近江学研究所の活動の進捗

淡海の夢2016 近江八幡・八幡堀と城下町写生会 報告

日時:2016年10月15日(土)
場所:近江八幡市八幡堀周辺
講師:永江弘之(本学イラストレーション領域教授・近江学研究所研究員)
講師:待井健一(本学非常勤講師)
タイトル:淡海の夢2016 近江八幡・八幡堀と城下町写生会
 「淡海の夢」の写生会では、近江八幡市の八幡堀での写生会開催は今回が初めてです。
 10月としては暑いくらいの良い気候のなか、参加された方々は、八幡堀の水郷を中心に城下町の雰囲気が色濃く残る近江商人屋敷や商店の町並みの写生を楽しまれました。
 今回、写生会の本部として、近江八幡市の伝統的建造物群保存地区に指定されている永原町にある、江戸時代後期に建てられた築約150年の近江商人町家の奥村邸をお借りしました。永江研究員と待井先生による講評会も奥村邸で行われ、町家の庭園が見える縁側がある部屋での講評会は、近江商人町家の雰囲気を楽しみながら和やかに行われました。
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築約150年の近江商人町家「奥村邸」での講評会

築約150年の近江商人町家「奥村邸」での講評会


講評をする永江研究員(左)と待井先生(右)

講評をする永江研究員(左)と待井先生(右)

近江学フォーラム会員限定講座 第3回 「綿向山と祭礼~日野祭を中心に~」報告

日時:2016年9月24日(土)10:50~12:20
場所:成安造形大学 聚英ホール
講師:岡井 健司 氏(日野町教育委員会生涯学習課歴史文化財担当主任)
タイトル:綿向山と祭礼~日野祭を中心に~

講師 岡井健司氏

講師 岡井健司氏


今回の会員限定講座は、10月1日に開催する現地研修の事前学習として、日野町教育委員会の文化財担当主任である岡井健司先生にご登壇いただきました。
岡井先生は、大学院修了後、日野町史編纂に長年携わられ、10年ほど前から日野の城下町に在住。現在は日野祭に参加され、その文化の継承を実践されています。
 講座では、まず日野町の歴史や、自然の紹介から始まり、中盤は、仏教文化や、大岳神社の式年遷宮、そして後半に日野祭りの特徴についてという流れで、わかりやすく解説をしていただきました。

 馬見岡綿向神社の氏子による祭礼である日野祭りは、本来は神輿が氏子町を練り歩くものであるが、近江商人の中でも関東地方に商圏を持った日野商人の財力によって豪華な曳山が登場し、最大16基が綿向神社に集結する。また、その曳山の巡行を桟敷窓から眺める風情や、関東秩父のお囃子のリズムが取り入れられ勢い良く演奏されるお囃子の話などが語られました。
 最後に日野商人ふるさと館(旧山中正吉邸)でもてなされる鯛そうめんなどの祭り料理が紹介され、日野町の魅力が一層深まり、次週の現地研修がますます楽しみになりました。

【講座概要】
鈴鹿山脈の一峰、綿向山。標高1,110メートルの山容は美しく、とりわけ麓の日野谷から望む綿向山は、左に竜王山、右に水無山をしたがえて、谷を抱きかかえるような雄大な姿をたたえています。気高くそびえる姿ゆえに、古来、綿向山は神が坐す聖なる山として人びとの信仰をあつめてきました。今回は、綿向山麓にある日野の人びとの信仰とくらしについて、里宮・馬見岡綿向神社の春の例大祭である「日野祭」を中心に紹介します。
【講師プロフィール】
岡井 健司 氏(日野町教育委員会生涯学習課歴史文化財担当主任)
1970年滋賀県生れ。関西大学大学院文学研究科史学専攻博士課程単位取得退学。日野町史編さん室事務局を経て、現在、日野町教育委員会生涯学習課歴史文化財担当主任。近江の近世地域史を研究する。共著『蒲生町史』(第三巻)・『近江日野の歴史』(第三・五・八・九巻)や、論文「寛文~正徳期における対馬府中の人口動態と朝鮮貿易」『近世の畿内と西国』(2002清文堂出版)などがある。

