

石丸正運氏:近江学フォーラム会員限定講座第3回開講
2013年9月28日

会場風景
日時:2013年9月28日(土)10:40~12:10
場所:成安造形大学 聚英館3階 聚英ホール
講師:石丸 正運氏 (美術史家)
タイトル:「画人 近江蕪村 -紀楳亭と横井金谷-」
9月28日(土)、近江学フォーラム会員限定講座の3回目を開催しました。今回の講師は、近江学研究所の参与で美術史家の石丸正運氏を講師に迎え、「画人 近江蕪村—紀楳亭と横井金谷−」と題して語っていただきました。
石丸氏は「紀楳亭(1734〜1810)と横井金谷(1761〜1832)は近江ゆかりの文人画家であるが、与謝蕪村(1716〜83)の画風にきわめて近いスタイルで描いた作品を残している。楳亭ははやくから絵俳諧を蕪村に師事して学び、金谷は蕪村に私淑して画業を育んでいる。」と、資料を基にわかりやすく二人の画業を解説されました。
楳亭が京都から大津に移住したのは、京都での天明の大火がきっかけであるが、大津は蕪村のあこがれていた芭蕉ゆかりの地でもあり、風光明媚な自然環境が大きく影響したと大津の近江の美しさが強調されました。また、大津には楳亭の墓所や旧宅の石碑などが残っていると紹介されました。
近世の著名な文人画家を育てた近江の魅力を改めて知る機会となりました。
近江学研究所研究員 加藤賢治

石丸正運氏


石丸先生所蔵の横井金谷画の掛軸
「棚田・里山・湖辺の郷 淡海の夢2013風景展」作品公募中!
2013年9月19日
淡海の夢風景展では、琵琶湖の豊かな水系の中で育まれた棚田・里山、そして歴史ある町並み や湖岸の景観を中心とした湖辺の郷が織りなす風景を、さまざまな視点・アプローチで表現した 平面作品(絵画・版画・写真など)を公募します。ふるってご応募ください。
【公募展 名】 「棚田・里山、湖辺の郷 淡海の夢2013風景展」
【会 期】 12月7日(土)~12月19日(木)12:00~18:00 | 入場無料 | 日曜休館 |
【会 場】 成安造形大学 ギャラリーアートサイト
【企画 監修】 永江弘之(成安造形大学准教授・本研究所研究員)
【主 催】 成安造形大学附属近江学研究所
【協 賛】 株式会社クサカベ、ホルベイン工業株式会社
応募要領
応募 資格: プロ、アマ、幼小中高校生を問わず、どなたでも応募できます。
※ 応募作品多数の際は、審査を実施いたします。
作品サイズ: 額装を含め、幅120㎝以内(50号の長辺幅まで)
出品点数: 1人1点まで
出品料: 無料
出品申込: 「作品募集要項」に掲載の出品申込書を、郵送にて送付ください。
「作品募集要項」をご希望の方は、附属近江学研究所webサイトからダウンロード
または下記までお問い合わせください。
出品申込締切: 2013年11月11日(月)〔当日消印有効〕
搬入日: 2013年11月18日(月) ・19日(火) ・20日(水)
搬入方法: 送付または、附属近江学研究所 窓口へ持ち込み
※詳細は作品募集要項をご確認ください。
>>>淡海の夢2013公募チラシPDF ダウンロード[421kb]
>>>作品募集要項PDF ダウンロード[213kb]
>>>「淡海の夢2010・2011・2012風景展」出品作品を近江ギャラリーで公開しています。
成安造形大学【キャンパスが美術館】公式サイト
連続講座第3回「受け継ぐかたち②-北近江の地酒・冨田酒造ー」開催
2013年9月17日
日時:2013年9月14日(土)10:40~12:10
場所:成安造形大学 聚英館3階 聚英ホール
講師:冨田 泰伸氏 (冨田酒造有限会社 十五代蔵元)
対談:加藤賢治・石川 亮(本研究所研究員)
タイトル:「近江~受け継ぐかたち②-北近江の地酒・冨田酒造-」
9月14日(土)、近江のかたちを明日につなぐ−受け継ぐかたち−の2回目ということで、加藤、石川2名の研究員がコーディネートし、湖北木之本の名酒七本槍で知られる冨田泰伸さんに登壇いただきました。
今回は、400年以上の歴史を持つという老舗の酒蔵であるということ、そして、知られざる湖北木之本の魅力も知っていただこうと第1部は私(加藤)が「湖北の要衝木之本」という内容で賤ヶ岳や余呉湖、伊香具神社など木之本を中心とした湖北を紹介しました。続いて冨田さんが登場。酒造りを中心に地元を巻き込んだ様々な取り組みについてお話をいただき、最後に石川亮研究員から非常に興味深い冨田酒造のWebサイトを紹介し、冨田酒造の商品開発などに触れながら対談が行なわれました。
第1部木之本の紹介の中では、冨田さんの曾祖父である冨田八郎氏が滋賀県最古の図書館である「江北図書館」の理事長兼館長を努められ、現在もお父さんである光彦氏が引き継ぎ、湖北地域の歴史文化の継承に寄与されているということにも触れました。

