大津絵ってなに?―街道の民画『大津絵』入門

【公開講座】
日時:7月25日(土)13:00~14:30
場所:成安造形大学 聚英ホール
講師:横谷 賢一郎 氏|大津市歴史博物館 学芸員

「大津絵」をテーマに公開講座入門編を開催

令和8(2026)年度2回目の公開講座を開催しました。

近江学研究所では、初めてテーマに触れる方にも気軽に参加していただけるよう、昨年度から、近江の歴史や文化を分かりやすく紹介する「入門講座」を開催しています。

今年度の入門講座は、「大津市歴史博物館×成安造形大学 連携講座」として、「大津絵ってなに?―街道の民画『大津絵』入門」を開催しました。講師には、大津市歴史博物館学芸員の横谷賢一郎氏をお迎えしました。

江戸時代、東海道の街道筋で生まれ、街道を行き交う人々に親しまれた「大津絵」。今回の講座では、その成り立ちや時代背景、描かれた画題などをたどりながら、大津絵の魅力を分かりやすくご紹介いただきました。

大津絵は、はじめから美術作品として生まれたものではなく、街道を行き交う旅人などに向けて販売され、発展した民画です。人々の需要に応じてさまざまな画題が描かれ、より多くの人に届けるため、効率よく制作するための工夫も重ねられていきました。

また、初期に描かれた「十三仏」や「青面金剛」といった仏画から、「藤娘」や「鬼の念仏」などの世俗画へと、時代とともに画題が変化していったことについても、実際の作品を見ながら解説していただきました。

一見すると素朴で親しみやすい絵の中にも、当時の人々の暮らしや信仰、風刺など、さまざまな意味が込められています。大津絵を「絵」だけで見るのではなく、街道や人々の往来、社会の変化と結びつけて考えることで、その背景にある近江の歴史や文化にも触れる講座となりました。

会場では、横谷氏が持参された大津絵の掛け軸6幅なども展示され、講演終了後も多くの参加者が実物を間近で鑑賞されていました。

ご講演いただきました横谷賢一郎先生、ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。

同日午後には、五代目大津絵師・高橋松山氏を講師に迎え、ワークショップ「大津絵を描こう!」も開催しました。ワークショップの様子は、別の記事でご紹介します。

受講者の皆さんの感想(抜粋)
  • よく知らない間は、大津絵は絵としてあまり好きではありませんでした。今回その成り立ちや、マーケティングオリエンテッドであることを知り、改めて興味が湧きました。絵としても好きになれそうです。
  • 初心者向けの講座で、楽しく参加させていただけました。
  • 大津絵が、芸術からよりも、庶民のみやげから始まったことにおどろきました。
  • 大津絵のできた経緯や当時の扱われ方がよく分かった。ところどころクスッと笑えるタイミングがあっておもしろかったです。鬼念仏はかわいらしく描かれているけれど、風刺的な意味があるというのは初めて知りました。大津絵が描かれた背景も聞けたので、とても興味深い講義でした。
  • 時間があっという間でした。資料をたくさん用意していただいていたので参考になりました。合羽摺りや手描きの箇所を具体的に示しながら作品解説していただき、スライドで写真が大きく出されるからこそ分かりやすかったです。

[講師プロフィール]

 横谷 賢一郎 氏(大津市歴史博物館 学芸員)

1993 年、同志社大学文学部文化学科美学及び芸術学専攻卒業。同年より大津市歴史博物館学芸員。専門は、日本近世絵画史。特に18 世紀の京派の絵師たちを専門とするほか、大津市歴史博物館では、大津絵をはじめ、近江八景の肉筆・浮世絵作品、ご当地絵師のほか、書跡・陶磁器・漆工芸など江戸時代の美術工芸全般を担当している。