おうみブログ

近江学研究所研究員が、近江にまつわるさまざまな情報を発信するブログです。

イベント

淡海の夢2016 近江八幡・八幡堀と城下町写生会 報告

日時:2016年10月15日(土)
場所:近江八幡市八幡堀周辺
講師:永江弘之(本学イラストレーション領域教授・近江学研究所研究員)
講師:待井健一(本学非常勤講師)
タイトル:淡海の夢2016 近江八幡・八幡堀と城下町写生会
 「淡海の夢」の写生会では、近江八幡市の八幡堀での写生会開催は今回が初めてです。
 10月としては暑いくらいの良い気候のなか、参加された方々は、八幡堀の水郷を中心に城下町の雰囲気が色濃く残る近江商人屋敷や商店の町並みの写生を楽しまれました。
 今回、写生会の本部として、近江八幡市の伝統的建造物群保存地区に指定されている永原町にある、江戸時代後期に建てられた築約150年の近江商人町家の奥村邸をお借りしました。永江研究員と待井先生による講評会も奥村邸で行われ、町家の庭園が見える縁側がある部屋での講評会は、近江商人町家の雰囲気を楽しみながら和やかに行われました。
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築約150年の近江商人町家「奥村邸」での講評会

築約150年の近江商人町家「奥村邸」での講評会


講評をする永江研究員(左)と待井先生(右)

講評をする永江研究員(左)と待井先生(右)

第8回近江学フォーラム 現地研修「綿向山の麓・日野を訪ねて」報告

パンフレット

パンフレット


平成28年10月1日(土)に、第8回近江学フォーラム 現地研修「綿向山の麓・日野を訪ねて」を開催しました。
近江学フォーラム会員のみなさん72名、スタッフ11名が参加しました。天候が心配されましたが、朝には雨が止み、晴れ間が出る研修日和の一日となりました。
ご参加いただいたみなさま、ご協力いただいた地域のみなさまありがとうございました。
《西久松所長ご挨拶》
本年度は「近江の山 信仰とくらし」をテーマに講座等を開講しています。今回の現地研修も8回目を迎えることができました。これも皆様の日頃の当研究所への温かいご厚情の賜物と厚く御礼申し上げます。本日は綿向山の麓、日野町の趣のある町並みや古社を訪ね、信楽院の天井画等を巡り、信仰とくらしを体感したいと思います。家屋の耐震化が取り沙汰される時代でもあり、また自然環境や気候の変動の中で、日本の風土に適した建物や文化を再考する機会になるのではと思います。(西久松)
■馬見岡綿向神社
もとは、綿向山(1110m)の頂上に鎮座していたが、蒲生氏が城下町を開いてから現在地に移され、湖東の大宮として信仰を集めた。山頂から2羽の雁が飛んできて消えたのを見て、村人たちが神が降りてきたと思い、山麓に社を建てたという話が残っており、このことから「二羽雁」が神紋(しんもん)となっている。壮大な境内には、拝殿や本殿をはじめ、江戸時代に日野商人が寄進したという立派な石灯籠(いしどうろう)や石橋がある。
馬見岡綿向神社に参拝 撮影:津田睦美

馬見岡綿向神社に参拝 撮影:津田睦美


現地研修スタート 木村顧問からご挨拶 撮影:津田睦美

現地研修スタート木村顧問からご挨拶
撮影:津田睦美


吉村研究員 絵馬の解説

吉村研究員 絵馬の解説


■信楽院
浄土宗寺院。奈良時代前期、聖武天皇の勅建と伝えられている。中世にこの地方を統治していた蒲生氏の菩提寺であり、安土・桃山時代に現在地に移された。境内には県指定の文化財の本堂や書院などがあり、寺宝に、伝恵心(でんえしん)作の観音像がある。本堂の天井には、日野町出身の著名な日本画家高田敬輔作の「雲竜(うんりゅう)」を中心に描かれた縦横11mの見事な水墨画があり、墓地には蒲生氏郷の遺髪塔がある。
信楽院では、小嵜研究員の解説を聞きながら雲竜図を拝観 撮影:津田睦美

