

博物館学芸員課程一泊研修が行われました!
2010年7月5日
7月3日/4日と本学博物館学芸員課程の一泊研修が行われました。恒例となっていますこの行事は「本物を見る」をテーマに滋賀県内の国宝を中心とした文化財を現地で見学するというものです。学芸員課程が主催し、担当教員が引率しますが、行程の企画と解説等は木村所長を中心に近江学研究所が全面的に協力しています。
初日は三井寺(園城寺)の国宝「光淨院」「勧学院」「金堂」を見学し、午後は彦根城歴史博物館を訪れました。夕刻長浜のホテルに入り、そこで1時間のレクチャーの後、夕食となりました。2日目は長浜の黒壁美術館と長浜曳山博物館を見学し、午後湖北十一面観音を訪ねました。
始めは少し緊張気味の学生さんたちでしたが、非公開の国宝の文化財を目の前にしてより緊張感が増し、そこから新たな興味関心が湧いたようでした。平安時代の仏像、中世後期の建築物、近世絵画、近世の武具や工芸品、近世から現代にかけての民俗、現代ガラス工芸など日本文化のあらゆるジャンルを網羅した研修となり、参加した学芸員課程の学生さんたちは疲れを忘れて満足そうでした。
近江学研究所研究員 加藤賢治
近江学フォーラム会員限定講座「近江の東海道と中山道」開講しました
2010年7月3日
講座名:近江の東海道と中山道
日 時:平成22年7月3日(土) 10:40~12:00
場 所:成安造形大学 聚英館三階 聚英ホール
講 師:八杉淳(草津市立草津宿街道交流館館長)
東海道と中山道が交わる交通の要衝「近江」。近江はその道を通じて多くの「ひと」や「もの」とともに「文化」や「情報」が行き交い発展しました。この日は草津市立草津宿街道交流館館長の八杉淳先生にご登壇いただき、東海道、中山道を中心とした街道と近世宿場町の機能について詳しく語っていただきました。
古代から近江は北国と東国、西国を結ぶ三叉路にあたり、東海道・中山道・北国街道・北国脇往還・若狭街道・御代参街道など街道が琵琶湖を囲むように集中していた。現在でもJR琵琶湖線・国道一号線・瀬田唐橋・東海道新幹線・名神高速道路・京滋バイパス・近江大橋が瀬田川に架かっており、まさに交通の要衝であることがわかる。また、宿場町の機能として大名の宿泊施設であった本陣、脇本陣や一般の旅人が利用した旅籠の様子、そして草津宿から石部宿、石部宿から水口宿までの物資運搬の流れなど、当時の人と物の行き来について詳しく紹介していただきました。東海道と中山道が交差する草津宿を中心として、たくさんのスライドを介してわかりやすく講義いただきました。
近江学研究所研究員 加藤賢治
仰木小椋神社境内にて岩見神楽が奉納されました!
2010年6月15日
6月12日(土)、仰木小椋神社境内にて岩見神楽が奉納されました。これは仰木を舞台に撮影された映画「虹の峠」のスタッフと島根県浜田市の岩見神楽保存会「若林神楽社中」様との関わりで実現したとのことで、当日は仰木地区を核に様々なかたちで地域貢献活動を行っている地蔵プロジェクトのスタッフとともに神楽上演会が運営されました。
好天に恵まれたこともあり、境内は多くの見学者で埋まりました。午前10時、仰木太鼓保存会による太鼓をバックに関係者が拝殿に登り、小椋神社の宮司さんが祝詞を奏上、関係者が玉串を奉納し上演会(神楽奉納)が始まりました。
先ず神を迎える儀式である「塩祓」という演目から始まり、「恵比寿」「大蛇」と続いて二演目が上演されました。
「恵比寿」は滑稽な舞で、軽快なリズムで恵比寿が鯛を釣上げる行為を楽しく表現され、途中にお菓子やお餅がまかれ、子供たちもふくめ盛り上がりました。
また、日本神話に基づいた「大蛇(おろち)」は岩見神楽の代表的な舞で、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)をスサノオノミコトが退治する様を凄まじい迫力で演舞するものです。煙をはきながらとぐろを巻く大蛇をスサノオが大剣で退治するシーンは迫力満点でした。
岩見神楽は室町時代に始まったと言われ、神事として行われる神楽が徐々に民間に支持され、現在では多くの民間団体によって保存継承されているという無形民俗文化財です。全国各地にはいわゆる神社の祭礼で行われる「神楽舞」が様々に継承されていますが、岩見神楽は滑稽な演目だけでなく能や狂言、歌舞伎などの伝統芸能を継承しており、大衆が支える非常に芸術性の高い民俗芸能であるといえます。
100以上の民間団体が今もなお工夫を凝らして変化させながらこの神楽を継承されているということです。
初夏の休日、地域文化の結晶を仰木の地で見学させていただきました。関係各位に感謝申しあげます。
報告:近江学研究所研究員 加藤賢治
