おうみブログ2022-03-29T17:42:04+09:00

おうみブログ

近江学研究所研究員が、近江にまつわるさまざまな情報を発信するブログです。

近江学フォーラム会員限定講座「長浜の天正大地震」講座映像視聴会 報告

令和5年度 第5回 近江学フォーラム会員限定講座
「長浜の天正大地震」

【講座映像視聴会】
日時:1月24日(水)14:30~16:00
場所:成安造形大学 本館棟2階025教室
講師:※映像出演
畑中英二 氏|京都市立芸術大学教授

令和5(2023)年度最後となる第5回目の近江学フォーラム会員限定講座を
オンデマンド配信と講座映像視聴会で開催しました。
オンデマンド配信は1月9日から1月23日まで。
配信終了の翌日に講座映像視聴会を大学内で実施しました。

今年度の近江学フォーラムのテーマは「禍 転じて」。
5回目の会員限定講座では、長浜で起こった大地震が歴史に与えた影響について
京都市立芸術大学教授の畑中英二 氏にご講演いただきました。

「禍福は糾(あざな)える縄の如し」。
天正時代に起こった大地震という禍は、天下の安寧を願う、
豊臣秀吉と徳川家康に大変大きな被害を与え、その行く末を左右しました。
2人の天下人にとって、この禍は、一方で福をもたらすものであったとも考えられます。
禍の後には、必ずその経験をもとに、福に転じる時がくる。
講座では、天正の大地震という長浜で起きた大きな禍が
日本の歴史に及ぼした影響についてお話しいただきました。

受講者のみなさんからは、
・自然災害が歴史の大きな転換点になったことがとても興味深く、人の手の及ばないどうしようも無さを改めて感じました。
・当時の歴史を詳しく説明いただき長浜地震のことを初めて知りました。地震が歴史に与えた影響等興味深かったです。
・1月1日の能登半島地震の直後に「長浜の天正大地震」の講義とはなんという巡り合わせなのかただ驚くばかりです。日本はやはり地震大国であり、何時何処で地震が起こっても仕方のないことであることを改めて知らされました。また、地震は世の中の仕組みや体制そのものを変えることがよく分かりました。
・わざわい転じてというのは、こういうことを言うのだろうなと思いました。歴史の出来事や、思惑で歴史が変わったかも、と言う目線でみるのも興味深かったです。また、こう言う視点で話を聞いてみたいと思います。
などといったご感想をいただきました。

[講師プロフィール]

畑中英二 氏(京都市立芸術大学教授)
1967年、京都府生まれ。龍谷大学文学部卒業。滋賀県立大学大学院人間文化学にて論文により博士の学位を取得。京都市立芸術大学美術学部教授。専攻は考古学、工芸史、城郭史。考古学と社会やアートとのより良い関係を模索している。著書に『続信楽焼の考古学的研究』『ここまでわかった甲賀忍者』『岡本太郎 信楽へ』(いずれもサンライズ出版)、『なんで信長はお城を建てたの?』(新泉社)、共著に『戦国大名の権力と城郭 織田信長の城郭』(戎光祥出版)、『中近世陶磁器の考古学』第11巻(雄山閣出版)などがある。

2024年1月30日|Categories: 近江学フォーラム|

第28回近江学研究会 報告

近江学研究所では、年2回、
客員研究員のみなさまをお招きして研究会を開催しています。
先日、今年度第2回目の近江学研究会を開催しました。

今回の研究会では、はじめに2023年度に客員研究員へご就任いただいた大津市歴史博物館副館長の木津勝氏に「大津市歴史博物館写真資料の整理と活用」と題して、ご自身の研究活動や今後の課題についてお話いただきました。

また、研究会後半では、2024年度の研究テーマ「座」、近江における生業(なりわい)のコミュニティについて意見交換を行いました。近江にどのような「座」のかたちがあるのか、髙梨客員研究員からは近江猿楽など芸能のコミュニティ、山本晃子客員研究員からは湖西北部にある酒造業や森林業、農業などのコミュニティ、對馬佳菜子客員研究員からは長浜の伝統工芸である楽器糸製造業のコミュニティが「座」の対象となるのではないかとのご提案がありました。

