近江学研究所主催連続公開講座始まる!

講座名 『近江~大地のかたち―信楽焼―』
日 時 平成23年5月28日(土) 10:40~12:00
場 所 成安造形大学 聚英ホール
講 師 奥田博土氏(元信楽陶芸作家協会会長)
対 談 辻喜代治

5月28日(土)、近江学研究所では今年度初めての試みとして一つのテーマで講座を結ぶ連続公開講座を開講することになりました。
「近江のかたちを明日につなぐ」というテーマで、近江学研究所研究員がコーディネイターとして造形家を招聘し、第1弾「大地のかたち」、第2弾「風景のかたち」、第3弾「魂のかたち」と3つのステージに別け、それぞれ2回ずつ連続講座を開講します。
この日はその第1弾の1回目、「大地のかたち-信楽焼-」と題し、辻喜代治研究員がコーディネイト、現在国際的に活躍されている陶芸家奥田博土(おくだひろむ)氏を迎えて、現代陶芸の諸相について語っていただきました。
奥田氏は江戸期から代々続く信楽の献上茶壷をつくる窯元に生まれ、奥田三衛門家15代目として陶芸をはじめられました。1969年の大阪万博では、太陽の塔の裏面にあるタイル地の「黒い太陽の顔」を故岡本太郎氏とともに制作され、これを転機として陶彫の世界に入られました。以後、アメリカやヨーロッパを舞台に現代アート作品を次々に発表され、最近は信楽高校でのワークショップなどの開催など、後進の造形教育にも力を入れておられます。講座では、これらのスライドに加えて、自然環境にもう一度真摯な目を向けようというメッセージがこもった直近の作品なども含め、たくさんのスライドを紹介していただきました。
最後に辻喜代治研究員は、信楽から一歩も出ることなくここの土にこだわり、そしてその思想は常に未来を見ているという奥田氏はこの講座のテーマである「近江のかたちを明日へつなぐ」をいままさに実践されているとその制作活動を賞賛されました。

報告:附属近江学研究所研究員 加藤賢治

近江歴史回廊大学の授業を担当しました!

坂本公民館

坂本公民館

東照宮

東照宮

5月21日(土)、坂本公民館2階大会議室で第13回近江歴史回廊大学「近江の歴史を築いた人々」クラスの授業を行いました。
この日はこのクラスの2日目の授業日で、私は3時間目の授業を担当しました。内容は坂本周辺のフィールドワークです。
はじめ30分程度プロジェクターで坂本周辺の歴史スポットの紹介とその背景にある宗教民俗を解説しました。その後、屋外へ出て慈眼大師天海大僧正が建立した滋賀院門跡、その墓所である慈眼堂、近江出身の幕府お抱えの大工の棟梁甲良宗広が日光東照宮の試作品として建設したといわれる日吉東照宮を見学しました。
この授業は天海大僧正にスポットを当て、信長によって壊滅的な打撃を受けた比叡山延暦寺を家康の腹心として復興に務めたことや家康の死後東照大権現として日光東照宮を建設した偉業などを中心に解説しながら天海ゆかりの遺跡を巡りました。
この日は初夏の蒸し暑さもありましたが、30名の熱心な受講生の皆さんは最後まで熱心に勉強されていました。

報告:附属近江学研究所 研究員 加藤賢治

2011-05-25T09:07:39+09:002011年5月25日|おうみブログ, フィールドワーク|

堅田居初氏庭園と「天然図画亭」を見学してきました。

5月14日(土)、堅田の国指定名勝庭園と茶室「天然図画亭(てんねんずえてい)」を見学してきました。
この庭園と茶室は、中世から琵琶湖の湖上特権を確立し、繁栄していた堅田衆の名家、居初(いそめ)家のもので、現在、ご当主居初寅夫氏が一般公開にご尽力されています。この日もご当主自ら解説をいただきました。庭園は琵琶湖と三上山(通称近江富士)を借景とする国指定名勝庭園です。
ヨシ葺き入母屋造の茶室は千利休の孫千宗旦の四天王の一人である藤村庸軒とその弟子で堅田郷士北村幽安の合作で、天和元年(1681)頃に完成しました。中には海北友松作といわれる障子の腰板に描かれた花鳥画や室町時代の袈裟型の手水鉢など見るものがたくさんあります。
この茶室から見る庭園は絶景であり、近世多くの文人墨客がここを訪れたといわれています。
初夏のひと時、堅田の名勝庭園で湖国の風流を楽しむのも良いものです。

