3回目となる近江学フォーラム会員限定現地研修を10月15日(土)に実施しました。H21年の現地研修1回目は湖北に十一面観音を訪ね、H22年の2回目は琵琶湖に浮かぶ4島を船で巡りました。そして3回目となる今年は「湖西路をゆく」と題して高島市を訪ねて研修を行いました。
前日の大雨は峠を越え、曇空ではありましたがなんとか雨は上がり、研修日和となりました。

参加者は50名ということでバス2台に分乗し、10時10分予定通りJR北小松駅を出発。はじめの目的地鵜川四十八体石仏群を目指しました。「四十八体の石仏群は天文22年(1553)に対岸の観音寺城主六角義賢が亡き母の追慕のために建立し、現在そのうちの十三体が坂本慈眼堂に移されています。」と、ここでは木村至宏所長の解説がありました。

バスに戻り、次に「乙女が池」と「大溝城跡」を訪ねました。公園として美しく整備された乙女が池ですが、北陸や若狭に抜ける交通の要衝にあたるこの地には多くの凄惨な歴史が残っています。また、大溝城には話題の浅井三姉妹の次女「お初」が京極高次とこの地に暮らした話などがあり、木村所長や同行いただいた高島市教育委員会の山本晃子さんから説明いただきました。

予定通り11時30分に再びバスに乗車、ここからは見学先の人数制限の関係でA・B2コースに分かれてそれぞれ見学地を目指しました。
午後からの見学は、安曇川泰山寺「ソラノネ」紀伊国屋、中江藤樹書院跡、新旭町針江集落、上原酒造の4カ所です。盛りだくさんで足早になりましたが、予定通り見学できました。

ソラノネでは、針江地区の湧き水でつくられたお米を竃(かまど)で炊いたご飯をおいしくいただきました。中江藤樹書院跡では日本陽明学の祖である藤樹の思想を学びました。針江集落では3班にわかれ、地下約20メートルから湧き出る湧水を利用する施設である川端(かばた)を中心に、それぞれボランティアスタッフに案内していただきました。上原酒造では昔ながらの酒造り「天然酵母山廃仕込み」「木槽天秤搾り」の解説をいただき、伝統の技に触れることができました。

近江学研究紀要「Omi近江学」の第2号で上原酒造や川端(かばた)を取りあげており、午後からの見学はその記事を追うようなかたちで企画しました。
少し昔の暮らしの中には自然の循環があり、かばたに住む魚など人間以外の生き物と共生し、使用するエネルギーを最小限にとどめ、可能な限り再利用するなど、現代の生活に活かさなければならない知恵があらゆるところに見られました。
参加者の近江学フォーラム会員の皆さんから、本当に貴重で大切な話をたくさん聞くことができ、今の生活を見直さなければというような感想が聞けました。

報告:近江学研究所研究員加藤賢治