信楽院では、小嵜研究員の解説を聞きながら雲竜図を拝観 撮影:津田睦美


日本画家高田敬輔のお墓をお参り 撮影:津田睦美

日本画家高田敬輔のお墓をお参り 撮影:津田睦美


■近江日野商人ふるさと館(旧山中正吉邸)
山中正吉家は山中兵右衛門家(現近江日野商人館)の分家で、初代正吉は1809(文化6年)に生まれた。初代正吉は、1831(天保2年)に大間村(静岡県富士宮市)で醸造業を始め、その後、造り酒屋として財をなした。また庭園には仁正寺藩主拝領の梅古木をはじめ、近江の石工小松嘉兵衛(西村嘉兵衛)作の燈篭などが据えられ、商人の暮らしぶり、繁栄を感じることができる。
岡井先生による日野商人のレクチャーを受けました

岡井先生による日野商人のレクチャーを受けました


ふるさと館シアタールーム 撮影:津田睦美

ふるさと館シアタールーム
撮影:津田睦美


ふるさと館から桟敷窓をのぞく

ふるさと館から桟敷窓をのぞく
撮影:津田睦美


■歴史民俗資料館「近江日野商人館」(旧山中兵右衛門邸)
近江日野商人の山中兵右衛門邸を資料館として、近江商人が使っていた小物、歴史を感じるものを展示されている。
日野商人館で説明を真剣に聞く会員のみなさん

日野商人館で説明を真剣に聞く会員のみなさん


■昼食 グリーンホテル日野
綿向山を望みながら日野の郷土料理をいただきました。
昼食後、木村顧問のミニレクチャー 撮影:津田睦美

昼食後、木村顧問のミニレクチャー
撮影:津田睦美


■御上神社
近江富士と呼ばれる三上山の麓に位置する。祭神は天御影之神。この神が三上山に降臨したのを祀ったのが始まりといわれている。楼門をくぐると優雅な拝殿、千木のそびえる本殿、その左右に若宮社・三宮社が並んで建っている。特に本殿は県下神社建築の国宝の第一号であり、約700年前のもので、神社・仏堂・御殿の3様式が合成された御上造とよばれる建築様式をしている。
御上神社 拝殿と本殿を拝観

御上神社 拝殿と本殿を拝観


西久松所長よりお礼のご挨拶

西久松所長よりお礼のご挨拶

近江学フォーラム会員限定講座 第3回 「綿向山と祭礼~日野祭を中心に~」報告

日時:2016年9月24日(土)10:50~12:20
場所:成安造形大学 聚英ホール
講師:岡井 健司 氏(日野町教育委員会生涯学習課歴史文化財担当主任)
タイトル:綿向山と祭礼~日野祭を中心に~

講師 岡井健司氏

講師 岡井健司氏


今回の会員限定講座は、10月1日に開催する現地研修の事前学習として、日野町教育委員会の文化財担当主任である岡井健司先生にご登壇いただきました。
岡井先生は、大学院修了後、日野町史編纂に長年携わられ、10年ほど前から日野の城下町に在住。現在は日野祭に参加され、その文化の継承を実践されています。
 講座では、まず日野町の歴史や、自然の紹介から始まり、中盤は、仏教文化や、大岳神社の式年遷宮、そして後半に日野祭りの特徴についてという流れで、わかりやすく解説をしていただきました。

 馬見岡綿向神社の氏子による祭礼である日野祭りは、本来は神輿が氏子町を練り歩くものであるが、近江商人の中でも関東地方に商圏を持った日野商人の財力によって豪華な曳山が登場し、最大16基が綿向神社に集結する。また、その曳山の巡行を桟敷窓から眺める風情や、関東秩父のお囃子のリズムが取り入れられ勢い良く演奏されるお囃子の話などが語られました。
 最後に日野商人ふるさと館(旧山中正吉邸)でもてなされる鯛そうめんなどの祭り料理が紹介され、日野町の魅力が一層深まり、次週の現地研修がますます楽しみになりました。

