5月1日、甲賀市の油日神社で5年に一度行われる祭礼『奴振り(やっこぶり)』を見学してきました。
『奴振り』は参勤交代の大名行列で奴たちが個性的な歩き方をして見物者を魅了したことに由来し、日本全国各地の祭礼で演じられています。滋賀県でも各地で行われており、油日神社の『奴振り』は県選択無形民俗文化財に指定されています。
油日の奴振りは祭主である頭殿(とうどう)が油日神社に参内する時に従うお供の行列が原型になっており、当時地元で勢力を誇った上野、高野、相模、佐治、岩室の五氏の参内の様子がこの祭りの始まりであるといわれています。
室町時代に現在のかたちになり、明治以降は5年に一度行われています。東と西を結ぶ街道にあたるこの地域には、多くの物資と人が行き来し、豊かな文化が栄えました。今回、この『奴振り』を見学してその名残を十分に感じました。
油日神社の近くには櫟野寺(らくやじ)という天台宗の古刹があり、伝教大師が彫刻したと伝えられる十一面観音座像を特別に拝観することができました。
他にもここには約20体の平安期の仏像が収蔵されており、古代から独創的で真似できない高度な文化が根付いていたことを確信しました。
報告:附属近江学研究所 研究員 加藤賢治