日時:2014年6月14日(土)10:40~12:10
場所:成安造形大学 聚英館3階 聚英ホール
講師:大西 明弘氏 (有限会社大與3代目 代表取締役会長)
   大西 巧氏 (有限会社大與4代目 代表取締役社長)
対談:大原 歩 (本学非常勤講師・本研究所研究員)
タイトル:「近江~灯火のかたち-和ろうそくで暮らしをデザインする-」

6月14日(土)、連続講座第2回目「近江のかたちを明日につなぐ~灯火のかたち~」として、滋賀県高島市の近江今津にて大正三年に創業し今年で100年を迎えた「和ろうそく大與(だいよ)」3代目大西明弘氏、4代目大西巧(さとし)氏を講師にご登壇いただきました。
今回は、まずはじめに和ろうそくの火を灯し、その光の力を会場で共有しました。

はじめに櫨蝋の和ろうそくの光を感じました。

はじめに櫨蝋の和ろうそくの光を感じました。


第1部として大西明弘氏に、櫨蝋の手掛けの和ろうそくについて写真と映像を元に「櫨蝋」「灯芯」「手掛け」という手仕事による和ろうそくの製造過程について解説いただきました。
うるし科の櫨の実を乾燥させて搾った「櫨蝋」は、櫨を摘む人が少なくなり、生産地は九州の2か所のみになっていることなど、原料入手のおける問題について、自然災害や高度経済成長などの歴史背景を含めてこれまでの経過を語っていただきました。
また、櫨100%の大與の和ろうそくと、櫨100%ではない和ろうそくの火を灯すことで素材の違いが読み解けることを実際に見比べながら解説いただきました。
大西明弘氏

大西明弘氏


第2部では、大西巧(さとし)氏に登場いただき、大原研究員から質問を投げかけながら、これからの100年に和ろうそくをつなげていく新たな「米糠ろうそく」の取り組みについて対談いただきました。4代目として家業を継ぐ決意をしたきっかけとなった父のことばについて、そして、和ろうそくを人の暮らしの中へ取り戻すために「米糠蝋」を使いブランド化した「お米のろうそく」をつくりだした経緯についてお話しいただきました。
第2部の対談風景

第2部の対談風景


大西巧氏からは、「ろうそくの火について、かつて人が扱えないほど大きな力があった「火」を、人の知恵と技術によって扱うことができるようになったのが「ろうそく」であった。人と火をつなぐ「ろうそく」の存在をもう一度感じて暮らしに取り入れてほしい」と印象的でとても気持ちのこもったメッセージを投げかけられました。
大西 巧氏

大西 巧氏


大原 歩研究員

大原 歩研究員


会場からは、「和ろうそくに対する情熱が伝わってきた」「自然と人間が長い歴史をかけて積み上げてきた素晴らしさを実感することができました」「生活の中でろうそくを取り入れてみようと改めて考えさせられました」など多数のご感想をいただきました。
確かな技術と素材を使い生み出される3代目の和ろうそく。
伝統文化で終わらせない新しい視点から和ろうそくを考え、打ち出す4代目の和ろうそく。
100周年の新ブランド名の通り「火と人(hitohito)」をつなぎ、人と人をつなぐ「灯し火」として新しい魅力を創り出されていくものとして、とても希望を感じました。
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また、今回の講座は、
午後に開催した芸術文化研究所公開講座「大與とgrafの 人の事・モノの事・コトの事」と連動して行なわれました。
午後は、コーディネーターを津田睦美研究員が行ない、講師にgraf代表・デザイナーの服部滋樹氏をお迎えし、大與が100年を記念して新ブランドを立ち上げるに至った経緯について、ブランディングを行なったgrafの服部滋樹氏のこれまでの仕事から探っていく内容で開催されました。
そして、夕方からは学内のカフェテリア結にて、大與の100年記念パーティーを開催されました。
4代目の大西巧さんとのつながりから滋賀県のさまざま作り手や表現者の方々が集まり、大與のこれからを応援するアットホームな温かい素敵な会となりました。
近江学研究所として、この大與の歴史の1ページをサポートできたことを嬉しく思います。
パーティにて、大西巧氏によるご挨拶

パーティにて、大西巧氏によるご挨拶


報告:大原歩(近江学研究所研究員)
<大與のご紹介>
ホームページは>>>こちらから
<大與のお知らせ>
びわ湖放送「滋賀経済NOW」
6月21日(土) 22:00~22:30 大西巧さん 
※放映の中で、今回の講座の風景が流れます。
■詳しくは>>>こちらから
「比叡の光」
6月22日(日)、29日(日) 2週にわたり放映 大西明弘さんが和ろうそくについて語ります
[京都放送(KBS)] 日曜日8:45~9:007:45~8:00
[びわ湖放送(BBC)] 日曜日7:45~8:00
■詳しくは>>>こちらから