近江学フォーラム会員限定講座「まつりから見た近江の民俗史」開講しました。
講座名 まつりから見た近江の民俗史
日 時 平成22年4月24日(土) 10:40~12:00
場 所 成安造形大学 聚英館三階 聚英ホール
講 師 米田実(日本民俗学会 会員)
4月24日(土)、近江学フォーラム会員限定講座の1回目の講座が「祭りから見た近江の民俗史」というタイトルで開講されました。
講師は日本民俗学会会員の米田実先生です。講義はまず、歴史学や考古学では語りきれない民俗伝承とは何かという話から始まり、近江の祭り、祭礼の特徴が多くの事例を通して解説されました。「祭礼には風流(ふりゅう)というものがあり、京都においては常に新しい趣向を凝らした奇抜な見世物が行なわれた。近江はその京都での風流をすぐに取り入れるが、そこからは変わらずその伝統を継承していくという特徴がある。したがって近江各地の祭礼を見ると、曳山や太鼓踊り、大松明など京都でそれぞれの時代に流行した祭礼の断片を知ることができる。」など、事例の一つが紹介されました。
また、講義の最後には、「近江は祭りや宮座の宝庫であるとしながら、速い速度でそれらが消えかかっている。今の時代に合わない祭礼を継承することの難しさは、これらを調査する中で常に感じ、問題意識を持っている。」と民俗伝承の保存という難題を訴えられました。
今に残されたものを検証し、新たな未来の価値観を生み出そうとしている近江学研究所にとって、今回の講義は大きな課題提起とそれを乗越えるたくさんのヒントを与えていただいたように思いました。
報告:近江学研究所研究員 加藤賢治