おうみブログ

近江学研究所研究員が、近江にまつわるさまざまな情報を発信するブログです。

公開講座

「近江~四季のかたち-湖国の風景と私」公開講座報告

日時:2017年6月3日(土)10:50~12:20
場所:成安造形大学 聚英ホール
講師:中路融人氏(日本画家・日展顧問)・石丸正運氏(美術史家・名都美術館館長)
タイトル:連続公開講座「近江のかたちを明日につなぐ 近江~四季のかたち-湖国の風景と私-」

中路融人先生(右)と石丸正運先生(左)

中路融人先生(右)と石丸正運先生(左)


 6月3日土曜日、本年度の第1回目となる連続公開講座に、日本画家で滋賀県にかかわりの大変深い中路融人先生をお招きして、美術史家の石丸正運先生との対談を企画しました。
 2016年春に東近江市五個荘に中路融人記念館がオープンしたこともあり、是非にとお願いしたところ快く引き受けていただきました。また、石丸正運先生とも旧知の仲ということもあり、どのような話を聞かせていただけるのかと期待感がありました。
 当日の講座では、晩秋の湖北の畦畔木(けいはんぼく)作品から冬の湖岸の樹木作品、そして伊吹山や四季折々の京都の寺院作品をスライドに添って話が進みました。
 作品になる前の写生のあり方や自然と対峙する気持ちの有り様などの話をされ、湖国の現風景を60年余り見つめて来られた視点を共有することが出来ました。
 まさに命をかけて描き続けられた情熱と絵に対する深い愛情が時にユーモアを交えてのお話に、受講した多くの方々の感想が物語るように、この講座を受講した満足感に満ちていました。
 石丸正運先生も作品解説と作品の意味合いをお話しされ、一人の人間が成し得る仕事の深さを解説されて、それを知ることが出来た一時でした。また、中路融人先生の写生は魅力的な数多くの写生があり、その時々の感動がよく伝わりました。
 本講座のために、作品2点と写生2点を拝借し、講座の当日に特別展示をさせていただき、受講の方や学生たちに鑑賞していただきました。先生には、大変ご無理をお願いしました。ここに謹んで御礼申し上げます。
中路融人先生

中路融人先生


石丸正運先生

石丸正運先生


作品と湖国への思いを語る中路先生

作品と湖国への思いを語る中路先生


中路先生の作品について語る石丸正運先生と中路先生

中路先生の作品について語る石丸正運先生と中路先生


公開講座当日に、成安造形大学情報発信ギャラリーで中路先生の作品を展示しました。

公開講座当日に、成安造形大学情報発信ギャラリーで中路先生の作品を展示しました。

公開講座から1ヶ月半後の7月18日火曜日、突然の悲報がありました。
公開講座で湖国の四季折々の自然と絵の話を没頭されていた中路融人先生がご逝去されました。
6月3日土曜日には、とてもお元気で熱弁されていたので、大変驚愕した知らせでした。
ご生前のご厚情に深く感謝するとともに故人のご功績を偲び、心からご冥福をお祈り申し上げます。合掌
2017年7月19日
附属近江学研究所長 西久松吉雄