木之本について解説する加藤研究員
第2部で冨田さんは、愛する地元に良いものを残したい一心で、今があると自己紹介の中で語られ、近年の日本酒離れを憂いながら、厳しい酒造りの現状や、酒造りの行程など興味深く貴重なお話を語っていただきました。

冨田酒造有限会社 十五代目蔵元 冨田泰伸氏
第3部では、素晴らしいWebサイトを拝見しながら石川研究員が質問を投げかけ、地域の篤農家(とくのうか)や地元の農業高校との連携、海外市場への進出、酒粕ジェラートや石けん、Tシャツやストラップなどの新商品の開発の話など、直接儲けにつながらないが、つくる人、買う人、地域の人みんなが笑顔になれるような取り組みについて熱く語っていただきました。
受け継ぐかたちの2回目、伝統の酒造りを基礎としながら、地域とともにつくり、グローバルに展開するという、これからの酒造りのあり方にチャレンジされている冨田さんの活躍をしっかりみせていただきました。

冨田氏と対談をする石川研究員

冨田酒造㈲のwebサイトを見ながら商品の解説をしながら対談

冨田酒造㈲のグッズ
会場からは、「盛んに新商品開発へと活動をされている冨田さんの行動力に敬服します」「このような活動を教えていただく機会をいただき感謝します」など多数の前向きな感想をいただきました。
冒頭に紹介した江北図書館を受け継いだ先代や先々代の行動力を受け継いだ冨田泰伸さんは、酒造りにとどまらず、広く地域を網羅してその新しい魅力を創出し、発信されることでしょう。
成安造形大学附属近江学研究所研究員 加藤賢治
冨田酒造webサイト>>こちらから
八王寺山の家・自力建設プロジェクト ワークショップ開催!2日目
2013年8月22日
2013年8月17日(土)、18日(日)の2日間、昨年度から建材素材集めや上棟式などに取り組んできた大津市仰木地区の「仰木自然文化庭園構想 八王寺組」が主催する、拠点となる小屋の建設ワークショップに参画しました。
この活動は、近江学研究所が、研究活動「八王寺山の家”地域拠点”自力建設プロジェクト」の一環として、地元仰木との活動を授業化し、研究員と学生が参画するものです。
1日目の作業は>>>こちらから
<2日目の作業の様子>
八王寺山の家・自力建設プロジェクト 藁積み・荒壁づくりワークショップの2日目。
1日目にも増して快晴。
まず、始めに八王寺組の上坂会長からごあいさつがありました。
そして、カイルさんより、ストローベイルハウスの特性についてレクチャーがあり、
今日の作業行程、作業の分担について説明がありました。
学生たちもそれぞれ作業を分担しています。
土壁に隠れるベイルを覗く「真実の窓」の窓部分を汚れないように養生をする作業。
ベイルを留める竹杭の先端をとがらせる作業
「真実の窓」ができる下面の壁にレリーフをつくることになり、イラストレーション領域の学生たちは急遽デザイン案を考えることに。
テーマは「棚田」です。
そして、2層目の荒壁塗り作業。
1層目の土よりも、藁を沢山入れて、強度をつよめます。この土をベイルとベイルのくぼみや、壁の形の成形に使います。
土づくりが重労働。男の人たちが交代しながら行ないます。
