環びわ湖大学コンソーシアム公開講座「近江考−近江のいまむかし−」始まる!

2009年11月2日

10月31日(土)表記の県民向け公開講座がJR南草津駅前「草津市立市民交流プラザ大会議室」で行われました。びわ湖を囲む大学が集まり、「近江のいまむかし」をテーマに各大学の教員がリレーで講師をつとめるという公開講座です。
そのトップを成安造形大学が担当し、近江学研究所木村至宏所長が「近江の歴史と文化の特性」と題して近江の魅力を語られました。
1時30分から力石伸夫滋賀大学理事のあいさつで連続講座が開幕し、一般参加者約100名の前で木村所長の講演が始まりました。木村所長は近江国は「湖の国」「山の国」「道の国」と大きくその特色を分け、レジメに従ってじっくり解説がされました。解説の後はスライドで視覚的にその魅力を確かめ、参加者の多くは臨場感のある講義に満足そうで、いつもの木村所長の話術に翻弄されていました。
近江学研究所が企画する公開講座も自然/文化の宝庫である滋賀県を再考し、様々な形で未来のくらしに役立てようとするものですが、環びわ湖大学コンソーシアムの活動の中にも同じ目的があります。21世紀に向けてますますの発展を目指すコンソーシアムの詳細は下記です。近江学研究所同様ご注目を!
http://www.kanbiwa.jp/ 環びわ湖大学コンソーシアム

報告:近江学研究所研究員 加藤賢治

テレビドラマの撮影が近江学研究所で行われました!

2009年10月27日

10月25日(日)人気サスペンスドラマTBS水曜劇場「浅見光彦~最終章~」の撮影が近江学研究所で行われました。主役の沢村一樹さん、ヒロインのいとうあいこさん、大学教授役の鶴見辰吾さんが登場!約3時間にわたってロケが行われました。
物語は滋賀県が舞台となり、鶴見辰吾さんふんする大学教授が事件のカギを握るという設定です。
数名のエキストラが必要ということで、学内で映像祭などを企画する学生グループに声をかけたところ、10数名が休日にもかかわらず参加してくれました。多くのスタッフが無駄なく動くプロの撮影現場に立会い、学生たちは「緊張感みなぎる現場で、たくさんのことを学べました」と感想を聞かせてくれました。
今回の撮影は、(社)びわこビジターズビューロー内に設置された「滋賀ロケーションオフィス」からの紹介で、このロケーションオフィスは滋賀の観光事業の促進を目指して映画やテレビドラマのロケーションを誘致し、全国に滋賀県の魅力を発信しようと活動されています。
近江学研究所も大学とともに、それらの活動を応援し、協働して近江を盛り上げたいと思います。
今回の収録分の放送はTBS系11月18日(水)午後9時から。水曜劇場「浅見光彦~最終章~第5話」です。ぜひご覧ください!

報告:近江学研究所研究員 加藤賢治

第一回近江学フォーラム現地研修「湖北 観音の里めぐり」報告

2009年10月20日

10月17日(土)近江学フォーラム現地研修-湖北 観音の里めぐり-を実施しました。バスでの現地研修。午前8時45分JRおごと温泉集合。木村至宏近江学研究所所長の車内での講演が始まり、一路湖北へと出発しました。木村所長のガイドは快調!いつものわかりやすく楽しい解説で、白洲正子がたどった湖西路を進み観音の里へ。
湖北の観音様は重要文化財のものを含め美しい仏像がたくさんあることで全国的に著名ですが、今回の研修は、村人が輪番で村のお堂をお守りするという、そういう形式を今に伝える集落にしぼって4つのお堂を訪ねました。
石道(いしみち)という集落にある石道寺(しゃくどうじ)では、湖北の観音の里を舞台とした井上靖の名著『星と祭』の一節を木村所長が朗読され、作家が見る十一面観音の「美」を語られました。あいにくの曇天で一時的に激しい雨がこのタイミングで降りましたが、堂内に響く雨音は水の神様である十一面観音のBGMとなり、すがすがしく心地の良いものとなりました。
現地研修ということで湖北に観音が多い理由や時代とともに変化する仏像の形式のことなど、日本美術史を専門とする小嵜研究員による詳しい解説もあり、40名のフォーラム会員参加者の目は真剣そのものでした。
木村所長は「お堂の観音様の姿は今後も変わることはありませんが、それを拝観する皆さんの心は変化しています。機会があれば何度でもこの湖北の観音様を訪ねてください」と現地研修を締めくくられました。
午後3時半、雨もあがり少し晴れ間が見える湖北の琵琶湖。竹生島を車窓に見ながら帰途に着きました。
次年度の研修の企画を考えながら・・・。

報告:近江学研究所 研究員 加藤賢治



響心祭(第17回成安造形大学大学祭)で地産地消!

