おうみブログ

近江学研究所研究員が、近江にまつわるさまざまな情報を発信するブログです。

イベント

連続公開講座 藤森照信氏『神様の作った自然と人の作る建築のつなぎ方ー』報告

日時:2015年11月21日(土)10:40~12:10
場所:成安造形大学 聚英館3階 聚英ホール
講師:藤森 照信 氏(建築史家、建築家[工学博士])
タイトル:特別公開講座 『近江~縄文のかたちー神様の作った自然と人の作る建築のつなぎ方ー』

藤森 照信 氏

藤森 照信 氏


この日は、「近江のかたちを明日につなぐ」連続公開講座シリーズの特別講座として、日本国内はもとより、世界でご活躍されている建築家の藤森照信先生にご登壇いただきました。
藤森先生は、一貫して自然素材や植物を用いて、独創的な建築をつくり続け、藤森先生の思想に賛同する建築集団「縄文建築団」が建築に関わることも大きな特徴となっています。
滋賀県においては、2015年の1月に近江八幡の北ノ庄にオープンした「たねやグループ」のフラッグシップ店「ラ コリーナ近江八幡 メインショップ(草屋根)」を手がけられ、自然と人を結びつける建築のあり方を提案されています。
講座では、藤森先生がこれまでに設計された建築物が解説され、「建築物にはつぎ目という厄介なものがあるが、人間や動物には、つなぎ目は無い」など藤森哲学の一端が所々で披露されました。
建築作品について語る

建築作品について語る


満席の会場

満席の会場


■講座内容
藤森氏は建築史家として近代建築史、都市史研究の第一人者として多くの業績を残され、1991年に出身地の長野県茅野市で「神長官守矢資料館」を建築家としてはじめて設計されました。
以後は、一貫して自然素材や植物を用いて、これまで20作品を超える独創的な建築を創り続け、建設業者が対応できない建築の一部を藤森氏の思想に賛同する建築集団「縄文建築団」が行うことも藤森建築の大きな特徴となっています。
また、藤森氏が参加する「路上観察学会」の活動は、都市の隠された神秘や社会背景を浮びあがらせ、藤森氏の建築物に影響していると考えられます。
2015年1月滋賀県近江八幡市に完成した「たねやグループのフラッグシップ店 ラ コリーナ 近江八幡メインショップ〈草屋根〉」ができるプロセスを含め、自然と人と対話しながらつくる「フジモリ哲学」に迫ります。
■藤森 照信 氏プロフィール (建築史家、建築家[工学博士])
1946年長野県諏訪郡宮川村(現茅野市)生まれ。‘71年東北大学工学部建築学科卒業。東京大学大学院にて近代建築、都市計画史専攻。‘86年赤瀬川原平、南伸坊らと路上観察学会を結成。‘91年神長官守矢資料館で建築家デビュー。東京大学生産技術研究所教授、東京大学大学院教授を経て、現在東京大学名誉教授。‘06年第10回ヴェネツィア・ビエンナーレ建築展にて日本館コミッショナーを務める。‘15年滋賀県近江八幡市北之庄「ラ・コリーナ たねやフラッグシップ店〈草屋根〉」竣工
主な受賞:1980年日本都市計画学会賞、‘83年毎日出版文化賞、‘86年建築探偵の冒険・東京篇サントリー学芸賞、‘97年日本芸術大賞、2001年日本建築学会賞受賞。

佐々木悦也氏:2015近江学フォーラム会員限定講座 第4回

日時:2015年11月14日(土)10:40~12:10
場所:成安造形大学 聚英館3階 聚英ホール
講師:佐々木悦也氏(高月観音の里歴史民俗資料館副参事/学芸員)
タイトル:「誠信外交の実践者・雨森芳洲~異文化理解のこころを学ぶ~」

講師 佐々木悦也先生

講師 佐々木悦也先生

近江の近世の偉人たちを顕彰する今年度の近江学フォーラム会員限定講座は、今回で四回目となります。
この日は、長浜市の高月観音の里歴史民俗資料館副参事で学芸員の佐々木悦也先生にご登壇いただき、
「誠信外交の実践者」と題して朝鮮通信使を通じて異文化交流を実践した雨森芳洲についてお話いただきました。

木村所長による紹介を受ける佐々木先生

木村所長による紹介を受ける佐々木先生

前半部分は、朝鮮通信使に関する記録をユネスコの世界記憶遺産に登録する動きについて紹介され、
先日長浜城歴史博物館他で開催された展覧会に出品された朝鮮通信使に関する貴重な史料について、スライドを交えて解説がありました。
後半は、雨森芳洲という人物が、どのように外交について考えていたかなど、雨森芳洲の思想に関する考察が熱く語られました。
中国語や朝鮮語を学ぶための教科書の作成や、通訳者の育成、徳川幕府と朝鮮通信使との2度にわたる折衝役など、芳洲の偉業を臨場感を持って理解することができました。
佐々木先生は、まとめとして、芳洲が成し遂げた最も大事な事績は、現代の外交の精神にも繫がる「誠信」を持った外交のあり方であると強調されました。
朝鮮の文化を理解し、わが国との違いをしっかり認識したうえで、交流を行うことがいわゆる「誠信の交わり」というもので、これを実践することが真の異文化交流であり、国際交流であるとう芳洲の思いを知ることができました。

(報告:加藤賢治 近江学研究所研究員)

学生にもわかりやすく、クイズも交えた講座

学生にもわかりやすく、クイズも交えた講座


【講座概要】
長浜市高月町雨森出身と伝える雨森芳洲(1668~1755)は、江戸時代中期、対馬藩(現長崎県対馬市)に仕えた儒学者です。藩では文教をつかさどるかたわら、内政・外交・藩主の御用人などを務めました。ことに外交面では、隣国朝鮮との交流で「誠信の交わり」を説き、朝鮮通信使を通じて善隣外交を実践した国際人です。 その「対等互恵」「相互理解」の思想は、そのまま現代の国際認識にも当てはまり、時空を超えてなお、我々に多文化共生の指針を示し続けています。
【講師プロフィール】
佐々木悦也 氏(高月観音の里歴史民俗資料館副参事/学芸員)
1960年生まれ。大谷大学文学部卒業。湖北地方の仏教文化をはじめ、歴史・民俗・先人など幅広く調査研究をおこなうほか、各種講座の企画運営、地域の文化財の保護、メディアを利用して文化財情報の発信などをおこなっている。現在、日本と韓国が共同で進めている「朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産登録」の日本学術委員会委員も務めている。主な著書 『近江歴史回廊 近江観音の道』(共著・淡海文化を育てる会)、『京都・滋賀 かくれ里を行く』(共著・淡交社)、『宗家記録と朝鮮通信使』(共著・朝日新聞社)、『江戸時代人づくり風土記25滋賀』(共著・農文協)『雨森芳洲関係資料調査報告書』(滋賀県教育委員会編)
◆高月観音の里歴史民俗資料館 WEBサイトは>>こちらから

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