おうみブログ

近江学研究所研究員が、近江にまつわるさまざまな情報を発信するブログです。

イベント

連続公開講座第3回『近江~水の恵みのかたち-水郷を活かした農の里づくり-』報告

日時:2016年10月22日(土)10:50~12:20
場所:成安造形大学 聚英ホール
講師:大西 實 氏(権座・水郷を守り育てる会事務局長、近江八幡市島学区まちづくり協議会事務局長)
タイトル:連続講座「近江のかたちを明日につなぐ」『近江~水の恵みのかたち-水郷を活かした農の里づくり-』

講師 大西實氏

講師 大西實氏


今回の公開講座は、近江八幡市白王町から水郷地域の農と文化を次世代へ繋ぐ活動を長年にわたって取り組まれている大西實さんにご登壇いただきました。
大西さんは、かつて近江八幡の文化行政に携わる職員であった頃に、国の重要文化的景観の認定に向けて奔走され、めでたく平成18年に日本で初めて「近江八幡の水郷」が第一号として選定されました。講座ではその時の苦労話から始まり、西の湖に浮かぶ田地である「権座(ごんざ)」での農業や、地域活性化の取り組みについて、わかりやすく話をしていただきました。

重要文化的景観の認定に向けての取り組みとして、有識者を招いて地元の人々と交流するワークショップを数回開催した時、地元の人たちが「農業を続けていくことが実は大切な景観を守っていくことにつながっている」「自分たちの先祖がつないできた生業(農業)を継承している」という自覚が生まれ、農業を続けることに対する新しい価値観が生まれたという貴重な取り組みが紹介されました。そして、これらの取り組みを続ける中で、最近、白王町に若者がもどって来て子育てをしてくれているという嬉しい現状も話されました。
また、最後には大西さんが大切にされている「ロマンとそろばん、仲間との楽しい農業が明日を拓く」という言葉について話され、ボランティアでのイベント運営(ロマン)を継続させるには、ある程度の安定した収入源(そろばん)も必要であると強調されました。

【講師プロフィール】
大西 實 氏(権座・水郷を守り育てる会事務局長、近江八幡市島学区まちづくり協議会事務局長)
1955年滋賀県近江八幡市生まれ、県立八幡工業高校卒業、近江八幡市役所勤務(1973~2013)この間、文化振興課長時代に、近江八幡市の水郷地帯を重要文化的景観の選定(全国第一号)にむけて地元説明に奔走する。現在、地元島学区まちづくり協議会事務局へ勤務(事務局長)しながら、白王町の集落営農活動や権座・水郷を守る会の活動を続けている。
私のモットー「ロマンとそろばん、仲間との楽しい農業が明日を拓く」

淡海の夢2016 近江八幡・八幡堀と城下町写生会 報告

日時:2016年10月15日(土)
場所:近江八幡市八幡堀周辺
講師:永江弘之(本学イラストレーション領域教授・近江学研究所研究員)
講師:待井健一(本学非常勤講師)
タイトル:淡海の夢2016 近江八幡・八幡堀と城下町写生会
 「淡海の夢」の写生会では、近江八幡市の八幡堀での写生会開催は今回が初めてです。
 10月としては暑いくらいの良い気候のなか、参加された方々は、八幡堀の水郷を中心に城下町の雰囲気が色濃く残る近江商人屋敷や商店の町並みの写生を楽しまれました。
 今回、写生会の本部として、近江八幡市の伝統的建造物群保存地区に指定されている永原町にある、江戸時代後期に建てられた築約150年の近江商人町家の奥村邸をお借りしました。永江研究員と待井先生による講評会も奥村邸で行われ、町家の庭園が見える縁側がある部屋での講評会は、近江商人町家の雰囲気を楽しみながら和やかに行われました。
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築約150年の近江商人町家「奥村邸」での講評会

築約150年の近江商人町家「奥村邸」での講評会


講評をする永江研究員(左)と待井先生(右)

講評をする永江研究員(左)と待井先生(右)

