公開講座 近江のかたちを明日につなぐ
近江―受け継ぐかたち
「長浜の漆文化の継承 曳山修復を手がける塗師」

【講座映像視聴会】
日時:9月24日(土)11:00~12:30
場所:成安造形大学 多目的室
講師:渡邊嘉久 氏(株式会社渡邊美術工藝 代表取締役・長浜仏壇塗師)※映像出演
対談:真下武久(本学准教授・近江学研究所研究員)

2022年度第2回目の公開講座をオンデマンド配信と講座映像視聴会で開催しました。
オンデマンド配信は9月9日から9月23日まで。
配信終了の翌日に講座映像視聴会を大学内で実施しました。

今回は、今年3月に発刊した文化誌『近江学』第13号掲載の
「長浜の漆文化の継承 曳山修復を手がける塗師 渡邊嘉久氏」に登場する
株式会社渡邊美術工藝 代表取締役 渡邊嘉久さんを講師にお招きし、
取材を行った本研究所の真下武久研究員とともに、
本には書ききれなかった渡邊さんのお仕事や長浜の漆文化についてお話しいただきました。

講座前半では、まず「漆」そのものの特徴についてご解説いただいた後、
長浜と漆の歴史や渡邊さんご自身が漆のお仕事を継承されるまでのエピソード、
そして、曳山修復をはじめとする様々なお仕事の様子から
漆文化継承のために行われている現在の活動に至るまで、幅広くお話しいただきました。

後半は、渡邊さんが現在取り組まれている常喜椀の復刻や、
漆を接着剤として使用する金継ぎ教室について、
実際の作品を見せていただきながら、真下研究員と対談を行いました。

【受講者アンケートより抜粋】
「余呉で漆から樹液をとっていること初めて知りました。」
「いろいろなアイデアで漆の良さを広めてらっしゃること素晴らしいです。伝統として残してほしいです。」
「常喜椀というものを初めて知りました。後継者不足や後継者の技術向上の場の不足など問題は沢山ありますが、これから先も引き継いで行ってほしいと思いました。」
「少々大津祭りに関与している者にとって後継者不足、資材不足等同じような問題を抱えておられる現状がつぶさに分かりました。」

[講師プロフィール]

渡邊嘉久 氏(株式会社渡邊美術工藝 代表取締役・長浜仏壇塗師)
1963年(昭和38年)長浜市生まれ。大学卒業後、銀行員などを経て家業の渡邊仏壇店の三代目として漆塗りの仕事に就く。父渡邊信雄のもとで浜仏壇の漆塗り、長浜曳山漆工品の修復に携わる。2010年(平成22年)株式会社渡邊美術工藝を設立し代表に就任。それ以降、各地の山車修復の仕事を手がけるようになる。仏壇仏具の漆塗り、山車の修復と並行して、長浜漆器『常喜椀』の製造販売、長浜に漆の木を増やす活動にも取り組む。