成安造形大学附属近江学研究所研究員 加藤賢治

2011-05-24T12:45:18+09:002011年5月24日|おうみブログ, エッセイ|

近江の催し:2011年6月

5月20日(金)~6月25日(土)
セイアンアーツアテンション 2011 春の芸術月間
成安造形大学【キャンパスが美術館】

5月31日(火)~7月10日(日)
金谷生誕250年記念ミニ企画展( 第91回ミニ企画展)
横井金谷-奇僧が描いた文人画の世界-

大津市歴史博物館

3月26日(土)~7月7日(木)
平山郁夫 シルクロードを行く
佐川美術館【平山郁夫館】

4月2日(土)~9月4日(日)
追悼展 佐藤忠良―ブロンズの詩―
佐川美術館【佐藤忠良館】

3月26日(土)~8月21日(日)
INSPIRATION 樂吉左衛門フランスでの作陶/茶碗
佐川美術館【樂吉左衛門館】

3月26日(土)~7月7日(木)
平山郁夫展 日本の美を描く
佐川美術館【企画展】

4月23日(土)~6月12日(日)
第2回滋賀・大阪博物館連携企画 平成23年度春季特別展
「大岩山銅鐸から見えてくるもの」

滋賀県立安土城考古博物館

4月26日(火)~6月5日(日)
テーマ展「摠見寺所蔵名品展」
滋賀県立安土城考古博物館

4月16日(土) ~6月12日(日)
『名画につつまれる贅沢 珠玉のヨーロッパ絵画展-バロックから近代へ-』
滋賀県立近代美術館

4月23日(土)~6月19日(日)
19世紀陶器装飾の巨匠 ウィリアム・ド・モーガン
滋賀県立陶芸の森

4月29日(金・祝)~6月12日(日)
ギャラリー展示 -古琵琶湖の化石 奥山茂美コレクション寄贈記念-「化石が語る350万年前の生きものたち」
滋賀県立琵琶湖博物館

4月29日(金・祝)~9月4日(日)
水族企画展示 「レッドリストの魚たち」
滋賀県立琵琶湖博物館

3月12日(土)~6月19日(日)
親鸞聖人750回忌記念 展示事業 特別展「湖北真宗の至宝と文化」
長浜城歴史博物館【2階展示室】

6月5日(日)
御田植祭
犬上郡多賀町多賀大社

6月10日(金)
漏刻祭
近江神宮(大津市)

2011-05-20T12:52:44+09:002011年5月20日|お知らせ, 近江イベントカレンダー|

淡海の夢2011 堅田・湖族の郷写生会を開催しました!

5月14日(土)・15日(日)の2日間、附属近江学研究所主催の写生会が湖族の郷堅田で行なわれました。
両日とも午前9時半にJR堅田駅に集合。堅田漁港を本部として写生会の説明が行なわれ、10時から写生が開始されました。公開講座としての一般の参加者が約30名、学生さんも約30名が参加、講師は近江学研究所研究員でイラストレーション領域准教授の永江弘之先生にご担当いただきました。
両日とも天候に恵まれ、3時半からの好評会にも多くの作品が出され盛りあがりました。

6月4日・5日は仰木・棚田の写生会です。多くのご参加お待ちしています。また、11月末から12月にかけてこの淡海の夢2011の公募展覧会を本学【キャンパスが美術館】のメインギャラリーで開催します。写生会にご参加いただきたくさんのご応募を期待しています。

近江学研究所研究所研究員 加藤賢治

2011-05-16T16:08:06+09:002011年5月16日|お知らせ, 公開講座|

近江学研究所設立3周年記念講演 第二弾 開講しました!

講座名:「戦国近江の歴史的位置」
日 時:平成23年5月7日(土) 10:40~12:00
場 所:ピアザ淡海 ピアザホール
講 師:小和田哲男(歴史家・静岡大学名誉教授)

5月7日(土)13:30から、研究所設立3周年記念講演が行われました。近江学研究所主催の講演会としてははじめて大津市打出浜の「ピアザ淡海」のピアザホールで開催しました。
講師は歴史家で静岡大学名誉教授、NHK大河ドラマ「江〜姫たちの戦国」の時代考証をされている小和田哲男先生にご担当いただきました。
この日、近江学フォーラムの会員さんも含めて300名以上が会場に来られました。
近江学研究所では常に近江の独自性について検証をしていますが、木村所長は「近江を歴史の視点で捉えると「金太郎あめ」である。歴史のどこを切っても近江が出てくる。」といつもお話しされますが、この日は小和田先生が戦国時代を切ってくださいました。話しは近江の守護六角氏と京極氏から始まり、織田信長、明智光秀、羽柴秀吉、石田三成、浅井三姉妹と続いていきます。姉川の合戦、小谷城陥落、賤ヶ岳の合戦、安土城築城などこの時代の重要な出来事はすべて近江が舞台となっています。
小和田先生はその内容を丁寧に解りやすく解説いただきました。その中で大河ドラマの時代考証についても触れられ、史実をいかに脚色するかという難しさを楽しく語っていただきました。
参加者の皆さんの多くは「大変勉強になりました」と満足そうでした。

報告:近江学研究所 研究員 加藤賢治

近江学研究所研究プロジェクト 仰木祭りを見学しました!