客員研究員のみなさまからの様々なご意見を受けて、次年度の研究テーマ「座」の研究対象について今後も議論を深めていきたいと思います。

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第28回近江学研究会

日時:令和5年12月18日(月) 9:30-11:00

出席者(50音順):
[客員研究員] 大原歩氏、木津勝氏、髙梨純次氏、對馬佳菜子氏、山本晃子氏
[所 長] 小嵜善通
[副所長] 加藤賢治
[研究員] 石川亮、永江弘之、真下武久
[オブザーバー] 田口真太郎

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2023年12月22日|Categories: 研究プロジェクト, 研究員の活動|

【展覧会報告】「淡海の夢2023風景展」「20回記念作品展」開催報告

11月27日(月)から開催しておりました「淡海の夢2023風景展」「20回記念作品展」が12月9日(土)をもって会期を終了いたしました。
展覧会には、学生・教職員のほか、ご出品いただいたみなさま・ご友人をはじめ、学外からも多数のご来場があり、540名を超える方々に作品をご覧いただくことができました。

また、12月9日(土)にはアーティスト・トークを開催。
第一部は「淡海の夢風景展」20回目の開催を記念して、風景画家のブライアン・ウィリアムズ氏をお招きし、本展の企画者であるイラストレーション領域の永江弘之教授と風景画の魅力について語り合うトークイベントを開催。
ブライアン・ウィリアムズ氏の制作活動の様子から風景画に関する幅広いお話に、会場内には時に驚きの声があがりつつ、楽しい時間が流れました。

第二部は永江先生が「淡海の夢風景展」の出品作品について1点ずつ講評を行いながら、風景画を描くコツについてお話いただきました。
出品者の方も多数ご参加いただき、ご自身の作品だけでなく、他の作品の講評にも熱心に耳を傾けていらっしゃいました。

アーティスト・トークアンケートより抜粋
・「描く」ということを客観的に語っていただいて、自分が描くことを新たに意識しました。
・ブライアンさんの視点・発想が非常に面白く勉強になりました。
・「見えるものを描く」より「見たかった景色を描く」ということを聞き、非常に勉強になりました。
・ブライアンさんの制作時の心情や時を経て変化していかれたきっかけ等を聞くことができて面白く感じました。伝えようとされることを永江先生が理解・共感されて補足・解説されていて良かったです。

また同時開催の「20回記念作品展」は、これまで「淡海の夢」企画に関わっていただいた作家のみなさまからのご協力を得て開催することができました。作家のみなさまの手によって表現された多様な近江の風景に、ご来場のみなさまから感嘆の声があがるなど、作品を通して近江の魅力、そして風景画の魅力を再発見していただくことができたのではないかと思います。ご協力いただました作家の皆さまに深く感謝申し上げます。

2023年12月20日|Categories: イベント, 近江ギャラリー|

近江学フォーラム会員限定講座「疫病と向き合う ―祈りから医術へ―」講座映像視聴会 報告

令和5年度 第4回 近江学フォーラム会員限定講座
「疫病と向き合う ―祈りから医術へ―」

【講座映像視聴会】
日時:12月6日(水)14:30~16:00
場所:成安造形大学 本館棟2階025教室
講師:※映像出演
岡井健司 氏|近江日野商人ふるさと館館長

令和5(2023)年度第4回目の近江学フォーラム会員限定講座を
オンデマンド配信と講座映像視聴会で開催しました。
オンデマンド配信は11月21日から12月5日まで。
配信終了の翌日に講座映像視聴会を大学内で実施しました。

今年度の近江学フォーラムのテーマは「禍 転じて」。
4回目の会員限定講座では、疫病に対抗する手段の変遷について
近江日野商人ふるさと館館長の岡井健司 氏にご講演いただきました。

