おうみブログ
近江学研究所研究員が、近江にまつわるさまざまな情報を発信するブログです。
髙木文恵氏:2015近江学フォーラム会員限定講座 第3回
日時:2015年9月26日(土)10:40~12:10
場所:成安造形大学 聚英館3階 聚英ホール
講師:髙木文恵氏(彦根城博物館学芸員)
タイトル:「俳人・森川許六の絵画」
フォーラム会員限定講座の3回目となる今回は、次週(10月3日土)に行われる現地研修の事前講座として開催されました。
現地研修では、彦根の井伊家ゆかりの禅寺龍潭寺を訪ねる予定となっていますが、その方丈の襖絵を描いた森川許六にスポットを当て、彦根城博物館学芸員の髙木文恵先生に許六の画業について語っていただきました。
許六は松尾芭蕉晩年の弟子として知られ、俳人でありながら画家としても活躍したという人物で、芭蕉は許六に絵を学び、許六は芭蕉に風雅を学んだという伝承が今もなお伝えられている。そして、その活躍の中で、許六は「すべて画図をよくせむものは、先風雅をしるべし。」と画論を展開し、画の中に俳諧を、俳諧の中に画を取り入れて、独自の美の世界を築き上げたとまとめられました。
最後に、龍潭寺の襖絵の写真を紹介していただき、次週、俳人画家という近世一流の文化人の足跡を訪ねる旅が待ち遠しくなりました。
報告:近江学研究所研究員 加藤賢治
連続公開講座 吹田政雄氏「高島扇骨と近江扇子」報告
日時:2015年9月12日(土)10:40~12:10
場所:成安造形大学 聚英館3階 聚英ホール
講師:吹田政雄氏(有限会社すいた扇子2代目)
対談:大原歩(近江学研究所研究員)
タイトル:「近江~風のかたちー高島扇骨と近江扇子ー」
滋賀県高島市安曇川町にて高島扇骨や近江扇子を製造販売を継承し、2代目となる吹田政雄さんをお迎えして開催しました。
対談は、大原歩研究員が行ないました。 はじめに、吹田政雄さんから、「扇子ができるまで」の作業工程過程を実際の道具を見せながら解説。
その後、作業工程の中の「締直し」の作業をご披露いただき、締直しの作業前と作業後の違いを触って感じさせていただきました。 そして、後半は、大原研究員が吹田政雄さんに質問する形式で、扇子ができるまでに多くの職人が分業し、組織で扇子をつくる仕組みについてや、国産扇骨の90パーセントが高島扇骨であり、そのほとんどが京扇子として販売されている事実とその歴史について。
また、吹田さんが扇子の伝統産業として行われている「絵付け体験」や、地元の方々と協働で立ち上げた安曇川沿いの竹林を整備し、安曇川産の扇骨を復活させる活動の「竹林整備組合」についてを聞かせていただきました。 また、昨年滋賀県扇子工業協同組合と成安造形大学が取組んだ扇骨だけでつくる扇子「扇骨扇子」のデザイン提案の事業についても紹介し、高島発の新しい試みが始まっていることも話されました。
高島の「地場」で350年の歴史ある伝統産業は、一人ひとりの職人と、その地域のネットワークで育まれているということが伝わる講演となりました。
【講演内容】
近江の伝統産業として約350年の歴史を誇る扇子の骨格である高島扇骨。 全国の生産量の約90%を占めることはあまり知られていません。 扇骨の生産工程は親骨で18工程もありすべて手作業で行われます。 15歳で扇骨職人となり滋賀県扇子工業協同組合前理事長である吹田政雄氏をお招きし、その繊細で複雑な加工作業を見せていただきます。 また、近年取り組む地元の若手職人が設立した「SENKOTSU工房」や安曇川の竹林整備などについてなど、新たな「近江扇子」の未来を語っていただきます。
【吹田 政雄 氏プロフィール】
1948年滋賀県生まれ。1963年15歳で、有限会社「すいた扇子」2代目の扇骨職人となる。2007年~2015年滋賀県扇子工業協同組合理事長。工房には、扇子の絵付け体験や扇子作りを学ぶスペースをつくり、地元や観光客に地場産業を学ぶ取り組みを精力的に行っている。
【すいた扇子】について詳しくは「高島市観光協会」>>>こちらから
【関連企画】
近江のかたちを明日につなぐ展 vol.3「高島扇骨と近江扇子」
2015年9月1日(火)~9月25日(金)12:00-18:00
休館日:日祝 ※ただし、9月12日(土)は開館
