おうみブログ
近江学研究所研究員が、近江にまつわるさまざまな情報を発信するブログです。
フィールドワーク
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フィールドワーク
10月17日(土)近江学フォーラム現地研修-湖北 観音の里めぐり-を実施しました。バスでの現地研修。午前8時45分JRおごと温泉集合。木村至宏近江学研究所所長の車内での講演が始まり、一路湖北へと出発しました。木村所長のガイドは快調!いつものわかりやすく楽しい解説で、白洲正子がたどった湖西路を進み観音の里へ。
湖北の観音様は重要文化財のものを含め美しい仏像がたくさんあることで全国的に著名ですが、今回の研修は、村人が輪番で村のお堂をお守りするという、そういう形式を今に伝える集落にしぼって4つのお堂を訪ねました。
石道(いしみち)という集落にある石道寺(しゃくどうじ)では、湖北の観音の里を舞台とした井上靖の名著『星と祭』の一節を木村所長が朗読され、作家が見る十一面観音の「美」を語られました。あいにくの曇天で一時的に激しい雨がこのタイミングで降りましたが、堂内に響く雨音は水の神様である十一面観音のBGMとなり、すがすがしく心地の良いものとなりました。
現地研修ということで湖北に観音が多い理由や時代とともに変化する仏像の形式のことなど、日本美術史を専門とする小嵜研究員による詳しい解説もあり、40名のフォーラム会員参加者の目は真剣そのものでした。
木村所長は「お堂の観音様の姿は今後も変わることはありませんが、それを拝観する皆さんの心は変化しています。機会があれば何度でもこの湖北の観音様を訪ねてください」と現地研修を締めくくられました。
午後3時半、雨もあがり少し晴れ間が見える湖北の琵琶湖。竹生島を車窓に見ながら帰途に着きました。
次年度の研修の企画を考えながら・・・。
報告:近江学研究所 研究員 加藤賢治
7月19日(日)「仰木森林学」の2回目の授業が行われました!
今回の授業は前回の授業と場所は変わり、大久保と呼ばれる山林で作業しました。
今回の間伐は前回よりもヒノキが大きく育っており、木が倒れる時に地響きが大きく鳴り迫力がありました。伐採した木を2メートル間隔で切断し、「引っ張りだこ」という機械で山から林道に降ろしました。それらの木材をトラックに載せ、次回の木工作業を行うおごと温泉駅近くの工務店の作業場に運びました。
作業が一段落した後、午後12時に上仰木・辻ヶ下森林組合員と参加学生は上仰木自治会館へ。昼食をとり、午後から1時間あまり「森林塾」と銘打って、いつもご指導いただいています滋賀県の森林整備事務所の職員さんから森林を守るという県の事業についての解説をいただきました。その中で、少しでも森林に親しんでもらうための取組として、簡単な木工アクセサリー作りを紹介していただき、参加者は楽しく山桜の小枝を使ったアクセサリー作りをしました。
次回はいよいよ間伐材を利用した木工作業です。椅子、棚、テーブルなんでも作ることができます。楽しみです。
報告:近江学研究所研究員 加藤賢治
7月12日(日)に近江学研究所所長の木村至宏先生が担当する芸術文化特論(民俗学概論)の授業の一環で、堅田フィールドワークを行いました。
研究所研究員の加藤も同行し、木村先生とともに約3時間、堅田のすべてを徒歩で巡りました。JR堅田駅に集合し、早速駅前の志賀廼家淡海顕彰碑を解説。堅田出身の喜劇役者(松竹新喜劇)を紹介しました。次にスポーツクラブコジャックビルを訪ねかつて江若鉄道の堅田駅であったことを説明、実業家ヴォーリズの建築として有名な日本基督教団堅田教会、恵心僧都源信の創建と伝えられる堅田満月寺浮御堂、湖族の郷資料館、浄土真宗蓮如上人旧跡である本福寺、堅田源兵衛の首の伝承で知られる光徳寺、中世堅田宮座の中心地伊豆神社、近江を愛した松尾芭蕉を偲ぶ記念碑(十六夜の弁)、今も多くの湖魚の水揚げがある堅田漁港、琵琶湖の最狭部にある琵琶湖唯一の灯台「出島(でけじま)の灯台」、そして新田義貞の妻、勾当内侍(こうとうのないし)の墓があり、その悲しい伝承が今も神事として伝わる野神神社を順に訪ねました。
梅雨の合間、蒸暑い中10ヶ所に及ぶ堅田の民俗ポイントを巡りました。木村先生の万歩計はこの3時間で1万歩を超えました。参加した学生たちはさすがに疲れ気味なところもありましたが、中世から近世にかけて、湖上交通の要衝であったため多くの人たちがここを往来し、恵心僧都源信、蓮如上人、松尾芭蕉、勾当内侍など歴史上の人物が登場する数え切れない伝承が今に伝えられているということを体感し、満足そうに帰途につきました。
歴史文化の薫り高い湖族の郷「堅田」を満喫した一日となりました。
報告者:近江学研究所研究員 加藤賢治
浮御堂で芭蕉の句碑についての解説を熱心に聞く学生たち
6月14日(日)「仰木森林学」の授業が行われました!
