7月31日平尾自治会館にて

7月31日平尾自治会館にて


相談会の様相で、面と向かいあいながら、
学生が描いた絵札について、聞き取りし、絵を仕上げていきます。

お借りした、古い家族アルバム。
戦前からの様子がわかる、とても興味深く参考になる写真がたくさんありました。

8月4日(土)は、仰木地域の夏祭り「仰木ふれあい夏祭り」の催しのひとつとして
ワークショップを開催しました。
仰木太鼓会館前広場

仰木太鼓会館前広場


昨年開催した仰木コスモロジー展のミニ版として、
地蔵プロジェクトと合同開催しました。
▼2011年度に行った「仰木 水と記憶のコスモロジー」についてはこちらから
仰木太鼓会館にて、会場をつくり聞き取りを進めます。

つぎに、看板作り。
みんな、手が早く、とてもかわいい看板ができました。

また、地元の運営する屋台で腹ごしらえ。
カボチャコロッケ、かしわ飯、梅ジュース、たこ焼き、焼きそば。。。

開会すると、次々と顔なじみになった仰木のおじいちゃんおばあちゃんが来ていただき、
聞き取りが盛り上がっていきました。

絵札の細部についても、身振り手振りを加えて、教えていただきました。
学生たちの顔も充実しています。


夏祭りに参加することで、たくさんの方に仰木カルタを知っていただくことができました。
これから、8月、9月で絵札を仕上げていき、カルタ印刷への編集をすすめていくことになります。
ご協力いただいた、仰木学区老人クラブ連合会の皆様、仰木ふれあい夏祭り実行委員のみなさま、
ありがとうござました!

児童文学の総合誌『飛ぶ教室』で今森光彦特集!


様々な児童文学について総合的に知ることができる雑誌『飛ぶ教室-児童文学の冒険-』。
7月25日発売の300号は、今森光彦特集です!

特集『<生きもの少年> 今森光彦の世界』と題して、
詩人の工藤直子さんの「今森光彦さんの日々にささげるうた」。
脳科学者の茂木健一郎さんと今森さんの昆虫少年談義。
絵本作家のあべ弘士さんの今森さんとの仲良しさが伝わるくすっと笑えるエッセイ。
などなど、
絵本・児童文学好きにはたまらない面々との対談や寄稿などのコラボレーションがされています。
そして、特別付録のフンコロガシ切り絵のテンプレートがついてます!

スタッフで作ってみました。フンコロガシがフンの中に卵を生みつけ育むように、近江学研究所も育っていきますようにと思いを込めて。

スタッフで作ってみました。フンコロガシがフンの中に卵を生みつけ育むように、近江学研究所も育っていきますようにと思いを込めて。


近江学のラックに飾ってみました。

近江学のラックに飾ってみました。


ぜひ、お手に取ってみてください。
詳しくは 光村図書出版株式会社から
そして、只今近江学研究所では、文化誌『近江学』5号を制作中です。
今森光彦さんにも、毎号、写真ポートレートを掲載させていただいます。
5号のテーマは「木と暮らし」。
封筒も素敵。

封筒も素敵。


先日原稿が届きました。
今森さんの素敵なページ、皆さん、楽しみにしていてください。
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飛ぶ教室 第30号 (2012年夏)
特集「<生きもの少年> 今森光彦の世界」
定価:1,000円(本体952円)  B5変型判
ISBN978-4-89528-673-2
光村図書出版株式会社
http://www.mitsumura-tosho.co.jp/shohin/fly/
■特集「<生きもの少年> 今森光彦の世界」
<グラビア>
「水とあそぶ」 詩 工藤直子/写真 今森光彦
<対談>
  「子ども時代がつくるもの」 茂木健一郎×今森光彦
「世界を見る、絵本を作る」 小風さち×今森光彦
<小論  今森光彦の仕事>
  写真論 「『里山の写真家』の誕生――写真家・今森光彦の軌跡」 飯沢耕太郎
  絵本論 「今森光彦さんの眼」 兼森理恵
<絵本>
「ぼくのアトリエ」 今森光彦
<童話>
「恋(コヒ)は罪(ツミ)……現刻(イマ)は杜(モリ)へ」 二宮由紀子
むしむし座談会「ある夏の日」 今森光彦
<エッセイ>
  あべ弘士/越智典子/野上 暁/辻 恵子/ 
新沢としひこ/長倉洋海/嘉田由紀子/いわむらかずお
<特別付録!>
フンコロガシ切り紙テンプレート
                            ほか
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2012-08-03T13:40:30+09:002012年8月3日|おうみブログ, お知らせ, イベント, エッセイ|

近江学フォーラム会員限定講座 第2回「葛川の太鼓廻し」を開講しました!

