松浦俊和氏:2014近江学フォーラム会員限定講座 第3回
日時:2014年9月27日(土)10:40~12:10
場所:成安造形大学 聚英館3階 聚英ホール
講師:松浦 俊和氏(大津市埋蔵文化財調査センター長)
タイトル:「古代寺院跡を探る」
今年3回目のフォーラム会員限定講座が9月27日(土)に開催されました。
今回は、近江の仏教文化をテーマとして「古代寺院跡を探る」と題し大津市埋蔵文化財調査センター長の松浦俊和先生にご登壇いただきました。
講義は、発掘された寺院の瓦のデザインをもとに、古代寺院の歴史をひもとくという大変興味深いものでした。
当時の寺院建築に使用された軒丸瓦は、中央の円形部分に蓮の花びらをモティーフとしたデザインが施され、花びらが単弁のものは渡来系氏族の、復弁のものは朝廷の支配下にある官寺であるといわれている。特に大津の寺院跡には単弁のものが多く出土するため、大友氏をはじめとする渡来系氏族の力が強かったことがうかがえる。南志賀廃寺には、蓮の花を横から見た「サソリ型」と呼ばれる特殊なデザインの瓦が出土し、この地域のみの特徴を示しているなど、詳しい解説がありました。
また、壬申の乱の大海人皇子軍が動いた後の遺跡に藤原宮式という特徴を持つ瓦が出土するという興味深い事例も紹介されました。この日の講義は16ページに及ぶ丁寧な資料をもとにわかりやすく近江の仏教に基づく古代史を解説いただきました。