本研究所で2010年から3ケ年計画で取り組んでいる近江学研究「里山~水と暮らし」。
大津市仰木地域をフィールドに、大学教員が研究員を務め、学生と共に調査・研究を進めています。
本年度は、第3期目として、大岩剛一研究員を中心に
上仰木地域で棚田保全活動や地域活性化活動を行っている、農業組合の有志で結成した「八王寺組」が
取り組んでいる「拠点づくり」に参加しています。
建築素材である「木、藁、竹、土」などを地元から採集し、
自分たちの手で建設する「自力建設」プロジェクトに参加・協力し、
家づくりの実践を体験しながら地域の素材と技術を学び、
地域住民との交流を深めていきます。
この一年は、素材を収集するプログラムに取り組んできましたが、
いよいよ小屋が立ち上がる「棟上げ作業」を行うことができました。
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1月27日(日)、昨晩からの雪が心配でしたが、快晴にめぐまれました。
凍てつく寒さの中、朝9時より八王寺山で、小屋の棟上げ作業が始まりました。
この日は、八王寺組のメンバーの他、棚田ボランティアの方がた、
仰木地元の大工さんなど大勢が集まりました。
まず建材・資材を現場に運び入れます。
たくさんの建材を棟梁の指示に合わせて、テンポよく組み上げていきます。
学生が刻んだホゾ穴も、無事に組み上げられていきます。
午前中の間に「母屋」まで組み上げました。ここで、一服をします。
一服をしながら、感慨深げに小屋を見渡す棟梁。
一服が終わって、タテをみる作業です。
タテとは、建物が垂直に建っているかを、重りを使って確かめて、
調整する作業です。建物全体をロープで引っ張り整えていきます。
屋根材をとりつけるための「垂木」を張り始めます。
垂木まで張られたところで、棟上げ式が執り行われました。
「ミズキ」に御幣と麻を柱にくくり、日本酒一升とお餅を用意します。
そして、棟梁による祝詞と拍手。皆も一緒に行いました。
建物の四隅から「餅まき」を行い、棟上げ式が終了します。
皆で乾杯し、お昼ごはんです。
仰木では、昔から棟上げ式では「かしわめし」の振る舞いがきまり。
この日も、鶏肉と生姜のきいたかしわ飯のおにぎりに、
イノシシと地元野菜たっぷりのしし汁、
仰木のお餅のおぜんざいが振る舞われました。
午後は、屋根張りです。杉板と防水シートを張ります。
半分ほど張り終わると、私たちも作業を手伝わせていただけました。
作業は16時までかかりましたが、
立派な小屋ができました!
皆さま、大変お疲れ様でした。
これからは、来年の春の竣工を目指して、
一年かけてワークショップを通して進めていきます。
近江学研究所では、研究活動の一環として来年度も取り組みます。