近江学研究所公開講座の初回が終了して、その足ですぐに大津市歴史博物館へ。17日午後1時半から大津市歴史博物館講堂において近江学研究所研究員の加藤が4年前から取り組んできた自分の研究を発表しました。
この講座は歴史博物館の企画展「元三大師良源展」の関連企画で開催されたもので、今回私は比叡山横川(よかわ)の麓にある仰木地区の古式祭礼について報告をしました。
成安造形大学が位置する仰木地区には小椋神社を中心としていわゆる「宮座」が運営され、村人が古くから伝わる祭礼を守ってきた。仰木地区は比叡山の麓にあり、琵琶湖を中心とする湖上交通の要衝にあたり、多くの人物や物資がそこを通過しました。そのような位置関係が仰木の歴史や伝承を深め、他には見られない風習が今に伝えられています。
近江は「宮座」の宝庫と呼ばれ、古くから宮座研究の舞台となりました。その村落組織の形態は多様であり複雑で神仏分離が厳しく行なわれた小椋神社を中心とする仰木地区はその中でも珍しい風習や伝承が多く残されています。
「親村」と呼ばれる村組織を詳しく見ながら、その古式祭礼の大切さを語りました。
150名という多くの方々にご清聴いただき、この講演が近江学研究の一助とご理解いただければこのうえない幸せです。今後も足元の研究を続け、多くの皆さんにその成果をお伝えしていきたいと考えています。

近江学研究所研究員 加藤賢治