連続公開講座第2回「写真家・寿福滋 私が見る近江の今と未来」報告

日時:2016年9月17日(土)10:50~12:20
場所:成安造形大学 聚英ホール
講師:寿福 滋 氏(写真家)
タイトル:連続講座「近江のかたちを明日につなぐ」『近江~風土のかたち-写真家・寿福滋 私が見る近江の今と未来-』

写真スタジオのセットのような会場。寿福滋先生の作品が並びます。

写真スタジオのセットのような会場。寿福滋先生の作品が並びます。


今年度2回目の連続公開講座「近江のかたちを明日につなぐ」は写真家の寿福滋先生にご登壇いただきました。
近江の風土をこよなく愛する寿福先生の写真は、当研究所が発刊する文化誌「近江学」の創刊号から第8号の最新号まで、数多く掲載され、魅力ある文化誌の編集に大きく寄与していただいております。
この日は、講演者として登壇いただき、寿福滋の写真の世界をじっくりと語っていただきました。
講師 寿福滋氏

講師 寿福滋氏


寿福先生は、以前から光の当て方によって影が動き、被写体の表情が大きく変わることに興味を持たれ、仏像を中心としながら、様々な角度から撮影されてきました。講座の冒頭では、光を上からと下からと当てる場合に被写体の形が様々に変化する事例を紹介されながら、朝日と夕日によって異なる素晴らしい近江の風景も解説いただきました。数多く体験された撮影現場での撮影秘話や、星の位置と神様の関係などにも触れられ、多様な感性を持たれた写真家としての一面も伺うことができました。
光によって被写体の見え方が変わる

光によって被写体の見え方が変わる


後半は、今まで撮り続けてこられた近江の風景の中でも寿福先生のお気に入りの作品を時間が許す限りご紹介いただきました。
講座の最後には、ライフワークとして長年取材を続けておられる、日本版「シンドラーのリスト」と呼ばれた杉原千畝の話に及び、リトアニアで日本への通過ビザを発給し続け、多くのユダヤ人の命を救った業績を紹介され、次週から横浜市歴史博物館で開催される「杉原千畝と命のビザ」という展覧会に関する写真の一部をご披露
いただきました。
光と影を追い続け、早朝から深夜に及ぶ撮影作業を続けてこられた写真家寿福滋先生の業績を充分に知ることができ、同時に近江の風土の深さと美しさを再認識できました。
木村至宏 本研究所顧問から講師の紹介

木村至宏 本研究所顧問から講師の紹介


【講師プロフィール】
寿福 滋 氏(写真家)
1953年神戸市生れ。中学生の頃、埋蔵文化財に興味を持ち、その後文化財カメラマンをめざし、森昭氏に師事。関西を中心に美術・文化財、風景写真を専門に撮影。大塚遺跡(横浜市)、平等院庭園(宇治市)、雪野山古墳(東近江市)、市町村史等の撮影多数。滋賀の風土を記憶するとともに、ライフワークとして杉原千畝の取材を続けている。著書に『杉原千畝と命のビザ』(サンライズ出版)、『京都・滋賀 かくれ里を行く』(滋賀の写真撮影、淡交社)、『近江の祈りと美』(サンライズ出版)などがある。2011年滋賀県文化賞受賞。
【関連企画・展覧会】
近江のかたちを明日につなぐ展Vol.6 「写真家・寿福滋 私が見る近江」

会期:9月12日(月)〜9月30日(金)10:00~17:00
休館日:日曜
会場:成安造形大学 聚英館1階 情報発信ギャラリー
主催:附属近江学研究所
協力:キャンパスが美術館
概要:近江学研究所発行の文化誌『近江学』の表紙をはじめ多くの写真を提供していただいている写真家・寿福滋氏。
文化財の撮影が専門で、かつ、近江の美しい風景も数多く撮影されています。
今回の展覧会では、写真家・寿福氏の視点からみた近江の作品をご覧いただきます。

近江のかたちを明日につなぐ展vol.6「写真家・寿福滋 私が見る近江」開催します

小入谷 -雲海に包まれる針畑- 写真:寿福滋

小入谷
-雲海に包まれる針畑-
写真:寿福滋


9/17(土)開催の連続公開講座「写真家・寿福滋 私が見る近江の今と未来」の関連イベントとして、『近江のかたちを明日につなぐ展vol.6「写真家・寿福滋 私が見る近江」を開催します。
展覧会
近江のかたちを明日につなぐ展Vol.6 「写真家・寿福滋 私が見る近江」