【講座概要】
鈴鹿山脈の一峰、綿向山。標高1,110メートルの山容は美しく、とりわけ麓の日野谷から望む綿向山は、左に竜王山、右に水無山をしたがえて、谷を抱きかかえるような雄大な姿をたたえています。気高くそびえる姿ゆえに、古来、綿向山は神が坐す聖なる山として人びとの信仰をあつめてきました。今回は、綿向山麓にある日野の人びとの信仰とくらしについて、里宮・馬見岡綿向神社の春の例大祭である「日野祭」を中心に紹介します。
【講師プロフィール】
岡井 健司 氏(日野町教育委員会生涯学習課歴史文化財担当主任)
1970年滋賀県生れ。関西大学大学院文学研究科史学専攻博士課程単位取得退学。日野町史編さん室事務局を経て、現在、日野町教育委員会生涯学習課歴史文化財担当主任。近江の近世地域史を研究する。共著『蒲生町史』(第三巻)・『近江日野の歴史』(第三・五・八・九巻)や、論文「寛文~正徳期における対馬府中の人口動態と朝鮮貿易」『近世の畿内と西国』(2002清文堂出版)などがある。

連続公開講座第2回「写真家・寿福滋 私が見る近江の今と未来」報告

日時:2016年9月17日(土)10:50~12:20
場所:成安造形大学 聚英ホール
講師:寿福 滋 氏(写真家)
タイトル:連続講座「近江のかたちを明日につなぐ」『近江~風土のかたち-写真家・寿福滋 私が見る近江の今と未来-』

写真スタジオのセットのような会場。寿福滋先生の作品が並びます。

写真スタジオのセットのような会場。寿福滋先生の作品が並びます。


今年度2回目の連続公開講座「近江のかたちを明日につなぐ」は写真家の寿福滋先生にご登壇いただきました。
近江の風土をこよなく愛する寿福先生の写真は、当研究所が発刊する文化誌「近江学」の創刊号から第8号の最新号まで、数多く掲載され、魅力ある文化誌の編集に大きく寄与していただいております。
この日は、講演者として登壇いただき、寿福滋の写真の世界をじっくりと語っていただきました。
講師 寿福滋氏

講師 寿福滋氏


寿福先生は、以前から光の当て方によって影が動き、被写体の表情が大きく変わることに興味を持たれ、仏像を中心としながら、様々な角度から撮影されてきました。講座の冒頭では、光を上からと下からと当てる場合に被写体の形が様々に変化する事例を紹介されながら、朝日と夕日によって異なる素晴らしい近江の風景も解説いただきました。数多く体験された撮影現場での撮影秘話や、星の位置と神様の関係などにも触れられ、多様な感性を持たれた写真家としての一面も伺うことができました。
光によって被写体の見え方が変わる

光によって被写体の見え方が変わる


後半は、今まで撮り続けてこられた近江の風景の中でも寿福先生のお気に入りの作品を時間が許す限りご紹介いただきました。
講座の最後には、ライフワークとして長年取材を続けておられる、日本版「シンドラーのリスト」と呼ばれた杉原千畝の話に及び、リトアニアで日本への通過ビザを発給し続け、多くのユダヤ人の命を救った業績を紹介され、次週から横浜市歴史博物館で開催される「杉原千畝と命のビザ」という展覧会に関する写真の一部をご披露
いただきました。
光と影を追い続け、早朝から深夜に及ぶ撮影作業を続けてこられた写真家寿福滋先生の業績を充分に知ることができ、同時に近江の風土の深さと美しさを再認識できました。
木村至宏 本研究所顧問から講師の紹介

木村至宏 本研究所顧問から講師の紹介


【講師プロフィール】
寿福 滋 氏(写真家)
1953年神戸市生れ。中学生の頃、埋蔵文化財に興味を持ち、その後文化財カメラマンをめざし、森昭氏に師事。関西を中心に美術・文化財、風景写真を専門に撮影。大塚遺跡(横浜市)、平等院庭園(宇治市)、雪野山古墳(東近江市)、市町村史等の撮影多数。滋賀の風土を記憶するとともに、ライフワークとして杉原千畝の取材を続けている。著書に『杉原千畝と命のビザ』(サンライズ出版)、『京都・滋賀 かくれ里を行く』(滋賀の写真撮影、淡交社)、『近江の祈りと美』(サンライズ出版)などがある。2011年滋賀県文化賞受賞。
【関連企画・展覧会】
近江のかたちを明日につなぐ展Vol.6 「写真家・寿福滋 私が見る近江」

会期:9月12日(月)〜9月30日(金)10:00~17:00
休館日:日曜
会場:成安造形大学 聚英館1階 情報発信ギャラリー
主催:附属近江学研究所
協力:キャンパスが美術館
概要:近江学研究所発行の文化誌『近江学』の表紙をはじめ多くの写真を提供していただいている写真家・寿福滋氏。
文化財の撮影が専門で、かつ、近江の美しい風景も数多く撮影されています。
今回の展覧会では、写真家・寿福氏の視点からみた近江の作品をご覧いただきます。