近江学フォーラム会員限定講座「湖北の仏像」開講しました
2010年6月5日
講座名:湖北の仏像-平安時代から鎌倉時代にかけて-
日 時:平成22年6月5日(土) 10:40~12:00
場 所:成安造形大学 聚英館三階 聚英ホール
講 師:高梨純次(滋賀県立近代美術館 学芸課長)
6月5日(土)近江学フォーラム会員限定講座「湖北の仏像-平安時代から鎌倉時代にかけて-」を開講しました。講師は近江学研究所の学外研究員で滋賀県立近代美術館学芸課長の高梨純次先生です。京都のご出身ですが、大学卒業後、滋賀県立琵琶湖文化館の学芸員として滋賀県に来られ、滋賀県立近代美術館では設立準備から現在までご活躍されてきました。ご専門は日本美術史。中でも仏像彫刻史を中心として研究され、滋賀県の仏像研究の第一人者です。
この講座では湖北の仏像彫刻を中心に語っていただきました。「湖北には有名な十一面観音を中心に非常に優れた彫刻が多く残されているが、その優れた完成度をみると小さな工房で仏師がコツコツ制作していたとは考えにくい。おそらく奈良時代、湖北地域に国家的な規模の巨大な官営工房があったと考えられる。そして、平安、鎌倉時代にもそれを受け継ぎ、秀作を量産していた。」と多くの文化財のスライドを紹介しながらわかりやすく紹介いただきました。
また、時代や宗派などによる仏像の形式の違いなども解説いただき、新たな仏像鑑賞の方法を教えていただきました。
最近は歴史文化にスポットがあてられ古寺仏像鑑賞も若者の間で密かなブームとなっています。会員限定講座ということで内容的には難しいところもありましたが、参加者は十分に興味を持って聴講されていました。
報告:近江学研究所研究員 加藤賢治
公開講座「戦国時代の華 浅井三姉妹」開講しました。
2010年5月24日
講座名:戦国時代の華 浅井三姉妹-数奇な生涯と歴史上果たした役割―
日 時:平成22年5月22日(土) 10:40~12:00
場 所:成安造形大学 聚英館三階 聚英ホール
講 師:畑裕子氏(作家・日本ペンクラブ会員)
来年のNHK大河ドラマで浅井三姉妹の江姫が主人公となることが決まっており、滋賀県ではすでに浅井三姉妹のブームが沸き起こっています。そのような中、近江学研究所でも公開講座に話題の講師を招聘しました。5月22日(土)の公開講座に昨年6月に『花々の系譜 浅井三姉妹物語』をサンライズ出版から出版されました滋賀県在住の作家畑裕子先生をお迎えしました。
講座は畑先生が自ら歩かれて取材された写真をもとに、浅井長政、織田信長、お市、豊臣秀吉など戦国の歴史を紹介されながら、その世に翻弄された三姉妹の人生を語りかけるようにゆっくりと感情豊かに語っていただきました。
講座の最後に先生は、「戦国の姫たちは、政略に飲み込まれ一般的に悲劇のヒロインと理解されているが、浅井三姉妹は母であるお市の教育を受け、それぞれがたくましく前向きに生きた。お江は徳川2代将軍秀忠の正室となり、3代将軍家光を生み、五女の和子は後水尾天皇の皇后となって明正天皇を出産した。」「お市の意を受け継ぎ、戦乱の中で浅井の血を徳川家や皇族にも残したという執念とも言うべき女性の強さを三姉妹から感じ取れる」とまとめられました。
近江学研究所研究員 加藤賢治
公開講座「古代近江の魅力」開講しました。
2010年5月15日
講座名 古代近江の魅力
日 時 平成22年5月15日(土) 14:00~15:20
場 所 成安造形大学 聚英館三階 聚英ホール
講 師 上田正昭(京都大学名誉教授・歴史学者)
5月15日(土)、京都大学名誉教授上田正昭先生にご登場いただき、表題の通り近江の魅力をたっぷりと語っていただきました。日本歴史学の第一人者である上田先生のご講演とあって公開講座の申し込みは400名を越え、会場を2つに分けて開催しました。
「古代の近江国は大国に分類され、天智天皇はこの地に都を置いた。現在は京都にかくれてあまりイメージがしにくいが、古代近江は東西の要として交通の要衝であり高句麗を中心に朝鮮半島とのつながりが深く国際的であり、水に恵まれ非常に豊かな国であった。」平安京、平城京よりも古くに都が設置された理由はそこにあると強調されました。
また、この時代には万葉集や勅撰漢詩集が編まれ日本文学の礎がここに築かれたことも特筆されると述べられました。最後には江戸時代に朝鮮通信使の外交官として活躍した雨森芳州を紹介され、このように優れた人物を多く排出した近江を誇りに思ってくださいと会場内の参加者に熱いメッセージを投げかけられました。
ゆっくりとわかりやすく丁寧で、ときにユーモアを交えながらのご講演は時間のたつのをしばし忘れさせてくれました。
近江学研究所研究員 加藤賢治