壁の上面のラインをきれいにみせるように、指示を仰ぎながら、土をのせて、形を整える作業を繰り返します。
午前の作業は終了。
お昼ごはんは、鹿肉カレー!
そして、二種類の夏野菜たっぷりサラダ。
身体が元気になります。
レリーフ案が決まりました。イラストレーション領域3年のツリアンディカ・アンジャニさんのデザインです。
レリーフをつくっていきます。
壁面の形成が整い、レリーフができました。
14時、いよいよ仕上げとなる3層目を塗っていきます。
仕上げの土は、粉砕した藁スサをたくさん混ぜて、水分を含んだ柔らかい土です。
これをゴム手袋の手で、すーっと上塗りしていきます。手のひらで壁を撫でていきます。
撫でていくと、すこしづつ光沢が生まれていきます。
そして、2日間の作業が終わり、小屋の中には存在感のある、美しい壁が立ち上がりました。
2日間、暑い中で長時間の作業でしたが、
学生たちが地域の方や、一般の方々になじみながら、
作業を率先して、みんなを引っ張るように動いている姿はとても頼もしくみえました。
そして、この小屋が、地域の方々にとっても、関わった多くの方にとっても大切な場所になることがわかりました。
ご協力いただいた皆様、本当にありがとうござました。
八王寺山の家・自力建設プロジェクト ワークショップ開催!1日目
2013年8月17日(土)、18日(日)の2日間、昨年度から建材素材集めや上棟式などに取り組んできた大津市仰木地区の「仰木自然文化庭園構想 八王寺組」が主催する、拠点となる小屋の建設ワークショップに参画しました。
この活動は、近江学研究所が、研究活動「八王寺山の家”地域拠点”自力建設プロジェクト」の一環として、地元仰木との活動を永江弘之研究員(イラストレーション領域准教授)をはじめ研究員を中心に、授業化をして、学生も一緒に研究活動をするものです。
<2日間の作業>
小屋の内装にストローベイルの壁面を作ります。
1日目は、ストローベイルという稲藁を圧縮したブロックを積み上げ、
2日目は、ベイルの上から土を塗り、土壁を作るという作業を行いました。
ワークショップの指導には、特別講師として2名お招きしました。
アメリカ人のカイル・ホルツヒューターさん。
日本大学にて環境建築を研究しながら、自ら左官業を極める活動をおこなっている方で、これまでもストローベイルハウスのワークショップを数多く手掛けています。
そして、この昨年まで本研究所の研究員・本学教授であった建築家の大岩剛一先生。
今年度からは客員研究員として、この研究に携わっておられます。
日本でストローベイルハウスの設計をされて、自然素材の自ら作る建築の在り方をワークショップを通して普及していく活動をされています。

左:大岩剛一先生 右:カイル・ホルツヒューターさん
カイル・ホルツヒューターさんについては>>>こちらから
大岩剛一先生のストローベイルハウス活動については>>>こちらから
<1日目の作業の様子>

午前中は、八王寺組メンバーと上仰木農業組合の皆さんと、成安造形大学スタッフ、学生、そして講師の先生方のみで、
午後に行う一般公開ワークショップの準備を進めました。
まずは、小屋にストローベイルを運び込みます。