この授業は成安造形大学の地元仰木地区の山林を整備する事業に本学の学生さんが授業の一環として取り組むものです。
今から40年前に仰木村の村有であった山林を守るため、上仰木地区と辻ヶ下地区の住民が上仰木・辻ヶ下生産森林組合を組織し、自分たちの山を守る活動を始められました。組合員は現在303名、65haの山林を保全する活動が行われています。4年前から大学もその活動に参加させていただき、現在は授業の一環としてまた近江学研究所の活動として取り組んでいます。
授業としての初日にあたる14日は8名の学生が参加しました。おごと温泉駅を9時に集合し、組合員のお迎えを受けて山林へ。当日参加の約30名の組合員とともに初めの1時間半は山を体感するため、森林組合が保有する山林をトレッキングしました。休憩の後、村の長老さんから興味深い昔の山入り(50年前の村の保全活動)の話を聞きながらお弁当をいただき、そのあと滋賀県の山林保全指導員の間伐と枝打ちの解説を受けて、いよいよ保全活動へ。
初めて使う枝打ちのためののこぎりや間伐のためのチェエンソーを緊張しながら握り、約2時間、山に入りました。
午後2時半に終了。体験した学生さんからは「はじめ木々がうっそうとして暗かった森林が、間伐によって見る見る明るくなりおどろいた」「森林を守る大切さを実際にやってみて実感しました」などの感想が聞けました。帰りには組合員の方々から仰木の棚田米をお土産にいただき学生たちは満足そうに帰途につきました。天気にも恵まれすがすがしい気持ちになれた一日でした。
この取組は、このあと間伐材を利用し、地元の大工さんの指導を受けて本棚や椅子などの木工品を作る活動や、山林の斜面を測量する活動などを行う予定です。
またご報告します。
報告:近江学研究所研究員 加藤賢治
プロジェクト科目「仰木学入門」の3回目の授業が行われました。
残念ながらの雨の中でしたが、授業の登録者12名が参加して、「平尾 里山・棚田守り人の会」が主催する棚田での田植えを行いました。
田植えは有名な仰木の馬蹄形の棚田がある場所で行われ、後ろに比叡山を見ながらという絶好のロケーションでした。今日はあいにくの雨でしたが、山肌に雲が立ち込め水墨画のような神秘的な風景も見られました。
学生たちは長靴も用意していましたが、気づけばみんな素足で田んぼに入ってました。始めは「きもちわるい~」と悲鳴をあげていましたが、10分ほどで慣れたようで、成安造形大学担当の田は午前中に終了。他の市民参加者の田をお手伝いしていました。
ほとんどの学生が田植えは初めてでしたが、土のにおいや棚田の造形美も体感し、棚田を守っていくというこの活動に参加して、いろいろな感想をもったようです。
次回の稲刈りが楽しみです。すくすく育ってくれますように・・・。
報告者:近江学研究所研究員 加藤賢治
5月3日(日)好天の中、午後1時40分JRおごと温泉駅に集合。プロジェクト科目仰木学入門の第2回目の授業として泥田祭りを見学しました。
参加者は仰木学入門の受講生を加え、飛び入りの学生、研究生も含めて学生が19名、そしてこの授業の担当者であるデザイン科小林はくどう教授、同じくデザイン科永江弘之准教授、蔭山歩特別講師と私の4名が引率しました。
バスで新興住宅街仰木の里の外れまで行き、そこから徒歩で山手にある旧仰木の村落に向かいました。30分ほど歩いた後、現地に到着。まず学生たちはなぜこの祭りが行われるようになったか、また、仰木地区の4つの部落が関るこの祭りの意義は何かなどのレクチャーを聞き、このフィールドワークの方法とタイムスケジュールを理解しました。
そして祭り本番。1000年を超える歴史を持つ小椋神社の古式祭典である泥田祭り。この祭りは規模が大きく華やかな祭りではありませんが、村人による村人のための大切に守られてきた祭礼です。学生たちはその祭りを十分観察し、ものづくりに活かせるような何かを感じてくれたと思います。祭りは神輿が神社に還御する午後8時までつづき、さすがに疲れた様子もありましたが学生たちは満足そうに帰途に着きました。
報告者:近江学研究所研究員 加藤賢治
仰木学入門始まる!
近江学研究所が関わって開講されるプロジェクト科目「仰木学入門」が昨年に引き続き4月18日から始まりました。
成安造形大学が位置する仰木の集落をフィールドワークし、地域の人たちと交流しながら、田植えや稲刈も体験します。
18日は午前中平尾の自治会館で棚田オーナーの説明会に出席し、田植えの準備をし、午後は小椋神社を中心に神様と生活する神秘的な村落をフィールドワークしました。
ものづくりを専門とする学生さんたちにこの授業は大切な経験を提供します。村の古式祭礼を体感しながら見えない大切なものが発見できるかな・・・?
報告:近江学研究所 研究員 加藤賢治
10月18日、19日の両日、仰木小椋神社1150年式年祭に際し、成安造形大学附属近江学研究所が研究の一環として環境デザイン、イラストレーション、芸術文化デザインの各クラスの学生とともに「仰木の伝説」について取り組みました。
学生は「仰木の伝説」という私のレクチャーを受講し、7つの伝説の内容はもちろんですが、伝説が果たす役割やその地域にとっての重要性を学びました。その上で、環境デザインクラスは琵琶湖のヨシを素材として灯りのモニュメントを制作し、イラストレーションクラスの学生は各々が持つインスピレーションと表現力を活かして絵画を描きました。芸術文化デザインクラスの学生はその絵画をコンピュータに取り込み出力してパネル展示ができるようデザインしました。
両日ともお祭りということで、小椋神社の境内はたくさんの地域の方々で埋まり、にぎわっていました。近江学研究所の展示にも興味を持たれ、紹介した伝説をすべてご存知という方から仰木に長く暮らしていますがまったく知りませんとおっしゃる方などいろいろとご感想が聞けました。ヨシのモニュメントも夜間はライトが点灯され、境内に続く参道を神秘的に演出していました。
これらの取り組も新たな「仰木の伝説」のひとつにならないかと期待しています。また、地域学研究のひとつとしてさらに研究を深め、その成果を地域に還元していきたいと考えています。