講師:小嵜善通 (成安造形大学教授 近江学研究所研究員)
日時:2009年6月20日(土) 10:40~12:00
場所:成安造形大学 本部棟三階ホール
公開講座(近江学)「近江の美術-描かれた近江-」
本学デザイン科教授で日本近世絵画史を専門とする小嵜善通先生に研究者の視点から近江を描いた絵画について語っていただきました。
様々な画家が、どのような視点(方角)から近江を描いたかということを時代を追ってみていくとある方向性が見えてくるという論点から話が始まり、特に16世紀以降東や北から南湖を望む視点が中心となると語られました。
織田信長が安土城を建設した時に、狩野永徳に襖絵を依頼、昼間は実際の三上山が、夜は襖絵の三上山が眺められるようその方角の襖絵に三上山を描かせたと文献がつたえるが、それ以降に描かれた屏風や襖絵は琵琶湖の湖東から西を向くものや、北から南を向く視点で描かれるものが多くなる。小嵜先生は当時の織田信長の権力と狩野派の威厳が影響し、安土城から南を向いた視線が近江の風景を支配して行ったということもできると述べられました。
講演は日頃授業で登場するものも含め40枚を超える美しい日本絵画のスライドを使用され、狩野派から歌川広重まで近江の風景を通じて当時の生活風俗など詳しく紹介していただきました。