講師:福家俊彦 (三井寺執事 近江学研究所学外研究員)
日時:2007年10月6日(土) 10:40~12:00
場所:成安造形大学 生涯学習センター
福家俊彦氏に天台寺門宗総本山といういわゆる権門としての三井寺ではなく、中世から近世に宗教的結界としてアジール性をおびた別所を含む三井寺について語っていただきました。
三井寺は三院五別所と呼ばれ、本山三井寺の三院の他に、近松寺(ごんしょうじ)をはじめとする五つの別所を含んでいたこと。別所においては、三井寺という宗教的権威に保護され、その時々の権力者の力が及ばないアジールのような機能があり、自由な宗教活動や民間芸能が発展したこと。特に近松寺(ごんしょうじ)においては「説教節」や「踊念仏」が考案され、街道を通じて全国に広がり、庚申講や大津絵の発展などもその場に見られたことなど、詳しく解説いただきました。一方で民間芸能の研究は、現存する文献が極端に少なく、想像の域を超えない部分が非常に多いということなど、この分野の研究課題も話されました。
報告者:近江学研究所研究員 加藤賢治