おうみブログ2022-03-29T17:42:04+09:00

おうみブログ

近江学研究所研究員が、近江にまつわるさまざまな情報を発信するブログです。

大津市歴史博物館の企画展を見学しました!

11月21日(土)、講座「近江学」の学生さん対象の補講として、大津市歴史博物館の企画展を見学してきました。
企画展は「湖都大津 社寺の名宝展」と題され、大津市内10ヶ所の社寺が保有する仏像と神像を中心とした文化財を集めて開催されていました。
今回の見ものは、展示の方法。普通の展覧会であれば、社寺ごとに文化財を並べて展示するところですが、今回は仏像の種類ごとに分けて展示がされていました。いわゆる仏像というものは、○○如来、○○菩薩などというように、数え切れないほどの種類に分かれています。これは、何千巻あるといわれるお経に基づいて仏像が生まれるからといわれています。このことが仏道に入ってない我々にとっては非常に複雑でわかりにくくなっています。
そこで、今回の展示は、仏像を如来部、菩薩部、明王部、天部と4つの種類に分け、例えば如来部であれば、釈迦如来、薬師如来、阿弥陀如来など如来さんを固めて展示し、如来部に属する仏様の特徴が詳しくわかりやすく解説されるようになっています。続いて菩薩部は聖観音菩薩、弥勒菩薩、千手観音菩薩など、各社寺の菩薩部の名宝が並ぶという感じです。
今回の展覧会の図録も本学の卒業生らが仏像のイラストレーションを描いて親しみやすく編集され、大きな反響を呼んで話題となりました。残念ながら展覧会は11月23日で終了となりますが、図録は販売されますので購入できます。是非ご一読ください!
学生たちはこの展覧会を企画されました大津市歴史博物館の寺島典人学芸員の解説を受け、その後じっくり見学をしました。仏像・神像の不思議に触れ、???をたくさん感じながら、日本仏教の一端を垣間見ることができました。

報告:近江学研究所研究員 加藤賢治

2009年11月21日|Categories: おうみブログ, フィールドワーク|

比叡山延暦寺三塔を訪ねて

11月15日(日)本学教育後援会(保護者会)のOBG会である楽波会(さざなみかい)恒例の研修旅行が行われました。講師は近江学研究所研究員である私、加藤が担当させていただきました。
 9時15分JR大津京駅集合出発、参加者19名で一路比叡山へ。天候は晴れということで恵まれましたが、山頂は肌寒く感じました。
 紅葉がきれいな山頂ドライブウエイ。琵琶湖を下に眺めながら東塔地区へ向かいました。大講堂・根本中堂を拝観し、1200年の間途絶えることなく灯り続けているという不滅の法灯を見学しました。また、法然、親鸞、栄西、道元、日蓮らがこの比叡山に学んだことにも触れました。
 この研修旅行は比叡山のすべてを巡るということで昼食後、西塔→横川へと向かいました。西塔ではにない堂、仏足石、釈迦堂を見学、道中では12年籠山行や千日回峰行など厳しい比叡山での修行の話をしました。
 横川地区では元三大師良源と恵心僧都源信の思想を紹介し、横川中堂、元三大師堂、恵心院を訪ねました。日本の浄土思想の基礎をつくった源信の思想は阿弥陀信仰や地蔵信仰、また観音信仰として庶民の心を救った。また、その師である比叡山中興の祖良源はたくさんの伝説が語られ、おみくじの元祖という逸話も含めて大師信仰が今も息づいていることなど解説しました。
 成安造形大学はこのような日本仏教の母山である比叡山の麓にあり、これら高僧たちが残した深遠な思想をすぐそばで学ぶことが出来ます。最後には「昨年開設された近江学研究所もそういったものに光を当て、忘れ去られようとするものや見逃しがちな大切なものを改めて検証しようとしています」と締めくくりました。
 身近にあってわかっているようでわかっていない日本仏教の不思議に触れた楽しい時間はあっという間に過ぎ、午後3時30分JRおごと温泉駅で解散しました。
 
 報告:近江学研究所研究員 加藤賢治

2009年11月17日|Categories: おうみブログ, イベント|

近江の催し:2009年12月

2008年10月1日(水)~2010年3月31日(水)
井伊直弼と開国150年祭 開国記念館特別展
彦根城(彦根市)
日本を開国へと導いた大老・井伊直弼の功績や開国当時の様子を映像やジオラマ、パネルなどで紹介しています。

9月1日(火)~12月13日(日)
若冲ワンダーランド
MIHO MUSEUM(甲賀市)
最近新たに発見され初公開となる「象と鯨図屏風」を中心に、国内外の若冲の作品から、ワンダーランドの呼び名にふさわしい作品が展示されます。