会期:9月12日(月)〜9月30日(金)10:00~17:00
休館日:日曜
会場:成安造形大学 聚英館1階 情報発信ギャラリー
主催:附属近江学研究所
協力:キャンパスが美術館
概要:
近江学研究所発行の文化誌『近江学』の表紙をはじめ多くの写真を提供していただいている写真家・寿福滋氏。
文化財の撮影が専門で、かつ、近江の美しい風景も数多く撮影されています。
今回の展覧会では、写真家・寿福氏の視点からみた近江の作品をご覧いただきます。


公開講座:
タイトル「写真家・寿福滋 私が見る近江の今と未来」

講 師: 寿福滋氏
開講日:9月17日(土)10:50〜12:20
申込みは締め切りました。

近江学フォーラム会員限定講座第2回「近江の山 信仰とくらし-円空と山岳信仰」

日時:2016年7月9日(土)10:50~12:20
場所:成安造形大学 聚英ホール
講師:福家 俊彦(天台寺門宗総本山 三井寺執事長)
タイトル:近江の山 信仰とくらし-円空と山岳信仰
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 「近江の山 信仰とくらし」をテーマとした会員限定講座の第二回目は、天台寺門宗総本山三井寺の執事長で、本学附属近江学研究所の客員研究員でもある福家俊彦氏にご登壇いただきました。
 「円空と山岳信仰 〜日本宗教史のもうひとつの水脈〜」と題された講座は、全国を遍歴しながら多くの仏像を制作した遊行僧「円空」に焦点を当てていただきました。
 講座のはじめは聖地巡礼など、僧や巡礼者が、旅をする意義、そして霊場の重要性について話され、本題の円空に移っていきました。
 現在の岐阜県羽島に生まれた円空は、生涯十二万体の造仏を祈願して全国を歩いたことで知られ、延宝七年(一六七九)に三井寺の長吏尊栄から血脈を受法されたことで三井寺とは非常に深い縁があることなどが解説されました。
 最後に、円空にとっての放浪とは、イコン(しるし)としての円空仏について、また、円空の生涯から見える自然観や宗教観などがまとめとして語られました。
 山岳修験の影響を受け、自然に宿る神仏の存在などを仏像に込めて様々な場所にその足跡を残した円空の知られざる姿を垣間見ることができました。
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近江学フォーラム会員限定講座「近江の山とその特性」報告

日時:2016年6月25日(土)10:50~12:20
場所:成安造形大学 聚英ホール
講師:木村 至宏(近江学研究所 顧問)
タイトル:近江の山とその特性
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今年度近江学フォーラム会員限定講座の1回目は、今年度から顧問に就任された木村前所長に早くもご登壇いただきました。今年度のフォーラム特集テーマは「近江の山 信仰とくらし」で、限定講座のライナップもそれに合わせています。その第1回目ということで概論的に「近江の山とその特性」というタイトルで木村顧問に語っていただきました。
講座は、はじめの50分間で、田上、金勝、比良、比叡など琵琶湖を囲むように連なる山々と、三上山、長命寺山、繖山などその手前や周りに散在する独立峰の紹介、そして、山の信仰や文化が豊かな文化財を育んだことや、山が文学や風景の形成の要素になったことなどが資料をもとに話されました。その後、写真家の寿福滋先生の山の写真がふんだんに紹介しながら、木村近江学の中心をなす「近江の山」、そして近江自体が池泉回遊式庭園であるという素晴らしい文化資源について語られました。
今年度の会員限定講座の概論として、大変内容の濃い講座となりました。「今年度の現地研修も含めて、限定講座が楽しみです」という声が会員さんから聞かれました。
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【講師プロフィール】
1935年滋賀県生れ。大津市歴史博物館初代館長。成安造形大学教授を経て2000年同大学学長。‘09年成安造形大学名誉教授・同大学附属近江学研究所所長。‘16年同研究所顧問。専攻日本文化史。‘96年第40回京都新聞文化賞受賞。‘04年滋賀県文化賞受賞。‘13年平成25年地域文化功労者文部科学大臣表彰。主な著書「琵琶湖‐その呼称の由来」(2001サンライズ出版)、「日本歴史地名大系 滋賀県の地名」(1991共編著 平凡社)他多数