 7月21日(土)、第2回目の近江学フォーラム会員限定講座を開催しました。
講師に大津市歴史博物館学芸員で近江学研究所の客員研究員である和田光生先生を迎え、
京都と若狭を結ぶ渓谷に位置する葛川坊村の明王院で行われる
「太鼓廻し」について講演いただきました。


 毎年7月18日に行われる葛川明王院の「太鼓廻し」という行事は、葛川地域の民俗行事であると同時に、比叡山延暦寺で行われる千日回峰行という僧侶の修行の一部でもあるという非常に稀な形式をとる祭礼です。和田先生は、その起こりが千日回峰行の礎を築いた相応和尚(そうおうかしょう)(831〜918)にあるとして、相応の人物像を資料に基づいて解説されました。
 伝承によると、相応和尚は法華経の「常不軽菩薩品」に基づき、毎日花を根本中堂に捧げるという行為を繰り返し、そこから長期間、山中を闊歩することで悟りを得るという回峰行にたどり着いた。その修行の起源は、比叡山ではなく比良山の麓、葛川の坊村「三の滝」で、山中での修行を支えてくれる不動明王を観想していた際、滝壺に不動明王が現れ、それに相応が飛びつき抱きついたところ桂(かつら)の古木であった。この古木で不動明王を彫り、安置したのが明王院の始まりである。

 和田先生はこの伝承が鎌倉時代前期の高僧である慈円によって書かれたと言われる『葛川縁起』によるところが多くあるとしながら、この葛川明王院から比叡山の千日回峰行が始まったという意義について話されました。そして、千日回峰行を行う行者がその通過儀礼として、この太鼓廻しに参加するということ、そして、その行事を葛川地区の住民が支えているという関係性が、この民俗行事の注目すべきところであると述べられました。
 また、先日18日の夜に行われた「太鼓廻し」の写真を投影され、この行事の全貌を臨場感あふれるスライドショーで紹介していただきました。来年の7月18日は是非とも葛川を訪れたいと思いました。
報告:近江学研究所研究員 加藤賢治
日時:2012年7月21日(土)10:40~12:10
場所:成安造形大学 聚英館3階 聚英ホール
講師:和田 光生氏 (大津市歴史博物館 学芸員)
今年開催された「葛川の太鼓廻し」の京都新聞の記事はこちら
 

近江 里山フィールドワーク授業スタート!

山頂付近から琵琶湖を遠望 右隅に大学が見える

山頂付近から琵琶湖を遠望 右隅に大学が見える


今森光彦客員教授が監修するプロジェクト演習が7月8日スタートしました。
前半の3回は仰木の森林保全活動に協力し、後半の3回は今森教授の雑木林再生プロジェクトに参加します。
この日は、仰木の上仰木地区と辻ヶ下地区が保有する山林の保全活動に総合領域、イラストレーション領域、美術領域の学生7名と、このプロジェクト授業に特別講師として担当する佐藤悦子講師が参加しました。
道なき道を森林に向かって歩く

道なき道を森林に向かって歩く


この回は森林踏査という内容で、上仰木・辻ヶ下地区が保有する森林の境界線を保有者である生産森林組合の方々と歩きました。
山頂付近の植林地お昼ご飯

山頂付近の植林地お昼ご飯


昼食後のミーティング

昼食後のミーティング


参加した学生たちは、
「道なき道を歩きながらこのように森林に入るのは初めて。色々な発見があり、気持ちもリフレッシュできました。」
「このように地元の方々が自分たちの森林を守るために、努力されていることを知り、勉強になりました」
「山頂でのすばらしい景色は忘れられません。また、組合員の方にいただいた地元のトマトやおにぎり、
お漬け物を本当においしくいただきました。ありがとうございました。」など、
午後2時半の終了時の反省会で感想を語ってくれました。
次回は実際に森林保全のための枝打ち、間伐作業です。次回が楽しみです。

報告:近江学研究所研究員 加藤賢治

公開講座「近江のかたちを明日につなぐ」第2弾近江上布開講!