【講座内容】
昨年4月、東近江市五個荘町のてんびんの里文化学習センターに中路融人記念館が開館しました。中路氏の創作は、幼い頃から度々訪れた五個荘町の動植物や人々との交流が原点となり、滋賀県をくまなく歩き自然と心を通わせ、風景の四季を通じて写生し、作品にその感性を描きとめました。特に、湖北の風景の肌寒い季節の凜とした空気や水辺の潤い、土や木々の匂いを五感で感じ、その心の風景を描き続けておられます。本講座では美術史家の石丸正運氏が、湖国の風景の魅力や、画家としての感性などを中心に日本画家中路融人氏に迫ります。
【講師プロフィール】
中路融人(なかじ・ゆうじん)
1933年京都市生れ。日本画家。’52年京都市立日吉ケ丘高等学校美術科卒業。’54年晨鳥社に入塾、山口華楊に師事。現在、公益社団法人日展顧問。’62年日展「郷」、’75年日展「冬田」特選。’95年日展「輝」文部大臣賞、’97年日展「映象」日本芸術院賞、’99年五個荘町名誉町民、2001年日本芸術院会員、’12年文化功労者、’15年東近江市名誉市民。主な著書:『中路融人 湖北讃歌(新現代日本画家素描集)』(日本放送出版協会)
石丸正運(いしまる・しょううん)
1937年、富山県生れ。美術史家。’65年同志社大学大学院文学研究科修士課程修了。元滋賀県立近代美術館館長。現在、一般財団法人林美術財団名都美術館館長。2008年滋賀県文化賞受賞。’10年京都新聞大賞文化学術賞受賞。’16年平成28年度地域文化功労者表彰。おもな著書:「近江の画人たち」サンブライト出版、「文化財を楽しむために 鑑賞の手引」淡交社。その他多数。

5/27(土)近江八幡・八幡掘と城下町写生会 報告

日時:2017年5月27日(土)9:30~17:30
場所:近江八幡市 八幡堀周辺
講師:永江弘之(近江学研究所研究員)・待井健一(成安造形大学非常勤講師)
タイトル:「淡海の夢2017 近江八幡・八幡堀と城下町写生会」
今回で2回めとなる近江八幡の八幡堀周辺で、2017年度一回目の「淡海の夢」写生会を開催しました。
5月晴れで、強い日差しでしたが、風は涼しく心地よい気候のなか、リピーターの方も、初参加の方も城下町の風情ある風景のなかで思い思いの場所で写生を楽しまれました。
今回も写生会の本部として、近江八幡市の伝統的建造物群保存地区に指定されている永原町にある、江戸時代後期に建てられた築約150年の近江商人町家の奥村邸をお借りしました。
永江研究員と待井先生による講評会も奥村邸で行われ、力作ぞろいの新緑の近江八幡の風景画を講評されました。
今回の写生会で講師が描いた作品の紹介で、永江研究員は水彩絵の具の透明描写の作品を、待井先生はアクリル絵の具の不透明描写の作品を紹介され、絵の具での表現方法の違いなども解説され参加者のみなさんは興味深く聞いておられました。

近江八幡・八幡掘と城下町写生会の様子

近江八幡・八幡掘と城下町写生会の様子


近江八幡・八幡掘と城下町写生会の様子

近江八幡・八幡掘と城下町写生会の様子


近江八幡・八幡掘と城下町写生会の様子

近江八幡・八幡掘と城下町写生会の様子


近江八幡・八幡掘と城下町写生会の様子

近江八幡・八幡掘と城下町写生会の様子


講評の様子

講評の様子


講評の様子(待井先生)

講評の様子(待井先生)


講評の様子(永江先生)

講評の様子(永江先生)

近江学研究所 設立10周年記念特別公開講座 報告

日時:2017年4月22日(土)13:30~15:30
場所:びわ湖ホール 小ホール
講師:水本 邦彦 氏(歴史学者・京都府立大学名誉教授)
タイトル:「村の暮らしと道の社会史-私が見た近江学」
web_170422_近江学特別講座「村の暮らしと道の社会史−私の見た近江学」水本邦彦氏 @びわ湖ホール小ホール-90
設立10周年を迎えた本学附属近江学研究所は、これまで、公開講座の開講や文化誌「近江学」の発刊を重ね、近江が保有する豊かな歴史文化資源に焦点を当て、それらの中から21世紀にいきづく大切な価値観を探ってきました。
記念の年である今年の4月22日(土)に、びわ湖ホール・小ホールにて近江学研究所設立10周年記念特別公開講座を開講しました。
冒頭では、近江学研究所の加藤副所長が本研究所のこれまでの活動をスライドで振り返り、続いて、本研究所開設当初から客員研究員である水本邦彦先生(歴史学者・京都府立大学名誉教授)にご登壇いただき、「村の暮らしと道の社会史 ー私が見た近江学」と題してご講演いただきました。
全国各地からのやってくる多くの人々が行き交った近江の道は、一方で、地域住民の手で維持管理される地元の道でもありました。講座では、旅人の目線ではなく、街道沿いに暮らす地域住民がどのように道を整備し、旅人を迎え入れたのか、など、地元の目線で見える江戸時代の暮らしを紹介していただきました。
近江国は、琵琶湖という大きな運河(水の道)を中心として、放射状に街道が全国に伸びていくという、まさしく日本の中心地であったことがわかります。西国から東国へ、北陸から畿内へ、人々の大移動の際は、必ずこの近江を通り、様々な文化が行き交ったのです。
講座の締めくくりは、街道の国「近江」は、様々な意味において日本の中心地であるとまとめられました。

