おうみブログ
近江学研究所研究員が、近江にまつわるさまざまな情報を発信するブログです。
イベント
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7月21日(土)、第2回目の近江学フォーラム会員限定講座を開催しました。
講師に大津市歴史博物館学芸員で近江学研究所の客員研究員である和田光生先生を迎え、
京都と若狭を結ぶ渓谷に位置する葛川坊村の明王院で行われる
「太鼓廻し」について講演いただきました。
毎年7月18日に行われる葛川明王院の「太鼓廻し」という行事は、葛川地域の民俗行事であると同時に、比叡山延暦寺で行われる千日回峰行という僧侶の修行の一部でもあるという非常に稀な形式をとる祭礼です。和田先生は、その起こりが千日回峰行の礎を築いた相応和尚(そうおうかしょう)(831〜918)にあるとして、相応の人物像を資料に基づいて解説されました。
伝承によると、相応和尚は法華経の「常不軽菩薩品」に基づき、毎日花を根本中堂に捧げるという行為を繰り返し、そこから長期間、山中を闊歩することで悟りを得るという回峰行にたどり着いた。その修行の起源は、比叡山ではなく比良山の麓、葛川の坊村「三の滝」で、山中での修行を支えてくれる不動明王を観想していた際、滝壺に不動明王が現れ、それに相応が飛びつき抱きついたところ桂(かつら)の古木であった。この古木で不動明王を彫り、安置したのが明王院の始まりである。
和田先生はこの伝承が鎌倉時代前期の高僧である慈円によって書かれたと言われる『葛川縁起』によるところが多くあるとしながら、この葛川明王院から比叡山の千日回峰行が始まったという意義について話されました。そして、千日回峰行を行う行者がその通過儀礼として、この太鼓廻しに参加するということ、そして、その行事を葛川地区の住民が支えているという関係性が、この民俗行事の注目すべきところであると述べられました。
また、先日18日の夜に行われた「太鼓廻し」の写真を投影され、この行事の全貌を臨場感あふれるスライドショーで紹介していただきました。来年の7月18日は是非とも葛川を訪れたいと思いました。
報告:近江学研究所研究員 加藤賢治
日時:2012年7月21日(土)10:40~12:10
場所:成安造形大学 聚英館3階 聚英ホール
講師:和田 光生氏 (大津市歴史博物館 学芸員)
今年開催された「葛川の太鼓廻し」の京都新聞の記事はこちら
附属近江学研究所主催の「近江のかたちを明日につなぐ」をテーマに
連続講座の第2回目として「まとうかたち~湖東の織物-近江上布」を開講しました。
滋賀県の湖東地域は、長浜の絹織物(ちりめん)、とならんでこの地に自生する麻を素材とする織物の一大産地であった。
それらは近江上布と呼ばれ、古くから近江商人によって日本全国に流通し、近江の一大ブランドであった。
滋賀の様々な文化情報が盛りだくさんの季刊誌『湖国と文化』。
7月1日に今年の夏号が販売されました。
特集は『ヨシものがたり』。
琵琶湖の原風景でもあるヨシを様々な角度から取り上げる充実した号になっています。
『ヨシものがたり』特集ページでは、
本学住環境デザインコースが、平成10年から長年学生たちと取り組んできた
「ヨシの造形教育」についてが特集されています!
そして、インタビュー記事「湖と生きる」には、
2010年度の文化誌『近江学』の対談にも出ていただいたヨシ葺き職人の竹田勝博さんの、
最近のヨシ葺き仕事や、中学生への総合学習での講演などの取り組みが語られています。
そして、近江学学研究所からは、
加藤研究員の連載『おうみ おうみ 歩く』では、
南彦根の霊山荒神山の祭礼大祭を取材。荒神山の神社に足を運んでいます。
そして、木村所長の連載『近江人物伝』では、
中井源左衛門光武(なかいげんざえもんみつたけ)という、日野出身の近江商人で、
関東や東北に多くの出店構え、陰徳善事を心掛けた人物が描かれています。
ぜひ、興味のある方はご一読ください!