講師:高橋松山 (大津絵師)
日時:2008年6月28日(土) 10:40~12:00
場所:成安造形大学 生涯学習センター
今から370年前に大津追分で始まったといわれる「大津絵」を今に継承している大津絵師四代目高橋松山先生が実際に大津絵を描きながら、大津絵の歴史や魅力につて語っていただきました。
松尾芭蕉の句に「大津絵の筆のはじめは何仏」というのがあるように、大津絵は浄土系の宗派の信者のための阿弥陀三尊や亡くなった人の追善供養に関わる十三仏、庚申信仰に関係する青面金剛など、仏画が中心であったと考えられている。街道を多くの人が行き来するようになると、安価で運びやすいお土産として美人画や奴(やっこ)の図などが描かれ、その後、道歌をもとにした多くの種類の絵が描かれるようになった。現在では人気のある画題だけが残り「鬼の念仏」「藤娘」など10種の大津絵が描かれ販売されている。大津絵の「美」については柳宗悦氏が民芸運動の中で取り上げ、無名の職人がつくりあげる「美」として注目された。
何度も繰り返し描くことから生まれる美しさを、なぜそうなるのか説明することはできないという高橋先生の言葉に学生たちは興味深く聞き入っていました。
報告者:近江学研究所研究員 加藤賢治