7月12日(日)に近江学研究所所長の木村至宏先生が担当する芸術文化特論(民俗学概論)の授業の一環で、堅田フィールドワークを行いました。
研究所研究員の加藤も同行し、木村先生とともに約3時間、堅田のすべてを徒歩で巡りました。JR堅田駅に集合し、早速駅前の志賀廼家淡海顕彰碑を解説。堅田出身の喜劇役者(松竹新喜劇)を紹介しました。次にスポーツクラブコジャックビルを訪ねかつて江若鉄道の堅田駅であったことを説明、実業家ヴォーリズの建築として有名な日本基督教団堅田教会、恵心僧都源信の創建と伝えられる堅田満月寺浮御堂、湖族の郷資料館、浄土真宗蓮如上人旧跡である本福寺、堅田源兵衛の首の伝承で知られる光徳寺、中世堅田宮座の中心地伊豆神社、近江を愛した松尾芭蕉を偲ぶ記念碑(十六夜の弁)、今も多くの湖魚の水揚げがある堅田漁港、琵琶湖の最狭部にある琵琶湖唯一の灯台「出島(でけじま)の灯台」、そして新田義貞の妻、勾当内侍(こうとうのないし)の墓があり、その悲しい伝承が今も神事として伝わる野神神社を順に訪ねました。
梅雨の合間、蒸暑い中10ヶ所に及ぶ堅田の民俗ポイントを巡りました。木村先生の万歩計はこの3時間で1万歩を超えました。参加した学生たちはさすがに疲れ気味なところもありましたが、中世から近世にかけて、湖上交通の要衝であったため多くの人たちがここを往来し、恵心僧都源信、蓮如上人、松尾芭蕉、勾当内侍など歴史上の人物が登場する数え切れない伝承が今に伝えられているということを体感し、満足そうに帰途につきました。
歴史文化の薫り高い湖族の郷「堅田」を満喫した一日となりました。

報告者:近江学研究所研究員 加藤賢治


        浮御堂で芭蕉の句碑についての解説を熱心に聞く学生たち