2019近江学フォーラム会員限定講座第2回「衣生活用具からみる里の暮らし」報告

2019 年 7 月 30 日

近江学フォーラム会員限定講座第2回 「衣生活用具からみる里の暮らし」
日時:7月13日(土)10:50~12:20
場所:成安造形大学 聚英ホール
講師:須藤 護 氏(民俗学者、龍谷大学 名誉教授、龍谷大学 里山学研究センターフェロー)

須藤護氏

須藤護氏

 大津市田上牧地区にある田上郷土史料館に収蔵された民具の調査を10年かけてされている須藤護氏をお迎えし、民具から土地の暮らしを読み解いていただきました。
 郷土史料館が設立されたのは昭和43(1968)年。収蔵品のうち最も充実しているのが衣生活に関わる資料で、現在80歳から90歳くらいのおばあさんが、田上にお嫁に来るときに持って来られた日常着、作業着、訪問着その他美しい小物類がたくさん保管されています。この豊富な衣生活用具を通して、当時の田上の女性たちがいかに賢い暮らしを築いてきたか、その暮らし方をひとつひとつ解説いただきました。この調査を経て、2019年2月8日に国の登録有形民俗文化財として文科相へ答申されることになりました。地元の方々の継続的な調査への協力が結実し文化財登録につながったと須藤氏は語られました。

[講師プロフィール]
須藤 護 氏(民俗学者、龍谷大学 名誉教授、龍谷大学 里山学研究センターフェロー)
1945年、千葉県生まれ。民俗学者。武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業。日本観光文化研究所(近畿日本ツーリスト)、大学共同利用機関放送教育開発センター教員、龍谷大学国際文化学部教授を経て現職。著書に『木の文化の形成  日本の山野利用と木器の文化』(未来社)、『雲南省ハニ族の生活誌』(ミネルヴァ書房)などがある。2010年、今和次郎賞受賞。

2019近江学フォーラム会員限定講座第1回「近江と美濃を結ぶ里―奥伊吹・甲津原」報告

2019 年 7 月 10 日

「近江と美濃を結ぶ里 ―奥伊吹・甲津原」
日時:6月29日(土)10:50~12:20
場所:成安造形大学 聚英ホール
講師:髙橋 順之 氏(米原市教育委員会歴史文化財保護課主、伊吹山文化資料館学芸員) 

髙橋順之氏

髙橋順之氏

 米原市で歴史文化・資料館運営を通して広く市民に伊吹山の自然・歴史文化について教育普及に努められている髙橋順之氏をお迎えし、国の重要文化的景観「東草野の山村景観」に登録された奥伊吹・甲津原集落について講演いただきました。
 奥伊吹・甲津原集落は、標高520メートルの高地にあり、西日本屈指の豪雪地として知られており、かつて、3本の峠道で湖北と美濃を結ぶ拠点であったことから、顕教踊りや廻り仏、能面などの古い文化や文化財が入り込み、里人によって伝承されてきました。甲津原や坂下の村々が、山深い集落でありながら閉塞した土地ではなく、峠を介した往来がさかんな地域であったことが具体的な事例をもとに語られました。

[講師プロフィール]
髙橋 順之(たかはし・のりゆき)氏
1962年、滋賀県生まれ。奈良大学文学部史学科卒業。伊吹町教育委員会を経て、現職。滋賀県立大学非常勤講師。専門は日本考古学。著作に『伊吹山を知るやさしい山とひと学の本』(監修・共著)、『伊吹山物語―神の山と歩む上野人―』(編集・共著)、「近江の上平寺城から小谷城へ」(『中世城館の考古学』高志書院)などがある。

「淡海の夢2019 仰木・棚田里山写生会」報告

2019 年 7 月 2 日

「淡海の夢2019 仰木・棚田里山写生会」
日時:6月8日(土)10:50~12:20
場所:大津市仰木周辺
講師:永江 弘之 (本学教授・本研究所研究員)、待井 健一(本学非常勤講師)

大津市仰木地区での写生会風景

大津市仰木地区での写生会風景

 琵琶湖を中心とした棚田・里山、湖国の風景は今、次世代に引き継ぎたい美しく貴重な日本の原風景として広く注目されています。「淡海の夢」は、年2回の写生会と公募風景展を通して、近江の素晴らしさを体感し固有の価値を再発見する講座です。本学イラストレーション領域で風景イラストを専門とする永江弘之研究員が、風景写生のコツをレクチャーし、講評会を実施しました。
 今回の開催地は、大津市仰木地区です。仰木は、比叡山から琵琶湖の西岸へと伸びる尾根沿いの農村集落で、1150年の歴史があります。周囲にゆったりと階段状に広がる棚田や雑木林など、人々が守り育んできた日本の原風景ともいえる風景が魅力です。
 風が強く天気が目まぐるしく変わる写生には難しい日和となりましたが、3年ぶりに仰木地区での棚田を描けることを楽しみに来られた受講者が集まりました。当日は、受付場所として仰木活性化委員会に協力いただき「御所の丘公園」を使用し、講評場所には仰木市民センターをお借りして実施しました。

仰木市民センターで開催した講評会の様子

仰木市民センターで開催した講評会の様子

[講師プロフィール]
永江弘之 (本学教授・近江学研究所研究員)
1960年 大阪府生まれ。大阪教育大学教育学部卒業。中学校美術科教諭を経て、2003年成安造形大学講師となり、現在、成安造形大学芸術学部芸術学科イラストレーション領域教授、08年から同大学附属近江学研究所研究員。近江学研究所公開講座「淡海の夢」(写生会・公募展)企画責任者。近江の風景に魅せられ、色彩感あふれる写実風景画や幻視風景画を制作。