会場:聚英館1階フロア
詳しくは>>>こちらから 近江扇子の展示・販売
2015年9月8日(火)~9月25日(金)11:00-18:00
会場:カフェテリア「結」内ミュージアムショップ
Closed on Sundays/日祝休館
石川亮研究員が第1回「みんなで創る美術館フォーラム」パネリストとして講演
石川亮研究員が、9月5日(土)に行われる第1回「みんなで創る美術館フォーラム」にて、
パネリストとして出演します。
滋賀県立近代美術館をリニューアルし、新たな美術館として県民参加で進めていくひとつめの活動です。
ぜひ、ご参加ください。要申込み/締め切り8月31日です。
以下、ホームページより転載します。
===============
第1回「みんなで創る美術館フォーラム」
滋賀県では平成31年度までの開館をめざす新たな美術館について、「みんなで創る美術館」として広く県民の皆さんの理解と参画のもと整備を推進するため、現在の整備の状況や方針を県民の皆さんと共有するとともに、「美の滋賀」の拠点として、これからの滋賀に望まれる新たな美術館の姿について考え、その成果を今後の整備に反映していくことを目的としたフォーラム『みんなで創る美術館フォーラム ~「美の滋賀」+あなた+美術館~』を開催します。
つきましては、このフォーラムに参加いただける方を、以下のとおり募集します。
◆開催日時:平成27年9月5日(土曜日)14時00分~17時00分
◆会 場:ヤンマーミュージアム 1階 研修室(滋賀県長浜市三和町6-50)
◆フォーラムの内容:
新生美術館の設計概要等を設計者であるSANAA事務所の妹島氏・西沢氏から参加者にわかりやすく伝えるとともに、新たな美術館が目指す姿について長谷川滋賀県顧問からの講演後、参加者からの意見等も踏まえたパネルディスカッションを行うことにより、県民の皆さんからの共感を得て地域に根付いた滋賀ならではの美術館の実現につなげるフォーラムとする。
◇講演1.:妹島和世氏・西沢立衛氏(SANAA事務所)
◇講演2.:長谷川祐子氏(滋賀県顧問)
◇パネルディスカッション「出会い、可能性、美術館が目指すこと」
ファシリテーター アサダワタル氏 (日常編集家、「美の滋賀」創造事業コーディネーター)
パネリスト 妹島和世氏、西沢立衛氏(SANAA事務所)、長谷川祐子氏(滋賀県顧問)石川亮氏(成安造形大学附属近江学研究所研究員、美術家)、中島誠一氏(長浜市曳山博物館長、滋賀県文化審議会委員)、田端一恵氏(社会福祉法人グロー、国立美術館運営委員会委員)
◆参加募集期間:平成27年8月21日(金) 9時00分─平成27年8月31日(月)12時00分まで
◆参加募集人数:200人程度
◆応募方法:参加には事前申し込みが必要です。下記内容をFAXまたはメールにてお知らせください。
申込者氏名、所属(あれば)、住所、電話番号、FAX番号またはメールアドレス、申込み人数(申込者含め2名まで)、パネルディスカッションで議論してもらいたいこと。
◆参加者の決定:新生美術館整備室よりFAXまたはメールでお知らせします。なお、応募者多数の場合は、県内在住の方を優先して先着順により決定します。
◆応募先:滋賀県総合政策部文化振興課 新生美術館整備室
Eメール:newmuseum@pref.shiga.lg.jp FAX:077-528-4833 お問い合わせ先電話番号:077(528)3346(平日 8時30分~17時15分)
◆お問い合わせ:滋賀県総合政策部文化振興課新生美術館整備室
Tel.077-528-3346 Fax.077-528-4833 Male:newmuseum@pref.shiga.lg.jp
■滋賀県立近代美術館公式ブログ >>> こちらから
近江学研究所【夏季休業期間】
【夏期休業期間のお知らせ】
2015年8月7日(土)~2015年8月16日(日)の期間は、大学窓口は休業となります。
2015年8月17日(月)から、平常どおり開室します。
緊急の連絡の場合は、お手数ですが、成安造形大学代表番号077-574-2111までおかけください。
どうぞよろしくお願いいたします。
以上
淡海の夢2015風景展【作品募集要項】はこちら!