小屋のベイルを積む壁面には、ベンチにする箇所に木枠がとりつけられています。

土に混ぜるワラを「押し切り」という道具をつかって5cmに切っていきます。
学生たちは以前も使用したことがあるので、手馴れています。

カイルさんの指導で、土が付きやすいように、木枠などにシュロ縄や麻縄を巻きつけていきます。

お昼のお弁当は、仰木の上坂さんお手製。とても美味しかった。

午後からは一般参加の方も一緒に作業を進めていきます。
参加者は八王寺組の棚田ボランティアやオーナーなどに参加されている常連の方や、ストローベイルハウスについて関心をもっている方が埼玉や広島など遠方からも駆けつけられていました。
まず、八王寺組会長の上坂雅彦さんからご挨拶。

はじめにカイルさんから作業工程について説明があり、各人に仕事を振り分けていきます。
皆、グループになりながら作業を進めていきます。

ベイルを積み始めました。2段目からは竹串を打ち込んでベイルを固定していきます。

通常の大きさのベイルでは狭い場所に合わせて、「カスタムベイル」を作ります。
午前中にカイルさんから指導を受けた学生が指導者となっています。頼もしい姿です。

どんどん高くベイルが積みあがってきました。

順調にベイル積みが進んだので、次の行程「下塗り」作業へ。
粘土質の強い土(藁を少なめに混ぜる)を、ベイルに薄く塗りつけていきます。
2日目に塗る土との接着剤代わりになるもの。
今日の作業はここまで。

夕方からは、八王寺組が交流会としてバーベキューを開催してくれました。
暑い中、熱中症にもならず一日が終わりました。明日もがんばるぞ、乾杯!

交流会では、大岩先生が設計し、カイルさんが壁を手掛けたという神奈川県にあるお寺ができるまでのドキュメンタリーDVDが上映されました。今回と同じように多くの人が集って、「場所」を作り出していました。
最後に上坂会長から、
「これは現代版の「結」だと思う。たくさんの人の気持ちがつながる場所にしていきたい」との言葉に、
とても胸があつくなる気持ちになりました。
<2日目につづく>
仰木ふれあい夏祭りにて「仰木ふるさとカルタ」をお披露目!
2013年8月3日(土)大津市仰木(おおぎ)地区の大津市太鼓会館にて開催された「仰木ふれあい夏祭り」に、
「仰木ふるさとカルタ制作」に取り組んだ永江弘之(ながえひろゆき)研究員と学生スタッフが参加しました。

午前中は大学にてカルタ会の準備を行いました。

カルタ会の1位になった人へプレゼントする「特製カルタメダル」

大津市太鼓会館
15時頃、会場である太鼓会館へ向かい、会場内にブースをつくり、
仰木ふるさとカルタのお披露目と、カルタ大会を3回開催しました。


白熱する子供たち
カルタ会では、カルタ制作にご協力くださった仰木学区老人クラブ連合会長の堀井さんに
カルタに描かれた仰木のくらしについて解説いただきました。

最後のカルタ会は、仰木っ子チーム対成安チームで対戦。
おじいさんおばあさんと子供たちが大学生と一緒になってカルタを通しながら、
地元の暮らしにある知恵や技術、思い出を共有する大事な時間となりました。
津田睦美研究員が岐阜にて講演を行いました。
2013年7月22日
本研究所の津田睦美研究員(写真家・本学教授)が、
過日7月7日(日)、岐阜県ホテルパークにて、
岐阜日仏友好協会・岐阜県国際交流センター主催の講演会
「岐阜出身移民の手記で辿る−仏領ニューカレドニアの日本人移民史」と題して講演を行いました。
津田研究員は、長年ニューカレドニアの日本人移民について研究・制作活動を行なっています。
今回の講演は、1900年に岐阜からニューカレドニアに渡った名和喜一郎さんが残した手記をとおして、移民史を紹介するものでした。また、講演では本学の卒業生で、[rimacona] として活躍する歌手柳本奈都子さんが講演内容を受けて制作したオリジナル曲も披露されました。
詳しくは,
津田睦美研究委ホームページより>>こちらから
[rimacona]柳本奈都子さんについては>>>こちらから
===津田睦美講演会===
「岐阜出身移民の手記で辿る−仏領ニューカレドニアの日本人移民史」
7月7日(日)14:00-15:30(開場13:45)
会場:ホテルパーク(入場無料、要予約)
連続講座第2回「受け継ぐかたち①-彦根仏壇・株式会社井上-」開催
2013年7月20日
日時:2013年7月20日(土)10:40~12:10
場所:成安造形大学 聚英館3階 聚英ホール
講師:井上 昌一氏 (井上仏壇店 株式会社井上代表取締役)
対談:石川 亮(本研究所研究員)
タイトル:「近江~受け継ぐかたち①-彦根仏壇・株式会社井上-」
7月20日(土)、連続公開講座「近江のかたちを明日につなぐ」シリーズの2回目を開催しました。
今回は「受け継ぐかたち」というテーマで、伝統の技術を用いて新しいものづくりに挑戦している彦根仏壇・株式会社井上の代表取締役、井上昌一さんをお招きし、その取り組みについて詳しく語っていただきました。