2009年10月11日

昨日、本日の10月10日(土)・11日(日)に成安造形大学で響心祭(大学祭)が行われています。成安造形大学事務局では学校法人京都成安学園近藤理事長と成安造形大学牛尾学長の店を出店しました。店の名前はこの4月から現近江学研究所木村所長に代わって学長に就任されました牛尾学長にちなんで「うしお屋」。
売り物は牛丼と牛皿。本場近江牛と仰木棚田米という最高の出会いを完成させ、究極の地産地消を実現させました。
理事長、学長ご両人と山﨑常務理事の出資で、儲けは考えない。学生支援ということで学生さん大盛り!近江の味を堪能していただきました。昨日は2日分を予定していた近江牛も完売。今日は買出しからスタートです。
これも広い意味で「近江学」?ご来場お待ちしています!

報告:近江学研究所研究員 加藤賢治

琵琶湖で船上講演会開催!

2009年9月28日

9月26日(土)、浜大津大津港周辺で2009びわ湖学生フェスティバルが開催されました。これは滋賀県の13大学の学生が集まり、学生同士の親睦と地域住民との交流を目的に開催されるもので、今年は成安造形大学が当番大学ということで行われました。
そのフェスティバルの目玉として、琵琶湖汽船(株)の協力を得て、近江学研究所が船上講演会を企画しました。講師はもちろん近江学研究所木村至宏所長。『湖上から見る近江八景』と題して、約1時間、船上で景色を見ながら近江八景について語っていただきました。
当日は快晴。午前中は県内加盟大学の学生120名を前に、午後は一般参加者110名に対して熱弁をふるわれました。湖上から移り行く景色を見ながら、語る木村所長。話は途切れることなく続きます。湖上から眺める堅田浮御堂を前に「千躰の阿弥陀仏がお堂に安置され、湖上に消えて行った魂を鎮め、湖上の安全を守護するために湖上に向けてお堂が建てられています。また、こよなく近江を愛した松尾芭蕉は十六夜の月を眺めながら『鎖あけて 月さしれよ 浮御堂』という名句を残しました」と語られました。
いつもの楽しい語りである「木村節」は琵琶湖の湖面のように冴えわたり、木村先生の琵琶湖のように広く深い知の泉に触れることができた参加者の顔は満足感であふれていました。
 琵琶湖汽船の新型エコクルーズ船「megumi」に今回初めて乗船しましたが、視界は良好ですばらしい景色を十分楽しむことができました。近江学研究所では是非ともまたこのような企画を計画し、多くの方に琵琶湖の魅力を伝えたいと思っています。乞うご期待!

報告:近江学研究所研究員 加藤賢治

講座「琵琶湖の風景」を開講しました。

2009年9月19日

講座名 琵琶湖の風景
日 時 平成21年9月19日(土) 10:40~12:00
場 所 成安造形大学 本部棟三階ホール
講 師 今森光彦 (成安造形大学客員教授 写真家)

本年度3回目の近江学フォーラム会員限定講座「琵琶湖の風景」を開講しました。湖北の自然を多くのスライドを交えて生き生きと語っていただきました。ご参加いただきました皆様ありがとうございました。