近江のかたちを明日につなぐ展vol.6「写真家・寿福滋 私が見る近江」開催します

小入谷 -雲海に包まれる針畑- 写真:寿福滋

小入谷
-雲海に包まれる針畑-
写真:寿福滋


9/17(土)開催の連続公開講座「写真家・寿福滋 私が見る近江の今と未来」の関連イベントとして、『近江のかたちを明日につなぐ展vol.6「写真家・寿福滋 私が見る近江」を開催します。
展覧会
近江のかたちを明日につなぐ展Vol.6 「写真家・寿福滋 私が見る近江」

会期:9月12日(月)〜9月30日(金)10:00~17:00
休館日:日曜
会場:成安造形大学 聚英館1階 情報発信ギャラリー
主催:附属近江学研究所
協力:キャンパスが美術館
概要:
近江学研究所発行の文化誌『近江学』の表紙をはじめ多くの写真を提供していただいている写真家・寿福滋氏。
文化財の撮影が専門で、かつ、近江の美しい風景も数多く撮影されています。
今回の展覧会では、写真家・寿福氏の視点からみた近江の作品をご覧いただきます。


公開講座:
タイトル「写真家・寿福滋 私が見る近江の今と未来」

講 師: 寿福滋氏
開講日:9月17日(土)10:50〜12:20
申込みは締め切りました。

夏季休業期間のお知らせ

2016年8月9日(火)~2016年8月18日(木)の期間は、大学窓口は休業となります。
2016年8月19日(金)から、平常どおり開室します。
緊急の連絡の場合は、お手数ですが、成安造形大学代表番号077-574-2111までおかけ直しください。
どうぞよろしくお願いいたします。
近江学研究所公開講座のご応募はこちらから
近江学研究所

2016-08-08T14:26:15+09:002016年8月8日|おうみブログ, お知らせ, イベント|

写真家 寿福滋氏 公開講座の応募はこちらから

京都新聞 2016.08.04[滋賀判]

京都新聞 2016.08.04[滋賀判]


本日の京都新聞に大きく掲載された写真家の寿福滋氏を迎え開催する公開講座。
2011年には滋賀県文化賞をとられ、ますます活躍される寿福滋さんが、
考古資料、仏像など文化財資料を撮りつづけた仕事について、またその技術について語ります。
近江学研究所 公開講座連続講座「近江のかたちを明日につなぐ」
『近江~風土のかたち-写真家・寿福滋 私が見る近江の今と未来-』
2016年9月17日(土) 10:50~12:20
応募締切日2016年9月2日(金)
ご応募は>>>こちらから

2016-08-04T10:05:55+09:002016年8月4日|おうみブログ, お知らせ, イベント, 公開講座|

淡海の夢2016風景展【作品公募要項】はこちら

作品公募チラシ2016out
淡海の夢風景展では、琵琶湖の豊かな水系の中で育まれた棚田・里山、そして歴史ある町並みや湖岸の景観を中心とした湖辺の郷が織りなす風景を、さまざまな視点・アプローチで表現した 平面作品(絵画・版画・写真など)を公募します。
ふるってご応募ください。

【公募展名】   「棚田・里山、湖辺の郷 淡海の夢2016風景展」
【会  期】   12月6日(火)~12月17日(土) 
         12:00~18:00 | 入場無料 | 日曜休館 |
【会  場】   成安造形大学 ギャラリーアートサイト
          (応募多数の場合は、学内の2会場で展示します)
          ◎ 期間中に企画者 永江弘之、他本学教員によるアーティストトークを予定しています。

【企画・監修】  永江弘之(成安造形大学教授・本研究所研究員) 
【主  催】   成安造形大学附属近江学研究所
【協  賛】   株式会社クサカベ、ホルベイン工業株式会社

応募要領 
応募資格   プロ、アマ、幼小中高校生を問わず、どなたでも応募できます。
       ※ 応募作品多数の際は、審査を実施いたします。
作品サイズ  幅120㎝以内(50号の長辺幅まで。額・マットは作品サイズに含まず)
出品点数   1人1点まで
出品料    無料
応募方法   「作品募集要項」に掲載の出品票を、郵送にて送付ください。
       「作品募集要項」をご希望の方は、下記の作品募集要項[PDFデータ]から
        ダウンロードしてください。
出品申込締切 2016年11月7日(月)〔当日消印有効〕
搬入日    2016年11月22日(火) ・24日(木) ・25日(金)
搬入方法   送付または、附属近江学研究所 窓口へ持ち込み 

