近江学フォーラム会員限定講座がスタートしました!

講座名:「近江と渡来人」
日 時:平成23年6月18日(土) 10:40~12:00
場 所:成安造形大学 聚英ホール
講 師:井上満郎 氏(京都市歴史資料館 館長)

近江学フォーラム会員限定講座がスタートしました!

近江学研究所が主催します会員制の「近江学フォーラム」は、おかげさまで昨年よりまして多くの方々に参画いただいております。そのフォーラムの中心的な事業としまして会員限定講座を開講しています。
6月18日(土)はその第1回目の講座が開講されました。全6回ある限定講座のトップは「近江と渡来人」と題して、日本古代史がご専門で京都市歴史資料館館長の井上満郎先生にご登壇いただきました。
講座のはじめに、下にアジア大陸があり上に日本列島が横たわっているという大変珍しい位置関係の地図が紹介され、「このように見ると、日本列島は島国として独立しているというよりもアジア大陸の一部に見えませんか」と問いかけられました。日本海側沿岸部で「貸泉」という中国の貨幣が多数発掘されていることからも縄文、弥生という古代から大陸文化は日本に入ってきており、大陸と日本の間には大きな隔たりがなかったと考えられると持論を語られました。また、今に伝わる文献から見ると古代の国際ルートは朝鮮半島から北陸へ入り、近江を経て山城(京)、大和へとつながっていたことがわかり、近江国はその通り道にあたり、文化が往来し、多くの渡来人が定住、都にもなったと近江の地理的な重要性を強調されました。
最後に、古代の日本の人口に触れられ、当時の渡来人の人口の割合から考えると、現在の日本人もその多くは大陸民族の子孫であるといえると話され、海を隔て遠くにあると考えていた大陸文化を大変身近に感じることができました。

報告:近江学研究所研究員 加藤賢治

連続公開講座「近江~大地のかたちー穴太衆積みー」開講しました

講座名 『近江~大地のかたち―穴太衆積み―』
日 時 平成23年6月11日(土) 10:40~12:00
場 所 成安造形大学 聚英ホール
講 師 粟田純司氏(穴太衆第十四代目石匠)
対 談 大岩剛一

6月11日(土)連続講座「近江のかたちを明日につなぐ」第1弾の2回目が、「大地のかたち~穴太積み」と題して開催されました。今回は一般から230名の応募があり、聚英ホールが満席となりました。
当日の講座は近江学研究所大岩剛一研究員(本学住環境デザインコース教授)のコーディネイトで「穴太衆」第14代目石匠の粟田純司さんをお迎えし、講演と対談というかたちで行ないました。
はじめの40分間は粟田さんによる講演で、湖西地域にある古墳群にある横穴式石室見られる石積みにその原点があり、信長の安土城築城により全国の城にその技術が広がったという「穴太衆積み」の起源や、野面積みといわれる「穴太衆積み」独特の技法もスライドによって解説されました。
対談では、大岩研究員がその技術を裏で支える精神的な部分について粟田さんに質問され、粟田さんは師匠である先代に「石の声を聞け」厳しく指導されながらその境地を知ることができたと語られました。石を生き物のように身体で感じ、数式では計りきれないファジーな感覚によって何百年と崩れることのない石積みをつくるという「穴太衆積み」の技術は非常に素晴らしいと大岩研究員がまとめられました。

報告:近江学研究所研究員 加藤賢治

近江学研究所主催連続公開講座始まる!

講座名 『近江~大地のかたち―信楽焼―』
日 時 平成23年5月28日(土) 10:40~12:00
場 所 成安造形大学 聚英ホール
講 師 奥田博土氏(元信楽陶芸作家協会会長)
対 談 辻喜代治