株式会社井上の井上昌一さん

美術作家としても活躍する石川亮研究員
このシリーズは、近江学研究所研究員がコーディネイトするかたちで行なわれており、今回は美術作家として活躍している石川亮研究員がものづくりの視点で話を引き出しながら進めました。
はじめは、井上さんが、彦根藩の武具をつくる職人から出発したという彦根仏壇の歴史から、彦根仏壇の特徴である金仏壇の制作行程、七職といわれる、木地師や塗師、錺金具(かざりかなぐ)師などの職人の役割などスライドや映像を交えて解説されました。

対談形式で講演は進められました。

漆の塗りについて説明する井上さんと石川研究員
その後、後継者不足や景気の後退、仏壇離れ等の現状を解決するため、新しい祈りのかたちを本学の学生や若手デザイナー等と新製品を開発する取り組みが紹介されました。新時代の仏壇や、仏様の手のかたちをあしらった持ち運び可能な祈りの対象となるグッズの提案など、斬新なアイディアが、実際に商品化された現物を前に話されました。続いて、仏壇を制作する木地師と塗師の技術を使い、カラーの漆がほどこされたおしゃれなデザインの食器や菓子箱、トレイなどの製品も紹介されました。

柒+(ナナプラス) 成安造形大学も参加した、コラボレーションから生まれた新しい仏壇

柒+(ナナプラス) 持ち運びができる、御仏の手をイメージした祈るかたちの提案
現在、井上さんは、漆塗りの良さや新しいライフスタイルにつながる製品を海外に紹介し、観光客を誘致する取り組みに繋げるなど様々な活動を続けておられます。しかし、このような活動によってつくられる製品は非常に高価であり、安定した販売につながっていないという現状も話されました。
石川研究員はまとめとして、多少高価な食器であっても、大量生産大量消費から脱却し、その漆塗りや手作りの価値をしっかり認識する消費者を増やさなければならないし、そのために大学としてもそのような新しい価値観を学生に教えて行かなければならないと改めて感じたと感想を述べられました。
報告:近江学研究所研究員 加藤賢治

彦根仏壇の新たなブランドとして取り組む「chanto」について説明する講師たち

伝統を新しい感性で継承しようとする話に皆さん熱心に耳を傾けておられました。
井上仏壇について>>こちらから
「柒+(ナナプラス)」についてフェイスブック>>こちらから
「柒+(ナナプラス)」滋賀県立大学・成安造形大学の学生デザインの仏具公開、IFFTに展示へ の新聞記事(しが彦根新聞)>>こちらから
新ブランド「chanto」 について>>こちらから
近江里山フィールドワーク第1回目のFWを行ないました!
2013年7月13日

集合場所で挨拶する学生たち。これから踏査スタート!
プロジェクト演習A1「近江・里山フィールドワーク」、 監修今森光彦先生(写真家・本学客員教授)、
特別講師佐藤悦子先生の授業が7月7日(日)に行なわれました。
一昨年まで取り組んでいた今森光彦氏の授業「雑木林再生プロジェクト」と、
「仰木森林学入門/仰木森林保全ボランティア」の2つの授業が合わさった形で、
1年を通した授業としています。過日、5月17日(金)にガイダンス&レクチャーが行われ、
この日は実際に山に入ってのフィールドワークが行なわれました。