岡田学長から開会の挨拶

岡田学長から開会の挨拶


加藤副所長から近江学研究所10年の活動紹介

加藤副所長から近江学研究所10年の活動紹介


木村顧問から水本先生の紹介

木村顧問から水本先生の紹介


水本先生による講演の様子

水本先生による講演の様子


web_170422_近江学特別講座「村の暮らしと道の社会史−私の見た近江学」水本邦彦氏 @びわ湖ホール小ホール-101
西久松所長から閉会の挨拶

西久松所長から閉会の挨拶


【講座内容】
設立10周年を迎えた近江学研究所は、公開講座の開講や文化誌「近江学」の発刊を重ね、近江が保有する豊かな歴史文化資源に焦点を当て、それらの中から21世紀にいきづく大切な価値観を探ってきました。
この10周年記念講座では、冒頭で本研究所研究員がその活動を振り返り、その後、開設当初から本研究所の客員研究員である水本邦彦先生にご登壇いただきます。
参勤交代や巡礼など多くの人々が行き交った近江の道は、地域住民の手で維持・管理される地元の道でもありました。江戸時代の沿道の暮しと道との関わりについて丁寧に語っていただく中で、近江の社会や文化の特色について探ります。
【講師プロフィール】
1946年群馬県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。文学博士。京都府立大学名誉教授・長浜バイオ大学名誉教授。専攻は日本近世史。古文書に加えて、絵図や屏風絵などを活用しながら、日本近世という時空間の構造的・写実的な描写をめざしている。おもな著書『近世の村社会と国家』(東京大学出版会)『徳川の国家デザイン』(小学館)『草山の語る近世』(山川出版社)『村 百姓たちの近世』(岩波新書)他多数

2017年度公開講座申込み受付中!

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成安造形大学附属近江学研究所の2017年度公開講座の応募申込を開始しました。
2017年度は、近江学研究所設立10週年を記念し、特別講師を招聘しての特別公開講座や、連続公開講座「近江のかたちを明日につなぐ」、そして近江八幡・坂本を舞台とした写生会など多彩なラインナップとなっております。
これらの公開講座を通じて、近江が持つ特性を再発見し、見らへ向け新たな価値観の想像につながればと長っております。
お申込・詳細はこちらから
みなさまのお申込を心からお待ちしております。
《2017年度近江学研究所主催公開講座 一覧》
設立10周年記念特別公開講座
『村の暮らしと道の社会史-私が見た近江学』
4月22日(土)10:50~12:20
応募締切日:4月12日(水)必着
講師名:水本 邦彦 氏(歴史学者・京都府立大学名誉教授)
※この特別公開公開講座の会場はびわ湖ホール(小ホール)になります。
連続講座「近江のかたちを明日につなぐ」
『近江~四季のかたち-湖国の風景と私-』
6月3日(土)10:50~12:20
応募締切日:5月19日(金)必着
講師名:中路 融人 氏(日本画家)
講師名:石丸 正運 氏(美術史家・名都美術館館長)
『近江~住まうかたち‐命とつながる藁と土の家づくり‐』
9月16日(土)10:50~12:20
応募締切日:9月1日(金)必着
講師名:大岩 剛一 氏(建築家・近江学研究所客員研究員)
『近江~未来のかたち-近江のかたちを明日につなぐ-』
11月4日(土)10:50~12:20
応募締切日:10月20日(金)必着
講師名:三日月 大造 氏(滋賀県知事)
講師名:岡田  修二  (成安造形大学学長)
『近江~受け継ぐかたち-幻の銘茶、政所茶に迫る-』
11月19日(日)10:50~12:20
応募締切日:11月3日(金)必着
講師名:白木 駒治 氏(茶農家)
講師名:山形 蓮  氏(政所茶縁の会代表)
対 談:石川 亮(近江学研究所研究員)
連続講座(写生会)「淡海の夢2017」
『近江八幡・八幡堀と城下町写生会』
5月27日(土) 9:30~17:30
会場:滋賀県近江八幡市八幡堀周辺
応募締切日:5月12日(金)必着
『坂本・石垣と里坊の町写生会』
10月21日(土) 9:30~17:30
会場:滋賀県大津市坂本周辺
応募締切日:10月6日(金)必着

