講師:小嵜善通 (成安造形大学教授 近江学研究所研究員)
日時:2008年11月22日(土) 10:40~12:00
場所:成安造形大学 生涯学習センター

シリーズで講義いただいています「近江の画人」、三回目の今回は「狩野永徳と安土城」というタイトルで、近江学研究所研究員で日本近世絵画史がご専門の小嵜先生に今は亡き安土城の障壁画を担当した狩野派の画人、狩野永徳に光を当て文献史料を中心としながら当時を振り返っていただきました。
講義はまず、「洛中洛外図」「大徳寺聚光院方丈障壁画」「唐獅子図屏風」「檜図」など狩野永徳の仕事をスライドで紹介され、本題の安土城障壁画へと進んでいきました。
近年発見された安土城天守閣と思われる建築図面をもとに、信長の家臣が書いた一代記である『信長公記』にある安土城の天守閣の襖絵の記述を重ねて、金箔を施した襖絵がどのようにはめられていたのかを詳しく解説いただきました。
また、『丹青若木集』には安土城の襖絵の中に、三上山(通称近江富士)を描いたものがあったと書かれており、昼間は襖を開け本物の三上山を眺め、夜は襖を閉めて絵画を楽しんだと想像されると語られました。今に現存しないものであるため、残されたものをかき集めて想像するにしかたがないですが、学生たちはその想像力を十分に発揮して興味深く聞き入っていました。