※詳細は作品募集要項をご確認ください。

>>>淡海の夢2016公募チラシ ダウンロード[PDFデータ489kb]

>>>淡海の夢2016風景展 募集要項[PDFデータ255kb]

>>>「淡海の夢2010~2015風景展」出品作品を近江ギャラリーで公開しています。

成安造形大学【キャンパスが美術館】公式サイト

2016-08-01T11:04:31+09:002016年8月1日|おうみブログ, お知らせ, イベント|

近江学フォーラム会員限定講座第2回「近江の山 信仰とくらし-円空と山岳信仰」

日時:2016年7月9日(土)10:50~12:20
場所:成安造形大学 聚英ホール
講師:福家 俊彦(天台寺門宗総本山 三井寺執事長)
タイトル:近江の山 信仰とくらし-円空と山岳信仰
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 「近江の山 信仰とくらし」をテーマとした会員限定講座の第二回目は、天台寺門宗総本山三井寺の執事長で、本学附属近江学研究所の客員研究員でもある福家俊彦氏にご登壇いただきました。
 「円空と山岳信仰 〜日本宗教史のもうひとつの水脈〜」と題された講座は、全国を遍歴しながら多くの仏像を制作した遊行僧「円空」に焦点を当てていただきました。
 講座のはじめは聖地巡礼など、僧や巡礼者が、旅をする意義、そして霊場の重要性について話され、本題の円空に移っていきました。
 現在の岐阜県羽島に生まれた円空は、生涯十二万体の造仏を祈願して全国を歩いたことで知られ、延宝七年(一六七九)に三井寺の長吏尊栄から血脈を受法されたことで三井寺とは非常に深い縁があることなどが解説されました。
 最後に、円空にとっての放浪とは、イコン(しるし)としての円空仏について、また、円空の生涯から見える自然観や宗教観などがまとめとして語られました。
 山岳修験の影響を受け、自然に宿る神仏の存在などを仏像に込めて様々な場所にその足跡を残した円空の知られざる姿を垣間見ることができました。
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近江学フォーラム会員限定講座「近江の山とその特性」報告

日時:2016年6月25日(土)10:50~12:20
場所:成安造形大学 聚英ホール
講師:木村 至宏(近江学研究所 顧問)
タイトル:近江の山とその特性
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今年度近江学フォーラム会員限定講座の1回目は、今年度から顧問に就任された木村前所長に早くもご登壇いただきました。今年度のフォーラム特集テーマは「近江の山 信仰とくらし」で、限定講座のライナップもそれに合わせています。その第1回目ということで概論的に「近江の山とその特性」というタイトルで木村顧問に語っていただきました。
講座は、はじめの50分間で、田上、金勝、比良、比叡など琵琶湖を囲むように連なる山々と、三上山、長命寺山、繖山などその手前や周りに散在する独立峰の紹介、そして、山の信仰や文化が豊かな文化財を育んだことや、山が文学や風景の形成の要素になったことなどが資料をもとに話されました。その後、写真家の寿福滋先生の山の写真がふんだんに紹介しながら、木村近江学の中心をなす「近江の山」、そして近江自体が池泉回遊式庭園であるという素晴らしい文化資源について語られました。
今年度の会員限定講座の概論として、大変内容の濃い講座となりました。「今年度の現地研修も含めて、限定講座が楽しみです」という声が会員さんから聞かれました。
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【講師プロフィール】
1935年滋賀県生れ。大津市歴史博物館初代館長。成安造形大学教授を経て2000年同大学学長。‘09年成安造形大学名誉教授・同大学附属近江学研究所所長。‘16年同研究所顧問。専攻日本文化史。‘96年第40回京都新聞文化賞受賞。‘04年滋賀県文化賞受賞。‘13年平成25年地域文化功労者文部科学大臣表彰。主な著書「琵琶湖‐その呼称の由来」(2001サンライズ出版)、「日本歴史地名大系 滋賀県の地名」(1991共編著 平凡社)他多数

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