講師:前畑政善(滋賀県立琵琶湖博物館 上席総括学芸員)
日時:2009年6月27日(土) 10:40~12:00
場所:成安造形大学 本部棟三階ホール

サブタイトルにあるように、今回の公開講座は「琵琶湖の魚」を例として挙げ、自然と人間の関係を含む環境全般の話を滋賀県立琵琶湖博物館上席総括学芸員である前畑政善先生にしていただきました。
講座は先ず琵琶湖が世界でも珍しい古代湖であるという琵琶湖の歴史の話から始まり、世界の中における琵琶湖の特徴が語られました。続いて琵琶湖の固有種の紹介、外来種の紹介がありそのうえで生態系の説明がされました。興味深かったのは、現在外来種の害としてブルーギルやオオクチバス(ブラックバス)があまりに有名であるが、実はかなり以前からハクレン、ソウギョ、カムルチー(タイワンドジョウ)など多くの外来種が琵琶湖に入っていた。しかしこれらの外来魚は大きく琵琶湖の生態系を乱すことはなかった。その理由はハクレンやソウギョは中国いわゆるアジアからやってきた種であり、ブルーギルやオオクチバスは北米産であるというところにある。淡水魚は生息する大陸が違うとその生態も大きく違い、異種が生態系の中で馴染むのに非常に長い時間がかかるという話がされました。
また、最後には外来魚が固有種の中に入ってくることは良いことですか?そうでないですか?またどちらともいえませんか?という問を投げかけられ、良いか悪いかはすべて人間の都合であるとその答えを述べられました。害虫にしても人間に都合が悪い昆虫はすべて害虫となるのである。人間は自然の中に包括されていることを忘れ、人間の尺度でどんどん自然から離れようとしている。人間はもっと謙虚になり自然と共生することを実践しなければならないと「琵琶湖の魚」を通じて教えていただきました。