2017-03-13T13:49:18+09:002017年3月13日|おうみブログ, お知らせ, イベント, 公開講座|

近江学フォーラム会員限定講座 第5回 「近江の山 信仰とくらし―湖北己高山の宗教文化圏と十一面観音―」報告

日時:2016年12月10日(土)10:50~12:20
場所:成安造形大学 聚英ホール
講師:加藤 賢治(近江学研究所 副所長・研究員)
ゲスト:木村 至宏(近江学研究所 顧問)
タイトル:近江学フォーラム会員限定講座「近江の山 信仰とくらし―湖北己高山の宗教文化圏と十一面観音―」
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古代、湖北にそびえる己高山を中心として形成された宗教文化圏から湖北十一面観音像が生まれました。
木村顧問と加藤副所長が、湖北己高山を取材した過去の記録を紹介しながら、文豪井上靖の小説「星と祭」にも登場する湖北十一面観音の紹介をしながら、観音の里と呼ばれる湖北の集落に息づく観音様をスライドで巡り、その魅力を語りました。
講座の詳細は後日報告します。
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連続公開講座第4回『近江~音色のかたち-絃を作る 湖北に生きづく伝統のなりわい-』報告

日時:2016年11月19日(土)10:50~12:20
場所:成安造形大学 聚英ホール
講師:橋本 英宗 氏(丸三ハシモト株式会社 代表取締役)
コーディネーター:加藤 賢治(近江学研究所副所長・研究員)
タイトル:近江のかたちを明日につなぐ「近江~音色のかたち-絃をつくる 湖北に生きづく伝統の生業-」
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湖北木之本の地で、和楽器の絃を製造販売する「丸三ハシモト株式会社」の橋本英宗氏を講師に迎え、生糸を原料とした絃の生産技術や、プロの演奏家の要望に答える難しさなど、湖北の風土も織り交ぜながら、未来への思いも語っていただきました。
講座の詳細は後日報告します。
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近江学フォーラム会員限定講座 第4回 「近江の山 信仰とくらし―松尾寺山・霊仙山の場合―」報告

日時:2016年11月12日(土)10:50~12:20
場所:成安造形大学 聚英ホール
講師:江竜 喜之 氏(前近江地方史研究会会長)
タイトル:近江の山 信仰とくらし―松尾寺山・霊仙山の場合―

江竜喜之先生

江竜喜之先生


会員限定講座の4回目は「近江の山 信仰とくらし―松尾寺山と霊仙山―」というタイトルで、前近江地方史研究会会長の江竜善之先生にご登壇いただきました。江竜先生は、國學院大学をご卒業後、地元米原に戻られ、高等学校で教鞭をとりながら、地元の歴史、民俗について研究を続けてこられました。
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この日の講座は、霊仙山と霊山寺、山岳信仰と修験道、霊仙山の雨乞い信仰、松尾寺の歴史と信仰という、米原という地域に根付いた祭礼や信仰に関する4つの項目について語っていただきました。歴史的文献と、地域の伝承など、手元の資料に基づいて詳しく紹介され、山と人々との密接なくらしのかたちを理解することができました。
研究の傍ら、地元米原市下丹に継承されている祭礼や信仰を担われ、学者としての客観的な視点と、実際に祭礼に関わっておられる主観的な視点と両方の目で、伝統的な祭礼を分析されているという非常に興味深い講座となりました。
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連続公開講座第3回『近江~水の恵みのかたち-水郷を活かした農の里づくり-』報告