9月19日(土)~12月13日(日)
北大路魯山人―美と食の巨人が挑んだ世界―
滋賀県立陶芸の森 陶芸館(甲賀市)
「美と食の巨人」とよばれた北大路魯山人の芸術活動の出発点となる書や篆刻をはじめ、絵画、漆芸、金工、そして同氏が最も力を注いだ陶芸作品約二百三十点が展示されます。

12月1日(火)~ 12月13日(日)
第63回 滋賀県美術展覧会
滋賀県立近代美術館(大津市)
滋賀県芸術祭の一環として開催されます。平面・立体部門と工芸・書道部門の2期に分けて展示。

11月21日(土)~2010年1月17日(日)
特別陳列 よみがえった文化財―琵琶湖文化館の収蔵品と修復の世界―
県立安土城考古博物館(安土町)
琵琶湖文化館の収蔵品を主に修復された文化財を展示。

12月6日(日)
太郎坊宮お火焚大祭
太郎坊宮(阿賀神社)(東近江市)
今年で52周年を迎えるお火焚大祭は、除災招福の神として知られる太郎坊宮(阿賀神社)の火祭りです。神道護摩としては、日本随一の規模を誇るといわれています。

12月19日(土)
鏡のとがらい祭り
鏡神社(蒲生郡竜王町)
鏡の宿で元服した源義経を偲び、子どもと老人の語りのある楽しい祭りとして今日に至ります。子ども達が鐘と太鼓を打ち鳴らし「とうがらい、まあがらい、まあがあったらとうがらい」と大声ではやしながら里内を練り歩くことから「とがらい祭り」と呼ばれます。

12月31日(木)
除夜の鐘
比叡山延暦寺(大津市)
年末年始の大行事。根本中堂の特別法話に続く鬼追いの儀式は毎年長蛇の列。除夜の鐘はゆく年くる年にも放映されている。

2009年11月16日|Categories: 近江イベントカレンダー|

京丹波町に破損仏を訪ねました

私の研究の一環で、京都府京丹波町の新宮寺というお寺にある破損仏15体を拝観してきました。
11月7日の土曜日朝7時に大津市の自宅を車で出発し、湖西道路を山科へ。山科から京都に入って五条通りを洛西へ、洛西沓掛から京都縦貫道に入り、亀岡、園部、を越えて終点まで行くと京丹波町です。約2時間弱のドライブでした。
新宮寺がある場所は京丹波町「豊田」という集落ですが地元の方は「新宮谷」と呼んでいるようです。
縦貫道終点から国道9号線を福知山方面へ進むと5分ほどで右手に九手神社という神社が見え、そこを山に向かって上がると新宮寺です。ご住職は不在でしたが、お堂を開けていただき拝観させていただきました。
新宮寺の本堂は山の中腹にありますが、そこから石段を100段ほど上がったところに不動堂があり、その堂内に目的の仏様がありました。堂内の中心仏は東寺にいらっしゃる結跏趺坐の国宝不動明王と同じ形式の不動さんです。迫力十分でした。その周りに、痛々しい破損仏が15体安置されています。四天王の一人広目天であるといわれる仏様だけはなんとなく在りし日の様子がうかがえますが、両手と頭と片腕はありません。その他の仏像に到っては、制作当時いずれの仏様であったか想像すらできませんでした。
村人の言い伝えによると、かつては街道沿いにある九手神社に神宮寺があり神仏習合の中で大切に安置されていましたが、明治はじめの廃仏毀釈によってそこから追い出され、村人たちが保管した。中には土に埋めたものもあったかもしれないとのことでしたが、それらが大正期に山中の新宮寺に移され、今このように保管されているという事でした。
この新宮寺の開山は古く、寺伝によると平安時代に遡り、白河上皇が熊野から神仏を勧進した事にはじまるといいます。地図を見ますとこの京丹波町には熊野とつく社寺名をいくつか見ることができます。
この地域は江戸時代にも宿場町として栄えていたようですが、平安時代に遡っても山陰地方と京都を結ぶ幹線道路となっており、熊野の神仏がたくさん鎮座する宗教文化圏を形成していたとも考えられます。
痛々しい仏像を目の前にして、そんな古代のロマンを感じていました。

報告:近江学研究所研究員 加藤賢治

不動堂

不動堂


不動堂への石段

不動堂への石段


新宮寺入口

新宮寺入口


新宮寺への道

新宮寺への道


丹波須知の旧街道

丹波須知の旧街道

2009年11月9日|Categories: おうみブログ, エッセイ|
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