近江学フォーラム会員限定講座を開講しました!
講座名:フェノロサと近江
日 時:平成22年12月4日(土) 10:40~12:00
場 所:成安造形大学 聚英館三階 聚英ホール
講 師:福家 俊彦(園城寺執事長)
明治期の日本に西洋美術が流入し、日本美術の価値が低迷した状況下で、日本の「美」を再発見し、その興隆につとめたアーネスト・フランシスコ・フェノロサ(一八五三〜一九〇八)。彼は生前三井寺法明院住職桜井敬徳と出会い強い影響を受け、今もこの三井寺法明院に静かに眠る。この日は三井寺執事長の福家俊彦先生にフェノロサの活躍について語っていただきました。
福家先生はフェノロサが明治十五年五月に東京上野で行った『美術真説』という講演を取りあげ、彼の思想を紹介されました。フェノロサはその講演で西洋絵画と日本画を比較して日本画を再評価したこと、「美術」への愛好心と鑑賞眼の育成や優れた画家を育てることを目的として美術学校設立の必要性を訴えことが評価され、その後、日本美術振興のパイオニアとして活躍したと話されました。
三井寺には国宝の非公開建築物「光浄院客殿」「勧学院客殿」があり、貴重な文化財を保護しながらできうる範囲で一般に公開するという日本美術の「粋」を啓発する活動を続けられていますが、湖都大津と日本の「美」をこよなく愛したフェノロサの意志がこのような取り組みに受け継がれているように感じました。