第8回近江学フォーラム 現地研修「綿向山の麓・日野を訪ねて」報告

パンフレット

パンフレット


平成28年10月1日(土)に、第8回近江学フォーラム 現地研修「綿向山の麓・日野を訪ねて」を開催しました。
近江学フォーラム会員のみなさん72名、スタッフ11名が参加しました。天候が心配されましたが、朝には雨が止み、晴れ間が出る研修日和の一日となりました。
ご参加いただいたみなさま、ご協力いただいた地域のみなさまありがとうございました。
《西久松所長ご挨拶》
本年度は「近江の山 信仰とくらし」をテーマに講座等を開講しています。今回の現地研修も8回目を迎えることができました。これも皆様の日頃の当研究所への温かいご厚情の賜物と厚く御礼申し上げます。本日は綿向山の麓、日野町の趣のある町並みや古社を訪ね、信楽院の天井画等を巡り、信仰とくらしを体感したいと思います。家屋の耐震化が取り沙汰される時代でもあり、また自然環境や気候の変動の中で、日本の風土に適した建物や文化を再考する機会になるのではと思います。(西久松)
■馬見岡綿向神社
もとは、綿向山(1110m)の頂上に鎮座していたが、蒲生氏が城下町を開いてから現在地に移され、湖東の大宮として信仰を集めた。山頂から2羽の雁が飛んできて消えたのを見て、村人たちが神が降りてきたと思い、山麓に社を建てたという話が残っており、このことから「二羽雁」が神紋(しんもん)となっている。壮大な境内には、拝殿や本殿をはじめ、江戸時代に日野商人が寄進したという立派な石灯籠(いしどうろう)や石橋がある。
馬見岡綿向神社に参拝 撮影:津田睦美

馬見岡綿向神社に参拝 撮影:津田睦美


現地研修スタート 木村顧問からご挨拶 撮影:津田睦美

現地研修スタート木村顧問からご挨拶
撮影:津田睦美


吉村研究員 絵馬の解説

吉村研究員 絵馬の解説


■信楽院
浄土宗寺院。奈良時代前期、聖武天皇の勅建と伝えられている。中世にこの地方を統治していた蒲生氏の菩提寺であり、安土・桃山時代に現在地に移された。境内には県指定の文化財の本堂や書院などがあり、寺宝に、伝恵心(でんえしん)作の観音像がある。本堂の天井には、日野町出身の著名な日本画家高田敬輔作の「雲竜(うんりゅう)」を中心に描かれた縦横11mの見事な水墨画があり、墓地には蒲生氏郷の遺髪塔がある。
信楽院では、小嵜研究員の解説を聞きながら雲竜図を拝観 撮影:津田睦美

信楽院では、小嵜研究員の解説を聞きながら雲竜図を拝観 撮影:津田睦美


日本画家高田敬輔のお墓をお参り 撮影:津田睦美

日本画家高田敬輔のお墓をお参り 撮影:津田睦美


■近江日野商人ふるさと館(旧山中正吉邸)
山中正吉家は山中兵右衛門家(現近江日野商人館)の分家で、初代正吉は1809(文化6年)に生まれた。初代正吉は、1831(天保2年)に大間村(静岡県富士宮市)で醸造業を始め、その後、造り酒屋として財をなした。また庭園には仁正寺藩主拝領の梅古木をはじめ、近江の石工小松嘉兵衛(西村嘉兵衛)作の燈篭などが据えられ、商人の暮らしぶり、繁栄を感じることができる。
岡井先生による日野商人のレクチャーを受けました

岡井先生による日野商人のレクチャーを受けました


ふるさと館シアタールーム 撮影:津田睦美

ふるさと館シアタールーム
撮影:津田睦美


ふるさと館から桟敷窓をのぞく

ふるさと館から桟敷窓をのぞく
撮影:津田睦美


■歴史民俗資料館「近江日野商人館」(旧山中兵右衛門邸)
近江日野商人の山中兵右衛門邸を資料館として、近江商人が使っていた小物、歴史を感じるものを展示されている。
日野商人館で説明を真剣に聞く会員のみなさん

日野商人館で説明を真剣に聞く会員のみなさん


■昼食 グリーンホテル日野
綿向山を望みながら日野の郷土料理をいただきました。
昼食後、木村顧問のミニレクチャー 撮影:津田睦美

昼食後、木村顧問のミニレクチャー
撮影:津田睦美


■御上神社
近江富士と呼ばれる三上山の麓に位置する。祭神は天御影之神。この神が三上山に降臨したのを祀ったのが始まりといわれている。楼門をくぐると優雅な拝殿、千木のそびえる本殿、その左右に若宮社・三宮社が並んで建っている。特に本殿は県下神社建築の国宝の第一号であり、約700年前のもので、神社・仏堂・御殿の3様式が合成された御上造とよばれる建築様式をしている。
御上神社 拝殿と本殿を拝観

御上神社 拝殿と本殿を拝観


西久松所長よりお礼のご挨拶

西久松所長よりお礼のご挨拶

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