今森光彦氏:特別公開講座「ニッポンの里山」開講

日時:2013年6月15日(土)10:40~12:10
場所:成安造形大学 聚英館3階 聚英ホール
講師:今森 光彦氏 (写真家・本学客員教授)
タイトル:「ニッポンの里山」

満席の熱気ある会場

満席の熱気ある会場


 6月15日(土)、特別公開講座「ニッポンの里山」と題して、写真家として国際的に活躍される今森光彦本学客員教授に登壇いただきました。
 今森教授は都市と手つかずの自然空間との中間点に人間と自然が共存するエリアが存在し、それを「里山」と概念づけて長年にわたり研究を続けてこられました。その里山の代表とも言える仰木にアトリエを構えられ、1995年に新潮社から出版された「里山物語」という写真集によって「里山」が世界から注目されるようになりました。
今森光彦氏

今森光彦氏


 近年は、NHKとの共同プロジェクトとして、日本各地にある全国の里山を訪ねる番組「ニッポンの里山 ふるさとの絶景に出会う旅」を監修され、人と生き物が共存する「里山」を美しい映像で紹介されています。
今回の特別公開講座では、今森教授が取材された全国の里山の中から特に興味を持たれた20ヶ所について、写真を中心に解説されました。
 屋久島の杉や阿蘇の放牧、新潟十日町の棚田、伊勢の神域である照葉樹林など、全国的に知られる里山を中心に絶景ポイントが紹介され、撮影時の貴重なエピソードなども織り込みながら、これらの風景を残すための努力も必要であるなど、環境保護の問題点も指摘されました。
 会場内に映し出された美しい映像は、今森教授が撮影された未公開のもので、映像が変わるたびに会場から歓声とも聞こえるどよめきがおこりました。
今森光彦氏

今森光彦氏


 
 里山は人ともに多様な生物を育む環境を備えた持続可能な空間であり、単なる美しさだけでなく、その機能を十分に理解した上で、次世代に継承していかねばならないと改めて感じました。
報告:附属近江学研究所研究員 加藤賢治
《新聞記事に掲載されました》
【びわ湖大津経済新聞】写真家・今森光彦さんが公開講座「ニッポンの里山」-成安造形大学で >>記事はこちらから
今森氏が取材に関わっているNHK番組 「ニッポンの里山」については>>>こちらから
今森光彦氏の最近の取り組み・展覧会については>>>「今森光彦ワールド」から

公開講座「近江のかたちを明日につなぐ」第1弾を開講しました。

日時:2013年5月11日(土)10:40~12:10
場所:成安造形大学 聚英館3階 聚英ホール
講師:遠藤 仁兵衛氏 (和菓子処藤屋内匠十三代目店主)
対談:加藤 賢治(本研究所研究員)
タイトル:「食のかたち~和菓子処 藤屋内匠」

本日、附属近江学研究所主催の「近江のかたちを明日につなぐ」をテーマに
連続講座の第一回目として「食のかたち~和菓子処 藤屋内匠」を開講しました。
創業寛文元年(1661)、近江八景や大津絵をかたどった落雁(らくがん)という伝統ある銘菓をつくり続ける和菓子処藤屋内匠の十三代目店主遠藤仁兵衛氏をお迎えし、本研究所の加藤賢治研究員と対談いただきました。

遠藤仁兵衛氏

遠藤仁兵衛氏


遠藤さんからのご厚意で、まんじゅう・干菓子・サブレセットが配られ、藤屋内匠での和菓子の変遷を学ぶことができました。

また、藤屋内匠の歴史、製菓方法や素材について、実演を交えながら伝統の技術を学ぶことができ、充実した講座となりました。
加藤賢治研究員 と 実演を行う遠藤夫妻

加藤賢治研究員 と 実演を行う遠藤夫妻


帰りには、実演したしおみまんじゅう、さつきを模した和菓子、焼き菓子をお土産に頂きました。
また、後日詳しいご報告を、ブログで行います。

特別公開講座『琵琶湖の景観』を開講しました。


日時:2013年4月27日(土)10:40~12:10
場所:成安造形大学 聚英館3階 聚英ホール
講師:金田 章裕 氏
タイトル:「琵琶湖の景観 〜水辺の文化的景観をめぐって〜」

金田先生のご紹介をする木村所長

金田先生のご紹介をする木村所長


 琵琶湖とそれを取り囲む山々という豊かな自然環境や千年を超える歴史文化を有する近江には景観をめぐって様々な取り組みが行なわれています。
 この日は、『文化的景観—生活となりわいの物語』の執筆者で人間文化研究機構・機構長で前京都大学副学長の金田章裕先生に近江の景観について語っていただきました。


 講演では、先ず近世の「近江八景」が水辺の風景として先駆的であったという話から始まり、2005年の景観法の試行、文化財保護法の改正のことなど、最近の景観についての捉え方を解説いただきました。そして、地域において人々の生活や生業、風土等が織り込まれた文化景観を重要文化的景観として、2006年に日本で始めて滋賀県の「近江八幡の水郷」が選定されたことなどが紹介されました。
 全国に35ヶ所ある重要文化的景観をスライドで紹介され、最後に沖縄県「竹富島」の「(土地)を売らない、汚さない、(美観を)乱さない、(集落景観、美しい自然を)壊さない、(伝統的祭事行事を)生かす」という住民によって主体的につくられた「竹富島憲章」について話され、「重要文化的景観をつくり、継承していくためにはそこに暮らす多くの人々の思いが一つにならなければならない」と熱く語られました。
 滋賀県には水辺に暮らす人々が祭礼とともに守り続けてきた文化的景観がたくさんあります。金田先生から様々なキーワードをいただき、それぞれの地域で暮らしに息づく景観が意識され、そこに暮らす人々が協力して景観を守ろうとする時、かけがえのない風景が後世に残されるのだと実感しました。
報告:近江学研究所 研究員 加藤賢治

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