5月28日(土)、近江学研究所では今年度初めての試みとして一つのテーマで講座を結ぶ連続公開講座を開講することになりました。
「近江のかたちを明日につなぐ」というテーマで、近江学研究所研究員がコーディネイターとして造形家を招聘し、第1弾「大地のかたち」、第2弾「風景のかたち」、第3弾「魂のかたち」と3つのステージに別け、それぞれ2回ずつ連続講座を開講します。
この日はその第1弾の1回目、「大地のかたち-信楽焼-」と題し、辻喜代治研究員がコーディネイト、現在国際的に活躍されている陶芸家奥田博土(おくだひろむ)氏を迎えて、現代陶芸の諸相について語っていただきました。
奥田氏は江戸期から代々続く信楽の献上茶壷をつくる窯元に生まれ、奥田三衛門家15代目として陶芸をはじめられました。1969年の大阪万博では、太陽の塔の裏面にあるタイル地の「黒い太陽の顔」を故岡本太郎氏とともに制作され、これを転機として陶彫の世界に入られました。以後、アメリカやヨーロッパを舞台に現代アート作品を次々に発表され、最近は信楽高校でのワークショップなどの開催など、後進の造形教育にも力を入れておられます。講座では、これらのスライドに加えて、自然環境にもう一度真摯な目を向けようというメッセージがこもった直近の作品なども含め、たくさんのスライドを紹介していただきました。
最後に辻喜代治研究員は、信楽から一歩も出ることなくここの土にこだわり、そしてその思想は常に未来を見ているという奥田氏はこの講座のテーマである「近江のかたちを明日へつなぐ」をいままさに実践されているとその制作活動を賞賛されました。

報告:附属近江学研究所研究員 加藤賢治

近江学研究所設立3周年記念講演 第二弾 開講しました!

講座名:「戦国近江の歴史的位置」
日 時:平成23年5月7日(土) 10:40~12:00
場 所:ピアザ淡海 ピアザホール
講 師:小和田哲男(歴史家・静岡大学名誉教授)

5月7日(土)13:30から、研究所設立3周年記念講演が行われました。近江学研究所主催の講演会としてははじめて大津市打出浜の「ピアザ淡海」のピアザホールで開催しました。
講師は歴史家で静岡大学名誉教授、NHK大河ドラマ「江〜姫たちの戦国」の時代考証をされている小和田哲男先生にご担当いただきました。
この日、近江学フォーラムの会員さんも含めて300名以上が会場に来られました。
近江学研究所では常に近江の独自性について検証をしていますが、木村所長は「近江を歴史の視点で捉えると「金太郎あめ」である。歴史のどこを切っても近江が出てくる。」といつもお話しされますが、この日は小和田先生が戦国時代を切ってくださいました。話しは近江の守護六角氏と京極氏から始まり、織田信長、明智光秀、羽柴秀吉、石田三成、浅井三姉妹と続いていきます。姉川の合戦、小谷城陥落、賤ヶ岳の合戦、安土城築城などこの時代の重要な出来事はすべて近江が舞台となっています。
小和田先生はその内容を丁寧に解りやすく解説いただきました。その中で大河ドラマの時代考証についても触れられ、史実をいかに脚色するかという難しさを楽しく語っていただきました。
参加者の皆さんの多くは「大変勉強になりました」と満足そうでした。

報告:近江学研究所 研究員 加藤賢治

公開講座「滋賀の文化の特性とこれから」を開講しました。

講座名 滋賀の文化の特性とこれから
日 時 平成23年4月23日(土)10:40〜12:00
場 所 成安造形大学 聚英館三階 聚英ホール
講 師 石丸正運・木村至宏(対談)
進 行 辻喜代治

成安造形大学附属近江学研究所3周年記念講演「滋賀の文化の特性とこれから」を4月23日(土)、聚英ホールで開催しました。
今回は3周年記念の第1弾として、1980年代から滋賀県の文化振興をリードされてきた美術史家で近江学研究所参与の石丸正運先生と近江学研究所所長の木村至宏先生が対談されました。

当研究所研究員の辻喜代治先生の進行で対談が開始。滋賀県の文化の独自性とこれからのあり方について、各先生が意見を述べられました。
はじめは自己紹介を兼ねて石丸先生は滋賀県立近代美術館を、木村先生は大津市歴史博物館を設立された当時の滋賀の文化の諸相をお話しされました。

その後、人口増加率や住宅の増加、光ファイバーの普及率など滋賀県の日本一が辻先生から紹介され、近年、滋賀県が文化、経済的に成長する可能性を示唆されました。
続いて石丸先生が「近江八景」の「唐崎夜雨」を例に、滋賀県の風光明媚な自然環境が中世から現代にまで絵画の画題として描かれてきたと、滋賀の文化の特性を述べられ、木村先生は、湖・山・街道という3つの要素が滋賀県に豊かな歴史文化遺産を残したとその独自性を語られました。

最後に3名の先生方は、これからの文化振興のあり方として、成安造形大学の地域貢献を例に、大学生をはじめとする若年層の活躍や、それらを支援する文化振興団体である「文化・経済フォーラム滋賀」などの活発な活動が不可欠であり、そのような活動の積み重ねが滋賀県の文化の未来をつくるとまとめられました。

成安造形大学附属近江学研究所 研究員 加藤賢治

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