日時:2016年10月22日(土)10:50~12:20
場所:成安造形大学 聚英ホール
講師:大西 實 氏(権座・水郷を守り育てる会事務局長、近江八幡市島学区まちづくり協議会事務局長)
タイトル:連続講座「近江のかたちを明日につなぐ」『近江~水の恵みのかたち-水郷を活かした農の里づくり-』

講師 大西實氏

講師 大西實氏


今回の公開講座は、近江八幡市白王町から水郷地域の農と文化を次世代へ繋ぐ活動を長年にわたって取り組まれている大西實さんにご登壇いただきました。
大西さんは、かつて近江八幡の文化行政に携わる職員であった頃に、国の重要文化的景観の認定に向けて奔走され、めでたく平成18年に日本で初めて「近江八幡の水郷」が第一号として選定されました。講座ではその時の苦労話から始まり、西の湖に浮かぶ田地である「権座(ごんざ)」での農業や、地域活性化の取り組みについて、わかりやすく話をしていただきました。

重要文化的景観の認定に向けての取り組みとして、有識者を招いて地元の人々と交流するワークショップを数回開催した時、地元の人たちが「農業を続けていくことが実は大切な景観を守っていくことにつながっている」「自分たちの先祖がつないできた生業(農業)を継承している」という自覚が生まれ、農業を続けることに対する新しい価値観が生まれたという貴重な取り組みが紹介されました。そして、これらの取り組みを続ける中で、最近、白王町に若者がもどって来て子育てをしてくれているという嬉しい現状も話されました。
また、最後には大西さんが大切にされている「ロマンとそろばん、仲間との楽しい農業が明日を拓く」という言葉について話され、ボランティアでのイベント運営(ロマン)を継続させるには、ある程度の安定した収入源(そろばん)も必要であると強調されました。

【講師プロフィール】
大西 實 氏(権座・水郷を守り育てる会事務局長、近江八幡市島学区まちづくり協議会事務局長)
1955年滋賀県近江八幡市生まれ、県立八幡工業高校卒業、近江八幡市役所勤務(1973~2013)この間、文化振興課長時代に、近江八幡市の水郷地帯を重要文化的景観の選定(全国第一号)にむけて地元説明に奔走する。現在、地元島学区まちづくり協議会事務局へ勤務(事務局長)しながら、白王町の集落営農活動や権座・水郷を守る会の活動を続けている。
私のモットー「ロマンとそろばん、仲間との楽しい農業が明日を拓く」

淡海の夢2016 近江八幡・八幡堀と城下町写生会 報告

日時:2016年10月15日(土)
場所:近江八幡市八幡堀周辺
講師:永江弘之(本学イラストレーション領域教授・近江学研究所研究員)
講師:待井健一(本学非常勤講師)
タイトル:淡海の夢2016 近江八幡・八幡堀と城下町写生会
 「淡海の夢」の写生会では、近江八幡市の八幡堀での写生会開催は今回が初めてです。
 10月としては暑いくらいの良い気候のなか、参加された方々は、八幡堀の水郷を中心に城下町の雰囲気が色濃く残る近江商人屋敷や商店の町並みの写生を楽しまれました。
 今回、写生会の本部として、近江八幡市の伝統的建造物群保存地区に指定されている永原町にある、江戸時代後期に建てられた築約150年の近江商人町家の奥村邸をお借りしました。永江研究員と待井先生による講評会も奥村邸で行われ、町家の庭園が見える縁側がある部屋での講評会は、近江商人町家の雰囲気を楽しみながら和やかに行われました。
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築約150年の近江商人町家「奥村邸」での講評会

築約150年の近江商人町家「奥村邸」での講評会


講評をする永江研究員(左)と待井先生(右)

