1月15日(土)午後2時からピアザ淡海(大津市におの浜1丁目)で『近江の祈りと美』出版記念講演会があり、参加してきました。昨年末に出版されましたこの著作は近江学研究所学外研究員の一人である滋賀県立近代美術館学芸課長の高梨純次先生と近江学研究紀要の挿入写真でお世話になっています写真家寿福滋先生のお二人によるもので、寿福先生の近江の仏像の写真を中心として、高梨先生がその仏像の解説とともに近江の仏教文化の特色を語られています。
講演で高梨先生は「近江は数量の面からも仏像の宝庫であり、また古代中世の銘文が入っている秀作も多く、質が高いと評価されている。そして、それらの仏像は霊峰比叡山など宗教施設に集中するのではなく、湖南や湖北に分散されており、近江の宗教史をひも解くカギにもなる」と近江の仏像の特色を語られました。
寿福先生は「光と影」と題して講演され、仏像に限らず写真を撮るに際しては光のあたり方が重要で、有名な湖南の「狛坂磨崖仏」の写真を例に挙げられ、光のあたり方が上からと下からではまったく違った表情になると解説されました。また、「祈りという視点でいえば暗いお堂の中でろうそくの明かりに照らされる仏像は常に下からの明かりに照らされ、「祈り」という信仰のシンボルとして仏像を被写体とする時は、下からの光を意識します」と述べられました。
その後、お二人を囲む会が開催され多くの関係者が祝福の辞を語られました。
近江学の研究には欠かせないお二人のますますのご活躍を祈念申しあげます。
報告:近江学研究所研究員 加藤賢治