永平寺を訪ねて

2009年8月20日


8月19日(火)研修と称して北陸福井県永平寺に行ってきました。
ご承知のとおり曹洞宗(そうとうしゅう)総本山永平寺(えいへいじ)は鎌倉時代に宗祖道元(どうげん)(1200~1253)が建立した禅宗寺院です。本来、念仏宗が念仏を称えると阿弥陀仏がすばらしき来世を必ず約束してくれるという他力宗教であるのに対し、禅宗は自ら坐禅(ざぜん)にて精神修養し、無になって悟りを開き仏となるという自力宗教であるとされています。しかし、道元の曹洞宗は禅宗でありながら少々異なり、道元は「修証(しゅうしょう)一如(いちにょ)」すなわち、修行の結果として悟り(証)に達するのではなく、修行(坐禅)そのものが悟りだといっています。
その思想の背景として、道元が比叡山で学んだ「山川(さんせん)草木(そうもく)悉皆(しつかい)成仏(じょうぶつ)」すなわち山も川も草も木もみんな仏性=仏の心を持ち、すでに悟りの境地にあるという「天台本(てんだいほん)覚(がく)思想」の強い影響がみられます。本覚思想は道元に限らず、比叡山で修行を積んだ法然や親鸞、日蓮や一遍等、仏教各派の宗祖や、修験道・神道等の思想にも少なからず影響を与え、木も草も人間とともに悟りを得るわけであるから、人間と自然とが平等、一体であるという、日本独特の思想を育んだといえます。
道元の主著『正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)』全九十五巻をみますと、難解な思想が語られる一方で、修行者には欠かせない衣服について語る「袈裟(けさ)功徳(くどく)」の巻や食事に必要な食器について語る「鉢盂(ほう)」の巻、毎朝の洗面について語る「洗面」、大小便の際の作法や意味についての「洗浄」という巻があり、人間が生きていく上で欠かせない日常生活すべてを含めた偉大なる思想が説かれています。永平寺で修行する雲水(うんすい)(修行僧)たちは朝、3時半に起床し、修行が始まるが、読経、食事の他、特に作務(さむ)と呼ばれる草抜き・掃き掃除・廻廊清掃・雪掻き等が重要視されます。また、食事や洗面、入浴、用便の時も、会話することが許されず、音を出すことさえも禁じられるという非常に細やかな作法と規則に支配されています。なぜそのようなことをするのかという疑問が出てきますが、無心で作務を行うことがすなわち悟りとなるのであるといわれています。
七堂(しちどう)伽藍(がらん)<法堂・仏殿・僧堂・東司(とうす)(便所)等の建物>を結ぶ廻廊は常に塵(ちり)一つなく完璧に磨かれています。無心で廻廊清掃に従事する雲水を眺めていると、いつの間にか彼らが見えなくなる(いなくなる)ような錯覚に陥りました。彼らが無になって全ての作務を行うとき、七堂伽藍とその背後に迫る山川草木とが完全に同化して見えなくなるような気がしました。そう感じたとき、壮大な宇宙の中で人間のみが煩悩を抱え無になれない生命体であるのかもしれないと思いました。これが道元禅師の残そうとした思想なのでしょうか。
永平寺には深遠なる道元禅師の思想が染み込み、今も静かに北陸の地で日本の心を語っているように思いました。  
報告:近江学研究所研究員 加藤賢治

湖北の観音様を訪ねてきました

2009年8月3日

10月に計画しています近江学フォーラムの会員様限定の現地研修で訪れます湖北の観音様を一足先に近江学研究所永江弘之研究員と訪ねてきました。
午前11時に大学を車で出発し、湖西路を北に進みました。黒田観音寺の千手観音、石道寺の十一面観音、唐川赤後寺の千手観音、西野薬師堂充満寺の薬師如来と十一面観音、そして、国宝渡岸寺(向源寺)の十一面観音と五体の観音様を訪ねました。
この湖北の観音様はすべて独立したお堂に祭られ、特定のお寺のご本尊となっているのではなく、いつごろからというのはわかりませんが、黒田の観音様は15軒、赤後寺の観音様は80軒というようにその地域の村のみなさんがお守り続けておられます。当番のかたちはそれぞれ違いがありますが、1ヶ月や1年単位でお守りの当番が変わるということです。当番になると一般の方が拝観希望で電話連絡されたときにお堂をあけたり、観音様のお水をかえたりというご奉仕があるとの事です。観音様のお世話ができるということは家族の中に病人もなくみんな元気でいるということです、感謝しています。とおっしゃる当番の方の言葉に観音様に対する深い信仰心を感じました。
湖北の観音様は作家井上靖氏によって昭和46年(1971)5月11日から約1年間朝日新聞朝刊に連載された『星と祭』という小説の舞台となりました。琵琶湖で亡くした娘を忘れることができない主人公が湖北の観音様の慈悲にうたれて現実に向き合っていくという人間の生と死を深く観照した作品です。
赤後寺の千手観音はかつて賤ケ岳合戦時に村人の手によって近くの赤川に埋められ難を避けたと伝えられ、そのためにわずかに残る12本の腕の先がすべて失われているという無残な姿をしています。しかし、この観音様はコロリ(転利)観音と呼ばれ、衆生に起こる災いを一手に受け入れて、災いを福に転じてくれる観音様として親しまれています。『星と祭』の主人公もこの観音様に救われたひとりです。
一つ一つの観音様にそれぞれ伝承があり、篤い信仰があります。
遠くで雷の音が聞こえ、近くにヒグラシの声がする堂内。静寂の中での観音様との出会いは平生の雑念をリセットさせてくれました。長引く梅雨の雨も止み、晴れ間がのぞく午後4時、湖北を後にしました。