疱瘡、麻疹、コレラ。古来、日本では様々な感染症が流行し、
多くの人々の命を奪ってきました。
講座では、岡井氏のフィールドである日野町を中心に、
感染症を乗り越えるために戦ってきた庶民の姿、
祈ることだけが疫病に対抗する手段であった頃から、
医術へと向かう転換期の様子をお話しいただき、
コロナ禍においていまだ祈りの護符が流行していることから見えてくる、
疫病に向き合う人々の姿を語っていただきました。

受講者のみなさんからは、
・昔は疫神をもてなし他所へ送り出していたのが、西洋医学の導入と共に退治する様な考え方に変化していった点が特に興味深かったです。
・疫病は古来より近江でも発生し、これに対して祭礼やまじないによる非科学的な対策を講じたことがよくわかった。また江戸後期に疱瘡が流行し、これに対しては種痘という医科学を基にした方法で向き合ったことがよく分かりました。
・疫病に向き合う人々の姿をさまざまな祭礼等の紹介を通じて学ことができ、その後、医術が苦労を重ねながら人々に信頼されていった過程も勉強になりました。
・コロナを体験したところだったので、自分事として受講できました。非常にわかりやすく、興味をもてました。また数年前に日野町を遠足で訪れていたので、お祭りの様子が目に浮かぶようでした。
などといったご感想をいただきました。

[講師プロフィール]

岡井健司 氏(近江日野商人ふるさと館館長)
1970年、滋賀県生まれ。関西大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。専攻は日本近世史。日野町教育委員会町史編さん室を経て、現在、日野町教育委員会生涯学習課主席参事・近江日野商人ふるさと館長。共著に『近世の畿内と西国』(清文堂出版)、『近江日野の歴史』第3巻近世編、『近江日野の歴史』第8巻史料編などがある。

2023年12月12日|Categories: 近江学フォーラム|

【展覧会情報】「淡海の夢2023風景展」「20回記念作品展」開催スタート

今年で20回目の開催を迎える「淡海の夢2023風景展」。
この展覧会は、滋賀(近江)の魅力あふれる風景を表現した作品を
一般の方から公募し、ご応募いただいたみなさまの絵画や写真作品を展示しています。
今年も風景画の魅力がつまった43作品が集まりました。
ぜひ、ご高覧ください。

【展覧会概要】
棚田・里山、湖辺の郷 淡海の夢2023風景展
会期 11月27日(月)~12月9日(土)
時間 11:00~17:00
会場 成安造形大学【キャンパスが美術館】ギャラリーアートサイト
休館日 日曜
入場無料

●同時開催 淡海の夢 風景展 20回記念作品展
「淡海の夢 風景展」20回目の開催を記念して、本展に関わりの深いアーティストによる作品展を開催します。
それぞれの作家がそれぞれの視点で描く近江の魅力的な風景に出会うことができる展覧会です。
《出展作家》ブライアン・ウイリアムズ|西久松吉雄|待井健一|北村美佳|服部由空|永江弘之
《会場》成安造形大学【キャンパスが美術館】ギャラリーウインドウ
※会期・時間・休館日等は「淡海の夢2023風景展」と同様

●関連企画 アーティストトーク
12月9日(土)第1部 13:30-14:20|第2部 14:30-16:30 参加無料・事前申込不要
会場 I棟1階プレゼンルーム(アートサイト横教室)

第1部は、「淡海の夢 風景展」20回目の開催を記念して、風景画家のブライアン・ウイリアムズ氏と企画者の永江弘之によるトークショーを開催します。長年、近江の風景を見つめ、描き続けてこられた二人が近江の風景や風景画の魅力について語り合います。
第2部は、永江弘之が風景写生の醍醐味や公募展に寄せられた展示作品について語ります。
ご興味のある方は是非ご参加ください。入場無料です。

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企画・監修/永江弘之(ながえひろゆき)(成安造形大学教授)
協賛/株式会社クサカベ、ホルベイン画材株式会社
主催/成安造形大学附属近江学研究所
問合せ 成安造形大学附属近江学研究所 077-574-2118