途中休憩。佐藤講師が雑木林と人工林の違いを説明

頂上付近の絶景ポイントで森林組合の方々と記念撮影。
この日の目的は、上仰木・辻ヶ下森林組合が管理する杉・檜の人工林に入り、
上仰木と辻ヶ下、2ヶ村が保有する森林を踏査することです。
踏査とは森林の境界線を確認することと、異常がないかを調べることです。
学生たちは実際に森林に入り、組合員や佐藤特別講師から人工林の特徴を学びました。

急な山道を行く

昼食後、30分程度レクチャー。人工林のの歴史と山を守る地元森林組合の方々の活動を学びました

山頂付近の目的地でお昼ご飯。美しい琵琶湖を眺めながらお弁当をいただきました
学生たちは、途中急斜面の登りや、急な降りに閉口しながらも琵琶湖が一望できる
絶景ポイントではその美しさに疲れを忘れていたようです。
昼食後のミーティングでは、自己紹介や人工林の歴史や保全活動の重要性を学びました。

急な斜面を下山。仰木の奥宮である滝壺神社にお参り。白鳳時代に遡る仰木の出発点を確認しました

仰木の水源で涼をとる学生たち

最後に反省会。学生たちは「来てよかった。勉強になりました」など、それぞれ感想を述べました
最後に学生たちは、森林組合の役員の方々を前に、
「普段は山を遠くから見ているだけですが、初めて山に入ってみて色々な発見がありました」
「森林を保全することは大変難しく、多くの人々の努力が必要なのだと理解できました」
「初めてこのような森林に入り、心が癒されました」
などそれぞれ感想を述べました。
次回9月は、間伐作業の体験、10月の木工作業と続きます。
その後は、今森先生が管理されている雑木林に入って生物多様性について学びます。
今後も楽しみです。
報告:近江学研究所研究員 加藤賢治
川嶋將生氏:近江学フォーラム会員限定講座第2回開講
日時:2013年7月13日(土)10:40~12:10
場所:成安造形大学 聚英館3階 聚英ホール
講師:川嶋 將生氏 (立命館大学教授)
タイトル:「中世近江の文化環境」
今年度2回目となるフォーラム会員限定講座を立命館大学教授の川嶋將生先生を迎えて開催しました。
講座のタイトルは「中世近江の文化環境」。近江の国は歴史上惣村が非常に発達していたこともあり、惣村文書が多く今に伝えられています。川嶋先生は具体的に菅浦文書や大嶋神社奥津嶋神社文書、今堀日吉神社文書などの記述から、芸能の発達について推考された興味深いお話をいただきました。
特に中世の近江に発展した「近江猿楽六座」や芸能を深く愛した武将である近江源氏「佐々木(京極)導誉」、そして「多賀大社の勧進猿楽や舞々等の芸能」について解説されました。
中世の近江は、「一国の米の取れ高が77万石という全国的に見ても最も豊かな土地であった」こと、「比叡山を背景とした天台旧仏教と新興の浄土系宗派が発展した」こと、そして「京都の東の玄関口として琵琶湖という運河とそれを囲む街道が発展し、交通の要衝であったこと」という3つの重要な要素が、芸能文化の発展の基盤をつくったとまとめられました。
最後に、このように芸能文化を育んだ近江であるが、例えば猿楽や田楽といった民俗芸能の基本的なものが現存せず、その理由も判明していないという大きな課題を残しているとの指摘もされました。
今回の講義で、近江が持つ豊かな水源に恵まれ、全国有数の米どころであり、街道が発達し、交通の要衝であるという特徴が、民俗芸能の発展においても欠かせない条件であったということが解り、「近江学」という学問にまた一つ新たな頁(ページ)が追加されました。