淡海の夢2016堅田・湖族の郷写生会 報告

日時:2016年6月18日(土)
場所:大津市堅田地区
講師:永江弘之(本学イラストレーション領域教授・近江学研究所研究員)
講師:待井健一(本学非常勤講師)
タイトル:淡海の夢2016 堅田・湖族の郷写生会
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当日は暑いくらいの快晴となりました。太陽の光で湖面が輝く中、堅田ならではの漁業の営み、湖、船、路地などのたくさんのモティーフを写生されました。
講評では、永江研究員・待井先生の写生作品も紹介され、的確なアドバイスを参加者のみなさんは熱心に聞いておられました。参加者の作品では水彩の作品以外にもヨシペンなどを使った作品などもありバラエティーに富んだ内容にたいへん盛り上がりました。

堅田漁港にて写生の解説をする永江研究員と待井先生

堅田漁港にて写生の解説をする永江研究員と待井先生


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講評の様子。(左:永江研究員・右:待井先生)

講評の様子。(左:永江研究員・右:待井先生)

連続公開講座 近江のかたちを明日につなぐ「鮒寿しとその環境が教えてくれること」報告

日時:2016年6月11日(土)10:50~12:20
場所:成安造形大学 聚英ホール
講師:左嵜 謙祐 氏(魚治七代目治右衛門・熟鮓職人)
対談:石川 亮(近江学研究所 研究員)
タイトル:近江のかたちを明日につなぐ「近江~受け継ぐかたち 鮒寿しとその環境が教えてくれること」
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今年度はじめの、連続公開講座は、受け継ぐかたちとして、高島市マキノの海津で、江戸中期創業の老舗「魚治」の7代目左嵜謙祐氏にご登壇いただきました。
石川亮研究員との対談で講座がはじまり、鮒寿しの歴史から、鮒寿しのつくり方、ニゴロブナの話しなど、鮒寿しづくりの左嵜氏の丁寧な仕事が紹介されました。
その後、最も強調されたのが、海津という場所の風土です。「江戸時代には港町、宿場町として栄えた海津で、魚屋(うおや)として出発した「魚治」はその風土の中で育った。清い水と、水田、そして鮒という3つの資源がこの地に豊富にあったことが鮒寿しづくり条件となり、子持ちの鮒が鮒寿しになっているのは、田んぼに産卵に来る鮒を農家の人が捕獲したところにはじまるので、あえて子持ちの鮒を求めて捕獲したのではなく、半農半漁の生業(なりわい)のかたちが今の鮒寿しをつくることになった」と話されました。
最後に、石川研究員が、これからの「魚治」の活動について尋ねると、先代が残された家訓にある「歯車になれ」(変えてはならないものは確実に守り続け、次代に伝えなさい)という言葉を大切に、変わらず海津の風土を生かしながら、今の時代にあった活動をコツコツ続けていきたいと抱負が語られました。

左嵜氏に会場で実演もしていただきました。

左嵜氏に会場で実演もしていただきました。


参加者からの質問に応える左嵜氏

参加者からの質問に応える左嵜氏


【講師プロフィール】
1976年、滋賀県高島郡マキノ町海津(現高島市)に生れ。天明4年(1784)創業の老舗鮒寿し店「魚治」7代目治右衛門。’99年大学卒業後、京都吉兆嵐山店にて三年間の修行を積み、’04年 魚治七代目襲名し、一子相伝の鮒寿しの伝統を継承。現在、奥琵琶湖の料亭「湖里庵」にて鮒寿し懐石を提供する。鮒寿しの伝統を守りながら、食文化の本質を追求している。
【関連企画】 
近江のかたちを明日につなぐ展 vol.5「鮒寿しとその環境が教えてくれること」
2016年5月30日(月)~6月11日(土)10:00-17:00
会場:情報発信ギャラリー(聚英館一階)
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淡海の夢2016棚田・里山写生会 報告