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出品作品43作品
一般公募作品 42点 (全応募者の作品を展示)
賛助作品   1点

【受賞作品】50音順
近江学研究所所長賞 1点
黛 福信 「置き去り舟のある湖畔Ⅰ」

ブライアン・ウィリアムズ賞 1点
岩本 典章「一日の始まり」

クサカベ賞 5点
加地 篤 「琵琶湖が見える」
木村 葵 「堅田港にて」
平岡 正己「キャンパスから湖西線」
深尾 ジャネット メイ「Carry On!(そのまま頑張り続けてくれ)」
溝辺 行雄「渓流坂本」

ホルベイン賞 5点
砂田 智司「新緑の余呉湖」
瀧本 小春「おとせの浜」
徳山 綾子「秋の唄」
藤野 博 「夕暮」
YU MEILIN「夏の片隅に」

2023年11月27日|Categories: お知らせ, イベント|

近江学フォーラム会員限定講座「かわそ信仰と女性」講座映像視聴会 報告

令和5年度 第3回 近江学フォーラム会員限定講座
「かわそ信仰と女性」

【講座映像視聴会】
日時:11月8日(水)14:30~16:00
場所:成安造形大学 本館棟2階025教室
講師:※映像出演
對馬佳菜子 氏|仏像・地域文化プロデューサー

令和5(2023)年度第3回目の近江学フォーラム会員限定講座を
オンデマンド配信と講座映像視聴会で開催しました。
オンデマンド配信は10月24日から11月7日まで。
配信終了の翌日に講座映像視聴会を大学内で実施しました。

今年度の近江学フォーラムのテーマは「禍 転じて」。
3回目の会員限定講座では、かわそ信仰について
本研究所の客員研究員で観音ガールこと對馬佳菜子氏にご講演いただきました。

6月から7月の下旬、近江北部の集落で「かわそ祭」が行われます。
「かわそ」とは川で濯(そそ)ぐ、川の裾(すそ)などを意味し、多くが腰下の病、
現代でいうところの婦人病などに効験があるとされ、主に女性の信仰を集めてきました。
講座では、悩みを抱える女性たちの心のよりどころとなる「かわそ信仰」が、
過去からコロナ禍の現在に至るまで、どのように形を変えて受け継がれてきたのか。
對馬氏による取材で見えてきた信仰の意義についてお話いただきました。

受講者のみなさんからは、
・かわそ信仰というものをはじめて知りました。とても興味深いお話でした。
・民俗信仰と心のよりどころ、地域のつながりについて考えさせられました。
・今日のお話で女性・弱い者が人に言えない悩み苦しみをいだいている時、心の救いよりどころになったかわそさんの存在があったこと。それを地域住民みんなで守ってきたことに感動しました。もっといろいろな人々に知ってほしいです。
・かわそ信仰について、今回の講座を拝聴するまで知らなかったので、改めて湖北の歴史と魅力を知る機会をいただきました。
・女性たちの心の拠り所として、地蔵盆のように集落に応じた多様性があり、各地で語り継がれる物語の一端に触れることができ、とても貴重な話を聞かせていただきありがとうございました。
などといったご感想をいただきました。

[講師プロフィール]

對馬佳菜子 氏(仏像・地域文化プロデューサー)
1993年、東京都生まれ。日本女子大学文学部史学科卒業。仏像・地域文化プロデューサー。仏像を中心とした文化財、地域文化などの文化振興事業を行う合同会社nagoriの代表社員。「観音ガール」の愛称で滋賀県湖北地域を中心に寺社、地域文化に関する情報発信や資金調達のサポート、そのほか講演会、執筆活動などを行なっている。著書に『観音ガールと巡る 近江の十一面観音」~「星と祭」復刊プロジェクト公式ガイドブック編~』(能美舎)がある。

2023年11月14日|Categories: 近江学フォーラム|
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