附属近江学研究所主催の「近江のかたちを明日につなぐ」をテーマに
連続講座の第2回目として「まとうかたち~湖東の織物-近江上布」を開講しました。
滋賀県の湖東地域は、長浜の絹織物(ちりめん)、とならんでこの地に自生する麻を素材とする織物の一大産地であった。
それらは近江上布と呼ばれ、古くから近江商人によって日本全国に流通し、近江の一大ブランドであった。

受講者に触れてもらいたいと紹介された近江上布や麻の作品

受講者に触れてもらいたいと紹介された近江上布や麻の作品


講演会は先ずコーデネータ―の辻喜代治が、テキスタイルアーテイストである河原林美知子近江学客員研究員を、作品を通じて紹介した。次に、麻織物の伝統を守り続けている大西實氏の仕事をビデオで紹介し、それを糸口に河原林氏が質問する形で進められた。
大西 實さん

大西 實さん


河原林 美知子研究員

河原林 美知子研究員


まず素材の麻の性質と、現在使用されている麻糸について話された。
現在、滋賀県では素材の麻は手に入らず、他の地域のチョマと呼ばれる麻素材を使っているが、ぜひとも滋賀県の麻栽培を復活させたいと力説されていた。特に大麻栽培は法律に引っかかる難しい部分があるので、多くの問題の解決が必要とされる。
次にその制作技法に話がおよび、大西氏は特に細い糸を使い、昔からの技法により絣模様を作りだされていることを、会場に持参された道具をつかって詳しく紹介された。
近江上布の特徴は、絣文様の麻織物で独特のしわ入ったものといわれている。
しかし県内の人にもあまり知られていないのが現状で、若い人たちに先ず麻素材を触って知ってもらうことの大切さが話題となった。そのために大西氏は伝統的な手織りだけでなく、電動織機を使ったりして様々なレベルの麻織物を制作されている。一般の人に広く知ってもらい、徐々にいいものに触れてもらうように工夫をされている。さらに近江上布は日常の暮らしの中で受けつがれてきたがゆえに、国や県の文化財としての保護や指定もないことが報告された。近江の歴史と風土と深くかかわる近江上布は、これからも大切に受け継がれていくべき滋賀県の文化財だと思われる。そのための保護運動も必要だと強く認識させられた。
報告:辻喜代治(コーディネーター)
ハネと呼ばれる織物の模様をつくる染め台の解説をする大西さん、辻研究員

ハネと呼ばれる織物の模様をつくる染め台の解説をする大西さん、辻研究員


■大西 實さんの近江上布を購入するには、こちらから
日時:2012年7月14日(土)10:40~12:10
場所:成安造形大学 聚英館3階 聚英ホール
講師:大西 實氏 (伝統工芸士)
対談:河原林 美知子(ファイバーアート作家、本研究所客員研究員)
コーディネーター :辻 喜代治(本学教授、本研究所研究員)
タイトル:「まとうかたち~湖東の織物-近江上布」

湖国と文化[夏号]は『ヨシものがたり』特集!


滋賀の様々な文化情報が盛りだくさんの季刊誌『湖国と文化』。
7月1日に今年の夏号が販売されました。
特集は『ヨシものがたり』。
琵琶湖の原風景でもあるヨシを様々な角度から取り上げる充実した号になっています。

『ヨシものがたり』特集ページでは、
本学住環境デザインコースが、平成10年から長年学生たちと取り組んできた
「ヨシの造形教育」についてが特集されています!

そして、インタビュー記事「湖と生きる」には、
2010年度の文化誌『近江学』の対談にも出ていただいたヨシ葺き職人の竹田勝博さんの、
最近のヨシ葺き仕事や、中学生への総合学習での講演などの取り組みが語られています。
そして、近江学学研究所からは、
加藤研究員の連載『おうみ おうみ 歩く』では、
南彦根の霊山荒神山の祭礼大祭を取材。荒神山の神社に足を運んでいます。
そして、木村所長の連載『近江人物伝』では、
中井源左衛門光武(なかいげんざえもんみつたけ)という、日野出身の近江商人で、
関東や東北に多くの出店構え、陰徳善事を心掛けた人物が描かれています。

ぜひ、興味のある方はご一読ください!

2012-07-02T15:28:27+09:002012年7月2日|おうみブログ, お知らせ, イベント|
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