報告者:近江学研究所研究員 加藤賢治

山裾に佇む黒田観音寺

山裾に佇む黒田観音寺

プロジェクト科目「仰木森林学」2回目

2009年7月21日

7月19日(日)「仰木森林学」の2回目の授業が行われました!
今回の授業は前回の授業と場所は変わり、大久保と呼ばれる山林で作業しました。
今回の間伐は前回よりもヒノキが大きく育っており、木が倒れる時に地響きが大きく鳴り迫力がありました。伐採した木を2メートル間隔で切断し、「引っ張りだこ」という機械で山から林道に降ろしました。それらの木材をトラックに載せ、次回の木工作業を行うおごと温泉駅近くの工務店の作業場に運びました。
作業が一段落した後、午後12時に上仰木・辻ヶ下森林組合員と参加学生は上仰木自治会館へ。昼食をとり、午後から1時間あまり「森林塾」と銘打って、いつもご指導いただいています滋賀県の森林整備事務所の職員さんから森林を守るという県の事業についての解説をいただきました。その中で、少しでも森林に親しんでもらうための取組として、簡単な木工アクセサリー作りを紹介していただき、参加者は楽しく山桜の小枝を使ったアクセサリー作りをしました。
次回はいよいよ間伐材を利用した木工作業です。椅子、棚、テーブルなんでも作ることができます。楽しみです。
報告:近江学研究所研究員 加藤賢治

伐採した間伐材を機械を使って切り出しました

伐採した間伐材を機械を使って切り出しました


木工アクセサリー作りに取組む参加者

木工アクセサリー作りに取組む参加者


できあがった作品「小枝のモッくん」

できあがった作品「小枝のモッくん」

堅田フィールドワークを行いました。

2009年7月13日

7月12日(日)に近江学研究所所長の木村至宏先生が担当する芸術文化特論(民俗学概論)の授業の一環で、堅田フィールドワークを行いました。
研究所研究員の加藤も同行し、木村先生とともに約3時間、堅田のすべてを徒歩で巡りました。JR堅田駅に集合し、早速駅前の志賀廼家淡海顕彰碑を解説。堅田出身の喜劇役者(松竹新喜劇)を紹介しました。次にスポーツクラブコジャックビルを訪ねかつて江若鉄道の堅田駅であったことを説明、実業家ヴォーリズの建築として有名な日本基督教団堅田教会、恵心僧都源信の創建と伝えられる堅田満月寺浮御堂、湖族の郷資料館、浄土真宗蓮如上人旧跡である本福寺、堅田源兵衛の首の伝承で知られる光徳寺、中世堅田宮座の中心地伊豆神社、近江を愛した松尾芭蕉を偲ぶ記念碑(十六夜の弁)、今も多くの湖魚の水揚げがある堅田漁港、琵琶湖の最狭部にある琵琶湖唯一の灯台「出島(でけじま)の灯台」、そして新田義貞の妻、勾当内侍(こうとうのないし)の墓があり、その悲しい伝承が今も神事として伝わる野神神社を順に訪ねました。
梅雨の合間、蒸暑い中10ヶ所に及ぶ堅田の民俗ポイントを巡りました。木村先生の万歩計はこの3時間で1万歩を超えました。参加した学生たちはさすがに疲れ気味なところもありましたが、中世から近世にかけて、湖上交通の要衝であったため多くの人たちがここを往来し、恵心僧都源信、蓮如上人、松尾芭蕉、勾当内侍など歴史上の人物が登場する数え切れない伝承が今に伝えられているということを体感し、満足そうに帰途につきました。
歴史文化の薫り高い湖族の郷「堅田」を満喫した一日となりました。

報告者:近江学研究所研究員 加藤賢治


        浮御堂で芭蕉の句碑についての解説を熱心に聞く学生たち