講評をする永江研究員(左)と待井先生(右)

連続公開講座第2回「写真家・寿福滋 私が見る近江の今と未来」報告

日時:2016年9月17日(土)10:50~12:20
場所:成安造形大学 聚英ホール
講師:寿福 滋 氏(写真家)
タイトル:連続講座「近江のかたちを明日につなぐ」『近江~風土のかたち-写真家・寿福滋 私が見る近江の今と未来-』

写真スタジオのセットのような会場。寿福滋先生の作品が並びます。

写真スタジオのセットのような会場。寿福滋先生の作品が並びます。


今年度2回目の連続公開講座「近江のかたちを明日につなぐ」は写真家の寿福滋先生にご登壇いただきました。
近江の風土をこよなく愛する寿福先生の写真は、当研究所が発刊する文化誌「近江学」の創刊号から第8号の最新号まで、数多く掲載され、魅力ある文化誌の編集に大きく寄与していただいております。
この日は、講演者として登壇いただき、寿福滋の写真の世界をじっくりと語っていただきました。
講師 寿福滋氏

講師 寿福滋氏


寿福先生は、以前から光の当て方によって影が動き、被写体の表情が大きく変わることに興味を持たれ、仏像を中心としながら、様々な角度から撮影されてきました。講座の冒頭では、光を上からと下からと当てる場合に被写体の形が様々に変化する事例を紹介されながら、朝日と夕日によって異なる素晴らしい近江の風景も解説いただきました。数多く体験された撮影現場での撮影秘話や、星の位置と神様の関係などにも触れられ、多様な感性を持たれた写真家としての一面も伺うことができました。
光によって被写体の見え方が変わる

光によって被写体の見え方が変わる


後半は、今まで撮り続けてこられた近江の風景の中でも寿福先生のお気に入りの作品を時間が許す限りご紹介いただきました。
講座の最後には、ライフワークとして長年取材を続けておられる、日本版「シンドラーのリスト」と呼ばれた杉原千畝の話に及び、リトアニアで日本への通過ビザを発給し続け、多くのユダヤ人の命を救った業績を紹介され、次週から横浜市歴史博物館で開催される「杉原千畝と命のビザ」という展覧会に関する写真の一部をご披露
いただきました。
光と影を追い続け、早朝から深夜に及ぶ撮影作業を続けてこられた写真家寿福滋先生の業績を充分に知ることができ、同時に近江の風土の深さと美しさを再認識できました。
木村至宏 本研究所顧問から講師の紹介

木村至宏 本研究所顧問から講師の紹介


【講師プロフィール】
寿福 滋 氏(写真家)
1953年神戸市生れ。中学生の頃、埋蔵文化財に興味を持ち、その後文化財カメラマンをめざし、森昭氏に師事。関西を中心に美術・文化財、風景写真を専門に撮影。大塚遺跡(横浜市)、平等院庭園(宇治市)、雪野山古墳(東近江市)、市町村史等の撮影多数。滋賀の風土を記憶するとともに、ライフワークとして杉原千畝の取材を続けている。著書に『杉原千畝と命のビザ』(サンライズ出版)、『京都・滋賀 かくれ里を行く』(滋賀の写真撮影、淡交社)、『近江の祈りと美』(サンライズ出版)などがある。2011年滋賀県文化賞受賞。
【関連企画・展覧会】
近江のかたちを明日につなぐ展Vol.6 「写真家・寿福滋 私が見る近江」

会期:9月12日(月)〜9月30日(金)10:00~17:00
休館日:日曜
会場:成安造形大学 聚英館1階 情報発信ギャラリー
主催:附属近江学研究所
協力:キャンパスが美術館
概要:近江学研究所発行の文化誌『近江学』の表紙をはじめ多くの写真を提供していただいている写真家・寿福滋氏。
文化財の撮影が専門で、かつ、近江の美しい風景も数多く撮影されています。
今回の展覧会では、写真家・寿福氏の視点からみた近江の作品をご覧いただきます。

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