近江学研究「里山〜水と暮らし」仰木祭の見学を行いました
2010年5月6日
5月3日「仰木祭」の見学を行いました。研究プロジェクトの一環で先ず仰木という村落を知るため、その代表的な祭礼である仰木祭りを体感しました。授業の登録者の他にも参加者があり、総勢20名で見学を行いました。引率者はプロジェクト担当教員大岩先生、永江先生、蔭山先生と私加藤です。午後1時45分JRおごと温泉駅に集合し、仰木へ向かいました。途中で仰木の歴史や中心となる小椋神社の解説を入れました。
今回のポイントはなぜ「仰木祭」が今に残っているのかを考えるということです。必要なければ祭礼もなくなっているはずです。この祭りはかつて仰木の地に11年間すんだといわれる源満仲の伝説に基づいています。仰木は近世以降四ヶ村と呼ばれ上仰木、辻ヶ下、平尾、下仰木の四つの村に分かれ、水利の問題で様々な争いごとがあったといわれています。
満仲は義経や頼朝の先祖であり、清和源氏の祖ともいわれる武将です。仰木では神様として扱われています。もしかすると四ヶ村の水利争いを満仲の伝承が一つにまとめる働きをしていたのではないかとも考えられます。
昭和になっても所々祭りの形式は変化してきています。今年度から実施する仰木研究プロジェクトは「水と暮らし」をテーマに様々な方面から村落を調査していきます。伝承の役割など何か見えないものが見えてくるような期待でいっぱいです。
午後8時、神輿が小椋神社に戻り、祭りは終了です。学生たちは少し疲れた様子でしたが、それぞれが何かを発見したように見え満足そうに思えました。
報告:近江学研究所研究員 加藤賢治
オープンキャンパスに「ちま吉」登場!
2010年4月30日
10月に行われる「大津祭」の公式キャラクター「ちま吉」は成安造形大学の学生がデザインしました。
今年度もプロジェクト科目として、授業の一環で大津祭本番までに京阪電車のちま吉ラッピング電車や、自動販売機のデザイン、携帯ストラップ・クリアファイルなどのグッズ販売などちま吉に関する企画をどんどん展開していく予定です。
大津祭の歴史は古く江戸時代初期にさかのぼり、長浜の曳山まつりと並んで湖国三大祭りの一つに数えられます。その源流は京都の祇園会に見ることができますが、精巧なからくりや装飾幕は大津祭独自の文化を今に伝えています。
大津祭を運営するNPO法人大津曳山連盟は2004年に発足し、大津祭の運営に加えて地域活性化の運動も含めてWebサイトの運営の他、様々な取り組みをされています。「ちま吉」もそのような取り組みの中で生まれてきました。
今やちま吉は大津祭を盛り上げ地域活性化のシンボルとして活躍しています。
今回は大津祭の中心地から飛び出しふるさとである成安造形大学に来てくれました。たくさんの来場者に囲まれ人気者でした。
報告:近江学研究所研究員 加藤賢治
堅田小学校で歴史の授業!?
2010年4月29日
4月28日(水)、堅田小学校体育館で6年生203名を対象に歴史の授業をしてきました。
この授業のきっかけは、本学の教職員と学生がseian net.TVの企画で制作した中世の堅田衆を主人公としたアニメーションのドキュメンタリーが放映されたことで、それをご覧になった堅田小学校の先生が6年生の歴史の授業の一環でということで声をかけていただいたことにはじまります。私の本務が地域連携推進センターで地域貢献を仕事としていることもあり、喜んで引き受けさせていただきました。
堅田衆は古くから、特定の権力者に支配されることなく自治が行なわれていたこと、地侍層である殿原衆(とのばらしゅう)と農工商を中心とする全人衆(まろうどしゅう)が身分の違いがありながら役割分担をうまく行っていたことなど、スライドを交えて話をしました。6年生に中世の堅田衆を詳しく解説することは難しいことですが、そのところはアニメーションがわかりやすく解説してくれました。
小学生たちが少しでも歴史やアニメーションづくりに興味を持ってくれればと思いながら小学校を後にしました。
報告:近江学研究所研究員 加藤賢治
近江学研究プロジェクト「里山〜水と暮らし」始まる
2010年4月27日
4月24日(土)、今年度の近江学研究所の最も注目すべき取り組みである研究所独自の研究「里山〜水と暮らし」がスタートしました。この研究はプロジェクト演習A1・A2という授業名で授業の一環として行われます。当日は10名の学生が021教室に集まり、近江学研究所研究員の大岩先生、永江先生、蔭山先生、そして私加藤がそれぞれこの研究の概要をレクチャーしました。
また、参加した学生は一人ずつ自己紹介しを交えながら、研究への意気込みを語ってくれました。
報告:近江学研究所研究員 加藤賢治