日時:2016年5月28日(土)
場所:大津市仰木地区
講師:永江弘之(本学イラストレーション領域教授・近江学研究所研究員)
講師:板東勲(本学非常勤講師)
タイトル:淡海の夢2016仰木・棚田里山写生会
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あいにくの曇り空でしたが、水が張られた棚田の風景のなか参加者の皆さん思い思いの場所で熱心に写生されていました。
当日は比叡山国際トレイルレースも開催され、応援の仰木太鼓が響いて賑わっていました。
講評は辻尾地区の自治会館をお借りし、一日の成果を披露されました。
前回も参加された方から、前回の写生会での板東先生からのアドバイスを活かして写生しましたとのコメントもいただき、スタッフ一同励みになりました。

上仰木自治会館にて、はじめに永江研究員から写生についての説明とアドバイスがありました。

上仰木自治会館にて、はじめに永江研究員から写生についての説明とアドバイスがありました。


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辻が下自治会館にて作品の講評をする永江研究員(右)と板東先生(左)

辻が下自治会館にて作品の講評をする永江研究員(右)と板東先生(左)

特別公開講座 上原行照師「千日回峰行 山に溶け込むことから見えるもの」報告

日時:2016年5月14日(土)10:50~12:20
場所:成安造形大学 体育館
講師:上原 行照 氏(千日回峰行 大行満大阿闍梨、伊崎寺住職)
タイトル:「千日回峰行 山に溶け込むことから見えるもの」

上原行照 師

上原行照 師


5月14日、今年度最初の講座として、特別公開講座を開催しました。
今回は、「千日回峰行ー山に溶け込むことから見えるもの」と題して、平成6年(1994)に千日回峰行を満行された上原行照大阿闍梨を講師にお迎えしました。
上原大阿闍梨は、「千日回峰行の舞台となる仏が宿る山は、様々な煩悩から守ってくれる包容力を持っている」と話され、また、9日間の断食・断水・不眠・不臥という難行の内容や、山上山下を距離にして7里半歩く意義など、わかりやすく解説されました。
たくさんのご応募をいただき、体育館にて講演を行いました

たくさんのご応募をいただき、体育館にて講演を行いました




最後に山に溶け込むことから見えるものとして、「山の修行は、行だけでなく洗濯や料理など全てのことを自分でしなければならないが、ふと他人が何かを助けてくれると、大きな感謝の念が湧いてくる。便利な世の中も居心地が良いかもしれないが、ちょっと不便な方が自らが動くことにつながり、本当の意味で、自己の危機を救ってくれることにつながる」と大切なメッセージを来場者に投げかけていただきました。
当日は、定員150名の3倍となる約400名が来場され、大学としては初めて体育館で講座を行いましたが、多くの来場者が熱心に上原大阿闍梨のお話に聞き入っておられました。
(報告:加藤賢治副所長)

開会のごあいさつ 木村至宏 (近江学研究所 顧問)

開会のごあいさつ
木村至宏 (近江学研究所 顧問)


閉会のごあいさつ 西久松吉雄(近江学研究所所長)

閉会のごあいさつ
西久松吉雄(近江学研究所所長)


【講座内容】
山中を7年間で千日間を歩き、5年目には、9日間の断食、断水、不眠、不臥を行うという比叡山延暦寺の千日回峰行は、数ある修行の中でも最も過酷なものとして知られています。なぜそのような修行が行われているのでしょうか。今回の特別講座では、平成6年(1994)に千日回峰行を満行された上原行照大阿闍梨を講師に迎え、山での厳しい修行の内容や、その行の中に見る思想、そして、現代社会へ向けてのメッセージも含めてお話しいただきます。
【講師プロフィール】
上原行照 師(千日回峰行 大行満大阿闍梨、伊崎寺住職)
姨倚耶山 伊崎寺 住職。1959年 群馬県前橋市生まれ。15歳で得度。’85年より比叡山に23年間こもり、’94年には千日回峰行を満行。天正年間以降48人目の大行満大阿闍梨となる。’06年に伊崎寺住職となり、’08年12月より下山して寺の発展に尽力している。
【関連企画】 
近江のかたちを明日につなぐ展 vol.4「千日回峰行 山に溶け込むことから見えるもの」
2016年4月25日(月)~5月14日(土)10:00-17:00
休館日:日祝、4/30~5/5、7日、8日
会場:聚英館1階フロア
展覧会場

展覧会場


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