講師:木村至宏 (近江学研究所所長) 
日時:2009年4月18日(土) 10:40~12:00
場所:成安造形大学 本部棟三階ホール

平成21年度の公開講座のトップを近江学研究所の木村至宏所長につとめていただきました。近江の文化の特性を「湖」「街道」そして「周囲を囲む山々」によると持論を述べられたうえで、今回は特に近江の山にスポットを当てていただきました。近江の山々は伊吹山、金糞岳を筆頭に標高1000mを越える山がある一方で、三上山や青龍山のように山系の全面に独立した山が多いのが特徴である。そして、それらの山々は水を育み、農耕生活の源となり、周囲に生活する人々に畏敬の念を持って守られてきた。また、奈良時代から役小角(えんのおづぬ)や行基、泰澄などの山岳修験者が近江の山に入り、それぞれの地域で宗教文化圏が形成され、多くの優れた仏像彫刻が制作された。など、解説が続き、最後に日本最古の歌集「万葉集」に歌われた山々や、牛尾山の山王祭を代表とする山にちなむ祭礼が紹介され、琵琶湖を囲む山々の様相は巨大な地泉回遊式庭園であると締めくくられました。講義の中で先生が自ら登られた山々がスライドで紹介され、200名を超える参加者は臨場感あふれる講義に満足された様子でした。

報告者:近江学研究所研究員 加藤賢治