淡海の夢風景展では、琵琶湖の豊かな水系の中で育まれた棚田・里山、そして歴史ある町並みや湖岸の景観を中心とした湖辺の郷が織りなす風景を、さまざまな視点・アプローチで表現した 平面作品(絵画・版画・写真など)を公募します。
ふるってご応募ください。
【公募展名】 「棚田・里山、湖辺の郷 淡海の夢2015風景展」
【会 期】 12月8日(火)~12月19日(土)
12:00~18:00 | 入場無料 | 日曜休館 |
【会 場】 成安造形大学 ギャラリーアートサイト
◎ 期間中に企画者 永江弘之、他本学教員によるアーティストトークを予定しています。
【企画・監修】 永江弘之(成安造形大学准教授・本研究所研究員)
【主 催】 成安造形大学附属近江学研究所
【協 賛】 株式会社クサカベ、ホルベイン工業株式会社
応募要領
応募資格 プロ、アマ、幼小中高校生を問わず、どなたでも応募できます。
※ 応募作品多数の際は、審査を実施いたします。
作品サイズ 幅120㎝以内(50号の長辺幅まで。額・マットは作品サイズに含まず)
出品点数 1人1点まで
出品料 無料
応募方法 「作品募集要項」に掲載の出品票を、郵送にて送付ください。
「作品募集要項」をご希望の方は、下記の作品募集要項[PDFデータ]から
ダウンロードしてください。
出品申込締切 2015年11月9日(月)〔当日消印有効〕
搬入日 2015年11月24日(火) ・25日(水) ・26日(木)
搬入方法 送付または、附属近江学研究所 窓口へ持ち込み
※詳細は作品募集要項をご確認ください。
>>>淡海の夢2015公募チラシ ダウンロード[324kb]
>>>作品募集要項[PDFデータ]ダウンロード[246kb]
>>>「淡海の夢2010~2014風景展」出品作品を近江ギャラリーで公開しています。
太田浩司氏:2015近江学フォーラム会員限定講座 第2回
日時:2015年7月11日(土)10:40~12:10
場所:成安造形大学 聚英館3階 聚英ホール
講師:太田浩司氏(長浜城歴史博物館館長)
タイトル:「小堀遠州-その生涯と芸術性」
今日は会員限定講座の第2回目「小堀遠州 その生涯と芸術性」と題し、長浜城歴史博物館 太田浩司館長にご登壇いただきました。
茶人、庭の作庭で有名な小堀遠州(現在の長浜市小堀町生まれ)ですが、文化人というのは一面に過ぎず、今で言う政府の官僚で、公人であった。
その中でお城や将軍宿泊用御殿など幕府の作事奉行(建築)や普請奉行(土木)を務め、その建物はもちろん作庭の陣頭指揮をとった。
寛永十一年(1634)には幕府ナンバー2の立場にあり、京都伏見に居を構えながら江戸へ参上するなど多忙を極めた中で、さまざまな幕府の官僚業務を担い、その目利きが養われまた評価されたのではないか。
庭師や茶人ではなく官僚としての小堀遠州の本来の姿を太田先生ならではの視点で多くの資料をもとに詳しく説明をしていただきました。
さることながら小堀遠州の庭は自然の中に人工的な直線や曲線の美を見事に配し、西洋的な造園方法を日本の庭園に導入したことが顕著であり、全国にあまたある小堀遠州作の庭には遠州好み、伝遠州作であることは否めないが、岡山県高梁市の頼久寺の小堀遠州作「禅院式枯山水蓬莱庭園は見事であると紹介いただきました。
是非、みな様もお足を運んでみてはいかがでしょうか。
(報告:前阪良洋)
講演内容:
小堀遠州は一般には茶人として知られるが、その姿は実に多彩です。彼が活躍した江戸初期は、大規模城郭建造ラッシュの時代と言えるが、その多くに普請・作事奉行として関わり、建物に付属する庭園の設計指導も行いました。さらに、幕府の行政官として国奉行・伏見奉行・上方郡代・直轄領代官などを歴任、備中国(岡山県)や畿内近国の支配、その地で起きる様々な訴訟を裁いていました。本講座は、遠州がこの多忙な生活の中で、「綺麗さび」と言われる芸術的センスを、如何に磨いていったかを考えます。
講師プロフィール:
1961年東京都生れ。明治大学大学院文学研究科修士課程修了(史学専攻)。1986年市立長浜城歴史博物館へ就職。以来、一貫して湖北・長浜の歴史研究に取り組む。現在、長浜市長浜城歴史博物館館長。著書『テクノクラート小堀遠州』『近江が生んだ武将石田三成』ほか。