講師:松浦俊和 (大津市歴史博物館 館長)
日時:2007年6月2日(土) 10:40~12:00
場所:成安造形大学 本部棟三階ホール
大津市歴史博物館館長の松浦俊和先生に、大津京と紫香楽宮という近江に残された2つの宮跡を、図表を眺めながらその遷都の理由を中心として語っていただきました。大津京についてはその位置や歴史の説明の後、防御説、積極的外交説、内政問題説等、遷都の理由についての考察が解説されました。その中でも、近江大津の地が渡来系豪族大友氏の本拠地であり、天智天皇が大和の地での他氏族との政争を逃れ、大友氏の支援を受けようとしたという内政問題説も有力な遷都の理由であると語られました。紫香楽宮いついては、聖武天皇の奈良時代、恭仁京・紫香楽宮・難波宮とわずかな時間に遷都が行われたが、恭仁京と難波宮と平城京は中国の長安・洛陽・太原の三都制にならったのではないかとしたうえで、洛陽の郊外に竜門石窟寺院があるように、恭仁京に近い紫香楽に大仏を建立する計画があったという史実が語られました。
報告者:近江学研究所研究員 加藤賢治