5月3日は仰木祭り本祭の日です。比叡山の麓であるという土地柄、祭りの縁起には歴史的に深い背景があります。
平安時代の半ば、摂津多田庄を本拠とする清和源氏発展の基礎をつくった源満仲が比叡山横川(よかわ)の高僧恵心僧都源信(えしんそうずげんしん)を頼って、仰木に10年間住んだといわれています。村人は満仲公を敬慕して大切にしました。やがて満仲公は仰木を去りますが、上仰木、辻ヶ下、平尾、下仰木と四ヶ村に別れ水争いが絶えないことを憂い、年に1回雨乞いの祭礼を行うことで四ヶ村が力を合わせ仲良く暮すようにと言い残したと言われています。
これが祭りの始まりとなりました。
祭りの行事の中には、満仲公が馬に乗って登場し、「芝座敷」や「馬止め」など満仲公ゆかりの祭事も行われます。
今年、近江学研究所は研究プロジェクトの2年目として、仰木に残された少し昔の暮らしを聞き取り、「仰木ふるさとカルタ」というカルタをつくろうと計画しています。研究担当は永江弘之研究員が主担で近江学研究所から大岩剛一研究員、事務局大原歩さんと私加藤が加わっています。
このプロジェクトの研究補助員として学生募集しましたとろ約10名の学生さんが登録してくれました。
これらの学生さんと、映像の実習課題として見学する映像放送コースの櫻井先生と6名の学生さんなどが加わり祭りを見学しました。

午後1時45分におごと温泉駅に集合。路線バスと徒歩で仰木へ。源満仲公の邸宅跡である「御所の山」で歴史レクチャーを私が行いました。
いよいよ、祭り本番。雄琴の千野集落も加わり、5基の御神輿が祭礼の中心である小椋神社を出発しました。
クライマックスは村を出て行こうとする満仲公を引き止めるという故事に因んだ「馬止め」、そして颯爽と馬が駆け抜ける流鏑馬が行われました。
午後8時、たいまつの明かりで神輿が小椋神社に帰ってきますと祭りは終了。12人の村の長老が提灯をもって御神輿を迎えました。
学生さんたちはここまで見学をしました。仰木を知る。昔の暮らしを知る。このお祭りを通して何かをつかんでくれたことと思います。

報告:附属近江学研究所 研究員 加藤賢治

2011-05-03T11:23:44+09:002011年5月3日|おうみブログ, 伝承|

馬見岡神社の宮座の祭礼を見学しました!

5月2日、近江国は宮座の宝庫と呼ばれています。宮座とはいわゆる村の鎮守の神様を守る人々の祭礼のことで、著名な神社仏閣の宗教行事とは異なります。
一つの村や複数の村が鎮守社を順番に当番を設けて祭礼を行います。そのかたちはそれぞれの村によって微妙にあるいは大きく異なりますが、滋賀県にはこのような祭礼が多く残っていることで知られています。
その代表的な事例の一つが馬見岡神社の祭礼で、近江八幡市の国道8号線沿いにある馬淵、千僧供、岩倉の3つの集落の郷祭です。
祭礼は4月末からすでに始まっていますが、5月2日は早朝5時から鐘と太鼓が鳴り始め、5時半には裃をまとった3集落の大人衆が馬見岡神社に集結、神事が行われました。
6時半には近くの椿神社に移り、同じく神事が行われました。この祭礼は農耕に深く関係し、椿神社の楼門の前には馬淵、千僧供、岩倉の水利権「4分・4分・2分(しぶしぶのにぶ)」を標示する敷石が設置され、村人はその敷石の間を歩くことでその水利の割合を確認するということです。
5月、近江は春祭りのピークです。明日はいよいよ地元仰木祭りの本祭の日です!楽しみです。

報告:附属近江学研究所 研究員 加藤賢治

2011-05-02T11:17:27+09:002011年5月2日|おうみブログ, 伝承|

5年に一度の祭礼 油日神社『奴振り』見学しました!

5月1日、甲賀市の油日神社で5年に一度行われる祭礼『奴振り(やっこぶり)』を見学してきました。
『奴振り』は参勤交代の大名行列で奴たちが個性的な歩き方をして見物者を魅了したことに由来し、日本全国各地の祭礼で演じられています。滋賀県でも各地で行われており、油日神社の『奴振り』は県選択無形民俗文化財に指定されています。
油日の奴振りは祭主である頭殿(とうどう)が油日神社に参内する時に従うお供の行列が原型になっており、当時地元で勢力を誇った上野、高野、相模、佐治、岩室の五氏の参内の様子がこの祭りの始まりであるといわれています。
室町時代に現在のかたちになり、明治以降は5年に一度行われています。東と西を結ぶ街道にあたるこの地域には、多くの物資と人が行き来し、豊かな文化が栄えました。今回、この『奴振り』を見学してその名残を十分に感じました。
油日神社の近くには櫟野寺(らくやじ)という天台宗の古刹があり、伝教大師が彫刻したと伝えられる十一面観音座像を特別に拝観することができました。
他にもここには約20体の平安期の仏像が収蔵されており、古代から独創的で真似できない高度な文化が根付いていたことを確信しました。

報告:附属近江学研究所 研究員 加藤賢治

2011-05-01T10:59:42+09:002011年5月1日|おうみブログ, 伝承|
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