5月3日は仰木祭り本祭の日です。比叡山の麓であるという土地柄、祭りの縁起には歴史的に深い背景があります。
平安時代の半ば、摂津多田庄を本拠とする清和源氏発展の基礎をつくった源満仲が比叡山横川(よかわ)の高僧恵心僧都源信(えしんそうずげんしん)を頼って、仰木に10年間住んだといわれています。村人は満仲公を敬慕して大切にしました。やがて満仲公は仰木を去りますが、上仰木、辻ヶ下、平尾、下仰木と四ヶ村に別れ水争いが絶えないことを憂い、年に1回雨乞いの祭礼を行うことで四ヶ村が力を合わせ仲良く暮すようにと言い残したと言われています。
これが祭りの始まりとなりました。
祭りの行事の中には、満仲公が馬に乗って登場し、「芝座敷」や「馬止め」など満仲公ゆかりの祭事も行われます。
今年、近江学研究所は研究プロジェクトの2年目として、仰木に残された少し昔の暮らしを聞き取り、「仰木ふるさとカルタ」というカルタをつくろうと計画しています。研究担当は永江弘之研究員が主担で近江学研究所から大岩剛一研究員、事務局大原歩さんと私加藤が加わっています。
このプロジェクトの研究補助員として学生募集しましたとろ約10名の学生さんが登録してくれました。
これらの学生さんと、映像の実習課題として見学する映像放送コースの櫻井先生と6名の学生さんなどが加わり祭りを見学しました。
午後1時45分におごと温泉駅に集合。路線バスと徒歩で仰木へ。源満仲公の邸宅跡である「御所の山」で歴史レクチャーを私が行いました。
いよいよ、祭り本番。雄琴の千野集落も加わり、5基の御神輿が祭礼の中心である小椋神社を出発しました。
クライマックスは村を出て行こうとする満仲公を引き止めるという故事に因んだ「馬止め」、そして颯爽と馬が駆け抜ける流鏑馬が行われました。
午後8時、たいまつの明かりで神輿が小椋神社に帰ってきますと祭りは終了。12人の村の長老が提灯をもって御神輿を迎えました。
学生さんたちはここまで見学をしました。仰木を知る。昔の暮らしを知る。このお祭りを通して何かをつかんでくれたことと思います。
報告:附属近江学研究所 研究員 加藤賢治