講師:今森光彦 (写真家 近江学研究所参与)
日時:2007年6月30日(土) 13:40~15:00
場所:成安造形大学 本部棟三階ホール
今森先生には、自然と人間とが織り成す琵琶湖の風景のすばらしさについてご講義いただきました。川を遡上し田んぼに群れ泳ぐ鮒の姿、それを登校前に何匹も採ったこと、ところがダムなど水利環境の人工的な整備が急激に行われだしたころから、鮒が田んぼに来なくなったことなど、今森作品の原点といえるご自身の小学生ころの記憶から講義は始まりました。植物や魚、鳥、水、人が等価的に扱われている琵琶湖周辺の四季にわたるスライド作品では、自然と共生する人間の日常生活の豊かさをヴィジュアルに感じさせていただくとともに、近江八幡の水郷周辺の重要文化的景観指定の意義、ラムサール条約の問題点、内湖のヨシ原の重要性、自然水を利用した川端(かばた)の危機など、現在琵琶湖が抱える問題点も端的に指摘されました。人が琵琶湖とともに育んできた文化を見つめることで、人間が自然の一部であることを再確認し、大自然だけでなく最も人間に身近な自然である文化的自然環境の大切さを教えていただきました。
報告者:小嵜善通 (成安造形大学教授 近江学研究所研究員)