公開講座「戦国時代の華 浅井三姉妹」開講しました。

講座名:戦国時代の華 浅井三姉妹-数奇な生涯と歴史上果たした役割―
日 時:平成22年5月22日(土) 10:40~12:00
場 所:成安造形大学 聚英館三階 聚英ホール
講 師:畑裕子氏(作家・日本ペンクラブ会員)

来年のNHK大河ドラマで浅井三姉妹の江姫が主人公となることが決まっており、滋賀県ではすでに浅井三姉妹のブームが沸き起こっています。そのような中、近江学研究所でも公開講座に話題の講師を招聘しました。5月22日(土)の公開講座に昨年6月に『花々の系譜 浅井三姉妹物語』をサンライズ出版から出版されました滋賀県在住の作家畑裕子先生をお迎えしました。
 講座は畑先生が自ら歩かれて取材された写真をもとに、浅井長政、織田信長、お市、豊臣秀吉など戦国の歴史を紹介されながら、その世に翻弄された三姉妹の人生を語りかけるようにゆっくりと感情豊かに語っていただきました。
 講座の最後に先生は、「戦国の姫たちは、政略に飲み込まれ一般的に悲劇のヒロインと理解されているが、浅井三姉妹は母であるお市の教育を受け、それぞれがたくましく前向きに生きた。お江は徳川2代将軍秀忠の正室となり、3代将軍家光を生み、五女の和子は後水尾天皇の皇后となって明正天皇を出産した。」「お市の意を受け継ぎ、戦乱の中で浅井の血を徳川家や皇族にも残したという執念とも言うべき女性の強さを三姉妹から感じ取れる」とまとめられました。

近江学研究所研究員 加藤賢治

公開講座「古代近江の魅力」開講しました。

講座名 古代近江の魅力
日 時 平成22年5月15日(土) 14:00~15:20
場 所 成安造形大学 聚英館三階 聚英ホール
講 師 上田正昭(京都大学名誉教授・歴史学者)

5月15日(土)、京都大学名誉教授上田正昭先生にご登場いただき、表題の通り近江の魅力をたっぷりと語っていただきました。日本歴史学の第一人者である上田先生のご講演とあって公開講座の申し込みは400名を越え、会場を2つに分けて開催しました。
「古代の近江国は大国に分類され、天智天皇はこの地に都を置いた。現在は京都にかくれてあまりイメージがしにくいが、古代近江は東西の要として交通の要衝であり高句麗を中心に朝鮮半島とのつながりが深く国際的であり、水に恵まれ非常に豊かな国であった。」平安京、平城京よりも古くに都が設置された理由はそこにあると強調されました。
また、この時代には万葉集や勅撰漢詩集が編まれ日本文学の礎がここに築かれたことも特筆されると述べられました。最後には江戸時代に朝鮮通信使の外交官として活躍した雨森芳州を紹介され、このように優れた人物を多く排出した近江を誇りに思ってくださいと会場内の参加者に熱いメッセージを投げかけられました。
ゆっくりとわかりやすく丁寧で、ときにユーモアを交えながらのご講演は時間のたつのをしばし忘れさせてくれました。

近江学研究所研究員 加藤賢治

近江学フォーラム会員限定講座「まつりから見た近江の民俗史」開講しました。

講座名 まつりから見た近江の民俗史
日 時 平成22年4月24日(土) 10:40~12:00
場 所 成安造形大学 聚英館三階 聚英ホール
講 師 米田実(日本民俗学会 会員)

4月24日(土)、近江学フォーラム会員限定講座の1回目の講座が「祭りから見た近江の民俗史」というタイトルで開講されました。
講師は日本民俗学会会員の米田実先生です。講義はまず、歴史学や考古学では語りきれない民俗伝承とは何かという話から始まり、近江の祭り、祭礼の特徴が多くの事例を通して解説されました。「祭礼には風流(ふりゅう)というものがあり、京都においては常に新しい趣向を凝らした奇抜な見世物が行なわれた。近江はその京都での風流をすぐに取り入れるが、そこからは変わらずその伝統を継承していくという特徴がある。したがって近江各地の祭礼を見ると、曳山や太鼓踊り、大松明など京都でそれぞれの時代に流行した祭礼の断片を知ることができる。」など、事例の一つが紹介されました。
また、講義の最後には、「近江は祭りや宮座の宝庫であるとしながら、速い速度でそれらが消えかかっている。今の時代に合わない祭礼を継承することの難しさは、これらを調査する中で常に感じ、問題意識を持っている。」と民俗伝承の保存という難題を訴えられました。
今に残されたものを検証し、新たな未来の価値観を生み出そうとしている近江学研究所にとって、今回の講義は大きな課題提起とそれを乗越えるたくさんのヒントを与えていただいたように思いました。

報告:近江学研究所研究員 加藤賢治

公開講座「近江学概論」を開講しました。

講座名:近江学概論-とくに琵琶湖の呼称について-
日 時:平成22年4月17日(土) 10:40-12:00
場 所:成安造形大学 聚英館3階 聚英ホール
講 師:木村至宏(成安造形大学 附属近江学研究所 所長)

近江学研究所も開設3年目を迎えることができました。その研究所の主要な事業である公開講座も今まで以上に発展させていきたいと考えています。
4月17日(土)は今年度初めての公開講座を開催しました。毎年度初回の公開講座は恒例となっていますが木村所長が担当となっています。今回は「琵琶湖の呼称について」をテーマになぜ琵琶湖という名前がついたのかを多くの資料を提示しながら解説されました。
今でこそ地図で見ると何とか楽器の琵琶に似ていると言えなくもないが、地図がなかった近世初期になぜ琵琶の形に見えたのか。木村所長が何年も前から疑問に思われていたことについてその答えがこの講義によって明らかになりました。
琵琶湖には霊島「竹生島」があり、そこには古来インドの神である弁才天が祀られ、琵琶湖の湖辺に生活する人々の信仰の対象になっていた。その弁才天は別名妙音天とも呼ばれ、楽器の琵琶を抱えたその姿が尊崇されてきた。
確かに湖のかたちが琵琶に似ているということは否定しないが、砂浜に打ち寄せる細波の音は、自然の中で琵琶の音色と重なり、湖辺の人々はその湖を無意識のうちに弁才天の湖、琵琶の湖、と呼ばれるようになったとはいえないだろうか。
時のたつのを忘れさせるいつもの軽快な木村所長の語りで進んだ公開講座。写真や図版も含め多くの資料をひも解きながら、琵琶湖の呼称についての考察が論理的にまたロマンチックに語られました。学生も含め200名を越える参加者は満足そうでした。

近江学研究所研究員 加藤賢治

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