連続講座「近江のかたちを明日につなぐ」 喜多俊之氏が講演しました

日時:2014年5月10日(土)10:40〜12:10
場所:成安造形大学 聚英館3階 聚英ホール
講師:喜多 俊之 氏 (プロダクトデザイナー、大阪芸術大学教授)
タイトル:「近江〜未来のかたち-地場産業とデザイン-」
連続公開講座「近江のかたちを明日につなぐ」は、これまで県内のものづくりの現場を数多く取り上げてきました。
しかし一方で伝統的なものづくりを現代の暮らしにどう生かしていくか、ということも大きな課題と考えています。
そこで今回は基調講演として、プロダクトデザイナーの喜多俊之氏をお招きし「地場産業とデザイン」と題して、お話していただきました。

講師 喜多俊彦氏

講師 喜多俊彦氏


喜多氏は日本を代表するプロダクト(工業)デザイナーで、早くから家電や家具のデザインを手がけられ、現在では大阪、イタリア、中国に事務所を開設。
世界的に活動されております。そして先端のデザインほか、早くから日本の伝統的な産業にも取り組まれ、現代の生活にあった商品開発も行われています。
講演では氏のこれまでのデザインされた製品をみていきながら、その制作過程での問題や取り組みを、わかりやすく話していただきました。
特に、デザインという概念が日本に入ってきたとき「意匠」や「図案」という言葉が当てられ、中国では「設計」として受け入れた違いを述べられ、興味を引きました。
地場産業をデザインした作品など、スライドを約100枚ほど紹介いただいた

地場産業をデザインした作品など、スライドを約100枚ほど紹介いただいた


現在の日本人の家は納戸と化し、せっかくの生活の舞台が台無しになっていて、豊かな暮らしを取り戻すには、まずそこを変え、いいモノを使う空間を作り出すことが大事だと提案されました。
さらに滋賀は大切な自然が豊かで、これを生かした基本的なグランドデザインが必要だと、その可能性を語っていただきました。
最後に現在取り組んでいる介護製品が紹介され、会場の多くの人が興味を示されていました。
参加者には日々の暮らしを見直し、デザインという言葉が身じかに感じられる講演となりました。
報告:辻 喜代治(近江学研究所客員研究員)

喜多俊之氏の情報 
・公式ホームページは>>>こちらから  
・インタビュー 産経ニュース【転機話しましょう】(101)「工業デザイナー、喜多俊之・イタリア式交流でチャンスつかむ」 は>>>こちらから 
・インタビュー ソニーマガジン「デザイナー喜多俊之さんに聞く「デザインの力」」は>>>こちらから

太田浩司氏 特別公開講座「黒田官兵衛と北近江」開講しました

日時:2014年4月26日(土)10:40〜12:10
場所:成安造形大学 聚英館3階 聚英ホール
講師:太田 浩司 氏 (長浜城歴史博物館 館長)
タイトル:「黒田官兵衛と北近江」

講師 太田浩司氏

講師 太田浩司氏


平成26年度はじめての近江学研究所主催の公開講座が4月26日(土)に開催されました。
 今回の特別公開講座は「黒田官兵衛と北近江」と題して、長浜城歴史博物館館長の太田浩司先生に登壇いただき、今年のNHK大河ドラマ『軍師官兵衛』の主人公である黒田官兵衛について史料をもとに解説していただきました。

 はじめに、大河ドラマのあらすじをたどるように官兵衛の波瀾万丈の生涯が解説されました。どこまでが歴史上の事実で、どこまでが伝承かという難しいところも話されながら、軍師というよりも城攻めの先方を務めるなど、勇敢な武将としての人物像を明らかにされました。ただ、官兵衛最大の特徴はやはり「調略」であるとされ、北条氏の小田原城攻めにおいて優れた調整力による官兵衛の活躍を強調されました。 
太田先生が用意した16ページもの資料を見ながら、講演が行われました

太田先生が用意した16ページもの資料を見ながら、講演が行われました


 本題である黒田官兵衛と北近江の繋がりについては、黒田家発祥の地が北近江の旧伊香郡黒田村であること、官兵衛の子である松寿丸(後の長政)が長浜城で人質として生活していたこと、そして、賤ヶ岳の合戦に官兵衛が参戦していたことがあげられ、特に、賤ヶ岳の参戦については、昨年発見された貴重な史料によってはじめて官兵衛が賤ヶ岳にいたことが証明されたと最新の研究成果が披露されました。
 黒田家は関ヶ原の合戦の後、九州福岡において52万石の大名として大きく加増されたが、官兵衛が毛利氏に精通し、調略によって小早川秀秋の裏切りの背景に深く関わっていたことが証明できるとその真相を明らかにされました。
 NHK大河ドラマは確かに「ドラマ」でありその域を超えませんが、それ故に面白く楽しむことができます。織田につくのか、毛利につくのか、いつの時代もどのように最善の道を選ぶかが大切で、今回のドラマのプロデューサーは、官兵衛を通じて、自分を信じること、そして相手を信じることが大切であるというメッセージを伝えようとしているのではないかと思いました。太田先生の講義をきっかけに、史実とフィクションを織り交ぜながらの大河ドラマに注目したいと思います。
木村所長より新年度のご挨拶

木村所長より新年度のご挨拶


近江学研究所についてもご案内させていただきました

近江学研究所についてもご案内させていただきました

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